Moondrop Starfield

こんにちは。今回は中国のイヤホンブランド「水月雨(Moondrop)」の「Moondrop Starfield」の紹介です。「水月雨(Moondrop)」というとハイグレード仕様のインナーイヤー型イヤホン「CHACONNE」や「Liebesleid」の完成度の高さがよく知られており、最近ではカナル型でも先日レビューした「Moondrop KXXS」が国内版のリリースと合せてかなりの人気モデルに成長しています。私は国内版の発売と同時に購入し、約1ヶ月ほど使用しています。

今回、「Moondrop Starfield」ではドライバーにカーボンナノチューブ(CNT)振動板を採用。「Starfield」という名称の通り夜空をイメージした濃いブルーのカラーリングがとても美しいイヤホンですね。また音質面でも「KXXS」より少しメリハリが増した印象で、より厚みのある低域や抜けの良い高域と表現力豊かなボーカルが心地良い、非常に使い勝手の良いイヤホンに仕上がっています。
Moondrop StarfieldMoondrop Starfield
Moondrop Starfield」は亜鉛アルミニウム合金を精緻なCNC加工と手動研磨による「KXXS」と同様な形状に仕上げた金属ハウジングを採用し、さらに「星が輝く夜空」をイメージしたカラーリングおよびUVカット層のコーティングを施しています。
ドライバーには薄さ6μmのカーボンナノチューブ振動板を採用した10mmダイナミックドライバーをシングルで搭載。「KXXS」で採用されているDLC(ダイヤモンドライクカーボン)振動板より低価格化しつつ、「KXXS」同様の独自の音響設計を採用することで高い音質性能を実現しているようです。
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また本体カラーと合せた美しいブルーのケーブルは 4N OFC(高純度無酸素銅)のリッツ線仕様で、特徴的なブルーのカラーリングは樹脂被膜にカラーパウダーで装飾することで実現しているとのこと。

Moondrop StarfieldMoondrop Starfield

Moondrop Starfield」は日本国内では1月下旬より販売されており、 14,400円 程度の価格設定となっています。
Amazon.co.jp(国内正規品): Moondrop Starfield


■ 星空をイメージさせるブルーのカラーリングが美しいデザイン。付属品も充実。

Moondrop Starfield」のパッケージは夜空をイメージしたデザインで、内箱は水月雨のロゴがデザインされた質感の良いボックスになっています。
Moondrop StarfieldMoondrop Starfield
パッケージ内容は、イヤホン本体、ブルーの2pinケーブル、イヤーピースは形状の異なる2種類のイヤーピースがそれぞれS/M/Lサイズ、さらに「KXXS」でも付属していたノズルメッシュ部分の交換用パーツと交換用ピンセット、ケース、説明書・保証カードなど。パッケージは小振りですが付属品が充実しているのは「Moondrop Starfield」も同様ですね。
Moondrop StarfieldMoondrop Starfield

Moondrop Starfield」の本体は亜鉛アルミニウム合金製のフルメタルハウジング。形状は「KXXS」と同じで「Kanas Pro」より少し大きいサイズ。今回は表面に星空をイメージした濃いブルーのカラーリングとUVコーティング処理が施されておりフェイスデザインも個性的です。
Moondrop StarfieldMoondrop Starfield
装着性は比較的良好で、重量感のあるハウジングながらしっかり耳に収まります。イヤーピースは付属品のほか、定番のJVCの「スパイラルドット」やAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」なども良いと思います。また耳穴が細くイヤホンの重量で外れてしまい安い場合は「AET06」や「RHAダブルフランジイヤーピース」などのダブルフランジタイプを組み合わせるとしっかり固定できると思います。
Moondrop StarfieldMoondrop Starfield
付属ケーブルは本体カラーに合わせた濃いブルーのカラーリングで派手すぎず、しかし非常に存在感のあるとても美しいケーブルです。被膜は適度な弾力がありますが取り回しは良いです。また本体側の2pinコネクタは少し窪みがありますがCIEM 2pinのほか一般的な中華2pin対応のリケーブルでも問題なく使用できるようです。


■ バランスの良さが際立つ、明瞭さと聴きやすさを両立したリスニングサウンド

Moondrop Starfield」の音質傾向はバランスの取れた印象で、全体的にはフラット寄り。「Moondrop Starfield」も水月雨の人気モデル「Moondrop KXXS」とよく似た周波数特性を持っていますが、より中高域および中低域への若干メリハリがあり、印象はよりボーカル帯域の濃厚さを感じます。「KXXS」の特徴ともいえる高域の透明感のあるサウンドとは異なるものの、高域は適度に聴きやすく、中高域は明瞭で、低域はより厚みとキレがある印象です。
また、「Moondrop Starfield」が採用するカーボンナノチューブ振動板ダイナミックドライバーを搭載したイヤホンは中華イヤホンの中でも様々な製品がリリースされており、当初多かった中低域メインの製品だけでなく、先日レビューした「TINHIFI T4」など、同様にフラット寄りでニュートラルな印象のイヤホンも増えてきました。そんななかでも「Moondrop Starfield」は絶妙なバランスの良さに加えて、「水月雨」としての音作りの方向性もしっかり感じる事ができ、とても聴き応えのある製品に仕上がっていると思います。

Moondrop StarfieldMoondrop Starfield」の高域は明瞭感のあるサウンドで、シンバル音なども綺麗に鳴らしてくれます。いっぽうで「KXXS」のような透明感のある高域とは異なりややソリッドな印象を受けます。中高域付近にアクセントがあり、刺さりやすい帯域でスッと抜けていくようなチューニングになっており、スッキリとした抜けの良さと刺激の少ない聴きやすさを両立しています。このように高域を抑え気味のチューニングの場合、音数の多い曲では籠もりがちになりそうですが、「Moondrop Starfield」ではカーボンナノチューブ振動板らしい反応の良さがあり、詳細な描写とアタックの正確さを確保できている点はとても好感できる部分です。ただし、高域好きの方の場合もう少し伸びが欲しいと思うかもしれません。この辺はDLCドライバーを採用した「KXXS」と使い分けるポイントとなるでしょう。

中音域はとても表現力豊かで、明瞭ながら滑らかで艶のある音を鳴らします。このクラスの中華ハイブリッドなどに多い硬質でドライなサウンドとは一線を画しており、適度な暖かさでありのままの音をとても自然に、しかしとても鮮やかに描写するのが印象的です。比較的に前方に定位するため奥行きは少なめですが音場は適度な広がりがあります。そのため「KXXS」より特にボーカル帯域で濃さを感じる音で、レスポンスの良さも含めて特にロックやポップスなどのボーカル曲で相性の良さを感じるのではと思います。
Moondrop Starfieldいっぽうインストゥルメンタルやクラシックなどでは「KXXS」の透明感のある柔らかいサウンドのほうが心地よく感じそうです。この辺は製品ごとの「キャラクターの違い」といえるでしょう。あくまで自然なサウンドの範疇ですが、「Moondrop Starfield」のほうがちょっとだけ派手めで濃い音、という感じすね。この傾向を印象づけているのは女性ボーカルのハイトーンやピアノの高音など中高域の抜けの良さと、キレがあり明瞭さを感じる中低域が適度に主張することで、緩やかなドンシャリ気味のリスニングサウンドに感じるチューニングのようです。ブランドとしての「水月雨らしさ」を色濃く反映させながらも、「Moondrop Starfield」のキャラクターをしっかり感じさせる、やはり非常に上手い音作りですね。

低域も非常に表現力が高く、カーボンナノチューブ振動板らしい解像度の高さとキレの良さがあり、ベースラインを捉えやすい明瞭な音です。フラット寄りの傾向のあり低域が強調されることはありませんが、適度な量感と締まりがあります。過剰な味付けや膨らむようなことは無く、ありのままの低音をしっかり描写してくれる印象で、音数の多い曲でもしっかり表現してくれます。また重低音も適度な沈み込みがあります。よりレスポンスが良く元気な低域を楽しめると思います。

このように「Moondrop Starfield」は突出した音響性能というより「バランスの良さ」を強く実感できる製品だと思います。リスニングイヤホンとしてサウンドバランスが良く、また明瞭かつ濃厚で、自然で適度な暖かさがあることで聴き疲れもしにくい、と「音作りの絶妙さ」が際立ちます。
Moondrop Starfieldちなみに比較的価格も近く、同じくカーボンナノチューブ振動板のダイナミックドライバーをシングルで搭載する「TINHIFI T4」は海外レビューなどでも頻繁に比較されていて、私もどちらも非常に良いイヤホンだと思います。優劣は少なくほとんど「好みの問題」レベルでしょう。
個人的は印象では「TINHIFI T4」のほうがよりスッキリしている反面ニュートラルさが強く、やや「淡泊」に感じるサウンドで、「Moondrop Starfield」のほうが特にボーカル帯域を中心にリスニング寄りな印象です。より分析的に聴くのには「TINHIFI T4」のほうが優れていますが、エモーショナルに感じるのは「Moondrop Starfield」でしょう。これは良し悪しというより「表現の違い」かな、と思います。

なお、「Moondrop Starfield」はインピーダンス32Ω±15%、感度122dB/mWと鳴らしやすさでは一般的なレベルのイヤホンではありますが、より駆動力のある再生環境のほうがしっかりと鳴らせると思います。そういった意味ではリケーブルも比較的効果は大きい印象です。最近では中華ケーブルの定番アイテムとなった16芯銀メッキ線ケーブルは、付属のOFCリッツ線と傾向が近く、音質傾向を変えずによりメリハリのあるサウンドを楽しめます。またバランス接続を行うことで分離感を高めるいっぽうで、私のブログでも良く書いている「駆動力を稼げる」という点でも効果を実感しやすいかもしれませんね(多くのDAP等ではバランス接続のほうが出力が大きくS/Nが高いため)。
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というわけで、「Moondrop Starfield」は1万円台クラスの製品のなかでも完成度は非常に高く、かなり「万能イヤホン」として幅広くお勧めできる製品だと思います。ここ数年で同価格帯の競合はいっそう激しくなり、私のブログでも数多く紹介をしていますが、どれもレベルが高く、なかなか悩ましい状況になっていますね。専門店に足を運べる方は試聴などで好みの製品を探して頂くのがベストな方法ですが、まあ「見た目の好みで選ぶ」方法でもそんなに失敗はないかもしれないですね。そういった意味では今回の「Moondrop Starfield」は「見た目良し」「音も良し」でお手頃感もあるので、結構選びやすそうな気もします(^^)。