TRN ST1

こんにちは。今回は「TRN ST1」の紹介です。ここ最近は音質的にも手堅い製品を連発している中国の低価格イヤホンブランド「TRN」の最新1BA+1DD構成ハイブリッドイヤホンですね。
にしても前回の10万円オーバーの限定ハイグレードイヤホンからいきなり2千円そこそこの低価格イヤホンという振れ幅が我ながらえげつないですね。今年もそーゆーブログでお送りしていきたいと思います(笑)。

さて、今回の「TRN ST1」は「TRN」ブランドの中華イヤホンのなかでも、10ドル台、2千円前後の価格設定のエントリークラスに位置づけられる製品です。金属フェイスプレートを採用した1BA+1DDハイブリッドで、KZの「KZ ZSN Pro」あたりと競合するポジションの製品と考えられます。デザイン的には某TFZ風フェイスプレートを採用し、先日レビューした「TRN BA5」(5BAモデル)の下位モデル的な印象もありますね。
TRN ST1TRN ST1
TRN ST1」の搭載ドライバーは高域用ツィーターとして幅広く採用されている「30095」バランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーと、フルレンジをカバーする10mmダイナミックドライバーを組み合わせ。ダイナミックドライバー背面に固定されたネットワーク回路により出力をコントロールする仕様になっています。
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合金製のフェイスプレートは耐久性に優れたPVDコーティングが施されており、クローム(ブルーまたはパープル)、光沢ブラック(ブラック)の表面仕上げとなっています。ちなみに、同様のフェイスデザインの「TRN BA5」は実際には「TFZ KING EDITION」にはあまり似ていませんでしたが、「TRN ST1」については結構「TFZ QUEEN LTD」に寄せている感じはありますね。まあ、かつての「KZ ZST」が「TFZ SERIES 1S My Love」のモロパ○リのデザインだったことを考えると、伝統はTRNに受け継がれたとも・・・(^^;)。
TRN ST1」のコネクタ部分には「TRN BA5」同様に「KZ タイプC」コネクタ互換の2pinコネクタを採用し、純正ケーブル、KZ製ケーブルおよび「qdcコネクタ」のケーブルによるリケーブルが可能です。
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TRN ST1」の購入はAliExpressまたはアマゾンにて。価格はAliExpressが10.62ドル~、アマゾンが2,200円~となっています。カラーリングは、「ブラック」「ブルー」「パープル」の3色が選択できます。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): TRN ST1

アマゾンでは国内在庫が無い場合中国からの発送になりますが、万が一の場合にアマゾン経由でのサポートがうけられるため安心感がありますね(特に不良品だった場合など)。
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): TRN ST1


■ ZSTサイズの樹脂製ハウジング+メタルフェイス。やっぱりTFZ QUEEN LTDの類似品感あり。

TRN ST1」のパッケージはいつものシンプル白箱でラインアートでのタイプ。内容も例によってイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L、Mサイズ装着済み)、説明書・保証書など、の最小限の構成です。今回は「パープル」と「ブラック」の2色を購入しました。
TRN ST1TRN ST1
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TRN ST1」の透明な樹脂製ハウジングはいわゆる「ZST」タイプで「KZ ZST」や現行モデルの「KZ ZSN Pro」とほぼ同じサイズ感です。ステム部分は別パーツですが樹脂製で、金属部品を使っているKZのような高級感はありませんが、ノズル口径がひとまわり小さく、イヤーピースの取り付けや装着性の上ではむしろメリットがある印象です。見た目は結構「TFZ QUEEN LTD」に似ていますが、オリジナルのほうは少しコンパクトなため、サイズ的には「TRN ST1」のほうがひとまわり大きくなります。
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金属製フェイスプレートはPVCコーティングの関係か表面がやや樹脂っぽくなっていてクロームメッキ塗装に比べると多少安っぽく感じるかもしれません。いっぽうブラックのほうはあまり違和感は感じない仕上がりですね。フェイスプレートの中央部分のメッシュパーツはベント(空気孔)になっていて、こちらも「TRN BA5」「TRN V90」同様に一定の音漏れがあります。ふつうに使用しているのには支障にならないレベルでしょう。他に小さいベントがフェイスプレート下部と、背面ステム直下の2カ所にあります。
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TRNの最近のモデル「TRN BA5」(5BA)および「TRN V90」(4BA+1DD)と形状を比較すると、フェイスプレート形状はより大きく、ハウジング部分も耳の形状にあわせた形状になっている「BA5」「V90」と比べてコスト有線の形状になっているのがわかりますね。ステム部分については同じ部品が使用されています。そのため、装着性という点では「BA5」「V90」のようにしっかり耳にフィットする感じではないものの、「以前よりある定番タイプのハウジング形状」のため、イヤーピースを工夫することで多くの方が違和感なく装着できると思います。具体的には定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」などがお勧めです。


■ いかにもTRNらしい派手めの寒色系ドンシャリながら、聴きやすいバランスの仕上がり。

TRN ST1TRN ST1」の音質傾向は、これまでのTRN同様に多少中高域が派手めの寒色系ドンシャリ傾向にまとめられている、いわゆる「いかにも中華ハイブリッドらしいサウンド」です。同じ1BA+1DDモデルのレジンシェル製モデル「TRN IM2」が8mmのダイナミックドライバーを採用し、中高域がやや大人しめの良く言えば聴きやすく、見方によっては価格なりに中庸なサウンドだったのと比較すると、今回の「TRN ST1」はいかにもTRNらしい、最近のKZよりさらに硬質でドンシャリ度の高い傾向になっています。
開封直後は高域がやや強めで曲によっては多少シャリつきを多く感じる場合がありますが、約50時間程度のエージングによりダイナミックドライバーの出力も安定し全体的にボーカル帯域を中心としたサウンドになります。スマートフォンでも音量の取りやすいイヤホンですが、いっぽうで駆動力の高いDAPなどの場合は後述の通り情報量の多いケーブルにリケーブルするほうが全体的なバランスが向上し、さらに音場感のあるサウンドを実感できると思います。

TRN ST1」の高域は、硬質で煌びやかな印象でスッキリとした比較的見通しの良い音です。中華イヤホンではお馴染みのBellsing系「30095」BA特有のシャリつきは感じるものの、刺さるようなことは無くシャープな印象のまま抜けていく感じは低価格イヤホンながら上手いまとめかただと思います。シンバル音などの煌めきを感じる音も派手めに鳴るもののスッキリしておりこの価格帯のイヤホンとしてはかなり見通しの良い音だと思います。高域に関しては同様の構成の「KZ ZSN Pro」よりしっかりとした表現力があります。
TRN ST1中音域は僅かに凹みますが、ボーカル帯域の自然な定位感で明瞭に鳴ります。解像感はこの価格帯のイヤホンとしては比較的高く、キレの良いハッキリした音です。フェイスプレートのベント(空気孔)の効果もあり音抜けは非常に良く、籠もること無くスッキリとして開放的な印象があります。ボーカルなどにに味付けは無く素直な印象の描写ですが、伸びの良さもあり余韻等はちゃんと感じる事ができます。音場は広く全体的に締まりが良くキレのある音を実感できます。
低域は曲によっては開封直後は本気出していない印象を感じる場合がありますが、十分なエージングにより非常に力強く量感のある鳴り方をします。こちらも抜けの良さが印象的で、分離感も良好です。パワフルでしっかりとした量感を感じつつもスピード感のある歯切れの良い低音のため中高域が籠もること無く全体的にスッキリとした心地良いサウンドを楽しめると思います。ただし重低音についての表現力は「価格相応」に感じる部分もあります。この辺は全体とバランスとの折り合いを取った印象ですね。


TRN ST1TRN ST1」はインピーダンス22Ω、感度108dB/mWと中華ハイブリッドとしては一般的な仕様で音量も比較的取りやすいイヤホンです。そのためスマートフォン直挿しでの利用でも十分に楽しめることができるイヤホンだと思います。「TRN ST1」はリケーブルにも対応していますが、このようにスマートフォン利用などの場合はリケーブルせず、付属ケーブルのままのほうがバランス良く楽しめると思います。
いっぽう、ある程度の駆動力やS/Nに優れたデジタルオーディオプレーヤー(DAP)やポータブルアンプで聴く場合は、逆に積極的にリケーブルを行った方が「TRN ST1」の「本領発揮」できるようです。「TRN ST1」はタイプC仕様のコネクタを採用していますので、KZ等のタイプC仕様ケーブルのほか、コネクタ形状に互換性のあるqdcコネクタのケーブルでのリケーブルも可能です。また中華2pin仕様のケーブルももちろん使用できます。
TRN純正の「TRN T1」(8芯ミックス線)、「TRN T2」(16芯銀メッキ線)ケーブルは現在のところどちらもタイプC仕様はリリースされていませんが、0.75mm、0.78mmどちらの2pinコネクタでも使用することができます。コネクタの突起部分が気になるようでしたら、パイオニアから販売されている「コネクタシールド」を使用する、または4mm口径のシリコンチューブなどを短く切ってカバー代わりに使う、という方法もありますね。シリコンチューブはかなり安上がりでできるのでおすめです。
TRN ST1どちらのケーブルとの組み合わせでも情報量が大幅に向上し、より分離感のある明瞭なサウンドへの変化を実感できます。より広がりや奥行きのある立体的な音場感は非常に心地良いと思います。「TRN T1」との組み合わせでは全体的なバランスを維持しつつ、厚みが増し音が濃くなるのを実感できます。高域の煌めきをより感じつつも刺激は抑えられており、いっぽうで中低域の広がりはとても心地良く感じると思います。いっぽうの「TRN T2」ではより明瞭さが増しキレのあるスッキリ感の強いサウンドを楽しめます。曲によっては高域がやや強くなる傾向はあるものの、解像感がさらに向上しより派手なドンシャリサウンドが楽しめると思います。

ちなみに「qdcコネクタ」は「KZ タイプC」とは正確にはピンが逆で(左右とも逆なので逆層にはならない)そのまま使用は可能ではあるものの、あえて敬遠して普通の中華2pinでリケーブルされる方も少なくないようです。そういった意味では「TRN T2」ケーブルあたりで「タイプC」コネクタ仕様も出してくれればKZ用も含めて一気に定番化しそうな気もします。結構狙い目だと思いますが、どうでしょうね?


TRN ST1というわけで、「TRN ST1」はロック、ポップス、アニソンなどボーカル曲を中心に幅広いジャンルで楽しめるイヤホンだと思います。普段使いのリスニングイヤホンとしてはかなりレベルの高い製品といえるでしょう。ただ、いかにも中華イヤホン、という派手めのベクトルでのサウンドですので、オーディオマニアではない方が使うイヤホンとしては良い意味で中庸な「KZ ZSN Pro」よりややキツめの音に感じるかもしれませんね。いっぽうワイヤレス製品をメインに使っていて中華イヤホンを聴いたことがない方が初めて聴くと「この値段でこれだけハッキリとした臨場感のある音が聴けるのか」と驚くかもしれません。そういった意味で、いかにもTRNらしい、エントリー製品としても、マニアの方でも普段使いアイテムとしても使えるバランスの良いイヤホンだと思いますよ(^^)。