TFZ QUEEN LTD

こんにちは。今回は「TFZ QUEEN LTD」の紹介です。中国のイヤホンブランド「TFZ」(The Fragrant Zither)は私自身も一部のモデルを除き購入およびレビューを行っているお気に入りですが、同社のアイデンティティともいえるシングルダイナミック構成の「第3世代ドライバー」搭載モデルがこの秋から順次リリースされています。その先陣を切る形で登場した「TFZ QUEEN LTD」は「第2.5世代ドライバー」搭載の「TFZ QUEEN」の事実上の後継モデルと考えられます(現時点では併売しています)。今回、私はリリース後すぐにオーダーし、手元に届いてから1か月ほど使用してのレビューとなります。

TFZ QUEEN LTDTFZ QUEEN LTD

TFZ QUEEN LTD」は、既存モデルの「TFZ QUEEN」同様にやや暖色系で中低域寄りのサウンド、というTFZとしては結構珍しいサウンドチューニングが行われたイヤホンですが、今回の完成度は非常に高く、個人的に前回の「QUEEN」があまり好みではなかったこともあり、かなりの驚きを感じました。全体的に濃厚なサウンドで、特にライブ録音されたボーカル曲との相性が抜群に良く、「TFZ NO.3」など他の第3世代ドライバー搭載モデルとのキャラクターの違いを鮮明にしています。

TFZ QUEEN LTDTFZ QUEEN LTD
TFZ QUEEN LTD」で搭載される「第3世代ドライバー」(今後ドライバーのコード名で「M1U」と呼称するようです)仕様の製品は、昨年リリースされた「TFZ NO.3」以降、上位グレードの「NO.3 Ti」と(いちおう)限定モデル扱いの「KING III」以外は新製品がリリースされませんでしたが、ここにきて今回の「QUEEN LTD」、さらに「KING EDITION」、「TxBEAR X MONICA」と、相次いで新製品がリリースされました(「KING EDITION」、「TxBEAR X MONICA」も既に購入していますので到着後改めてレビュー予定です)。
TFZ QUEEN LTD (Blue)TFZ QUEEN LTD (Purple)
TFZ QUEEN LTD」は「ブルー」「パープル」「グリーン」「ブラック」の4色のカラーバリエーションがラインナップされています。これは「T2 Galaxy」と同じ設定ですね(日本版の「T2G」ではパープルが除外されています)。今回購入した「ブラック」はサイトでは「Transparent Black」という表記もありましたが、実際はハウジング部分は不透明のピアノブラック仕上げになっています。
TFZ QUEEN LTD (Green)TFZ QUEEN LTD (Black)
TFZ QUEEN LTD」は現在は中国AliExpressなどの取り扱いセラーでの購入となります。私はいつもTFZ製品を購入している香港の「Penon Audio」で今回も購入しました。他にこのモデルに関しては私のブログではお馴染みの「HCK Earphones」や「Easy Earphones」などのセラーでも購入できるようです。販売価格は 72.9ドル でした。AliExpressでの購入方法などはこちらを参照ください。
AliExpress(Penon Audio): TFZ QUEEN LTD
AliExpress(NiceHCK Audio Store): TFZ QUEEN LTD
AliExpress(Easy Earphones): TFZ QUEEN LTD


■「QUEEN」と同サイズのコンパクトなハウジング。デザインも思ったより「アリ」ですよ。

TFZ QUEEN LTD」のパッケージはいつもの縦長タイプ。今回は上記の通りブラックを購入しました。パッケージ構成は最近のモデル同様で、イヤホン本体、ケーブル、白い布製ポーチ、イヤーピースは装着済みのMサイズに加えて、乳白色のシリコンタイプが開口部の大きいタイプの小さいタイプの2種類(それぞれS/M/Lサイズ)、説明書となっています。
TFZ QUEEN LTDTFZ QUEEN LTD
TFZ QUEEN LTDTFZ QUEEN LTD

イヤホン本体は樹脂製のハウジングでフェイスプレートとステム部分は金属製となっています。フェイスプレートのデザインは写真での印象はいまひとつでしたが、実物は思ったほど悪くはありませんでした。特に今回購入したブラックは光沢のあるピアノブラックのハウジングでなかなか高級感があります。ただし、開封時には保護用のフィルムがフェイスプレートに貼られているのですが、届いた個体ではフィルムをはがしても定着用の糊が少し残っており、綺麗に拭き取る必要がありました。AliExpressの一部のセラーの写真ではこの糊が残ったままで撮られたと思われるものがあり、より残念な印象になっているかもしれませんね(・_・)。
TFZ QUEEN LTDTFZ QUEEN LTD
またフェイス部分が多少厚みが増しているように見えますが、ハウジングの形状自体は既存の「TFZ QUEEN」と同じで、従来のTFZ製イヤホンよりひとまわりコンパクトになっています。サイトを見るとQUEENという名称通り、女性が装着することも想定したデザイン、ということらしいですね。ただコネクタ部分も形状も「TFZ QUEEN」と同じで、通常のTFZ製品とは異なるものになっています。具体的には突起部がやや小さく少し長い(でもQDCほどではない)という形状です。

TFZ QUEEN LTD」の装着性は多くのTFZ製品のハウジングよりコンパクトになったことで耳の小さい方でも比較的良好です。もし付属のイヤーピースで合わない場合は定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部が大きいタイプの製品を利用することをお勧めします。イヤーピースは少し小さめのものにして奥まで装着した方がしっくりくるようですね。


■「ボーカル帯域にフォーカスした暖色系サウンド」を踏襲しつつ完成度を大幅に高めたサウンド

TFZ QUEEN LTD」の音質傾向は、「TFZ QUEEN」同様にやや暖色系で中低域寄りのサウンドですが、ボーカル帯域を中心とした中高域の伸びが大幅に向上し、比較的スッキリした印象の心地よいバランスになりました。第3世代ドライバーによる非常に優れた解像感と分離感により、「TFZ QUEEN」と比べても表現力が劇的に向上しており、想像以上に高い完成度に驚かされました。なお、今回は開封後100時間程度のエージングを行いました。
TFZ QUEEN LTD
TFZ QUEEN LTD」の高域は適度に明るく伸びのあるサウンドです。既存の「TFZ QUEEN」の高域がやや暗く籠り気味に感じる印象だったのと比較すると「TFZ QUEEN LTD」ではかなり鮮やかでスッキリした印象の音になりました。またTFZというと寒色系の硬質な高音をイメージしますが、「TFZ QUEEN LTD」の高域は柔らかく温かみを感じる音にチューニングされています。そのため煌めきなども感じる音ですが刺さりなどの刺激はほぼ感じないバランスに仕上がっています。

中音域は「TFZ QUEEN LTD」の最も特徴的な部分で、やや暖色系寄りながら、ボーカル帯域を中心に非常に濃厚なサウンドです。味付けは無くフラットな印象で、比較的近くに定位しますが、適度な広がりのある音場感があります。「TFZ QUEEN」がボーカルの近さや臨場感に対し音場が狭く多少窮屈に感じたのに対し、より解像感や分離性が大幅に向上したことで、より音場は広く、ハイトーンの抜けや伸びもかなり良くなったと思います。ボーカルは男女ともエネルギッシュな印象で鳴ります。余韻も綺麗で、艶のあるサウンドを楽しめます。「TFZ QUEEN」とチューニングの方向性は似ているのですが、新しいドライバーにより明瞭感が格段に向上したことで、表現力が劇的に進化したのかもしれませんね。

TFZ QUEEN LTD低域はTFZらしいパワフルで締まりの良いサウンドです。沈み込みは深く、重低音も心地よく鳴ります。解像度も比較的高くスピード感も良好です。分離も良く膨らむこと無く鳴りますが、適度な残響感もあり、自然な印象のチューニングになっています。
ただ、中高域同様に低域も柔らかく暖色系な印象のため、キレの良さなどを求めるサウンドではないと思います。そのため、全体のバランスとしては非常に良い低域で、ポップスやジャズなどでは心地よい低音を楽しめますが、いっぽうでメタルやEDMなどでは多少物足りなさを感じるかもしれませんね。

TFZ QUEEN LTD」はフラット寄りのバランスで、中音域、特にボーカルの表現にポイントを置いたチューニングのため、非常に聴きやすく、アコースティックな音源との相性の良さを感じます。いっぽうで全体的に暖色系に感じる仕上がりのため、同じ第3世代ドライバー(「M1U」ユニット)を搭載したドンシャリ傾向の「NO.3」のような派手さやメリハリの強さはなく、ロックやアニソン、EDMなどでは「おとなしめ」な鳴り方をします。
普段聴かれる曲のジャンルによって印象が変わるイヤホンで、ボーカル曲を中心に「NO.3」などが少し派手すぎると感じる方には、より自然な音場感と厚みのある低域、適度にスッキリした高域と非常に聴きやすいバランスのイヤホンに感じるのではと思います。

TFZ QUEEN LTDTFZ QUEEN LTD
またリケーブルについては最近ではHCKやEasy EarphonesといったセラーよりTFZ用コネクタのケーブルがリリースされています。残念ながら「TFZ QUEEN LTD」および「TFZ QUEEN」は通常のTFZ製イヤホンとは微妙にコネクタの形状が異なっているため、例えばTFZ用コネクタ(NX7コネクタ)の「NICEHCK C16-1」16芯銀メッキ線ケーブルなどの場合、少しだけカバーから浮いたようになってしまうのですが、もちろん問題なく利用できます。また0.78mmの中華2pinタイプのケーブルでももちろんリケーブル可能です(個人的には8芯ミックス線タイプのケーブルとの相性の良さを感じます)。

ところで、TFZでは第3世代ドライバーが登場するまでに数多くの派生モデルを登場させてきたこともあり、以前からあるモデルでは同じ系統の製品のネーミングとキャラクターが必ずしも一致するわけではない状況になってきました。例えば第2世代ドライバーの初代「KING」(EXCLUSIVE KING)は低いインピーダンスの反応の良いイヤホンで鋭い高域が特徴のドンシャリサウンドでしたが、2.5世代の「KING PRO」はどちらかというと「SERIES4」を踏襲したフラット系サウンドでインピーダンスは従来製品で最も高く鳴りにくいイヤホンになりました。つまり真逆のアプローチです。その後、「KING II」および「KING LTD」、第3世代の「KING III」と「KING PRO」の傾向を踏襲していますが、最近発表された「KING EDITION」では初代KING同様の反応の良い仕様になっておりサウンドデザインはまた大きく変更されている可能性が高くなっています。

TFZ QUEEN LTDそういった意味では、今回の「TFZ QUEEN LTD」は「中低域寄りでボーカルメインの暖色系サウンド」という「TFZ QUEEN」の傾向を比較的踏襲したイヤホンだとは思います。ただ、以前の「TFZ QUEEN」がその前に登場した開放型の「TEQUILA 1」の密閉型バージョン、といった印象のアレンジだったのに対し、「TFZ QUEEN LTD」では、最初からサウンドデザインをやり直したような印象で次元の違う完成度に感じました。
今のことろ購入された方も少なく、TFZのなかでは今ひとつマイナーな印象を拭えないモデルではありますが(デザインが特に青色が「ギャンぽい」のも残念感がありますね)、もし興味を持っていただけたら是非ともチャレンジいただければと思います。「思ったより」良いイヤホンですよ(^^;)。