TFZ X3

こんにちは。今回はTFZの最新完全ワイヤレス(TWS)イヤホン「TFZ X3」の紹介です。中国のイヤホンブランド「TFZ(The Fragrant Zither)」は個人的に好きなブランドと言うこともあって、私のブログでは低価格モデルから比較的ハイグレードな製品まで数多く購入&レビューをしてきました。
過去記事(一覧): TFZ製イヤホンのレビュー

今回の「TFZ X3」は、TFZブランドの完全ワイヤレス(TWS)イヤホン「TFZ X1」(日本未発売)の上位モデル(または後継モデル)としてリリースされた製品。本体およびケースは光沢のあるクローム仕上げとなっており高級感が大幅にアップしています。内部仕様も「2BA構成」「aptX対応」「ANC搭載」など大きくグレードアップしており、非常にコストパフォーマンスの高い製品に仕上がっています。
TFZ X3TFZ X3
ちなみに、「TFZ X1」は中国のTWSメーカー「mifo」の「mifo O5 Pro(BAモデル)」のOEM製品と言われており、今回の「TFZ X3」も外観および仕様的に同社の「mifo O7」のOEMまたはベースとして作られた製品と思われます。ただサウンドチューニングは異なる可能性もあり、販売価格も「TFZ X3」のほうがより低く設定されています。

ちなみに、TFZのワイヤレス製品としては、自社製イヤホン用のBluetoothケーブル(現在のモデルは「TFZ BC-02」と「BC-03」がAliExpressで購入可能)およびこれらのケーブルのセットモデルを以前より販売しており、TWS製品としては上記の「TFZ X1」の他に、現在は「TFZ B.V2」、そして最新低価格モデルの「TFZ COCO Q1」(49ドル)がAliExpress上では購入可能です。
TFZ X1TFZ B.V2TFZ COCO Q1

いっぽう、これらの製品と比較してもよりハイグレードに位置づけられる「TFZ X3」では、2基のバランスド・アーマチュア型ドライバーを搭載した2BA仕様にアップグレード。また、Qualcomm製チップセットの採用によりBluetooth 5.0およびaptX/AACコーデックに対応する仕様となっています。またよりコンパクトになったクローム仕上げの金属製バッテリケースや、フェイス部分にタッチセンサーを搭載し、メカニカルスイッチだった「X1」より進化の後が伺えます。最大7時間の連続稼働時間とケースによる3回程度のフル充電に対応するなどTWSとしての実用性面でも十分なスペックとなっています。
TFZ X3TFZ X3

そして、「TFZ X3」では通話ノイズキャンセリングのCVCがより強化され、いわゆるANC(アクティブノイズキャンセリング)の方式をとっています。これはフェイス部分の集音マイクから外音を取り込みノイズを打ち消す周波数の音を出すことで擬似的に「無音状態」を作り出す手法。ソニーの「WF-1000XM3」など高音質ノイズキャンセリング・イヤホンで採用されている仕組みと基本的には同じもので、「TFZ X3」では「通話時のみ」ながら採用しています。「通話のみ」なのは、音楽再生時はより精密かつ高度なノイズキャンセリング処理が必要で、通常はアプリによりON/OFFや強度制御などを行う必要があるため、「TFZ X3」ではより実装が容易な通話時のみでの採用ということだと解釈しました。
TFZ X3TFZ X3
なお、「TFZ X3」は防水性能も持っており、「mifo O7」は「IPX7」相当との記載もあります。このようにTWSでは非常にめずらしい「2BA」構成で、実用性の高い仕様と高級感のあるデザインで、TFZのワイヤレスイヤホンとして所有欲を十分に感じさせてくれる製品ですね。

TFZ X3」の価格は 129ドル(Penon Audioなど)で、さらにAliExpressの「The Fragrant Zither Pro Store」など複数のセラーでは119ドル で購入することが可能なようです。なお、私は米国の共同購入サイト「Drop」での先行予約販売でオーダーしました。次回の販売がいつになるかはわかりませんが、納期が1ヶ月~以上かかる代わりにより低価格で購入できる可能性があります。
AliExpress(The Fragrant Zither Pro Store): TFZ X3
Penon Audio(直営店): TFZ X3
Drop (旧 Massdrop): TFZ X3  ※購入期間以外はリクエストにより開始通知を受け取れます


■ コンパクトなハウジングでクローム仕上げの美しいデザイン。イヤピは工夫が必要な場合も。

TFZ X3」のパッケージは、通常のTFZの有線イヤホンより少し大きめ。付属品はイヤホン本体、充電ケース、イヤーピース(大小5種類)、充電ケーブル、説明書。おそらくOEM元になっていると思われる「mifo」製品の付属品の多さに対してこちらは至ってシンプル。最小限の内容という感じです。
TFZ X3TFZ X3
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充電ケースもmifo製品同様の金属製で鏡面仕上げになっています。「TFZ X1」(あるいは「mifo O5」)と比べて重さはあまり変わりませんが大きさはひとまわり以上コンパクトになっています。
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本体はタッチセンサーのあるフェイス部分がクロームメッキによる鏡面仕上げの金属製で、耳に触れる背面部分は樹脂製となっています。重量感のあるケースとは対照的にかなり軽量です。サイズは比較的コンパクトで耳にすっぽり収まるサイズ。そのためイヤーピースは耳穴(外耳道)の奥まで装着するタイプで、通常のカナル型イヤホンより非常に小さいサイズになっています。また、ステムのイヤーピース取付け部分は浅く、イヤーピースは付属品のほかTWS用の浅いタイプのものを選ぶ必要があります。
TFZ X3TFZ X3
イヤーピースは通常タイプが「大中小」の3サイズ(大で普通のイヤーピースのMサイズよりやや小さいくらい)、さらに円錐タイプが「中」と「小」の2サイズが付属します。ただ、私の場合は付属する一番小さいイヤーピースでもいまひとつフィットしなかったため、「SpinFit CP360」のSSサイズを使用。少し高価ですが、装着性が劇的に改善しました。またケース側の空洞部分が小さく通常の市販されるイヤーピースの場合ケースの中に入りきらないのですが、この製品の場合はケースにも無事収まりました。


■ 解像度が高く明瞭感のあるスッキリしたサウンド。同価格帯では頭ひとつ抜けた完成度かも。

TFZ X3」のペアリングは非常にスムーズで、左右双方でペアリングする方式のため接続性も良好です。aptX接続で屋外での利用でも安定しており、都内の混雑した駅でも数回途切れることはあったものの快適に利用できました。
TFZ X3TFZ X3

フェイス部分のタッチセンサーは、シングルのクリックでは音量調整で、再生/停止はダブルクリックを行う方式。音量はペアリングしたプレーヤー側とは連動せず、独立して動作します。比較的使いやすい感度で、操作に慣れれば違和感なく使えると思います。

TFZ X3そして、「TFZ X3」の音質傾向は想像以上に高域から低域までバランスの取れたフラット寄りサウンドで、2BA製品らしいやや硬質で明瞭感のあるスッキリした鳴り方をします。中華ハイブリッド的な派手なドンシャリとはかなり異なる印象ですが、伸びの良い高域と、適度な広がりと厚みのある低域は十分な量感があります。
注目したいのは「TFZ X3」のインピーダンスが60Ωと、2BA構成としてはかなり高く設定されている点で、高域のBAらしい解像感と明瞭感を維持しつつ、ネットワークで中低域の厚みを増すようなチューニングが行われているのがわかります。そのため奥行きと適度な広がりのある音場感があり、高い分離性による定位を捉えやすい立体的なサウンドが楽しめます。
全体的に完成度は高く、TWSというよりリスニングイヤホンとしても聴き応えのある音を鳴らします。

TFZ X3」の高域は明るく明瞭感のある音を鳴らします。非常にスッキリした印象でシンバル音も綺麗に分離します。いっぽうで刺さりなどの刺激を感じる少し手前くらいでコントロールされています。
高域が多い曲では一般的な低域厚めのTWSと比べると高域が強く感じるかもしれませんが、同時に有線のリスニングイヤホンからの乗換えでも違和感なく使える高域だとも言えるでしょう。

TFZ X3中音域はハッキリとした強めの主張があり、やや硬質でキレのある音を鳴らします。解像感は1万円~、100ドル程度のTWS製品のなかでは「TFZ X3」の中音域は頭ひとつ抜けており、非常にクリアで明瞭なサウンドです。ボーカル帯域は前方で定位し、少し下がって演奏が鳴る印象。最近の製品で増えているボーカルを中心としたチューニングですね。ただし音場は適度な広がり奥行きがあり、窮屈さを感じる事はありません。
女性ボーカルやピアノの高音は綺麗に伸び、適度な光沢があります。いっぽうで男性ボーカルの低音はややドライな印象を受けるかも知れません。

低域は2BA仕様のイヤホンとしては十分な量感があり、特に中低域(ミッドベース)は適度な力強さと明瞭感のある鳴り方をします。とはいえ多くのシングルダイナミック構成のTWSと比較すると「TFZ X3」の低域は多少控えめに感じるかもしれません。適度な響きが広がりのある音場感を演出しておりボーカル帯域を下支えする印象の低音です。また中高域との分離は良く籠りを感じる事はありません。いっぽう重低音はやや弾むような膨らみがあり多少割り切っている印象もあります。
ロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲と相性が良く、分離の良い硬質なサウンドからEDMなどの電子音との相性も良好です。いっぽうでジャズなどはクールすぎてもう少し暖かみが欲しいと感じるかも知れませんね。


TFZ X3というわけで、「TFZ X3」はクローム仕上げの光沢ハウジングと見た目にも高級感があり、音質的にも2BA構成を活かした同価格帯では1ランク上のサウンドを実現していました。海外レビューでは「TFZ X3」のOEM元と思われる「mifo O7」と「AirPods Pro」の比較記事などもありましたが、確かにそのレベルの製品と比較しても十分に楽しめる製品だと思います。
個人的な印象では、「WF-1000XM3」と比較した場合、ノイズキャンセリングなどをあえて度外視すると、全体的なサウンドバランスは「WF-1000XM3」のほうが優れているものの、特にキレの良さや中高域の明瞭感では「TFZ X3」のほうが高く、接続性や装着性の良さもあり、好みが分かれる、というレベルには達していると思います。
アマゾンでは「TFZ X3」は購入できませんが(「mifo O7」は購入可能)、いろいろな点を「十分に理解している方」であればかなりお勧めできる製品だと思いますよ。