KZ T1 TWS

こんにちは。今回紹介するのは「KZ T1 TWS」、KZブランド初の完全ワイヤレス(TWS)イヤホンです。ここ数回にわたってワイヤレスイヤホンなどのアイテムを集中的に紹介してきましたが、今回はそのトリとして中華イヤホンの代表的ブランドともいえる「KZ」(Knowledge Zenith)のアイテムを紹介します。
KZ T1 TWS」はBluetooth 5.0およびAACコーデックに対応したTWSですが、それ以上に「1BA+1DD構成のハイブリッドモデル」というKZらしいスペックが特徴的です。音質面もほかのTWS製品とは頭ひとつ抜けたレベルの仕上がりになっており「ワイヤレスだから」という妥協が一切ないところはさすが、という感じがします。
ただし、レビュー掲載時点で「KZ T1 TWS」はAliExpressでは販売しているものの、正確には「Public Beta Version」という位置づけで、完全な製品版というわけではないようです。そのため今後仕様変更などが行われる可能性もありますので予めご了承ください。
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KZ T1 TWS」は高音質・低価格な中華イヤホンを多くリリースしてきたKZが手掛ける最初のTWS(完全ワイヤレス)イヤホンです。そして、いかにもKZらしい高域用BA(バランスド・アーマチュア型)ドライバーと、中低域用のダイナミックドライバーの組み合わせによるハイブリッド構成を採用しています。数多くの電子部品を内蔵する必要があるTWSでは、他のメーカーの製品では一般的に比較的サイズの小さい6mm径のシングルダイナミックドライバー構成、または一部機種でシングルBA構成で作られいるのに対し、いきなりのハイブリッド構成はとても対照的です。これまで低価格のマルチドライバーハイブリッドイヤホンを数多く製品化してきたKZだからこそ製品化できたTWSといえるかもしれませんね。
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また後述しますが「KZ T1 TWS」で採用されているTWSとしてのワイヤレス機能は自社でも高音質なTWSをリリースし、さらに他社へのOEM/ODM生産も行っている「mifo」が手掛けていると考えられます。製品の内容からの想像ですが、KZは発売元として製品のプロデュースと、BAおよびダイナミックドライバーの供給、そしてサウンドチューニングを行い、実際の製造はmifoの工場で行われている、といった可能性も高そうですね。
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KZ T1 TWS」の主要なスペックは以下の通りです。充電ケースは大容量のバッテリーを搭載するため、イヤホン本体へ7回から8回分の充電が可能なようですが、本体の最大再生時間が3時間と結構短く、おそらくハイブリッド構成ということもあり通常のTWSより消費電力が多いのだろうと想像はできますが、やはり使用した際のウイークポイントになりそうですね。
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今回「KZ T1 TWS」はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」にてオーダーしました。表示価格は 42ドル でした。しかし今回紹介するのは「Public Beta」版ということで生産数が限られているらしく、「Easy Earphones」および同じくAliExpressの「KZ Global Store」では現在は売り切れになっています(AliExpress上ではまだ在庫のあるセラーもあるようですので、そちらでは購入できると思います)。
改めて「Public Beta」版ではない製品版がリリースされましたら紹介したいと思います。
AliExpress(Easy Earphones): KZ T1 TWS Hybrid Technology Bluetooth Earphone


■ TWSとしては少し大き目のハウジングですが装着性は比較的良好。ワイヤレス部分はmifo製?

KZ T1 TWS」は通常のKZ製イヤホンより一回り大きいパッケージで届きました。アルミ合金製の充電ケースが入っている関係で、普段のKZ製イヤホンの白箱とはとくらべるとそれなりに重量感があります。
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パッケージを開封すると、アルミ合金製の充電ケースが現れ、それ以外の付属品は黒い小さな箱に詰まっています。パッケージ内容は本体および充電ケース、イヤーピース(S/M/L)サイズ、充電用USBケーブル、説明書、保証書。
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MacBookなどのApple製品を彷彿とさせるような「KZ T1 TWS」のアルミ合金製の充電ケースは大容量のバッテリーも含めずっしりとした重量感があります。そしてこの充電ケースが「KZ T1 TWS」が「mifo」と提携した製品だとわかる部分で、精度の高いヒンジ部品のおかげでパシッと開閉するふたを開けると、裏面にはmifo製品と同じ「MAKE IT FULLY OPTIMAL」(この言葉の頭文字を取って「mifo」ですね)の文字が刻まれています。先日レビューした「mifo O5 Pro」と比較してみると、少なくとも充電ケースだけは紛れもなく「兄弟イヤホン」といった感じですね。
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そして「KZ T1 TWS」のイヤホン本体は、「KZ ZS10 Pro」や「KZ ZSN Pro」など最近のKZ製イヤホンと比較するとTWSとしての機能を凝縮しているためさすがに厚みはありますが、フェイス部分の大きさはひと回り小さく、思ったよりコンパクトな印象です。またステムノズル部分が細いタイプの部品を使用しているため、より耳奥まで装着しやすく、思ったより装着性は良好でした。
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それでも「mifo O5」と比較するとふた回りほど大きく、やはりTWSとしてはかなり大振りなサイズの製品であることがわかります。耳の大きさや形によっては装着性については多少注意が必要かもしれませんね。
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ちなみに、KZといえば付属のイヤーピースがちょっと残念で交換必須、というのが当たり前な印象はありますが、「KZ T1 TWS」に付属する半透明の白いイヤーピースは比較的フィット感も良好でそのままでも十分に使えそうでした。今後国内でも各社からTWS用のイヤーピースが発売されると思いますので、そういった製品を組み合わせてよりフィット感を向上させるのも良いと思います。

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Bluetooth 5.0対応のスマートフォンでペアリングを行い実際に使用した印象では混雑した街中でも接続性はおおむね良好で安定した接続が確認できました。またコーデックはAACでの接続が仕様通り行われています。

そして、「KZ T1 TWS」のフェイス部分はタッチセンサーとなっていて、左右のフェイスをタップすることで各種操作を行うことができます。主な操作方法は、
KZ T1 TWS「1回タップ」で「再生/停止」
および着信時の「受話/終話」
「右側 2回タップ」で曲送り
「左側 2回タップ」で曲戻し
「左側 3回タップ」で音量アップ
「右側 3回タップ」で音量ダウン

他には「2秒長押し」でSiri起動、着信時の長押しで着信拒否などです。


■同価格帯のTWSの凌駕するオーディオ品質のサウンド。驚きを感じる完成度の高さ

KZ T1 TWS」の音質傾向は寒色系でやや派手めのドンシャリ。KZ製1BA+1DDハイブリッドの「KZ ZSN Pro」よりさらに低域の厚みが増した印象のサウンドという感じです。しかし中高域のスッキリした印象は紛れもなくKZの硬質なサウンドでその明瞭感は同価格帯以上のTWSとは一線を画すものです。まさに「KZ T1 TWS」が同等価格帯の高音質中華イヤホンと遜色ないサウンドクオリティをTWSでも実現した「オーディオ製品」だと実感させます。

KZ T1KZ T1 TWS」は日本円換算でも5千円以下の価格帯の製品で、対応コーデックもAACまでという仕様ですが、音質に関しては同価格帯のワイヤレスイヤホンはもちろん、1万円オーバーの国内での売れ筋製品のサウンドも軽く凌駕するものです。2万円以下の価格帯のTWSでは「グラフェン振動板」を使ったダイナミックドライバーなど、音質面も考慮した製品も多く販売されていますが、それでも「KZ T1 TWS」のほうが音質面でのクオリティは高く、「低価格TWSだから」という妥協を感じないサウンドだと思います。正直KZが手掛けたTWSの最初のモデルでいきなりこの完成度を実現していることにはただ驚かされます。

KZ T1 TWS」の高域はある程度の主張のある明瞭でスッキリしたサウンドです。多くの低価格TWSは小口径のシングルダイナミックドライバーを使用しているためか高域が曇りがちな傾向が多く、また女性のハイトーンなどの音域に不自然な歪みを感じる製品も見受けられます。しかし「KZ T1 TWS」の場合はこのような曇り感はなく、ハイハットなどののシンバル音のような煌びやかな音も鮮やかな音で鳴らしてくれます。いっぽうで最近のKZ製イヤホン同様に刺さりやすい帯域の音は適度にコントロールされており、明瞭ながら聴きやすい音になっている印象です。
KZ T1 TWS中音域はドンシャリ傾向のため曲によっては低域の厚みのため少し凹みを感じる場合もありますが、やや硬質な「KZらしい」寒色系の音で、ボーカル帯域は主張のしっかりした明瞭な音で鳴ってくれます。過度な味付けはなくボーカル帯域も適度に聴きやすいサウンドという印象です。また音の伸びも良く高域同様にスッキリした印象で、同時に適度な広がりがあり心地よい音場感を感じます。「KZ T1 TWS」は8mm径のダイナミックドライバーを使用しており、最近のハイブリッドモデルで採用されている二重磁気回路ドライバーではないため、解像度などは少し前のモデルのような緩さを感じるところもありますが、同価格帯のTWSと比べるとかなり鮮やかで綺麗な音と感じるのではと思います。
低音域は力強い主張のある音ですが、非常にキレのある歯切れの良い鳴り方をします。中高域との分離感は非常に良く籠りを感じることは全くありません。沈み込みも良好で厚みのある音を鳴らします。ベースラインはとらえやすく輪郭もはっきりとした解像度の高い音ですが、いっぽうで重低音の表現は多少限界を感じます。とはいえ、一般的なTWSのレベルは遥かに凌駕した低域で、この低音のクオリティのために「KZ T1 TWS」を選択しても良いのでは、と思えるほどです。

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KZ T1 TWS」は全体的にキレのある明瞭なサウンドで、このイヤホンで聴いた後に1万円前後~それ以下の価格帯のTWSを聴くと、まるで空気の膜が増えたような印象に感じます。「KZ T1 TWS」のサウンドはチューニングの違いこそあれ最近のKZ製イヤホンのサウンドと考えれば「普通」ですが、このクラスのTWSと比較すると、レベルが違うクリアサウンドという印象に感じます。他にもaptXなどのより高音質なコーデックへの対応も望まれますし、連続再生時間の短さ(最長3時間)はやはり最大のウイークポイントですが、こまめに充電ケースに収納することである程度は解消できます。
この調子でKZからより高性能・高音質なハイグレードモデルの登場も期待できますし、まずは「KZ T1 TWS」の正式な製品版がより広く販売されることが待望されますね。その際は間違いなく手放しでお勧めできるTWSイヤホンになると思います(^^