TFZ KING EDITION

こんにちは。今回は「TFZ KING EDITION」の紹介です。前回に引き続き中国のイヤホンブランド「TFZ(THE FRAGRANT ZITHER)」の最新モデルの紹介となります。手元に届いてから1ヶ月以上使用してのレビューとなります。

TFZ KING EDITION」もこれまでレビューした「TxBEAR MONICA」「QUEEN LTD」同様にTFZの「第3世代」最新ダイナミックドライバー、コード名「M1U」を搭載するシリーズになります。さらにシングルダイナミックのイヤホンながらフェイス部分にサウンドチューニングを変更できるスイッチを初めて搭載し、その名の通り同社の最先端の製品で代々受け継がれてきた「KING」ラインらしい非常に個性的なイヤホンに仕上がっています。
TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION

TFZ KING EDITION」の搭載ドライバー「M1U」は、「TFZ NO.3」で搭載された「11.4mm デュアル磁気回路ダイヤモンド振動板ダイナミックドライバー」で、TFZ独自のデュアル磁気回路(高いダイナミックレンジと分離性を持つ二重コイルおよび二重チャンバー構造)に加えてダイヤモンドコーティングされたダイヤフラム(振動板)とネオジウム(NdFeB) N50 の非常に強力な磁性体(テスラマグネティック)によりさらなる高音質化を実現しています。さらに「TFZ KING EDITION」ではベースとなるインピーダンスが18Ω、感度106dB/mWと、従来の「TFZ NO.3」「KING III」、そして「TxBEAR MONICA」とは多少チューニングを変更しているのがわかります。
TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION

そして、「TFZ KING EDITION」の最も特徴的な仕様がフェイスパネルの中央に付けられたスイッチで、ON(スイッチ上向き)/OFF(下向き)により、「Professionalモード」と「Musicモード」の2つのモード設定に変更することができます。具体的には電気回路的な抵抗をコントロールすることで各周波数帯域のインピーダンスに変更を加え、サウンドバランスにチューニングを加えています。その具体的な仕様は、次のように記載されていました。
・「ON」 (Professional Mode):  15Ω @20Hz / 17Ω @1kHz / 18Ω @10kHz
・「OFF」 (Music Mode): 17Ω @20Hz / 18Ω @1kHz / 12Ω @10kHz


TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION
「Professional Mode (スイッチ:ON)」では、よりサウンドモニターに適したモードで、高い解像度と再現性をもったチューニングになります。そして、「Music Mode (スイッチ:OFF)」では、その名の通りリスニング向けのチューニングで、ボーカルの表現力など全体の雰囲気を重視したチューニングになるとのこと。TFZの考えるこれらのチューニングが実際のところどう感じるのか、とても気になるところですね。

TFZ KING EDITION」は、今回も香港のイヤホンセラー「Penon Audio」で購入しました。価格は 129ドル です。AliExpressの「Penon Audio」のショップのほか、直営店ではPayPalでの支払いも可能です。
AliExpress(Penon Audio Store): TFZ KING EDITION
Penon Audio(直営店): TFZ KING EDITION

国内版が12月13日に日本でも発売になります。アマゾンでの表示価格は 20,680円 でした。
Amazon.co.jp(国内正規品): TFZ KING EDITION


■ 高級感のある金属製ハウジング。KING PROなど従来のTFZシェルより若干スマートに。

TFZ KING EDITION」のパッケージはいつもの縦長タイプ。パッケージ構成は最近のモデル同様で、イヤホン本体、ケーブル、白い布製ポーチ、イヤーピースは装着済みのMサイズに加えて、乳白色のシリコンタイプが開口部の大きいタイプの小さいタイプの2種類(それぞれS/M/Lサイズ)、スイッチ切り替え用のピン付きブラシ、説明書となっています。
TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION
TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION
TFZ KING EDITION」のシェルはCNC加工された精密な金属製ハウジングを採用しています。形状は金属製シェルだった「KING PRO」が従来の「SERIES」ラインや「EXCLUSIVE KING」(初代「KING」)のシェル形状を踏襲していたのに対し、「KING III」および「SERIES 7」で採用された、やや「QUEEN」「QUEEN LTD」寄りにシェイプされたハウジング形状を採用しています(「KING III」と「SERIES 7」は個性的なフェイスパネルを採用しているため「TFZ KING EDITION」とは一見すると同じ形状にはみえませんが、ハウジング部分は同じ形状です)。
TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION
TFZ KING EDITION」と「KING PRO」など従来のTFZを比べるとフェイス部分はやや細身で、逆にハウジングの厚みは大きくなっています。ただコネクタ部分の「突起部分」の形状は多少形状の異なる「QUEEN」「QUEEN LTD」タイプではなく、従来のTFZと同じでケーブルのカバー部分の形状も同じです。そのため最近各セラーより数種類がリリースされている「TFZ用コネクタ」のリケーブル製品はそのまま使用することが可能です。
TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION
付属ケーブルは「TFZ NO.3」以降の製品で採用されているOFC銀メッキ線ケーブルでコネクタもTFZタイプのカバー形状を採用した0.78mm 2pin仕様です。なお、「TFZ KING EDITION」はリケーブル効果も比較的高く、最近ではTFZコネクタ仕様の選択肢が増えている点は有り難いですね。
TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION
また従来よりQUEEN寄りの少し細身のハウジングとなったで装着性はやや向上しています。これまでTFZのイヤホンは大きくて上手く装着できなかった、という方も「TFZ KING EDITION」なら大丈夫かもしれませんね。イヤーピースは付属する2系統のシリコンタイプのほか、よりフィット感を高めるために、定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が大きいタイプの製品を利用することをお勧めします。本体サイズが大きく耳に入りきらない感じの方は「AET06」や「RHA ダブルフランジイヤーピース」などのダブルフランジタイプを使用するのもお勧めです。


■ フラット寄りながら力強くキレのあるモニター系サウンド。モードによる違いも印象的。

TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION」の音質傾向は、「KING PRO」以降の最近のTFZで見られるフラット寄りですが、初代「KING」(EXCLUSIVE KING)を初めて聴いたときに感じた、ガツンとくるキレの良さと主張の強いアグレッシブさが印象的です。
特に「Professional Mode」(スイッチ:ON)では、スッキリと伸びの良い高域、キレのある明瞭な中音域、そしてパワフルで解像度の高い低域と、1音1音にフォーカスした非常に質の高いモニターサウンドを実感できます。「Professional Mode」での「TFZ KING EDITION」は最近のTFZ製イヤホンの中でも群を抜いて明瞭感のあるサウンドで、「NO.3」のやや弱ドンシャリで音場感のある音作りとは全く異なるアプローチの「いかにもKING」という鳴り方をします。「M1U」(第3世代ドライバー)を使用したKINGラインの製品ではもともと中国での限定販売モデルだった「KING III」がありますが、こちらはフラットに近い傾向で解像度は高いものの中高域に曇りを感じるちょっと野暮ったい印象でしたが、「TFZ KING EDITION」では現在も根強い人気がある「KING PRO」の後継モデルとしても相応しい、クリアで質の高いサウンドを実現しています。(ちなみに「KING III」は付属ケーブルと付属イヤーピースの質感が低く、リケーブルによりかなり印象は改善できます)

なお、開封時は「Music Mode」(スイッチ:OFF)に設定されており、やや高域が抑えられ、中低域の厚みを増したチューニングなっています。しかしこのモードだとボーカルなどはより濃くなるものの、特に高域の印象で上記の「KING III」のに近いアレンジに感じる場合があり、個人的には「Professional Mode」(スイッチ:ON)のほうが好感が持てました。

TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION」(「Professional Mode」に設定)の高域は、明るく主張のある煌びやかな音を鳴らします。比較的スッキリとした印象で解像度は高く、非常に明瞭で伸びのある音。ダイヤモンドダイヤフラム(振動板)の硬質でキレのあるサウンドを十分に堪能できます。「Professional Mode」ではインピーダンスが低めなこともあり、駆動力のある再生環境ではやや刺激が強く感じる場合もありますが、刺さらない程度のバランスにコントロールされています。「Music Mode」ではやや高域は抑えられるため刺さりが気になる場合はこちらのほうが好印象な方もいらっしゃるかもしれませんね。

中音域はしっかりとした主張があり、輪郭のハッキリした音で鳴りますが、癖のないモニターサウンドで音源を精緻に描写している印象です。ボーカル帯域は近くで定位し、細かなニュアンスなどもしっかり聴き取ることが出来ます。「TFZ KING EDITION」の音場はやや狭く、「TFZ NO.3」のような包み込むような印象はないものの、全体的にキレのあるサウンドで、中高域の伸びもあり女性ボーカルのハイトーンは綺麗に抜けてくれます。同時に男性ボーカルの低音もしっかりとした重さや厚みがあり、非常に明瞭ながら聴き応えのあるサウンドを楽しめます。なお「Music Mode」ではボーカル帯域を中心にややウォームな印象となり、キレの良さが若干抑えられるいっぽうでボーカルに艶が出てくる印象になります。

TFZ KING EDITION低域は非常にパワフルなアタック感があり、キレが良い音を鳴らします。分離は非常に良く歯切れの良さを感じます。沈み込みも深く、重量感のある重低音も心地よいですね。「Professional Mode」では中低域から低域にかけての解像度の高さがあり、輪郭も非常に明瞭ですが、多少聴き疲れしやすくなる可能性もあります。「Music Mode」では少し中低域が膨らむような厚みが増すことで臨場感がアップします。
TFZ KING EDITION」は、フラット傾向のモニターサウンドのためジャンルを問わず楽しむことが出来ますが、特に「Professional Mode」ではロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲やEDMなどの情報量の多い曲でその実力を堪能できると思います。いっぽう「Music Mode」はバラード曲や、アコースティックな音源との相性が良さそうですが、個人的にはこの辺は「TFZ NO.3」や「NO.3 Ti」といったより音場感を楽しめるモデルを使い分ける方がよいのでは、という気もしています。


また、「TFZ KING EDITION」は情報量のポテンシャルが高く、リケーブルでの変化も比較的楽しめるイヤホンです。情報量の多いケーブルでは反応がより敏感になるため多少刺激が強くなる場合もありますが、再生環境に応じて「Music Mode」+16芯ケーブルなど、組み合わせを工夫してみるのも良いと思います。
TFZ KING EDITIONTFZ KING EDITION
お勧めは「TxBEAR MONICA」のレビューでも紹介した「NICEHCK C16」シリーズ(レビュー①/レビュー②)や「Yinyoo YYX486x/YYX487x」型番の16芯ケーブル(レビュー①レビュー②)などでしょう。これらのケーブルは「TFZタイプ」のコネクタが選択でき、銀メッキ線、高純度銅線、ミックス線タイプといった線材の種類やカラーリングなど選択肢も増えています。また2.5mm/4極や4.4mm/5極バランス仕様で接続したい場合にも良いですね。
 
というわけで、「TFZ KING EDITION」は、第3世代ドライバーを搭載した最新シリーズの上位モデルらしく非常にパワフルかつキレのあるサウンドで、特に明瞭さにおいては既存モデルより一段高いレベルを実現したイヤホンでした。「TFZ NO.3」とのキャラクターの違いにより、多少の好みはあるかもしれませんが、TFZの「KING PRO」に続く製品としてはもちろん、この価格帯の他のイヤホンと比較しても十分にお勧めできる製品だと思いますよ(^^)。

また「TFZ」ブランドの各製品についてはほぼ毎回購入してレビューしています。既存モデルとの比較という意味でもよろしければ併せて参照ください。
過去記事(一覧): TFZ製イヤホンのレビュー