Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)

こんにちは。今回紹介するのは「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」、以前紹介した「Yinyoo V2」の「音質改良型」モデルです。中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」などが中心に販売する「Yinyoo(音佑)」ブランドのオリジナルイヤホンですね。今回改良版と言うことで、製品名称ですが、AliExpressでの記載に倣ってちょっと長いですが「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」表記します。Version 3ということは多分過去にVersion 2があったような気もしますがここは気にしない事にしましょう(笑)。
Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)

もともと「Yinyoo V2」は、5千円台の価格設定のシングルダイナミック構成のオリジナルイヤホンとして、「Yinyoo」ブランドのなかでも力の入った製品のようですが、前回レビューした「初期モデル」では「個性的な低域」を前面に出した低音重視のチューニングで、人によって多少評価が分かれるサウンドバランスでした。
過去記事: 「Yinyoo V2」 同クラスのマイナーブランド中華イヤホンではめずらしい「1DD構成」にあえて挑戦した、中低域メインの個性的サウンド【レビュー】
Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)
しかし、現在販売されている「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」では製品そのものに違いはないものの、音質面の大幅な改良が行われており、暖色系寄りの聴きやすいサウンドや、情報量が多い低域の印象はそのままに、より多くの人が好感しやすいドンシャリ傾向のバランスに変更されました。個人的には「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」は初期型よりかなりお勧め度がアップしたサウンドになったと思います。

Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)Yinyoo V2」は米国から輸入した10mmサイズの「デュアルダイアフラム(二重振動板)ダイナミックドライバー」をシングルで搭載。
CNC加工されたアルミ合金製ハウジングでは「Yinyoo」のロゴマークがデザインされたフェイス部分がベント(空気孔)となっており、比較的大口径のドライバーを搭載しつつ、非常にコンパクト・軽量で使い勝手の良いシェルサイズにまとめられています。
最新の「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」では外見上の違いはないものの、内部のチューニングを大幅に変更しており、初期型とは全く異なるアレンジのサウンドに仕上げられています。

Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」の購入はAliExpressの「Easy Earphones」またはアマゾンの「WTSUN Audio」にて。価格はAliExpressが 34.62ドル、アマゾンが 5,800円 となっています。
なお、現在WTSUN Audioでは「Yinyoo V2」の1,500円OFF クーポンが配布されており、実質 4,300円 で購入が可能です。アマゾンではプライム扱いで国内倉庫より発送されますし、万が一の場合もアマゾン経由のサポートが受けられますので安心感がありお勧めです。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版) 

またAliExpress(中国からの発送)での購入方法などはこちらをご覧ください。
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo V2 Version 3(Final Tuning)


■新旧で外観上の相違点はなし。軽量で装着しやすいアルミ合金製コンパクトシェル。

Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」のパッケージは製品写真が記載された「中華イヤホン」感あふれるデザインで、初期型の「Yinyoo V2」と同一のものです。パッケージ内容も同一で、Yinyooロゴのイヤホンケースの中に、本体、ケーブル、イヤーピース(白とグレーの2種類、それぞれS/M/L)が同梱されており、さらにブルーの保証書・説明書が付属します。
Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)
Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)
実際の製品はパッケージを含め、本体、付属品など「初期型」と今回の「最終版」では外観上の違いは皆無です。両方を並べて油断すると「どっちがどっち」だか分らなくなりそうです(^^;)。

Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)
10mmドライバーを搭載しているとはいえ、非常に軽量かつコンパクトなシェルで、通常の装着方法でも耳掛け式(シュア掛け)のどちらでも使えるデザインはとても便利です。ケーブルは柔らかく使い勝手の良い銀メッキ線ケーブルです。2pinの極性は本体の外側がマイナス(ブルーのマークがついている方)になります。
Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)
イヤーピースは付属のもののほかに、ダブルフランジの「AET06」や、開口部の広いJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など定番のイヤーピースに好感するのも良いと思います。


■特徴的な低音域にくわえ、よりハッキリした中高域で聴きやすいサウンドバランスに。

Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」の音質傾向ですが、「初期型」と比べより明確にドンシャリ寄りのサウンドに変化しました。このイヤホンの特徴である情報量が多く深みのある低域と少し広がりのある響き方は「初期型」同様の傾向ですが、初期型で気になった中高域の印象が大幅に向上し、より輪郭のしっかりしたサウンドになりました。
この変化により、「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」では「初期型」で最大のウィークポイントだった籠り気味の中高域が大幅に改善されており、個人的にも結構好みの音に仕上がっていると感じました。

Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」の高域は煌びやかさのあるハッキリ目の音となり、ハイハットなどのシンバル音も「初期型」より分離や伸びが向上しているのがわかります。とはいえKZなどの中華ハイブリッドやTFZのグラフェンドライバーのような金属質な音とは異なるためスッキリとした抜けの良さもあまり感じないため高域好きの方は多少物足りなさを感じるかも知れません。しかし「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」では「初期型」のような籠りは解消されており、また刺さりやシャリ付きなどの刺激は抑えられており、聴きやすい高域がしっかりと鳴ってくれる印象になったと思います。

Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)中音域は厚みのある音で広がりを感じる響きがとても雰囲気のある音です。この傾向自体は「初期型」と同様ですが、「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」では音の輪郭がより綺麗に描写されており聴きやすくなった印象です。「初期型」では左右の広がりの影響もあって、曲によって中音域がやや後ろに下がり気味で、籠もったように聴こえる場合がありました。しかし、「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」では適度な広がりにコントロールされることで、このような印象はほぼ解消されており、ボーカルなども比較的近くで定位するようになりました。ただ、ボーカルなどで明瞭感や解像度の高い音を好まれる方はやはり中低域の分離に今ひとつな印象を持つ可能性があります。いっぽうで「初期型」のサウンドで高評価のレビューを拝見すると中音域の広がりによる「空気感」を好感されているケースが多いように思いますが、より描写がしっかりした、「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」でもこの空気感は実感するチューニングとなっており、こちらも同様に好印象を持つのではと思います。

Yinyoo V2 Version 3 (Final Tuning)低音域は「Yinyoo V2」において最も特徴的な部分ですが、「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」ではその特徴を活かしつつ、全体的に中低域寄りのサウンドではあるものの、かなりバランスの良いチューニングに変更されました。「Yinyoo V2」の低域は、二重振動板の効果もあり情報量の多い解像感が特徴的でしたが「初期型」は曲によって響きが強くなり籠りやキレの悪さを感じることがありました。「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」では締まりが向上したことで「初期型」では今ひとつな表現だった立ち上がりの速い曲でも比較的良く鳴ってくれる印象となりました。ただ、沈み込みは比較的深い印象ですが重量感を感じるタイプの音ではない点もこのドライバーおよびイヤホンの特徴のひとつといえるでしょう。
Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」は、初期型でも比較的相性の良かったロックやジャズに加え、ポップスなどもわりと好印象に感じると思います。ただ音数の多い曲は今ひとつに感じる場合もありそうです。

というわけで、「Yinyoo V2 (バージョン3 ・最終版)」は暖色系に近い音質傾向ながら比較的ハッキリとしたドンシャリ傾向という、特徴なドライバーの傾向は維持しつつ、多少マニアックなサウンドからより多くの方に受け入れやすいサウンドに進化しました。案外、同価格帯の中華イヤホンに「有りそうで無い」サウンドバランスのイヤホンではないかと思います。最近の中華イヤホンだと「KZ」より「CCA」のチューニングのほうが好みで、より「各音域のつながりの良さ」や「低音域の解像度」「広がりのある音場感」などを感じたい場合には結構良い選択肢になるかもしれませんね。