KZ ZSX

こんにちは。今回は中華イヤホンの代表的ブランド「KZ」の最新モデル「KZ ZSX」の紹介です。同社のハイブリッドモデル「ZS」シリーズで新たに「5BA+1DD」構成として登場したイヤホンです。同じタイミングで姉妹ブランド「CCA」からも同じ構成の「CCA C12」がリリースされており、どちらの製品も今回も非常に完成度の高いサウンドでした。「CCA C12」については次回レビューを予定しており、双方のアレンジの違いを含め、今回と次回で前後編的にご覧いただけると良いかと思います。
KZ ZSXKZ ZSX
KZ」(Knowledge Zenith)のZSシリーズでは4BA+1DD仕様の「KZ ZS10 Pro」が、姉妹ブランド「CCA」の「CCA C10」と並び価格およびユーザー評価も高く、現在の人気モデルとなっていますが、今回の「KZ ZSX」および同じ構成の「CCA C12」はその上位モデルという位置づけになると思います。「KZ ZSX」ではBAドライバー部の構成をより中音域メインの構成として、さらにダイナミックドライバー部でさらにリニューアルしたバージョンが搭載され、従来の「KZらしさ」は維持しつつ、サウンドバランスには変化を持たせています。
KZ ZS10 ProCCA C10KZ ZSX

サイトではフェイスプレートの個性的なデザインを踏まえてか、「KZ ZSX」のメーカー画像には「TERMINATOR OF HYBRID TECHNOLOGY SERIES」というキャッチコピーが記載されており、今後このデザインで別の製品もリリースされる可能性もあります。「KZ ZSX」のドライバー構成はメーカーの記載によると高域用「KZ 30095」と中高域用の2BAユニット「DWEK」が2基(4BA)、そしてさらに低域の強化された改良型の「10mm 二重磁気回路ダイナミックドライバー」を搭載しているとのことです。
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しかし、後述しますがこの「DWFK」ユニットについては実際に搭載されていたのは少なくとも片側は「KZ 50060」を使用したコンビネーションユニットで、「KZ ZSX」にはこれが2セット搭載されているようです。「KZ ZSX」については「ZS10 Pro」や「CCA C10」のようなクロスオーバーを制御するネットワーク基板は分解図からも確認できませんが、ダイナミックドライバーの配線部に取付けられたチップ抵抗などにより2つの「DWFK」ユニットのインピーダンスに変化を付けるなどの調整はおこなっていると考えられます。
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KZ ZSX」のカラーバリエーションは「パープル」「ブラック」「グリーン(シアン)」の3色。各カラーでの金属部分は、パープルは「シルバーフェイス/シスバーステム」、ブラックは「シルバーフェイス/ゴールドステム」、グリーン(シアン)は「ブラックフェイス/ゴールドステム」の仕様となっています。

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■ KZ史上最高の装着感? 大型化したハウジングデザインは今後もシリーズかするのかな?

KZ ZSX」のパッケージは上位グレード用の黒箱タイプ。構成は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、保証書、説明書と、いつもの最小限の内容ですが、「KZ ZS10 Pro」同様に、いつものKZイヤーピースとは別のタイプのMサイズが最初から装着済みです。
KZ ZSXKZ ZSX
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KZ ZSX」のシェルは上記のCG画像より細長くシェイプされた印象のフェイスデザインで、「ターミネーター風」のアルミ合金製フェイスパネルは下部がより尖ったデザインでシャープな印象を受けます。ただ、樹脂製ハウジング部分は従来モデルよりかなり厚みが増えており、全体としてはかなり大きなサイズとなっています。
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その分、より耳にフィットしやすい耳の形状にあわせた湾曲したデザインとなっており、大きなハウジングにもかかわらず、装着性についてはKZの従来モデルと比較してもトップクラス、あの「ZS3」「ZS4」にも匹敵するフィット感を実現しています。
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ステム部分も最近のKZ同様のアルミ合金製で、パープルのみがシルバー、ほかのカラーではゴールドのカラーリングがされています。
なお、「KZ ZSX」の付属イヤーピースは装着済みのMサイズ以外、従来のタイプのままのため、よりフィット感を向上させるため定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部が大きいタイプの製品を利用することをお勧めします。私は今回「スパイラルドット」を使用しました。
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ちなみに、「KZ ZSX」を「KZ ZS10 Pro」のハウジングと比較するとかなり大振りな印象を受けます。「CCA C12」は基本的に「CCA CA4」と同じサイズのハウジングでドライバーを詰めているのに対し、「KZ ZSX」はかなり余裕のあるサイズ感にも見えます。これって、やはり今後さらにBA数を増やしたモデルが・・・(^^;)。

そして、「KZ ZSX」および「CCA C12」の「DWEK」と記載されていたBAユニットは手元の個体では実際には少なくともデュアルユニットとして記載される「DWEK」の片側は「KZ 50060」であることを確認しました。「KZ 50060」ユニット自体は「ZS10 Pro」や「CCA C10」でも搭載されていたユニットですが、あえて「DWEK」と異なる表記をしているのは、デュアルユニットを構成するもう片方が「KZ 50060」とは異なる新しいユニットなのか、あるいは今後のロットで新しい2BAユニットに置き換わるという可能性もある、ということかもしれませんね。もし今後ドライバー変更があった場合はダイナミックドライバーとBAユニットの配線経路上の抵抗を変えるなどの対応を行い、サウンドバランスを現在のロットと合せる調整を行うものと考えられます。
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とはいえ、とりあえず現時点で確認できている構成を元に、従来モデルとのドライバー構成を比較すると次のようになります。

CCA C10 KZ 30095 + KZ 50060) ×2、 10mm二重磁気回路ダイナミック
KZ ZS10 Pro KZ 30095、 KZ 30095、 KZ 50060 ×2、 10mm二重磁気回路ダイナミック
KZ ZSX KZ 30095、DWEK(KZ 50060+?) ×2 新・10mm二重磁気回路ダイナミック
CCA C12 KZ 30095、DWEK(KZ 50060+?) ×2 新・10mm二重磁気回路ダイナミック

KZ ZSX」と「CCA C12」は同じドライバー構成ということもあり、音質傾向そのものは非常に近い印象ですが、それぞれのブランドにあわせた異なるアレンジが加えられています。この辺の差異については「CCA C12」のレビューで取り上げる予定です。


■ KZの正統進化のサウンドながら、中音域の厚みを増し全体の質を向上。

KZ ZSX」の音質傾向は最近のKZ製ハイブリッドを継承した弱ドンシャリですが、「KZ ZS10 Pro」に比べて中音域の厚みが増しており、よりボーカル帯域に寄った印象のサウンドになっています。開封後数十時間程度のエージングが必要ですが、非常に解像度の高い、各音域のつながりの良さと明瞭感を両立しています。これはZS6に代表されるような、以前のKZのような「とにかく派手」で「人工的な解像感」とは全く別の、よりハイグレードなイヤホンのような「質の高い音」をKZが目指しているのを感じます。
KZ ZSXちなみに、KZの最近のモデルは開封直後でも比較的サウンドが仕上がってる印象もあったのですが、「KZ ZSX」は開封直後よりある程度しっかりエージングをしたほうが明瞭感がはっきりと感じられるようです。想像するに、「KZ ZSX」では5BAのうち4BAを中高域に割り当てている関係で、「ZS10 Pro」などと比べてBAとダイナミックドライバーのクロスオーバーしている音域が大きいことなども理由として考えられるかも知れませんね。また、前述の通り4BA部分が今後のロットでデュアルBAユニットが2基に変更される可能性もあり、その場合開封直後でも同様の印象を得られるかもしれませんね。もっとも現時点でも「KZ ZSX」は既に十分に完成度の高いサウンドに仕上がっているとは思います。

KZ ZSX」の高域はKZらしい硬質でスッキリ目の印象で、明瞭感のある鮮やかさを感じるサウンドです。ツイーターユニットのBAは従来と同じ「KZ 30095」がステム部分に装着されていることもあり、ある程度刺激はコントロールされているものの、煌びやかさのある明るい音で、やや派手めに鳴る傾向自体は「いかにもKZ」というサウンド。そのため、高域の印象自体は「ZS10 Pro」と非常によく似た高域ですが、「KZ ZSX」では中高域の厚みが大幅に増していることもあり、伸びの良さやスッキリ感は「ZS10 Pro」のほうが若干感じやすい印象です。

KZ ZSX中音域は「KZ ZSX」のもっとも特徴的な部分で、これまでのKZ製イヤホンの「メリハリのある派手めのドンシャリ」とは毛色の異なる、解像度が高い厚みのある鳴り方をします。特にボーカル帯域の表現は「ZS10 Pro」と比べても濃い印象で、曲の特徴にあわせた聴き応えのあるサウンドだと思います。高い分離感と解像感があり、自然で適度に広がりのある音なので、女性ボーカルのハイトーンや余韻などもしっかり聴かせてくれる印象です。
また、エージング後の印象では伸びも良く、ロングトーンも綺麗に鳴ってくれます。いっぽうでキレなどは付属ケーブルでは「ZS10 Pro」にやや譲る印象です。

KZ ZSX低域の解像度や中高域との分離感も高く、比較的タイトな音を鳴らします。「KZ ZSX」は全体的に中音域の厚みが強いサウンドのため、ドンシャリ傾向がより強い「ZS10 Pro」よりは量的に少ない印象ですが、十分に存在感は有り、重低音の沈み込みなども感じる事が出来ます。ただ、エージングによりほぼ解消されるものの、開封直後は僅かに描写の緩さを感じることがありました。KZ ZSX」はは同じドライバー構成の「CCA C12」と比べて、より音場は広く、響きを感じるアレンジと言えるかも知れませんね。「KZ ZSX」はアルミ合金製のフェイスパネルを採用し、「CCA C12」よりかなりサイズの大きいハウジング形状であることなどもアレンジに影響している可能性がありますね。

ただ非常に解像度の高いイヤホンですので、やはりイヤピースの交換およびリケーブルは行った方が良いでしょう。内容的には各社の16芯ケーブルなどの組み合わせが良いと思います。
→ おすすめ「中華イヤホンケーブル」まとめ 【低価格 16芯ケーブル編】(3千円クラス)/ 2019年・夏版
→ おすすめ「中華イヤホンケーブル」まとめ 【ミドルグレード編】(4千円~8千円台) / 2019年・夏版

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今回、HiFiHear「HiF4848 16芯 銀メッキ線ケーブル(グリーン/シルバー)」とKB EAR「KBEAR 4841 16芯 高純度銅線ケーブル(ブラウン)」の2種類にリケーブルしてみましたが、HiF4848などの低価格16芯銀メッキ線では「KZ ZSX」の印象そのままで解像感が向上することでよりスッキリめの印象となり、16芯 高純度銅線のKBEAR4841ではややドンシャリ寄りにメリハリが向上し、低域の締まりが向上するのを実感しました。


KZ ZSXというわけで、「KZ ZSX」は最近のKZのバランスの良い音作りを1段ステップアップした印象のあるサウンドのイヤホンで、ボーカル曲を中心に、ロック、ポップス、アニソンなど多くのジャンルの曲で楽しめるイヤホンに仕上がっていると思います。
今回のシリーズでKZは今後より高価格帯のイヤホンに近い「質の向上」を進めていくという方向性を強く感じられました。もちろん、1音1音の精緻さや音場表現など数万円クラスのイヤホンのクオリティには全く及んでいないものの、マニアでも普段使いで「普通に良い音」と感じられるところに結構近づいていると感じます。ただ、「KZ ZSX」で採用された新しいシェルデザインも含め、今後の展開もありそうな余地も多く、まだまだ「現在進行形」な部分も感じます。あるいは、この位置づけの違いが「KZ ZSX」と次回レビューする「CCA C12」との最大の相違点かもしれませんね。