Echobox Nomad N1

こんにちは。今回も前回に引き続き、過去に諸般の事情で書きかけのまま放置していた没ネタを引っ張り出して再構成する「棚からレビュー」企画です(^^;)。今回は以前から販売され、高いサウンドクオリティを持つ特徴的なシングルダイナミックの製品として人気を博した「Echobox Nomad N1」です。

発売当初はそれなりの価格設定の製品でしたが、米国の共同購入サイト「Drop」(旧「Massdrop」)で相次いでEchobox製品が登場。「Echobox Nomad N1」も幾度かの値下げの結果、100ドル以下の発売当初(399ドル)からは想像できない価格で購入できるようになり、ちょっとしたお祭り状態になりました。ちなみにこのような「Drop」案件(笑)では、最近ではMeeAudioの「MeeAudio Pinnacle P1」も同様に爆安価格で登場しましたが、こちらについても近日中に「棚からレビュー」で紹介しようと思っています。


■ 「399ドルの人気モデル」が「80ドル」になったら、それは買いますよね(^^;)

というわけで、今回は米国「Echobox」のフラグシップモデル「Echobox Nomad N1」ですね。発売されたのは2017年で当初は399ドルの価格設定だったイヤホンです。その後メーカーサイトで割引きにより249ドル程度で購入できましたが、メーカーサイトのクローズ後、「Drop」でさらなる低価格での販売が繰りかえし行われ、最近の募集では100ドル以下での購入が可能になる事態になっています。
Echobox Nomad N1Echobox Nomad N1
Echobox Nomad N1」は、ハウジングにチタンを採用し、9.2mmサイズのPEEK(Polyether Ether Ketone)ダイナミックドライバーをシングルで搭載します。またノズル部分のフィルターが交換式になっており、3種類のフィルターによる調整が可能です。ロットによって微妙に違いがあったりもしたようですが、解像度が非常に高く、249ドルぐらいの頃からマニアの間では定評のあった製品です。

「Drop」では最近では脅威の80ドル+送料という価格になっており、「もし持って無かったらとりあえずポチっておけ」という脅威の投げ売り価格になっています。最近の募集は先日終了したばかりですが、とても人気があるようで(そりゃそうですね)、結構頻繁に募集をしているので、あらかじめチェックしておいた方が良いでしょう(製品ページで「Request」しておくと次回開始されたときに通知メールが届きます)。

「Drop」: Echobox Nomad N1 IEM


ちなみに、私も「Echobox Nomad N1」は「Drop」で購入しましたが、150ドルほどのタイミングで購入しました。この価格でも十分に安いと思いましたが、まさかさらに半額近くになるとは・・・(汗)。
Echobox Nomad N1Echobox Nomad N1
もともと定価設定が400ドル近く、実質でも250ドルほどで販売されていた製品ですので、付属品は非常に充実しています。付属の銀メッキ線ケーブルがマイクコントロール付きなのがちょと残念ではありますが、イヤーピースは透明なシリコンタイプがS/M/Lの各サイズ、ブラックが大小の2ペア、ダブルフランジが1ペア、トリプルフランジが1ペア、ウレタン(コンプライ)が1ペア、大きめのケース、そして説明書など。ただ最近のロットではイヤーピースの構成は多少変更になっているかもしれません。
Echobox Nomad N1Echobox Nomad N1

チタン製のハウジングは比較的コンパクトで耳にすっぽり収まりやすい形状です。また、イヤーピースのバリエーションが豊富にあるため、多くの場合は付属品のみで十分な装着感を得られると思います。個人的にはもう少し小振りのダブルフランジを使いたかったので「RHAダブルフランジイヤーピース」を組み合わせています。
Echobox Nomad N1Echobox Nomad N1
ノズルフィルターは色分けされており、ブラックが「Reference」(リファレンス)、レッドが「Treble」(高域強調)、シルバーが「Bass」(低域強調)となっています。後述の通り「Echobox Nomad N1」はかなり高域がクッキリとしたイヤホンのため「Treble」(レッド)のフィルターではかなり刺激が強く感じる可能性が高いかも。
また本来は「Reference」(ブラック)をメインに好みに応じてフィルターを変えるというイヤホンですが、最近の「ボーカル帯域推しで高域の刺さりは抑える」傾向の製品と比較すると、「Reference」(ブラック)でも結構高域はキツく感じる人も多いかも知れません。そのいっぽう「Bass」(シルバー)のフィルターでも高域は明瞭に鳴ってくれるため、最近のイヤホンの傾向にあわせると「Bass」(シルバー)をメインに、よりスッキリさせたい場合は「Reference」(ブラック)、がっつり高域を伸ばしたい場合は「Treble」(レッド)、という感じで組み合わせを検討した方がよさそうですね。


■ 販売当時とは傾向が変わりつつある現時点で改めてレビューするのも結構興味深し(^^)。

Echobox Nomad N1」の音質傾向は緩やかなV字カーブを描く弱ドンシャリ傾向で、かなりクッキリとした輪郭と明瞭感のある高解像度サウンド。要するに「スッキリして伸びの良い高域」、と「締まりのある低域」、そして「ニュートラルながらシャープに解像感を高めた中音域」、という印象ですね。2017年~2018年頃の製品はこのような高解像度志向は比較的多かったものの、その中でも特に完成度の高いイヤホンのひとつが「Echobox Nomad N1」だと言えるでしょう。
Echobox Nomad N1ちなみに、よりドンシャリ傾向を強めて、さらに硬く金属質な(あるいは人工的な)印象が重なると「中華ハイブリッド」の寒色系サウンドになっていく、という感じでしょうか。ただ当時の中華ハイブリッドはいわゆる「ZS6系イヤホン」など、全体のつながりやバランスよりメリハリ重視の製品も多かったため、「Echobox Nomad N1」は次元が違うことは確かです。そのためこのような傾向を好むマニアからは受けが非常に良く、いっぽうで最近の「ボーカル帯域推し」の傾向と比べると「高域がキツすぎる」「ドンシャリすぎる」と感じる可能性もあります(前述の通り中音域の主張もしっかりあるので実は言うほどドンシャリではないです)。

組み合わせる3種類のフィルターについて、「Echobox Nomad N1」の特徴をしっかり感じる事が出来るのはやはり「Reference」(ブラック)フィルターでのサウンドだと思います。Echobox Nomad N1」はPEEK振動板のダイナミックドライバーが繰り出す音にチタン製のハウジングが組み合わされることで極めてシャープな高解像度サウンドを実現しています。
その特徴を多分そのまま出力しているのが「Treble」(レッド)フィルターで、こちらは高域がかなり盛大に「暴れます」(笑)。最初よくこんな変態フィルター付けるなぁと思ったのですが、実際は「そもそもそーゆーイヤホンだ」と考える方が適当でしょう。いっぽうで「Reference」(ブラック)フィルターではこの「暴れ馬」的サウンドを適度にいなし、本来のシャープさをしっかり維持したまま、全体のサウンドとバランスを合せて制御されたサウンドを作り出しています。とはいえ「Reference」(ブラック)フィルターでの印象は「鳴らしやすい『RHA CL1』みたいな方向性」のサウンドなので、それでも結構好みが分かれるのは間違いなさそう。

というわけで、最近のイヤホンの傾向と比較し、おそらく最も「受け」が良いと思われるのは「Bass」(シルバー)フィルターでの組み合わせ。高域はどのフィルターでも明瞭かつシャープな音で、「Bass」(シルバー)フィルターでは刺さり等はかなり抑えつつもある程度の主張がある明るく伸びの良い音を鳴らします。個人的には「Reference」(ブラック)フィルターでのクリアな高域も魅力的なのですが、ある程度長時間のリスニングでは「Bass」(シルバー)フィルターのほうが圧倒的に使いやすいでしょう。
Echobox Nomad N1「Bass」(シルバー)フィルターでは、やや低域の厚みが増す関係で相対的に中高域が抑えられ、中音域は僅かに後方で鳴ります。ただ全体的に音場は広めで分離感の良い音なので定位感は良く、むしろ自然な印象のサウンドに感じるのはと思います。しっかりとした主張がありつつもニュートラルな音で明瞭ながらあまり人工的には感じない点はこのイヤホンの大きな特徴といえるでしょう。女性ボーカルのハイトーンやピアノの高音はかなりクリアに伸びますが、僅かに刺激を感じる場合もあります。
低域は非常に分離感が良く締まりのある音。いっぽうで楽器の特徴を生々しく表現する質の高さがありかなり好印象なサウンドです。より解像感を感じるのは「Reference」(ブラック)フィルターですが、個人的には「Bass」(シルバー)フィルターで量感をアップさせつつ、僅かに緩くなる点をリケーブルによる情報量の向上でカバーさせる組み合わせが気に入っています。

リケーブルは、「Echobox Nomad N1」の特徴を活かすよう、味付けより情報量アップや明瞭感アップを中心に考えた方が相性が良いと思います。個人的には以前から16芯ミックス線のHiFiHear「HiF4827」を合せていますが(アマゾンではMMCX仕様は完売の模様)、最近なら「NICEHCK C16-4」(銀メッキ線)や「C16-5」(ミックス線)などは良いと思います。またBass」(シルバー)フィルターの聴きやすいバランスを選びつつ、よりスッキリ感を向上させたい場合はOFHC線の「YYX4859」「NICEHCK GCT4」を組み合わせるのも良い選択肢だと思います。
Echobox Nomad N1Echobox Nomad N1


■ 次回の「棚からレビュー」は「MeeAudio Pinnacle P1」を予定してます

というわけで、今回は「Drop」のおかげでにわかに人気が再燃した「Nomad N1」でした。同じようなネタで、中国「MeeAudio」の代表的モデル「MeeAudio Pinnacle P1」も先日とうとう「Drop」で脅威の低価格で登場しました。
Echobox Nomad N1MeeAudio Pinnacle P1」(現在アマゾンで25,800円)については、以前よりMassdropコラボモデルの「Massdrop × MeeAudio Pinnacle PX」(現在115ドル/日本への発送不可)がありますが、まさかの「Pinnacle P1」そのものがが110ドル+送料という驚きの価格で販売され、こちらは日本への発送もOKということでちょっと話題になりました。現時点では新型コロナウイルスの欧米での拡大の影響も多分に考えられますが、「Pinnacle P1」のほうも「Nomad N1」同様に非常に評判が良かったので同様の価格での募集がまたあるのでは、と予想されますね。
というわけで、次回は通常の新製品レビューをはさみつつ、その後の「棚からレビュー」では「MeeAudio Pinnacle P1」を紹介しようと思っております。