TRIPOWIN TP10

 こんにちは。今回紹介するのは「TRIPOWIN TP10」、5BA構成ながら7千円台の価格で購入可能な低価格マルチBAイヤホンです。後日レビュー予定の「CCA A10」の事実上の兄弟イヤホンと考えられ、フェイスパネルのデザインや音質面でも多少のチューニングの違いはあるものの、同一のハウジングデザインおよび同様のドライバ-構成で同じKZの工場で作られていることは疑いようがない感じですね。
TRIPOWIN TP10TRIPOWIN」は中国の新しいイヤホンブランドですが、現時点でTaobaoやAliExpressなどでの販売は行っておらず、日本のアマゾンでマーケットプレイスを展開する「L.Sオーディオ」や米国Amazon.comなど、「Linsoul」系のショップでのみ購入が可能です。そのためパッケージ表記や説明書などはすべて英語表記で中国語の記載は見当たらないなど、中国国外での販売を前提としたブランドであることがわかります。
ちなみに低価格中華イヤホンの代表的なメーカー「KZ」は昨年後半から姉妹ブランドの「CCA」の展開も始めており、私のブログでも最新の製品を都度紹介しています(「CCA」ブランドについては「CCA C10」のレビューにて多少深掘りをしていますので興味のある方は参照ください)。

TRIPOWIN TP10CCA A10KZ AS16

いっぽうで今回の「TRIPOWIN TP10」も製品としては間違いなくKZやCCAと同じ工場で生産されていると考えられますが、見たところCCAのようにKZの関連ブランドというわけではないようです。KZの中国サイトの情報によると、同社はODM(Original Design Manufacturing:受託による設計および製造)も行っており、「TRIPOWIN TP10」もTRIPOWINブランド向けにKZの工場で作られた「CCA A10」の亜種バージョン、と考えるほうが自然かも知れませんね。
TRIPOWIN TP10TRIPOWIN TP10
TRIPOWIN TP10」のドライバー構成は低域をカバーする「22955」、中音域用の「29689」×2基、高域用の「30095」×2基の3Wayの5BAにて構成されています。
TRIPOWIN TP10TRIPOWIN TP10
これらのBAユニットを音導管が一体形成された樹脂製の内部パーツで固定され、さらに出力を調整するネットワーク基板(PCB)にて制御されます。
TRIPOWIN TP10TRIPOWIN TP10
亜鉛合金のフェイスパネルに加えてステム部分はアルミ合金が使用されています。コネクタは「KZタイプC」型の2pin仕様が採用されており、KZ用のケーブルほか中華2pinタイプでのリケーブルも可能です。
TRIPOWIN TP10」の購入はアマゾンの「L.Sオーディオ」にて。価格は 7,600円(マイクなし) / 7,700円(マイク有り)で、カラーは「ブルー」と「グレー」が選択できます。
Amazon.co.jp(L.Sオーディオ): TRIPOWIN TP10


■シェルデザインはAS16、CCA A10と同一、シンプルなフェイスに独自のベントが特徴的

TRIPOWIN TP10」のパッケージはKZやCCAのパッケージと同じサイズでパッケージなども含め同じところで作られているようですね。ただ前述の通りパッケージ記載などはすべて英語表記で中国語の併記は一切ありません。このことからも中国国内での流通は想定していない、海外向けの製品であることが伺えますね。
TRIPOWIN TP10TRIPOWIN TP10
パッケージ内容は、本体、ケーブル、イヤーピース(S/M・Lサイズ)、説明書、保証書、とKZと同様にシンプルな内容。説明書などもすべて英語でのみの記載です。
TRIPOWIN TP10TRIPOWIN TP10

TRIPOWIN TP10」の本体デザインは「KZ AS16」と同じシェルパーツおよびステムパーツを使用しており完全に一致しています。相違点である亜鉛合金製のフェイスプレートは表面に凹凸の加工がない平面となってていて下部のネジ留めされた箇所が唯一のアクセントになっています。「TRIPOWIN」ロゴなどはシルクスクリーンでプリントされています。そして、同じ5BAドライバー構成の「CCA A10」との相違点であるフェイスプレート上のベント(空気孔)が確認できますね。表面に穴が空いたデザインではありますが、音漏れなどは特に気にする必要はないと思います。
TRIPOWIN TP10TRIPOWIN TP10
「KZ AS16」との比較では搭載されているBAユニットの違いが透明なシェルから透けて見えるのが確認できます。最もサイズが大きい低域用の「22955」BAユニットは樹脂製のパーツで隠れている部分があるため正確な表記はわかりませんが「A22955」という刻印が確認でき、手持ちの「KZ AS16」の個体でのBAユニットとは異なる表記になっていました。
TRIPOWIN TP10
また亜鉛合金製のフェイスプレートは「CCA CA4」に近い厚さで、「AS16」より若干厚みがあるものが採用されています。そのため5BAモデルながら8BAもでるの「AS16」に近い重量感となっています。
TRIPOWIN TP10TRIPOWIN TP10
付属するケーブルの線材は最近のKZおよびCCAと同じものですが、プラグ部分およびケーブル分岐部分の樹脂製パーツは異なるデザインのものが採用されています。これらのパーツはシンプルな円筒状でODM用のモデル用のものかもしれませんね。またイヤーピースはKZのおなじみのものですので、できればフィット感を向上させるために、定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部が大きいタイプの製品を利用することをお勧めします。


■KZ系イヤホンではめずらしい中高域特化のサウンド。エージングでスッキリしたバランスに。

TRIPOWIN TP10」の音質傾向はフラットを通り越して若干カマボコ寄りの中高域メインのサウンド。最近のイヤホンではかなり珍しいサウンドバランスのチューニングとなっています。最近のKZのマルチBAイヤホンに共通する低コストイヤホンとは思えない各音域の音作りのクオリティの高さは感じるのですが、それに以上に全体のバランスはかなり個性的で、低域の量感を押さえ込みつつ中高域、特に「ボーカルに全振り」した感のあるサウンドになっています。

TRIPOWIN TP10刺さり等の刺激はある程度コントロールされていますが全体的に完全な中高域偏重のサウンドバランスとなっていて、逆に低域はかなり軽い印象を受ける場合が多く、重低音の沈み込みになどは割り切っているような感じになります。ただ、同じドライバー構成の「CCA A10」も同様の周波数特性のカーブを描いていることから「TRIPOWIN TP10」の独自チューニングというわけではなさそうですね。
とはいえ、「TRIPOWIN TP10」のほうが「CCA A10」より高域寄りのバランスとなっていて、よりキャラクターが際だった製品に仕上がっていると思います。また開封直後より100時間程度しっかりエージングすることで低音域の印象は多少改善されます。

TRIPOWIN TP10」の高域は最近のKZおよびCCAのイヤホンと比較すると格段に高域および中高域の主張が強く、煌めきのある硬質で明瞭な印象の鳴り方をします。KZ系のイヤホンに共通する派手さを感じる音で、「TRIPOWIN TP10」では「CCA A10」と比較しフェイスパネルのベント(空気孔)の影響などもあり音抜けは良く、さらにスッキリとした伸びの良さも感じるチューニングになっています。反面、ある程度コントロールはされているものの、「CCA A10」と比べると曲によっては刺さり等の刺激を感じやすくなっているかもしれませね。

TRIPOWIN TP10中音域は高域以上に主張の強い、かなり派手な鳴り方をします。ボーカルなどは近くで定位し、マルチBAらしい解像感のあるハッキリとした印象のサウンドを実感することができます。そのため音場は狭いのですが、中高域の分離の良さから後方に奥行きを感じる鳴り方をするため平面的な印象はありません。この辺の音場感はより分離に優れた情報量の多いケーブルにリケーブルすることでかなり印象が変わる可能性があります。伸びは良く明瞭感のある音のためこの価格帯のイヤホンとしては表現力は高いと思います。「TRIPOWIN TP10」は中高域寄りのチューニングとなっていることもありハイトーンの抜けも良く刺激のある音もちゃんと表現してくれる印象です。

TRIPOWIN TP10そして低域はかなり軽く、低域好きの方は相当物足りないと感じそうです。実際のところは量的にも内容的にも3BA構成の「KZ AS06」の低域に近い音なのですが、「TRIPOWIN TP10」の中高域の主張の強さのため、AS06でも少なめに感じた低音がいっそう鳴りを潜めてしまっている、という感じにも思えます。
長時間エージングにより軽い印象自体は変わりませんが開封直後よりかなりバランスは改善され存在感が増してきます。印象としては硬質で解像感のある音で分離の良い低音です。ただ重低音はかなり割り切った印象で曲によってはほとんど聴き取れない場合もあります。
そのため、ロックやポップスなどのボーカル曲との相性にくらべて、低域の厚みの感じる曲には向かない印象です。また全体的にハッキリした音のため、テンポの速い曲とは合いますがバラード曲などでは派手すぎると感じるかも知れませんね。

CCA A10このように「TRIPOWIN TP10」は中高域メインの傾向が明確なアレンジで、後日レビュー予定の兄弟イヤホン「CCA A10」との比較では「TRIPOWIN TP10」のほうが高域のスッキリ感が高く、より分りやすいサウンドに仕上がっていると思います。高域の刺激が苦手な方にはあまり向きませんが、中高域寄りのイヤホンとしては「TRIPOWIN TP10」のほうがバランス的にまとまっており、「CCA A10」のほうが多少これまでの「CCA的アレンジ」に引っ張られて中途半端になっているようにも感じました。
最近のKZ系では珍しく好き嫌いが分かれるイヤホンですが、個人的にはKZ系の5BA構成では「TRIPOWIN TP10」が最もお勧め度は高いと感じました。

また前述の通り「TRIPOWIN TP10」はリケーブルにより分離性を向上させることで、音場感が向上しより明瞭でキレのあるサウンドを実感できるようになります。個人的には単結晶銅線(OCCなど)の高純度ケーブルとの組み合わせがお勧めです。
TRIPOWIN TP10TRIPOWIN C8
さらに「TRIPOWIN」ブランドからも「TRIPOWIN C8」8芯 銅箔系&銀箔系ケーブルがリリースされており、価格的にも3千円台と手頃ですので結構気になるところです。こちらもオーダーして後日相性を確認したいと思っています。