NICEHCK DB3

こんにちは。今回は「NICEHCK DB3」の紹介です。中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」オリジナルの「NICEHCK」ブランドの新製品で20ドル以下の価格設定で、1BA+2DD構成というHCKらしい他の低価格イヤホンとはひと味違う特徴を持った製品です。多少エージングが必要ですが中低域寄りのサウンドでバランスも良く、聴きやすく広がりのあるボーカル帯域と響きのある低域がとても心地良い印象です。
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NICEHCK DB3」は高域用のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーと、「グラフェンコート振動板」と「従来のPET素材の振動板」をひとつのシャーシに収納した10mm 一体型デュアルダイナミックドライバーによる「1BA+2DD」構成のハイブリッドイヤホンです。2つのダイヤフラム(振動板)を内蔵したコンポジット型のデュアルダイナミックドライバーはHCKの場合「NICEHCK NX7」や同「N3」でカーボンナノチューブ振動板をデュアルで搭載したドライバーを搭載していますが、「NICEHCK DB3」で搭載されているタイプは、カーボンナノチューブより低コストのグラフェンコートをしかも片方だけと、低コスト化を実現しつつ、2種類の素材の異なる振動板で鳴らすことによる厚みのあるサウンドを実現しています。「NICEHCK DB3」ではこの個性的なデュアルダイナミックドライバーが作り出す中低域が大きなポイントといえますね。また双方のドライバーの出力はネットワーク基板によってコントロールされるなど、低価格イヤホンとしてはかなりコストのかかった仕様になっています。
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NICEHCK DB3」のハウジングは樹脂製で、厚みのあるフェイスパネルは亜鉛合金製。コネクタには0.78mm 2pinコネクタを採用しており、先日レビューした「NICEHCK NX7」と同じ「TFZ」製イヤホンとも互換性のあるコネクタ形状となっています。そのため、リケーブルでは一般的な中華2pinコネクタ仕様とHCKから新たに販売されている「NX7用」(=TFZ用)のコネクタケーブルが使用できます。
カラーバリエーションは「ブルー」と「ブラック」の2色が選択できます。
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購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」にて。表示価格は 19.99ドル(マイク無し)ですが、HCKのTwitterアカウント(@hckexin)をフォローすることでフォロワー値引きが受けられます。AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引きについてはこちらを参照ください。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): NICEHCK DB3

またアマゾンの「NICEHCK」でも購入が可能になりました。アマゾンでの価格は 2,950円 です。
※現在アマゾンでは購入時に25% OFFの割引きが適用されるため実質 2,212円 で購入できます。
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK DB3(ブルー) 
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK DB3(ブラック) 

HCKのアカウント「@hckexin」および「@NiceHCK_Audio」では割引き情報等も頻繁にツイートされますのでフォローの上こまめにチェックすることをお勧めします。


■「NX7」同系列の使いやすいデザイン。

NICEHCK DB3」のパッケージは最近の同社製イヤホンで採用され始めた白箱タイプ。低価格イヤホンですが布製ポーチなど付属品は「NICEHCK NX7」など上位モデルと同様です。
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パッケージ内容は、本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ、+ダブルフランジタイプ)、布製ポーチ、説明書。ダブルフランジタイプが付いたことで通常のイヤーピースが合わない方でも選択肢が増えましたね。
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今回はブルーをオーダーしましたが、フェイス部分の金属製パーツは予想以上のピカピカ塗装でした(^^;)。ブラックの方はもう少し落ち着いたカラーリングになっているみたいです。金属製のステム部品も含め、低価格イヤホン的な安っぽさは全く感じません。
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表面のデザインの違いにより、「NICEHCK NX7」のほうがフェイスプレートに厚みがありますが、­ハウジング部分の形状は「NICEHCK DB3」も同じで「KZ ZSN Pro」などKZ製ハイブリッドより厚みを抑えたデザインになっています。
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付属ケーブルも「NICEHCK NX7」と同じ撚り線タイプ。前述の通り中華2pinまたはNX7用(=TFZ用)のケーブルに交換が可能です。またイヤーピースも「RHA製シリコンイヤーピース」や定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」などに交換することで装着性をより向上できると思います。今回私は「RHA製シリコンイヤーピース」を使用しました。


■低価格機とは思えない、広がりのある中低域とボーカルの明瞭感が心地良いサウンド

NICEHCK DB3NICEHCK DB3」の音質傾向は中低域寄りのサウンドで、グラフェンコート振動板による解像感のある明瞭さと低域のキレ、もうひとつのダイナミック振動板による響きのある深い低域を実現しており、20ドル以下の低価格イヤホンとは思えない「全体的に厚みを感じる」印象です。
ただ開封直後はやや低域が出ておらず、多少籠もりがちに感じる可能性もあり、十分なエージングをおこなうことが必要でしょう。数時間程度の慣しでも結構変化が得られますが、できれば50時間~100時間程度のエージングによりかなり中低域の響きや音場感が変化します。また「NICEHCK DB3」はインピーダンス16Ω、感度106dB/mWと比較的鳴りやすく、再生環境に依存せず楽しむことができますが、ある程度の駆動力のあるDAP等のほうが中低域の厚みがより高まると思います。

十分にエージングを行った「NICEHCK DB3」の高域は、やや硬質で明瞭さを感じますが刺激などは少なく伸びの良い音を鳴らします。中低域に比べると量的には少し控えめで僅かに下がって定位します。KZ系ハイブリッドなどの派手めの高域に慣れていると煌びやかさなどで少し物足りなく感じる可能性もありますが、ある程度の主張のある明瞭な音で心地良さを感じる事ができる高音です。

NICEHCK DB3中音域はボーカル帯域は少し広がりのある印象のサウンドで、解像度は一般的ながら伸びが良く聴きやすい音を鳴らします。分離の良さから籠りなどはありませんが、印象としては暖色系寄りの音です。ピアノの高音や女性ボーカルのハイトーンなども刺激を押さえつつ抜けの良さを感じるバランスで聴くことが出来ます。曲によってボーカルが僅かに後ろに下がりますが十分にエージングが進むと適度な広がりのある自然な定位感となり、余韻も感じられます。
十分に駆動力のある再生環境に加えてイヤーピースやリケーブルなども含めリスニング環境を整えると、とても20ドル以下の低価格イヤホンとは思えない、厚みを感じる聴きごたえのある音を鳴らしてくれます。

NICEHCK DB3低域はスッキリ目の明瞭な音を鳴らし、十分なエージングにより厚みのある響きの良さと分離のよい解像感を実感できると思います。ベースラインの輪郭はしっかりしており、力強い低音を感じる事が出来ます。いっぽうで重低音の沈み込みは十分にあるものの、サブベースはやや膨らむような音で少し軽めの印象。この低音のバランスにより量的には厚みのある低域ながら中音域の主張を邪魔せずしっかり下支えしています。音場自体は決して広くはありませんが、広がりを感じる中低域の鳴り方により実際以上の臨場感を感じる事が出来ると思います。「NICEHCK DB3」はポップス、アニソンなどのボーカル曲と相性が良く、またジャズなども結構楽しく聴くことができます。いっぽうEDMなど音数の多い曲やスピード感のあるインストゥルメンタルはもう少しキレが欲しく感じるかもしれませんね。

また、「NICEHCK DB3」は低価格ながらリケーブルによる変化も実感しやすいイヤホンで、手軽にグレードアップを行うことが出来ます。先日レビューしたHCKの新しい16芯ケーブル「NICEHCK C16シリーズ」ではNX7コネクタを選べるため「NICEHCK DB3」と合せるうえで見た目的にはぴったりですが、価格的にもそうですし、音質的にも派手目に振れすぎるなど、ややオーバースペック気味な印象です。合せるならば高純度銅線タイプの「NICEHCK C16-3」でしょう。
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組み合わせて最もバランスの良い印象を受けたのは中華2pinタイプの「NICEHCK CT3」(1,699円)と「NICEHCK TDY4」(1,899円)で、「NICEHCK DB3」の印象を維持したまま明瞭感が向上しより心地良いサウンドになります。音質傾向を維持する場合は高純度銅線の「NICEHCK CT3」、若干高域側の主張を強くしたい場合は銀メッキ線の「NICEHCK TDY4」、といった使い分けですね。どちらも比較的低価格で8芯線ながら細身で取り回しも良く「NICEHCK DB3」とも合せやすいケーブルだと思います。また、16芯線の場合は「NICEHCK CT4」(2,250円)が比較的良い印象です。より解像感が高まりメリハリのある音になりますが、スッキリすることで広がりを感じる響きが多少抑えられ、音場感は少し狭く感じるようです。


というわけで、「NICEHCK DB3」はアンダー20ドルのイヤホンとしては想像以上に完成度が高く、またドライバー構成などにHCKならではの「マニアックさ」も十分に感じますが、サウンド自体は多くの人にとって聴きやすく、「HCKオリジナルのカナル型のくせに万人向けのサウンド」という(笑)、逆に珍しい製品に仕上がっていると思いました(ひどい言い方ですね^^;)。個人的にもなかなか気に入ったサウンドでしたので、カラーバリエーションも押さえておこうかな、と考えています(^^)。