Amazon Music HD

※ 10月5日: 「Ultra HD」と「SD」音源の比較情報を追記しました。
※ 9月21日:各プラットフォームごとの高音質の再生方法について大幅に加筆修正しました。


こんにちは。今回はアマゾンの高音質音楽配信サービス「Amazon Music HD」についてです。少し前からサービス開始の予告はありましたが、まさかのアメリカ、イギリス、ドイツとあわせ日本でも同時でのサービス開始となりました。そのため日本では9月17日夜からの開始となり「おぉ、いきなり開始されたぞ」感がすごいです(笑)。

Amazon Music HD日本においては「TIDAL」や「Qobuz」といった先行する高音質配信サービスが対象エリア外のため、結果的に日本ではアマゾンが完全に先行する状況になりますね。
現在は最大24bit/192kHzで配信されるハイレゾ曲(「Amazon Music HD」では「Ultra HD」と表記)の配信曲は多くはありませんが、「Amazon Music Unlimited」で聴くことが出来る曲の多くが(すべてではありません)CD音質のFLAC相当にあたる最大850kbps、44.1kHz/16bitのLossless(同「HD」と表記)で配信されます。圧縮音源の「SD」より上なので「HD」ということらしいですね。

もともと私もアマゾンの「Amazon Music Unlimited」の個人プランを使っていましたので、さっそくアップグレードする形で90日の無料体験をスタートさせ、いろいろと確認をしてみましたので簡単にまとめたいと思います。なお、現時点で改良されそうな部分もあるため、内容は随時更新して行く予定です。

【目次】
「Amazon Music HD」価格およびサービスについて
「Ultra HD」「HD」で配信される曲とは
プラットフォームごとの「Ultra HD」対応状況
・Mac(macOS)のDAC連携による最大24bit/192kHz再生の対応状況
・iPhone / iPad のDAC連携による最大24bit/192kHz再生の対応状況
・Windows 10 のDAC連携による24bit/192kHz対応および「疑似排他」設定での高音質再生
・AndroidデバイスのDAC連携による「24bit/96kHz以上」への対応方法
・Android搭載DAP(デジタルオーディオプレーヤー)の24bit/192kHz対応状況
「Ultra HD対応」の(アマゾンの)解釈とは?
「Amazon Music HD」の音質についての印象(「Ultra HD」「HD」と「SD」との違い)
「Ultra HD」と「SD」音源の音質を実際に比較してみた。
 

■ 「Amazon Music HD」価格およびサービスについて

Amazon Music HD」の配信曲数は「HD」音質が約6,500万曲と「Unlimited相当」、ハイレゾの「Ultra HD」は数百万曲となっていて、総数では「TIDAL」の約6,000万曲と同水準となっています。ただ洋楽についてはジャンルによっては「TIDAL」のほうが強みがあり、ハイレゾ曲(「TIDAL」ではMQAフォーマットで配信)の数も相当な差があると思われます。

いっぽう日本で未サービスの「TIDAL」が実質「洋楽のみ」なのに対し、「Amazon Music HD」では邦楽も楽しめる点はやはりかなりの強みです。「Apple Music」や「Spotify」などと競合する「Unlimited」と同等の曲数の邦楽をCD音質の「HD」以上で聴くことが出来るのは「Amazon Music HD」が現時点では唯一のサービスといえます。



Amazon Music HD」の価格は月額1,780円、または、年払いだと年額17,800円で、それぞれ「Unlimited」の1,000円増し(月払い)、10,000円増し(年払い)という設定になっています。結構割高に感じるかも知れませんが、年払いだと月額換算で1,500円程度と、洋楽配信曲の差を考慮しても、「TIDAL」(米国の場合、月額19.99USD)と比較して、実は「かなりの低価格」な設定になっています。
とはいえ、年払いでも邦楽CDアルバム6枚分の価格に見合うよう、「高音質」をいかに引き出すかがやはりポイントになってくるかもしれませんね。「Ultra HD」(ハイレゾ)配信曲については今後確実に増えてくるはずですので、まずは90日間の無料体験を申し込んでお使いの環境でどの程度活用できるかを探ってみるのも良いと思います(無料体験期間中に解約すれば費用は発生しません)。
 

■ 「Ultra HD」「HD」で配信される曲とは

Amazon Music HD」で配信される「Ultra HD」の曲データは、一般的に「ハイレゾ」と定義されるフォーマットになります。「Ultra HD」の音源は「mora」や「e-onkyo」などで販売されるハイレゾ音源と基本的には同様のもので、「24bit/96kHz」のほか、「24bit/48kHz」や洋楽で多い「24bit/44.1kHz」というサンプリングレートも多く含まれます。ご存じの通り、実際のレコーディングマスタの多くは「24bit/48kHz」で作られているため、ハイレゾ配信曲もそれに合せたものになるわけですね。いっぽう80年代以前のアナログマスターから起こしている場合は「24bit/96kHz」や「24bit/192kHz」でリマスタリングしている音源が多くなります。「Amazon Music HD」では最大「24bit/192kHz」と記載されていますが、再生される「Ultra HD」の曲が「24bit/48kHz」などばかりだったとしても別に不自然ではないわけです。
また、「Ultra HD」対象曲はアーティストの代表曲などが中心となるため、1枚のアルバムでも「Ultra HD」と「HD」、場合によっては圧縮音源の「SD」も混在するケースは珍しくはないようです。ただ同じアーティストの同じアルバムであれば混在したものを連続して再生しても特に違和感なく聴くことが出来ます(音量が突然変わったりすることはありません)。


■ プラットフォームごとの「Ultra HD」対応状況を確認してみました。

現在「Amazon Music HD」のサービスを利用するためには各プラットフォーム用のアプリケーションをインストールする必要があります。HD契約でもブラウザでの再生では圧縮音源のSDベースでの再生になります。この点は「TIDAL」が専用アプリ以外にもAndroid用の「UAPP(USB Audio Player Pro)」やMac用の「Audirvana Plus」、主要メーカーのハイレゾDAP(デジタルオーディオプレーヤー)など、多くのソフトやハードに再生機能が搭載されているなど、「高音質で聴くための」利便性においてはかなり先行している印象があります。
Amazon Music HD」の対応状況についてはアマゾンのFAQにて記載されています。
Amazon.co.jp: 「Amazon Music HDについてよくある質問」

しかし、実際にはこの記述内容通りとはいかないところもあり、まずは各プラットフォームで「Amazon Music HD」を実際に使用し、対応度を確認してみました。再生の設定は基本的にオフラインかWi-Fi環境での使用のみを想定していますので、「詳細設定」で「品質」は「HD/Ultra HD品質」とし、「ラウドネスノーマライゼーション」はOFFにして使用しています。
 

【 Mac (macOS) 】 DAC連携による最大24bit/192kHz再生の対応状況

現時点で最も「Amazon Music HD」がスムーズに利用できたのはOSレベルの「CoreAudio」を持つMacでした。もともとMacではUAC2.0(USB Audio Class 2.0)に対応したUSB-DAC等はドライバー不要で使用できますが、「Amazon Music HD」でも再生時の出力先をあらかじめハイレゾ対応のUSB-DACにしておくことで「Ultra HD」出力が可能になります。
具体的にはメニューバー右上のボリュームアイコン(表示にしている場合)で接続したUSB-DACを選択して、あとは「Amazon Music」アプリケーションで再生するだけです。上記のアマゾンのFAQでは「Apple MIDI」設定の変更が記載されていますが、「macOS 10.14 Mojave」をインストールしたMacBook Proでいくつか手持ちのDACで試した際はこの変更を行わなくても最大192kHzでの再生ができました。ちなみに「CoreAudio」は構造的にはWindows上の「ASIO」と同様の方法で制御する仕組みですので「Amazon Music」のように通常のサウンド出力を使用するアプリケーションでも音質的にもWindowsより有利とされていますね。
Amazon Music HD / macOS
 

【 iPhone(iOS) / iPad(iPad OS) 】 DAC連携による最大24bit/192kHz再生の対応状況

iPhoneおよびiPadもUSB-DACと連携した「Ultra HD」再生には問題なく対応できました。iOS(iPad OS)自体は24bit/48kHzまでの対応のため、本体のみ、またはMFI準拠のLightning規格のDACを接続した場合は「24bit/48kHz」での再生になります。ここでUSB-DAC接続で「Lightning-カメラアダプタ」を併用して対応するUSB-DACを接続した場合はMac同様最大「24bit/192kHz」の「Ultra HD」再生が可能になります。なお、この場合、現在のiOS(iPad OS)の仕様上「AirPlay」の出力項目に接続したUSB-DACが表示されます。また音質的にもiOS(iPad OS)も内部的にはMacと同じ「CoreAudio」を使用しますのでAndroidのSRCに比べて経由して音質的に有利とされています。
Amazon Music HD / iOSAmazon Music HD / iOSAmazon Music HD / iOS
 

【 Windows 10 】 DAC連携による24bit/192kHz対応および「疑似排他」設定での高音質再生

WindowsではもともとOSの仕様として音質面でのデメリットが多いといわれます。Windows 10の最近のリリース以降ではUAC2.0にも対応しているのですが、それ以前にいちどすべてのサウンドはOSレベルのカーネルミキサーを経由し同時に起動する複数のソフトウェアからの音が出るようにコントロールする仕様のため、オーディオ的には音質劣化が回避できません。そのため、Windows環境でUSB-DACを使用し高音質再生をする場合は、それぞれの機器用の「ASIO」ドライバーを使い、再生ソフト側でASIOに対応することでOS上の処理を回避する方法が一般的です。またAppleの「iTunes」など「ASIO」に対応しないソフトウェアの場合は「WASAPI」というWindowsの内部APIに他の音を入れさせないようにアクセスすることで(いわゆる「WASAPI排他モード」)カーネルミキサーの影響をできるだけ回避する方法がとられています。

残念ながらWindows版の「Amazon Music」アプリケーションは「ASIO」にも「WASAPI排他モード」にも対応しませんが、次の方法で比較的高音質での再生ができました(Windows 10 Proの環境です)。
Amazon Music HDAmazon Music HD
まず接続したUSB-DACはサウンド設定の「追加のプロパティ」でビットレートを最大にします。
さらにサウンド設定の「アプリの音量とデバイスの設定」で、「既定の出力先」と「Amazon Music」の出力先を別のものに変え、実質的にUSB-DACはAmazon Music専用の出力という状態にします。「既定の出力」と分けることでマスター音量とは独立して管理されるため、カーネルミキサーの割り込みを実質無視できる状態にできます。またこの画面でAmazon Musicアプリの出力先(USB-DAC)の音量は100%にしておきます。
Amazon Music HDAmazon Music HDAmazon Music HD
もちろん「Amazon Music」アプリ再生画面の音量も100%です(実際の音量はアンプ等の再生側で調整)。また、「Amazon Music」アプリ側の設定は「詳細」で「ラウドネスノーマライゼーション」はOFFにします。これにより「WASAPI排他モード」とほぼ同様の効果が得られ、音質的にも向上が確認できました。また、あらかじめフリーソフトの「Disable Peak Limiter in Windows Audio Engine」(dpeaklim.exe)を実行してWindowsのピークリミッターを切っておくことをお勧めします。
 

【 Android デバイス(OTG対応)】 DAC連携による「24bit/96kHz以上」への対応方法

そして、現時点のバージョンでもっとも残念な結果だったのがAndroidデバイスでした。現時点での「Amazon Music HD」対応バージョンのアプリ「バージョン 16.2.2」では、基本的に「24bit/48kHz」までの再生しか想定されていないようです。スマートフォンの電源投入後、最初に「Amazon Music」アプリが本体から(SRC経由で)取得したサンプリングレートを「端末の性能」として覚え、ストリーミングする音質を決定する仕組みのようです。多くのメーカーのスマートフォンの場合CDと同じ「16bit/44.1kHz」で内部処理をされ、手元にあるHUAWEI、ASUS、Xiaomiなどの一部メーカーの端末ではiPhoneなどと同じ最大「24bit/48kHz」のサンプリングレートが表示されます。この状態ではOTGに対応したUSB-DAC接続での確認を行いましたが、最大でも端末仕様の「16bit/44.1kHz」または「24bit/48kHz」の出力を超えることはできませんでした。
Amazon Music HD / AndroidAmazon Music HD / Android
Androidも同様に「SRC(Sampling Rate Converter)」というオーディオ制御の機能があり、通常は必ず経由する仕様になっています。「Amazon Music」アプリも当然SRCに依存するため「24bit/48kHz」を超えた再生ができないわけです。Android用のハイレゾ再生アプリ(例えばオンキヨー「HF Player」や前出の「USB Audio Player Pro」など)は、OTG対応のハイレゾUSB-DACを接続した場合、アプリが持つドライバーを割り当て、再生時にSRCを回避することでハイレゾにも対応した高音質再生を可能にしていますが、当然「Amazon Music」アプリにはそのような機能はありません。そのため、本体のみの再生の場合は「16bit/44.1kHz」または「24bit/48kHz」となり、この状態でUSB-DACを接続しても「Amazon Music」アプリ側では「端末性能」は同じ(最大「24bit/48kHz」)と判断する仕様のようです。
Amazon Music HD Amazon Music HD
しかし、Bluetoothで24bit/96kHz転送が可能な「LDACコーデック(高音質モード)」に対応しているHUAWEIなどの端末で、電源投入後にあらかじめLDAC接続し(音声出力がLDAC経由のBluetoothとなるため、内部も24bit/96kHzになる)「Amazon Music」を起動すると、画面表示が96kHzになります。同様に、あらかじめOTG対応のDACを接続し電源を投入したあと「Amazon Music」アプリを起動すると同様に「2bit/96kHz」「24bit/192kHz」表示に成功しました(「Mojo」ではNGでしたが「iBasso DC01」では上手くいきました)。
Amazon Music HDAmazon Music HD
なお、電源投入後でも、「設定」の「アプリ」で「Amazon Music」を強制終了させる、あるいは、いわゆるメモリクリーナー(HUAWEIの場合、標準で入っている「最適化(オプティマイズ)」アプリでOK)でAmazon Music関連のプロセスを全て終了させたうえで、DACやBluetooth(LDAC高音質モード)などの接続を行い、再度「Amazon Music」アプリを起動することでも利用できました。このようにお使いの端末で確実に24bit/96kHz以上で接続できる手段を把握できれば、実用性には支障の無いレベルだと思います。
 

【 Android搭載 DAP(デジタルオーディオプレーヤー) 】 24bit/192kHz対応状況

また最近増えているAndroidを採用したハイレゾDAP(デジタルオーディオプレーヤー)では、Google Playが入っていないモデルでも「APKPure」で「バージョン 16.2.2」の「Amazon Music」を配信していましたので、インストールが可能です(「Amazonアプリストア」は9月18日現在では以前のバージョンを配信していました)。また同サイトで直接apkファイルを取得することも可能です。
APKPure: Amazon Music アプリ

ただ、これらのDAPでは「Amazon Music」アプリの利用はできても、多くは「24bit/48kHz」または「16bit/44.1kHz」までの対応と、他のAndroidデバイスと同様の動きになります。手持ちのハードウェアでもiBasso「DX150」は「16bit/44.1kHz」まででした。また、いただいた情報によると他のOSレベルで「SRC回避」のチューニングが行われているDAPでも同様で「16bit/44.1kHz」または「24bit/48kHz」を超えた再生はできなかったようです。
Amazon Music HDAmazon Music HD
そんななか、何故かFiiOの「M6」「M9」や「M11」などのモデルについては96kHzまたは192kHzへの対応が出来ているという情報もいただいてます。おそらく上記のAndroidアプリでDACを繋いだまま起動したとき同様に、最初から96kHzまたは192kHzに対応している状態で「Amazon Music」が判断している可能性が高いですね。
私自身が持っている「FiiO M11」で試したところ、こちらはバージョン16以降のAmazon Musicアプリでそもそも再生ができない状態で確認できませんでした。※ 私の環境でもハイレゾ再生に成功しました。何度かアプリケーションを削除/インストールで入れ直したあと、「設定」のアプリの項目で何度か「Amazon Music」を強制終了させて再度実行を繰り返していたら再生できるようになりました。手元の端末の場合、電源投入直後はFiiO Musicなど他の音楽アプリをある程度使った後しか再生できないなど、相変わらず不思議な現象が起きているものの、なんとか使えています。まだ情報が少ないため詳細は不明ですが、いまのところ、FiiOの現行Mシリーズに関してはすこし動作に癖(?)があるものの最大「24bit/192kHz」のハイレゾ再生ができるみたいですね。

※その後「FiiO M11」での現時点でのバージョンでの「Amazon Music」アプリの動作&ハイレゾ再生の方法が見えてきました。
やはりバージョン16以降のAmazon Musicアプリが起動前時点での端末の再生能力を取得する、という一連の動きと一貫性がありますね。どうやらFiiO M11は起動直後の段階ではAmazon Musicがこの情報を取得できないため再生できなかったというわけですね。FiiO自身は「Amazon Music HD」への正式対応をアナウンスしているわけではありませんが、結果的に現時点ではDAPについてはFiiO Mシリーズの一人勝ち状態になっています。
いっぽうで「HiBy」は近日公開のファームウェアで「Amazon Music HD」への対応を予告しており、今後ほかのメーカーでも同様の動きが進む可能性はありますね。

 

■ 「Ultra HD対応」の(アマゾンの)解釈とは?

ちなみに、上記アマゾンのFAQでは同社製「FireHD」デバイスおよび「FireTV」ではHD品質(=16bit/44.1kHzのCD音質)までの再生、AndroidデバイスではLollipop(Android 5.0/5.1)以降のバージョンでHD/Ultra HD対応(ただしハードの仕様による)と記載されています。また同時に記載されている「ハードウェア仕様による依存」についてもある程度確認ができましたが、可能な限りスペックを上げて再生しようと思うとかなりマニアックなチューニングが必要で「決してお手軽ではない」ことも見えてきました。とはいえ、iOSへの対応で「HD/Ultra HD(最大24ビット/48kHz)再生」と記載されるなど、仮に「24bit/48kHz」上限でも「UltraHD対応」というアマゾン側の解釈も読み取れます。別にフルの状態で再生できなくてもメリットは享受できるよ、というわけですね。
Amazon Music HD

実際のところ、仮に出力サンプリングレートが落ちたとしても実際に聴いた際の音質で判断できないレベルであれば問題は無いのだと思いますが、配信データが再生時にダウンコンバートされることによる「音の変化」は気になりますね。通常より割高なサービスを契約する利用者はある程度のマニアであることを想定すると、「より高価格なサービスでスペックを落として聴いている」ということ自体がユーザーに与えるフラストレーションは無視できないのではと思います。そうなると最低限アプリケーション側でも「流れてきているものを加工せず再生するための仕組み」は欲しいな、と思います。

最近では高価格帯のDAPでも相次いでAndroidを採用したモデルがリリースされており、Androidは「Amazon Music HD」を契約するメインターゲットの環境と考えるべきだと思います。また「TIDAL」のようにプレーヤー側で対応できない現状も考えると、もう少し「設定」できる要素を充実させるなど今後の「Amazon Music」アプリの改良版が登場することを願いたいですね。
 

■ 「Amazon Music HD」の音質についての印象(「Ultra HD」「HD」と「SD」との違い)

最後に、肝心の「Amazon Music HD」の音質についてですが、やはり「Ultra HD」対象曲としてトップページにプレイリストが掲載されている曲は、もともとハイレゾFLACで販売されている段階からCDでリリースされている音源より「わかりやすく」マスタリングに差があるものが多く、「そりゃ普通の圧縮音源の配信より良い音だよね」と感じるように「選ばれている」印象です(^^;)。

Amazon Music HDつまり、過去にも書いていますが別に可聴域外のサンプリングレートが高いことが良いというより、よりリッチな再生環境を想定して、コンプレッション(コンプ)を減らし、オリジナルマスターに近いマスタリングを行った音源が配信されていることに価値があるという考え方ですね。
実際にハイレゾ再生に成功したFiiO M11やMac+USB-DACの環境で「Amazon Music HD」をじっくり聴いてみると、通常配信の圧縮音源(=標準音質)の曲と比べてコンプの違いにより歪みの少なく、ダイナミックレンジが広いこともあり、定位が格段に向上しているのがわかります。そのため同じ再生環境でも前後に包み込まれるような音場を感じやすくなるため「良い音だな~」とわかりやすく実感できると思います。

これはある程度の再生能力があれば例えば少し高めのワイヤレスイヤホンなどでも十分に違いが感じられる要素です。そのためスマートフォンなどで「24bit/48kHz」にダウングレード再生されている場合やBluetoothのワイヤレスイヤホンなどで聴いても「Ulta HD」の音は良い、という感想になるのかなと想像します。
Amazon Music HD個人的にはわざわざハイレゾを購入していない90年代~00年代くらいのJ-Popのヒット曲が「Ulta HD」で配信されていたりして、ちょっとお得な気分とマスタリングの良さに嬉しくなったりしました(^^)。また最近では発売時にニュースにもなったBeatlesの「Abbey Road」の50周年記念版ですが、未公開曲を多く含み、CDでは豪華版BOXで販売される「スーパー・デラックス・エディション」は日本のハイレゾ配信ではなぜか豪華版BOXと同じ12,000円で販売されていますが(ちなみに海外のHDtracks等では39.9ドル)、「Amazon Music HD」でもしっかり「Ultra HD」の24bit/96kHzハイレゾで配信されており、サービス内で普通に聴くことが出来ます。こういうのは間違いなく高音質配信の「Amazon Music HD」ならではの良さでしょうね。

ただ、実際の「Amazon Music HD」の醍醐味はほんの一部の「Ulta HD」曲では無く、大半を占める「HD」音質のほうの音源のクオリティでしょう。「Amazon Music Unlimited」利用時に作成してあったプレイリストをダイジェスト的に片っ端から聴いてみたところ、同じ音源の「FLACとMP3の違い」みたいなこと以上に、「Ultra HD」対象曲同様にマスター品質の違いを実感できる曲が結構含まれていることがわかりました。いっぽうで、多少マイナーだと同じアルバムのなかでも代表曲のみ「HD」音質であとは従来の圧縮音源(「SD」)のまま、というケースもちらほらあったりして、音源の充実化はまだまだこれからかな、と感じる部分もありました。
Amazon Music HDAmazon Music HD
なお、「Amazon Music HD」でHD/Ultra HD品質のデータをオフライン(ダウンロード)した場合、ファイル名からフォーマットは推測できるもののデータ構造などはよくわからないデータとして保存されます。ただこのファイル構造から推測すると、音源ごとにビットレートの異なるデータが用意されていて再生環境や通信速度を見ながら再生中でも動的にデータを切り替える仕組みのようですね。
 

■ 「Ultra HD」と「SD」音源の音質を実際に比較してみた。

余談ですがMac用の「Soundflower」やWindows用の「VB-Audio(Hi-Fi Cable)」を使用し、「Audacity」等でビットレートを再生フォーマットに合せることで録音し波形データを確認することは可能なようですので、フォーマットごとの音の違いも機会があれば確認してみようと思います。

※というわけで実際にトライしてみました。今回はWindows環境で上記の通り「VB-Audio Hi-Fi Cable」仮想オーディオインターフェースをインストールし、再生・録音のビットレートを再生する曲に合せて設定(今回は24bit/96kHz)したうえで、「Ultra HD」音源はAmazon Musicの「出力」に個別設定(上記「Windows 10」での再生で記載の通り、あらかじめ「dpeaklim.exe」でピークリミッターを切った状態で「既定」の出力先と分け、音量は最大で設定)し、録音には「WaveSpectra」を使用、同様にビットパーフェクト状態に設定を合せて録音しました。「SD」音源についてはブラウザからのWebプレーヤーを使用し、同様に設定値を16bit/44.1kHzに設定、再生するブラウザの「出力」を個別設定して録音しています。

Amazon Music HDAmazon Music HD

録音した2種類のデータを「Audacity」で取り込み比較してみると、2種類の音源が非常に分りやすく異なっていることが確認できました(上段が「Ultra HD」、下段が「SD」)。まず「SD」音源のほうが明確により強いコンプレッション(コンプ)をかけたマスタリングがされているのが確認できます。より音圧が高くダイナミックレンジは下がりますが、よりボーカルなどが前面に出てメリハリが強めのサウンドになり、モバイルでのストリーミングでビットレートが落ちる場合(より音質の下がる環境下)でも「らしさ」をキープできるマスタリングです。いっぽうで音場は狭くなり定位感は損なわれます。

これに対し、「Ulta HD」ではおそらくオリジナルマスターに近いマスタリングでより小さい音の情報が多くなっています(音圧も「SD」より低いのが一目瞭然ですね)。そのため十分にS/Nが低くダイナミックレンジの広い再生環境が必要となりますし、ストリーミングでもビットレートを維持する十分な帯域が必要で、ネットワークが低速の場合はAmazon Musicアプリ側で自動的に標準音質(「SD」)に落とす仕様になっているのも理解できます。コンプが少ないためオリジナルの音場感に近いサウンドが再現されていると考えられ、より立体的なサウンドが実感できると思われます。

また拡大してみると、細部ではコンプ処理以外にも違いは随所に存在し、両者は全く異なるマスタリングの音源であることが改めて確認できました。再生機器のサンプリングレート(ハイレゾ対応の有無)に関係なく「Amazon Music HD」のメリットは十分に実感できると思います。むしろ可聴域内の音質がより高いオーディオで聴く方が確実に「良い音」を実感できるはずです。なお、
「HD」音質についても「Ultra HD」同様に、「SD」より高音質のマスターを使用している音源が数多くあるようです。


とうわけで、「Amazon Music HD」について、本レビューも掲載後2週間以上で何度か追記をさせていただきました。
「Amazon Music」アプリは各プラットフォームでリリース後何度がバージョンアップが行われていますが、本記事に掲載の点については現時点では特に変更はないようです。まだいろいろ要望点はありますが、各プラットフォームで「Amazon Music HD」のメリットを享受できる方法はある程度確認できました。また音源についても満足度は高く、結果的に非常にお買得で満足度の高いストリーミングサービスである、と断言してもよいものだと改めて実感しました。今後さらに「Ultra HD」「HD」の配信曲が増えることでサービスが充実されると思いますので、お勧め度はさらに向上するのは間違いないと思います(^^)。