Smabat M1 Pro

こんにちは。今回紹介するのはイントラコンカ(インナーイヤー)型イヤホンの「Smabat M1 Pro」です。「Smabat」は以前1万円クラスの大人気モデル「Smabat ST-10」を紹介していますが、今回はより購入しやすい価格帯で、より装着性がアップしたコンパクトなハウジングと、より解像感のある明瞭な中高域とバランスの良いチューニングが印象的です。
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Smabat M1 Pro」は複合素材のダイヤフラム(振動板)を採用した14.2mmのダイナミックドライバーを使用し、背面部には「ST-10」でも特徴的だったバックロードホーン・スピーカーを彷彿とさせるアコースティックローパスフィルターを搭載しています。
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「ST-10」はこの仕組みを搭載するためやや大振りなハウジングになっていましたが、「Smabat M1 Pro」では3Dプリンタの技術を使用した再設計によりコンパクト化を実現し、ハウジング背面の空間に収納することに成功したようです。
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また「Smabat M1 Pro」はハウジング全体が軽量なアルミニウム合金製で、MMCXコネクタ採用によるリケーブル可能な設計になっています。ケーブルは耳掛け加工がないタイプを採用しており、付属のイヤーフックなどを使用し、まっすぐ垂らす方法と、耳掛けタイプで装着する方法の両方に対応する仕様になっています。
Smabat M1 Pro」の購入はアマゾンの「WTSUN Audio」にて。表示価格は 7,500円 となっています。
※現在購入時の1,000円OFFクーポンが配布されていますので実質 6,500円 で購入可能です。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Smabat M1 Pro


■ よりコンパクトで装着性も向上したデザイン。ケーブルはできればリケーブルしたい、かな。

Smabat M1 Pro」のパッケージはイヤホンの形状がデザインされた正方形のボックスでシンプルながら同社のこだわりを感じさせます。
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パッケージ内容は本体+MMCXケーブル、イヤーパッドはスポンジタイプが2ペア、シリコンタイプが1ペア、さらにイヤーフックが3サイズと説明書。「ST-10」のようなケースは省略され多少のコストダウンは行われているようです。
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Smabat M1 Pro」のアルミ合金製のハウジングはビルドクオリティは高くシンプルながら質の良さを感じるデザインも好印象です。また側面にスリット状のベント(空気孔)がある「開放型」仕様であることが確認できます。
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ドライバーサイズが14.2mmと「ST-10」より若干コンパクトになったことで装着部分も小型化し、全体的に軽量かつ小型化したデザインとなりました。そのため、耳から垂らす一般的な装着方法でも耳掛け式でも装着感は向上しており、耳の小さい方でも問題なく使えると思います。

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特に耳から垂らす方式の場合はイヤーフックがを組み合わせることでかなり安定して装着できると思います。付属ケーブルは透明な樹脂被膜タイプの銀メッキ線で弾力のあるケーブルです。手触りが多少粘着質なのと、耳から垂らした場合に多少タッチノイズを感じるのは少し残念ですね(耳掛けの場合はタッチノイズはありません)。この辺は好みに応じてリケーブルを行いたい部分かもしれませんね。


■ フラット傾向の明瞭サウンドながら、イントラコンカ型らしさも感じる絶妙サウンド

Smabat M1 ProSmabat M1 Pro」の音質傾向はフラット寄りのバランスで、非常に解像感の高い音ですが、「ST-10」のような多少硬質感のあるクールなサウンドより自然な音色になっており、よりイントラコンカ型らしい鳴り方をする印象です。
イヤーパッド無しの状態が最も抜けが良い印象で、シリコンタイプを装着することで低域の厚みがやや強調されフィット感の高まりにより響きが向上し音場をより実感できる鳴り方になります。またスポンジタイプではさらに低域が強調された印象になります。個人的にはイヤーパッド無しまたはシリコンタイプでの音が気に入りました。

Smabat M1 Pro」の高域は明瞭感とともに抜けの良い音を鳴らします。明るく解像度は高いものの刺激の少ないサウンドです。「ST-10」のように硬質でメリハリのある音とは異なり、より自然な印象の音作りで、同時に抜けの良さから伸びのある高音を実感できます。とはいえ、低域がやや「ST-10」より抑えめになっていることもあり、全体的なバランスとしては高域の主張はかなりしっかりしていて、スッキリした印象も感じます。

Smabat M1 Pro中音域は癖のないフラット感のある音を鳴らします。ある程度の明瞭感のあるサウンドですが、いっぽうで高域同様に「ST-10」よりやや派手さを抑えたリスニング寄りの音作りを感じます。ボーカルなどは比較的近くで定位しますが「Smabat M1 Pro」も適度な広さがあり、特に膨らむような味付けの無い素直な音で鳴ってくれます。抜けが良い音のため女性のハイトーンやピアノの高音など適度に刺激のある音も綺麗に鳴らしてくれる印象です。ボーカル曲をメインに聴く場合は「Smabat M1 Pro」のほうが「ST-10」より向いている印象で、比較してより自然で柔らかく艶っぽさを感じる音に好感が持てます。

低域は分離の良い非常にタイトな音で、中高域が明瞭なイントラコンカ型としては量感も十分な印象です。それでも「ST-10」のようなスピード感のあるキレの良さは多少抑えられており、多少柔らかく自然な響きと音場感を感じるアレンジとなっています。「ST-10」はカナル型のモニターイヤホンのようなよりクールでソリッドな解像感と明瞭感がありましたが、「Smabat M1 Pro」では、十分な解像度の高さを持ちつつも、イントラコンカ型としての特徴もしっかり押さえた音作りになっている印象で、より多くの方が好感を持つチューニングになっていると感じます。


このように「Smabat M1 Pro」は、音質面では「ST-10」の高いサウンドクオリティを維持しつつ、ロックやポップスなどのボーカル曲により向いたオールラウンダーなリスニングサウンドに仕上がっていると感じました。イントラコンカ型としては比較的ハイグレードですが、マニアの方はもちろん、価格自体は結構手頃ですので普段はカナル型イヤホンを使用している方にも幅広くお勧めできるイヤホンだと思います。
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唯一残念な点は明らかにコストダウンを感じるケーブルで、布巻の「ST-10」のケーブルを「Smabat M1 Pro」でも採用して欲しかった、というのが正直なところです。リケーブルについては「耳掛け」装着の場合は選択肢は比較的多いものの、垂らす装着の場合は、中華ケーブルの場合は、Yinyooの「YYX4745」「YYX4849」や「YYX4861」などの「中華16芯ケーブル」(まとめレビュー)がありますが、それ以外で現在販売されているケーブルでは選択肢は限られそうです。個人的にはたぶん在庫限りの製品だと思いますがこの辺のケーブル等は結構良い組み合わせかなと思っています。