NEX N3

こんにちは。今回紹介するのは「NEX N3」、ひさびさの「トリプルダイナミック」(3DD)構成のイヤホンです。ダイナミックドライバーを2基搭載するデュアルダイナミックのイヤホンは数多く存在しますが、3基搭載するトリプルダイナミックという構成は変わり種の多い中華イヤホンの世界でもなかなかトリッキーで私のブログでのレビューもこれまで3種類ほどに留まっています。なかでも「当たり」だった「KBF F60」と「bboooll BO-T1」は外見的にも音質傾向的にもかなり内容が異なるものでしたね。
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そんななか今回の「NEX N3」はどんな仕上がりになっているのか、とても気になるところですが、「NEX N3」はグラフェン振動膜を採用したコンパクトなダイナミックドライバーを並列で3基搭載した仕様とのこと。
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インピーダンス32Ω、感度106dB/mWとなっていて、一般的な低価格中華ハイブリッドイヤホン等よりは多少鳴らしにくい仕様(再生に駆動力が必要)となっています。また、MMCXコネクタによりケーブルは脱着式となっていて、リケーブルが可能となっています。購入はアマゾンの「Nex Audio」にて。価格は 2,990円 となっています。


到着した「NEX N3」のパッケージはブルーの化粧箱に入っており思ったより高級感を感じるパッケージングとなっていました。パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(黒色4種類、グレー1ペア)とシンプルな構成となっています。
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イヤホン本体は樹脂製のハウジングでブラックのハウジングかから3基のドライバーが透けて見えます。厚みのあるデザインに見えますが、実際はハウジング自体が非常にコンパクトなため相対的に分厚く見える感じですね。
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NEX N3」の形状およびドライバー配置は同じ3DD構成の「KBF F60」と酷似しており、同じ工場で製造されている可能性を感じます。付属するMMCXケーブルは樹脂被膜の4芯線で取り回しは良好ですが、音質的にはリケーブルを検討した方が良いかもしれません。
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またイヤーピースも定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」などを組み合わせてフィット感を向上挿せるほうが良さそうですね。


■こちらの3DDはより中高域が明瞭なサウンドに。駆動力のあるDAPでしっかり鳴らすのがポイント。

NEX N3このように「KBF F60」の類似点の多い「NEX N3」ですが、音質傾向は中低域寄りのドンシャリで、聴いた際の印象は「KBF F60」が低域寄りのサウンドだったのに対し、「NEX N3」はより明瞭感のある中高域が特徴的です。「NEX N3」では採用されている3基のダイナミックドライバーにグラフェン振動膜を採用しているとのことで、この搭載ドライバーの特性の違いがそのまま音質傾向に反映されているのかもしれませんね。
2千円台の低価格イヤホンとしては比較的良くまとまったサウンドだと思います。同一のドライバーを3基並列で鳴らす仕様の3DDという、低域が分厚い籠もりがちの音のようになってもおかしくない構成ですが、「NEX N3」は特に中高域付近の抜けの良さがこれまでの同価格帯の3DDイヤホンより格段に良く、女性ボーカルなどは比較的スッキリとした印象で聴くことができます。

NEX N3NEX N3」は高域は3DD構成のイヤホンとは思えないほど硬質な印象で煌めきのある明るい音です。ハイハット等は比較的綺麗に聴こえますが、実際のところ天井はそれほど高くなく伸びもそれなりです。そのため刺さり等の刺激は感じず、鮮やかさを感じさせつつ聴き疲れしない音にまとまっている印象です。「NEX N3」は小口径のグラフェン振動膜のドライバーを3基並列で使用している構造のため、マルチドライバーによる各音域の力強さはありますが音域の広さ自体は大口径ドライバーのシングルダイナミックやハイブリッドには構造的には及びません。そのため、あえて聴き所を絞ってチューニングされているような印象も受けます。
中音域は僅かに凹みますが、少し広がりのある音場感で聴きやすい音で鳴ります。最近の中華ハイブリッドに比べると多少大らかさを感じる音ですが、それでもグラフェンドライバーの恩恵もあってか、「KBF F60」よりやや解像感は向上している印象です。また、高域同様に明るめの音ですが、多少鳴らしにくい印象もあるため再生環境の出力で印象が変わってくる可能性もあります。MMCXコネクタ仕様でリケーブルが可能なため、駆動力の少なめの小型DAP等の場合は平坦な音に感じることがあります。この場合、多少情報量の多いケーブルにリケーブルすることでかなり明るい音に変化すると思います。
低音域は3DD構成の特徴を活かし響きの良い厚みのある音を鳴らします。解像度は価格なりの印象もありますが量感もあり重低音の沈み込みもまずまずです。ただ「KBF F60」が響きの良いスピーカーのような音だったのに対し、「NEX N3」では多少締まりが増し分離性が向上しています。そのぶん重低音の響きなどは「KBF F60」に比べると「NEX N3」のほうが少なめに感じます。この辺は好みで選ぶ要素といえるでしょう。
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また、前述の通り「NEX N3」はMMCXコネクタを採用していますので、できればリケーブルによるアップグレードをお勧めします。最近は2千円以下の8芯ケーブル等も多く登場していますのでこれらとの組み合わせが良いでしょう。例えば「KBEAR 8芯 銀メッキ線ケーブル」に交換した場合、中高域の音抜けが一気に良くなり、キレが向上するとともに、分離性の向上による音場感を実感できました。3DDの構造上、解像度的にはそれほど高くはないのですが、リケーブルにより一皮むけたような明瞭感を感じることができると思います。

というわけで、「NEX N3」は低価格3DD構成で、同様な構成の「KBF F60」より中高域の明瞭感のある聴きやすいサウンドのイヤホンでした。
解像度は決して高くはないですが、中華ハイブリッドの多少人工的なサウンドとは異なるダイナミック型ならではの自然な鳴り方とフルレンジドライバーをトリプルで構成した事による力強さは3DDイヤホンだからこそのサウンドといえるでしょう。
このような構成のイヤホンは種類も少ないため、マニアであれば是非とも押さえておきたいアイテムですし、価格的にも手頃ですので普段使いのアイテムとしても便利なイヤホンだと思います。