SIMGOT EK3

こんにちは。今回は、SIMGOTの最新イヤホンの「SIMGOT EK3」の紹介です。今回SIMGOT JAPANさんより日本版のリリース予定の段階でサンプル提供いただいていて、本レビューも少し前に作成済みでしたが、いよいよ日本国内でも正式に発売となり、情報解禁に合せての掲載となりました(^^)。個人的にも「SIMGOT EK3」のサウンドとデザインの美しさに魅了されており、このクラスのマルチBAイヤホンとしてはトップクラスにお勧めできる製品だと思います。
SIMGOT公式サイト(日本語): SIMGOT EK3

ちなみに製品サイトでは『縦横家シリーズ「衍」EK3』と記載されています。これは中国の古代史(春秋戦国時代)からインスピレーションを得たネーミングのようですね。私も含め、この辺の歴史に詳しくなくても「縦横家(纵横家)」や「公孫衍」などで検索すると製品名に込めたSIMGOTの思いの片鱗を感じられるかもしれません(^^)。

閑話休題、「SIMGOT EK3」は、3基のKnowles社製バランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを搭載する「3BA構成」のイヤホンで、4万円近い価格設定と中華イヤホンとしてはかなりハイグレードな製品ですが、とにかく抜群に美しいデザインと、フラットながら包み込まれるような音場感をもつサウンドは十分に価格に見合う素晴らしい完成度です。

SIMGOT EK3実は、「SIMGOT EK3」はKnowles製のドライバーのなかでも「定番」モデルのBAユニットを採用し、ほとんど「鉄板」といえる構成で組み合わされた3BAイヤホンです。しかし、SIMGOT社によって丁寧にチューニングされた、驚くほど卓越されたサウンドは、過去に聴いた同様の構成のイヤホンとは大きく異なっていました。
さらに目を見張るように美しい透明デザインのシェルや、4種類の音質設定を楽しめる「スイッチ付き」である点も含めて、「SIMGOT EK3」は唯一無二のクオリティに仕上がっていると思います。
最近はさまざまな価格帯で高音質なイヤホンが次々と登場していますが、それでも手放しで評価できるほどの製品はそれほど多くはありません。しかし「SIMGOT EK3」は同価格帯のイヤホンのなかでも間違いなくトップクラスにオススメできる製品だと感じました。

SIMGOT」はハイグレードな製品を販売する中国のイヤホンブランドで、日本では「SIMGOT JAPAN」(Twitter: @SIMGOT_JAPAN)さんより日本国内の主要なショップで製品の購入が可能です。
→ Amazon.co.jp: SIMGOT JAPAN のストアフロント
SIMGOT EM2SIMGOT EN700 PRO
また、私のブログでも「EN700」シリーズ、および「EM2」といった国内販売モデルの紹介をしてきました。
過去記事(一覧): SIMGOTブランド製品のレビュー

今回の「SIMGOT EK3」は、同社ラインナップでもハイグレードな位置づけの製品で、その非常に美しい透明シェルは、25μmの精度を持つHeyGears社の光造形(DLP) 3Dプリンタの技術でデジタルモデリングで作られています。3Dプリンティングによる一体成型のシームレスな構造は内部の共振を抑制。また材質にはEUの医療グレードを満たしたドイツ製レジンを使用しており、高い透明度に加え、優れた耐久性を持っているとのことです。
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SIMGOT EK3」の搭載ドライバーは、Knowles製の「TWFK-30017」(2BA)と「CI-22955」(1BA)を各1基ずつの3BA構成。Knowles製のこの2種類のBAドライバーの組み合わせ自体はかなり定番の構成で、例えばWestoneの「Westone3」をはじめとする3BAモデルや、多くのメーカーのイヤホンやカスタムIEMでも採用されています。しかし「SIMGOT EK3」では同社独自のチューニングを行うことで、各BAユニットのポテンシャルを引き出すと同時に抜群のサウンドバランスを実現しています。
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また、「SIMGOT EK3」の側面には4種類の音質傾向に変換できるスイッチがあり、好みのサウンドモードを設定することができます。
各スイッチモードは 「1-ON2-OFFエアリー(低域強調)」、「1-OFF2-OFFボーカル強調」、「1-ON2-ONピュアトーン(演奏音強調)」、「1-OFF2-ONバランス重視」、という設定となります。
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そして、付属ケーブルは高純度単結晶銅線(6N OCC)と銀メッキ線(SPC: Silver-Plated Cable)をそれぞれ2芯ずつ組み合わせた撚り線タイプの4芯ケーブルです。下位モデルで付属する銀メッキOFC線のケーブルと比較し、より滑らかなボーカルと明瞭な高域、さらに厚みのある低域と音場感を得ることができるようです。
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SIMGOT EK3」のカラーバリエーションは「透明(Transparent)」と「透明ブラック」の2種類です。日本では近日発売で(Amazonで予約受付中です)、販売価格は 38,900円 の予定です。為替を考慮すると海外版とほぼ同等の価格設定で、国内でのサポート等を踏まえると結構良心的といえますね。
Amazon.co.jp(SIMGOT JAPAN): SIMGOT EK3


■高級感のあるパッケージ。息をのむほど美しく、装着性にも優れた透明シェル。

SIMGOT EK3」のパッケージは高級感のあるブラックのボックスで、「EK3」と記載された金属プレートでがデザインされています。手元に届いたのは「透明(Transparent)」カラーのバージョンです。引き出し式のボックスを開けると美しいイヤホン本体と、より高級感を増したレザーケースが現れます。
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パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(Eartip1、Eartip2の2種類。それぞれ3サイズ)、清掃ブラシ兼スイッチ切り替え用ピン、その他説明書、保証書など。
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SIMGOT EK3」の本体は3Dプリンティングによる一体成型されたレジン製の透明シェルで、息をのむほどの美しさをもっています。アルミニウム合金製の金属ステムノズルも含めビルドクオリティも高く、ハイグレードなイヤホンに相応しい仕上がりと感じます。また半透明で6角形の模様がデザインされたフェイスプレートも非常に印象的ですね。ケーブルコネクタは0.78mmのqdcタイプを採用しています。
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3BAイヤホンとしては比較的大きめのハウジングサイズですが、耳にフィットしやすいデザインで装着性は良好です。今回も開口部の大きさの異なる2種類のイヤーピースが付属しており、多くの場合、付属のもので満足のいく装着感を確保できるのではと思います。イヤーピースは開口部の広い「Eartip1」は中高域メインの高解像度タイプ、「Eartip2」が低域の印象を向上させ自然なサウンドにするタイプという記載になっています。
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また、今回付属していたケーブルは同社サイトの海外版では「アップグレードケーブル」として記載されている「銀メッキ線と高純度単結晶銅線(OCC)のミックス線タイプ」(SPC×2+OCC×2)が付属していました。4芯タイプの撚り線ケーブルで取り回しのよい使いやすいケーブルです。
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そして、SIMGOTといえば、非常に質感の高いレザーケースもまたお馴染みですが、「SIMGOT EK3」ではさらにコストのかかった印象のボックスタイプの開閉式レザーケースが付属します。こちらも非常に質の良いもので、イヤホンを収納するのにも適度なサイズ感で使いやすいものになっています。
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そして、清掃用ブラシは枝の部分が本体側面のスイッチを切り替えるためのピンになっています。ひとつひとつの付属品もグレードアップした価格帯に見合う内容になっていますね。


■スッキリした印象ながらコントラストのある濃厚な中音域。音作りの上手さを感じるサウンド。

SIMGOT EK3」の音質傾向はフラットに近いバランスで各音域を丁寧に鳴らす印象のサウンド。SIMGOTらしい音作りの上手さがあり、「EN700 PRO」など同社イヤホンと同様のスッキリした印象バランスに、ボーカル帯域を中心とした中音域の濃密さと音場感があり、さらにマルチBAならではの解像感で1音1音の精緻さを実感できます。前述の通り、「SIMGOT EK3」で採用されているKnowles製BAの組み合わせ自体は珍しいものではありませんが、「この構成でさらにここまで表現力を高められるのか」と新鮮な驚きを感じることができました。

そして「SIMGOT EK3」の特徴のひとつである4種類のサウンドモードは、どの設定でも本来の特徴を崩すことなく、自然なバランスのままチューニングを変更することが出来ます。開封時は「1-OFF2-OFFボーカル強調」モードになっていて、ボーカル帯域はより前面に定位し、やや中高域メインの明るく鮮やかなサウンドを実感します(ポップスやロック等のボーカル曲向けという印象)。
SIMGOT EK3ここでスイッチ1をONにして「1-ON2-OFFエアリー(低域強調)」モードにすると、全体のバランスは維持したまま、少し中低域寄りのサウンドに変化するのが分ります。実際には中低音、男性ボーカルやギターの低音などの厚みが増しますが、バスドラムなどの量感はあまり変化しないようです。
逆にスイッチ2をONにした「1-OFF2-ONバランス重視」モードの場合、高域の煌めきが多少抑えられますが、全体的には最もフラットな印象になります。
そして両方のスイッチをONにした「1-ON2-ONピュアトーン(演奏音強調)」モードでは、弱ドンシャリに近い、すこしメリハリのある傾向となります(もっとも派手な印象のモードです)。
音源の種類によりますが、メリハリがあり最も高域が鮮明に感じられた「1-ON2-ONピュアトーン(演奏音強調)」と(相変わらずの派手好きですね^^;)、多くのジャンルの曲で気持ちよく聴けた「1-OFF2-ONバランス重視」のモードが好みでした。

SIMGOT EK3」の高域は非常に明瞭で伸びの良い音を鳴らします。解像度は高く、煌びやかな音も非常に綺麗で、鮮やかさを感じる印象です。キレの良いスッキリ目の音ですが金属質な印象にはならず、自然な高音になっている点は「EN700」シリーズとも共通して好印象です。ただ、標準の「1-OFF2-OFFボーカル強調」モードでは再生環境によっては多少の歯擦音は感じるかも知れません。高域が多少強すぎると感じる場合は、「1-OFF2-ONバランス重視」や「1-ON2-OFFエアリー(低域強調)」モードを試してみると良いと思います。

SIMGOT EK3中音域は明瞭感のある解像度の高いサウンドで、SIMGOTらしい明るくコントラストのしっかりした「濃い音」で鳴ります。伸びのある抜けの良い音で、ピアノの高音や女性ボーカルのハイトーンなども綺麗に表現してくれます。「1-OFF2-ONバランス重視」をはじめ全てのモードで味付けは無く自然な印象ですが、ボーカル帯域は比較的近くで定位し(「1-OFF2-OFFボーカル強調」モードでは最も近くに定位します)存在感のある鳴り方をします。音場は広く、演奏は前後に奥行きのある音でボーカルを支え、全体的に立体的なサウンドを実感できます。もっともボーカルが下がって定位する「1-ON2-ONピュアトーン(演奏音強調)」モードでは、演奏に厚みが増し、ボーカルも含めたアンサンブルを楽しむような印象になります。

低域は多少シャープな印象ですが、十分に力強く、しっかりした沈み込みのある重量感のある音で鳴ります。解像度が高く、中高域との分離も良好で、ベースラインもしっかり捉えることが出来ます。適度な広がりがあり、特に「1-ON2-OFFエアリー(低域強調)」モードでは中低域の余韻をより楽しむことができます。表現力が高く広さをもつ中高域を厚みのある低域が下支えすることで、非常に聴き応えのある、包み込むような立体感のある音場を実感させてくれます。男性ボーカル曲での中低域の深みのある音はかなり好印象を持ちました。

SIMGOT EK3SIMGOT EK3」はボーカルなどの中音域をとても「濃い音」で聴かせるイヤホンのため、ジャンルを問わず楽しむことができ、さらに古い音源や、逆に極端なコンプによる派手めの音源でも、非常に聴き応えのある音で鳴らしてくれます。いっぽうで、同時に「SIMGOT EK3」のサウンドはHi-Fi(原音再現性)という点でも非常に優れており、音楽ソースの良し悪しやDAPやポータブルアンプの特性に対し、しっかり違いを実感させる高い再現性を持っています。このような絶妙なバランスのサウンドは非常に珍しく、「SIMGOT EK3」の特徴的な要素だと思います。改めて同社の「音作りの上手さ」を実感しますね。

SIMGOT EK3ちなみに、「SIMGOT EK3」は0.78mmの2pinコネクタを採用しており、イヤホン側はqdcコネクタと互換性のある形状となっています。そのため、最近中華ケーブルでも一部セラーから販売されているqdcコネクタ仕様のケーブルでのリケーブルが可能です(もちろんコネクタ部分のカバー無しでも良ければ中華2pinでもリケーブル可能)。試しにHiFiHearの「HiF4837 16芯 単結晶銅線ケーブル」(8,500円)に交換してみたところ、さらにメリハリのある派手めのサウンドに変化しました。ただし、イヤホンの情報量がアップしキレが増す印象となるのは良いのですが、「SIMGOT EK3」本来のサウンドバランスが多少崩れるため、「好みに応じて」という感じですね。付属のミックス線タイプのケーブルが高品質のため、ほとんどの方はリケーブルは不要だと思います。

というわけで、「SIMGOT EK3」は、ウイークポイントのほぼ無い、見た目にも音質的にもかなり「好み」のイヤホンでした。個人的にはこの価格帯の製品としては手放しでお勧めできるイヤホンだと思います。
SIMGOT EK3「EN700 Pro」も全方位でレベルの高いイヤホンでしたが、「SIMGOT EK3」ではマルチBA化によるキャラクターの変化はあるものの、全体的にサウンドグレードは向上しており、さらに「見た目イヤホン」的にもかなり所有欲を満たしてくれる製品になっていると感じます。
しいてあげるとするならば、「SIMGOT EK3」はやや「優等生」的になっている点で、どこを切り取っても非常に高得点ですが、いっぽうで音質傾向的にも「尖った個性」があまりない点は、多くの方に気に入られそうな反面、「強烈に好き」というタイプの製品とはややキャラクターが異なるかもしれませんね。
ともあれ、日本国内版でも11月以降のイベント等や、正式発売にあわせて国内の主要な専門店での試聴も可能になると思いますので、足を運ぶことが可能な方は是非とも「SIMGOT EK3」の良さを体感いただければと思います。中華イヤホンとしては比較的高級モデルで、一般的にもミドルグレードとなる「SIMGOT EK3」が、光沢のあるクリアデザインも含めてどれくらい人気を博すか、とても楽しみですね(^^)。