mifo O5 Pro

こんにちは。今回は中国のワイヤレスイヤホンブランド「mifo」の完全ワイヤレス(TWS)イヤホン「mifo O5 Pro」の紹介です。こちらはバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーのシングル構成のバージョンで、同社の「mifo O5」(6mmダイナミックドライバー構成)の上位モデルの製品ですね。
「mifo」のTWS製品「mifo O5」は同社の主力製品で、Bluetooth 5.0およびAAC/SBCコーデックに対応し、IPX7の高い防水性を持った基本性能の高さが特徴的です。また本体フェイスプレートと充電ケースはシンプルなデザインのアルミ合金製で高級感のある製品となっています。
mifo O5 Promifo O5 Pro

さらに、「mifo O5 Pro」は上位版のProfessionalモデルという位置づけで、通常モデルが6mmのダイナミックドライバーをシングルで搭載しているのに対し、フルレンジのBA(バランスド・アーマチュア型)ドライバーを搭載する「1BAモデル」となります。
mifo O5 Promifo O5 Pro
ちなみに、ブランド名の「mifo」は「MAKE IT FULLY OPTIMAL」の略で同社製TWSケースのにはこのコピーが刻印されているのが特徴的です。この「mifo O5」をベースとしたイヤホンは複数のブランドにOEM供給されており、最近国内で発売された「HACRAY W1」は「mifo O5」のダイナミックドライバー搭載モデルをベースにしていると考えられ、中国のイヤホンブランド「TFZ」の「TFZ X1」は1BAモデルの「mifo O5 Pro」に先行する形で販売されました(「TFZ X1」はSBCのみの対応。「HACRAY W1」は「mifo O5」とは異なるサウンドチューニングの可能性があります)。またmifoは先行モデルを後日レビュー予定のKZ製TWS「KZ T1」についても製造などに関わっていると考えられ、TWSをはじめとするワイヤレス製品のOEM/ODMファクトリーとしての一面も垣間見ることができますね。
mifo O5 Promifo O5 Pro
購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」のアマゾンのマーケットプレイス「WTSUN Audio」にて。また中国AliExpressでも複数のセラーで取り扱っています。ただ、本レビュー掲載時点で売り切れのためか製品リンクがなくなっており、現在はNex Audioなど別のセラーでのみ購入できます。WTSUN Audioの購入リンクは再度販売され次第掲載します。

価格はAliExpressが89.99ドル、アマゾンでの購入時の価格が8,990円(どちらもPro版)です。いっぽう、6mmダイナミックドライバーを搭載した通常版はAliExpressが79.99ドル、アマゾンが7,990円です。両モデルはデザインや防水性能、ワイヤレス性能は同じですがサウンド的にはドライバー構成の違いから全く異なるイヤホンと考えた方が良いでしょう。


■高級感のあるパッケージと本体デザイン。見た目と実用性を兼ね備えた質の高い製品設計

mifo O5 Pro」のパッケージは少し大き目のしっかりしたもので、パッケージ裏面に「Professional」と黄色で記述されているのが通常の「mifo O5」と「mifo O5 Pro」の違いだと思われます。
mifo O5 Promifo O5 Pro
パッケージ内容は、イヤホン本体、充電ケース、充電ケーブル、イヤーピース(2タイプ、それぞれS/M/Lサイズ)、ガイドブック、説明書など。付属品ひとつひとつにもデザイン的なこだわりがあり、非常に凝った製品であることを感じます。
mifo O5 Promifo O5 Pro
充電ケーブルと説明書は蛍光色で、ガイドブックはボックスと同じシルバーデザイン。またケースに巻かれた保護用のシートもクイックガイドになっています。
mifo O5 Promifo O5 Pro
「mifo」の「特徴」ともいえるアルミ合金製の充電ケースはシンプルなでざいんながらとても美しい仕上がりで高級感を感じます。またふたの開閉も接合部分のヒンジがしっかりとした作りになっており、ピシッと開閉する感じはちょっと気持ちよいですね。いっぽう金属製に大容量バッテリ搭載ということもありなかなか重量感があります。高級感があるのは良いのですが持ち歩きにに少し重いのと傷がつかないか心配になるかもしれませんね。しかし、このケースには2600mAhの大容量バッテリを搭載し、イヤホン本体を15回チャージする容量を持っています。イヤホン単体で最大7時間程度の再生能力を持っていますので、ケースをフル充電しておけば、ちょっとした旅行などでも充電の心配はないレベルで使えますので、それを考えるとこの重量感は全然アリかなという感じがします。
mifo O5 Promifo O5 Pro
イヤホン本体は樹脂製のハウジングにアルミ合金製のメタリックなフェイスプレートという組み合わせ。見た目以上に軽量(片側4.6g)かつ非常にコンパクトで、耳穴にもしっかり収まるデザインになっています。TWS製品に多いイヤーガイドのようなものはありませんが、イヤーピースのバリエーションも豊富にあるため装着感で困ることはほとんどないと思います。
mifo O5 Promifo O5 Pro
装着時のイヤホンの操作は左右に配置された小さいボタンで行います。最近のTWSはフェイス部分がタッチセンサーになっているものが主流ですが、非常に小さなボタンとはいえメカニカルなスイッチ式なのは誤操作防止には結構ありがたいですね。特にIPX7の防水性能が活かさせるような雨の中やシャワー中の使用などではタッチセンサーはほぼ使い物にならないのでとても便利です。


■AACコーデックによる安定した接続と、BAドライバーによるボーカル帯域メインの明瞭サウンド

mifo O5 Pro」の音質傾向はシングルBAの特性を活かしたややカマボコ寄りの中音域メインのチューニングです。ボーカルは比較的近くに定位しとても聴きやすくハッキリと鳴ってくれるいっぽうで、高域および低域はやや控えめであくまでボーカル帯域を下支えするような印象です。
mifo O5 Promifo O5 Pro
もともと補聴器で使用されてきたバランスド・アーマチュア型ドライバーはダイナミック型よりミッドレンジの解像度が高くより精緻な音を表現できる反面、レンジが狭くシングルですべての音域をカバーするのは難しいとされてきました。そのためリスニング用のイヤホンでは音域ごとに複数のBAを組み合わせるマルチBAやダイナミックドライバーと組み合わせるハイブリッド型のイヤホンもグレードに応じていろいろ発売されていることは私のブログをご覧の皆様ならご存知の通りです。もっとも「ER-4S」や「ER4SR」のようなハイグレードなリスニング用シングルBAイヤホンではフラットなモニターサウンドの製品も多くありますが、そこは使用BAも含め「格が違う」と考えましょう(^^)。

mifo O5 Promifo O5 Pro」はの高域は曇りは感じませんが天井は低くやや下がり気味で鳴ります。中音域の主張が強いためハイハットなどのシンバル音はかなり弱く感じますが(あるいは聴こえない)、軽めながらある程度の表現はできています。とはいえBAらしい明確さや立ち上がりの早さがあり、スピード感のあるEDMなどでもTWSのなかでかなりハッキリとした音を楽しめると思います。
中音域はシングルBAらしい解像度高めの音で小気味いいサウンドはこのイヤホンの最も特徴的な部分だと思います。とはいえグラフェン振動板のダイナミックのような硬質な印象ではなく、カマボコらしいやや暖色寄りの印象です。自然なレベルでの明瞭感や抜けの良さがあり、輪郭もはっきりしています。ワイヤレスイヤホンとしてはかなりボーカルやギターなどの音をしっかり捉えることができるイヤホンだと思います。音場はやや狭く近めで定位します。他の音域に比べるとかなり主張がありますが、温かみのある聴きやすい音なので長時間のリスニングでも聴き疲れは少ないと思います。
低音域は一般的なTWSとくらべるとかなりあっさりした印象ですが量的には十分で、ロック、ポップス、アニソンなど多くのジャンルのボーカル曲で過不足ないなり方をします。スピード感やキレは一般的なレベルです。沈み込みはやや浅めで重低音の下の方の帯域が少しカットオフされているのはシングルBAでは仕方ない部分でしょう。ドラムやベースは聴きやすく鳴ってくれる印象です。

mifo O5 Proそういえば6mmダイナミックドライバーを搭載した「mifo O5」もややカマボコ寄りのサウンドチューニングが行われていて、一般的なTWSで多い低域モリモリのドンシャリ傾向とはちょっと違う、という話がありますが、もしかするとシングルBAの「mifo O5 Pro」のサウンドが先にあって、それに寄せる形でダイナミックモデルも6mmダイナミックドライバーでチューニングしているのかもしれませんね。多くのワイヤレスイヤホンはコスト的およびサイズ的な制約のなかで6mmサイズのダイナミックドライバーをシングルで搭載することが多く、ドライバーのグレードも比較的低コストのものが使用されます。そのためオーディオ的な表現力はリスニング用イヤホンと比べれば大きく見劣りするのはやむを得ないところで、表現できるダイナミックレンジも狭くなります。あとはどの音域にフォーカスして「映えるサウンド」にするか、というチューニングの違いになります。同様にのことは6mmダイナミックの「mifo O5」でも該当すると思われますので、実際にはシングルBAの「mifo O5 Pro」のほうがしっかり描写できている音域は広いかもしれませんね。
というわけで、今回入手したシングルBAモデルの「mifo O5 Pro」は1万円以下のTWSとしてはリスニング用としても十分に実力を発揮できるお買い得感のある製品だと感じました。