KZ AS12

こんにちは。今回はお馴染み中華イヤホンの代表的ブランド「KZ」の最新モデル「KZ AS12」の紹介です。片側6基のBA(バランスド・アーマチュア型)ドライバーを搭載した6BAモデルながらAmazonでも8千円台の低価格を実現しています。KZのマルチBAモデルはすべて自社ブランドのユニットを使用していますが、今回の「KZ AS12」では高域側に新しいタイプのドライバーを採用し、より高度なサウンドチューニングを実現している点が特徴です。
KZ AS12KZ AS12
「KZ」(Knowledge Zenith)といえば私のブログでも紹介を始めた頃(2016年の初期型「KZ ZST」がリリースされたあたり)は低価格イヤホンの代名詞的メーカーであると同時にビルドクオリティについても多少心配な要素(個体差など)がありました。しかし、現行の生産体制を確立後にリリースされたと考えられる「KZ ZSN」(「ZST」の事実上の後継モデル)辺りから生産体制は劇的に向上し、また音質面においてもかなり信頼できるブランドに進化しました。

そしてKZの「マルチBA」モデルは生産体制のまさに過渡期と思われる時期に最初の「KZ AS10」「BA10」がリリースされ、私もレビューの中で「当たり外れ」「発展途上の過渡期モデル」といった感想を記載しました。またさらに遡って最初の「ZS10」などの「挑戦モデル」で得た経験を新しい生産体制の元で「KZ」および姉妹ブランドの「CCA」などに展開することで大きな躍進を見せたと思います

KZ AS16CCA A10 KZ AS10

今回の「KZ AS12」はすでにリリースされている8BA構成の「KZ AS16」と同様なシェルデザインを採用し、実質的に「KZ AS10」の後継モデルとして、姉妹ブランド用に作られた5BA構成の「CCA A10」等を経てブラッシュアップされたイヤホンといえるでしょう。

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KZ AS12」のドライバー構成は3wayの6BA構成で、高域に今回初登場となる新しい型番の「KZ 30012」を2基、中音域は「KZ 29689」が2基、低域は「KZ 22955」も2基となり、低域不足を指摘された「CCA A10」の1基から増強された構成となっています。このドライバー構成を最近のKZおよびCCAのモデルと比較すると以下の通りです。

KZ AS12 (6BA): 低「22955」×2 中「29689」×2 高「30012×2
CCA A10 (5BA): 低「22955」×1 中「29689」×2 高「30095」×2
KZ AS10 (5BA): 低「22955」×1 中「29689」×1 中高「31005」×1 高「30095」×2
CCA C16 (8BA): 低「22955」×2 中「29689」×2 高「30095」×4
KZ AS16 (8BA): 低「22955」×2 中「29689」×2 高「(2BA) 31736」×2

5BAの「CCA A10」では8BAの「CCA C16」等と比較し、高域を2BAに減らす代わりに低域も1BAに減らすことでバランスを取ろうとしていましたが、「KZ AS12」では低域は「KZ AS16」「CCA C16」の8BAモデルと同等にする代わりに高域でより出力の大きい(と記載されている)新タイプのドライバーを採用することでバランスをとっているのがわかります。
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KZ AS12」の購入はAliExpressまたはAmazonの「HiFiHear Audio」「WTSUN Audio」にて。カラーバリエーションは「シアン(シルバー)」と「ブラック(ゴールド)」の2色が選択できます。表示価格はAliExpressが67.27ドル~、Amazonが 8,200円~ となっています。AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引きについてはこちらをご覧ください。アマゾン倉庫への入荷状況により中国からの発送の場合もありますが、在庫があればプライム扱いですぐに届きますし、万が一の不良の場合にもアマゾン経由で対応できます。
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): KZ AS12

※HiFiHearでは「KZ AS12」を購入時に10% OFF となるクーポンを配布中です。



■ KZ製マルチBAデザインを踏襲しつつ、特徴的なカラーバリエーションで登場

KZ AS12」のパッケージはミドルグレード以上のモデルで使用されている黒箱タイプ。付属品はいつもと同じで本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、保証書・説明書のシンプルな内容。
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今回も「シアン(シルバー)」および「ブラック(ゴールド)」の両方のカラバリを購入しました。どうも「ゴールド」のほうが人気があるようでAmazonでもすぐに国内在庫が売り切れてしまいますね(^^;)。
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KZ AS12」の本体デザインは「KZ AS16」と全く同じ形状で、亜鉛合金製フェイスプレートがそれぞれシルバーとゴールドにカラーリングされており、アルミ合金製ステムも同様なカラーリングとなっています。ゴールドのフェイスパネルは思ったより落ち着いた色で普段使いでもそれほそ派手さは感じないと思います。
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各ドライバーユニットは一体形成された音導管が組み込まれた固定パーツに装着されているのはこのシリーズ共通。「CCA  A10」では1基だった低域BAが2段で2基装着されているのがわかります。また「CCA A10」のCCA製品共通で使用されている分厚いフェイスプレートと比べると「KZ AS12」のほうが多少薄く、ユニット数が6BAに増えていますが、重量はそれほそ変わらない印象ですね。
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サイズも大きく多少の重量感は感じますがデザイン的にイヤーピースで結構しっかり固定できるため、装着性は結構悪くないと思います。ただし、イヤーピースについては毎度記載していますが、フィット感を向上させるために、定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部が大きいタイプの製品を利用することをお勧めします。


■ いかにもKZらしい派手めのドンシャリながら完成度は高く最もまとまりのあるサウンド

KZ AS12」の音質傾向はバランスの取れた寒色系のドンシャリ傾向で、ある意味「いかにもKZらしい」とても分りやすいサウンドチューニングをされたイヤホンといえるでしょう。これまでハイブリッドモデルで培ってきた同社にとって最も馴染みのある方向性だけにまとめ方はとても上手く、完成度は非常に高い製品だと思います。

KZ AS12おそらく「ZS10 Pro」など最近のKZらしい明瞭感のある中高域とちょっと派手さを感じるサウンドが好みの方には、かなりど真ん中なチューニングに感じるのではないかと思います。
ただし、高域および低域において、非常に解像度の高いエッジの効いたサウンドを聴かせてくれますが、フラットな印象の中音域と比べると輪郭の際立ち方が強く、シングルダイナミックやモニター系のマルチBAイヤホンに比べると「派手すぎる」印象を持つかもしれません。この辺は「KZ AS12」のキャラクターとして認識しておいた方が良いでしょう(良し悪しと言うより好みの部分ですね)。

KZ AS12」の高域は最近のKZらしい明るくスッキリとした印象の音を鳴らします。非常に輪郭のハッキリした音でそれなりに主張の強さを感じるのは最近のKZの特徴で、自然な高域を好まれる方には少し演出可能に感じるかも知れません。ただ、鮮やかさのある音ですが刺激は適度に抑えられており、8BAの「KZ AS16」と近いものの、派手さは少し抑えられており、「KZ AS16」「CCA A10」と比べると多少落ち着いた印象に感じそうです。
KZ AS12中音域は癖のないフラットな音を鳴らします。音数の多い曲でもかなりしっかり捉え、違和感なく再生してくれる点はとても好感が持てます。音場は比較的広く、自然な距離感で定位します。ミッドレンジは「KZ AS16」「CCA C16」「CCA A10」と最近の5BAおよび8BAモデルで共通のBA構成(「KZ 29689」×2)ですが、デュアルユニットかすることでBAらしい解像度の高さを維持しつつ、味付けは無いものの、ボーカルなどの広がりや量感によりややカマボコ的な厚みを感じるのは特徴的でしょう。
低域は情報量が多く、「CCA A10」のような腰高さはなく、しっかりとした量感を感じる鳴り方をします。十分に存在感があるものの、分離の良いハッキリした音で、中高域が籠もることはありません。沈み込みも深く、締まりのある重低音の表現も感じる事ができます。キレのあるベースラインが印象的で輪郭のハッキリした音ですが、高域同様に多少人工的な音に感じる可能性はあります。この辺も「派手め」のアレンジのひとつと言えるでしょう。

とはいえ、「KZ AS12」では高域が「CCA A10」ほど派手では無く、また「KZ AS16」や「CCA C16」のようないかにも「多ドラ」的な音ではないため、「KZ AS10」のサウンドが好みの方にも受け入れやすいチューニングかも知れません。そういった点でもやはり「後継モデル」としてのサウンドになっているようですね。
より自然な音や、モニターサウンドを好まれる方にはやはり派手すぎる印象はあると思いますが、通常のリスニングでは、ロック、ポップス、アニソン多くのジャンルでキレのある明瞭なサウンドを楽しむことができ、ボーカル曲との相性も良いと思います。
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またリケーブルにおいても「KZ純正 8芯 アップグレードケーブル」や「CCA純正 8芯 アップグレードケーブル」(どちらも2,239円)のほか、最近ではHiFiHear「HiF4848 16芯 銀メッキ線ケーブル」(2,990円)など、低価格の16芯および8芯のケーブルも多く登場しているため、見た目や価格を参考に挑戦してみるのも良いと思います。特に16芯ケーブルでは、全体的な情報量の増加で、より小さいボリュームで音量を確保でき、S/Nの高いDAPでは分離性や明瞭感が大幅に向上します。これにより全体的に音が濃くなり、より立体的な音場を実感できると思います。


というわけで、「KZ AS12」は多少「後出しじゃんけん」感はあるものの(^^;)、最近のKZ系5BAモデルを経て登場した決定版的な印象もある完成度の高いイヤホンでした。「多ドラ感」を実感できる「KZ AS16」も良いですが、マルチBAイヤホンとしての聴きやすさという点では「KZ AS12」のサウンドはもっとも馴染みやすく、使いやすいものかも知れません。1万円程度でBAイヤホンを検討されていたらリケーブルとセットで十分にお勧めできるイヤホンと思いますよ。