KZ-S2

こんにちは。今回は「KZ-S2」の紹介です。中国のイヤホンブランド「KZ」(KZ Acoustics)は、ポータブルオーディオの世界で数年前より大きな注目を浴びている「中華イヤホン」を牽引してきたメーカーとしてマニアの間ではお馴染みの存在。ハイスペックながら驚異的な低価格と明瞭感のあるクールなサウンド(私のブログでは「寒色系ドンシャリ傾向」と紹介することが多いです)で数多くのファンを獲得しています。また数年前よりワイヤレス製品も手がけており、特に最近は完全ワイヤレス(TWS)イヤホンの新製品が目立ちますね。

※これまで私のブログでは30種類以上のKZ製イヤホンのレビューを掲載しています。
過去記事(一覧): KZ/CCAブランドのイヤホンレビュー

さて、「KZ-S2」はKZの最新TWS製品で、今回は従来のAliExpress、GearBestなどの越境ECサイトや各国のAmazon等ではなく、「Indiegogo」および日本では「Campfire」といったクラウドファンディングでのプロジェクトとして、出資者への販売という形式を取っています。
なお、本レビューは L.Sオーディオ(Linsoul)からの事前サンプル提供により紹介させていただいております。メーカーからの記載情報に基づく仕様等については当ブログで保証するものではなく、また実際に出荷される製品と異なる点がある可能性もありますのであらかじめご了承ください。

KZ-S2KZ-S2

KZ-S2」のドライバー構成は「1BA+1DD」のハイブリッドで、KZ製イヤホンではお馴染みのバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバー「KZ 30095」ツィーターユニットと、7mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載します。チップセットは「Realtek 8763」でBluetooth 5.0およびAAC/SBCコーデックに対応します。またマイク部分はCVC通話ノイズキャンセリングを搭載しておりクリアな音声通話が可能になっています。「KZ-S2」の連続稼働時間は4時間で、さらに充電ケースとの組み合わせで最長20時間の利用が可能です。
KZ-S2KZ-S2

KZ-S2」での日本での販売価格は税込み5,280円となる予定です。現在、日本ではクラウドファンディング「Campfire」にて 3,980円 (先着500名)からの開始価格でプロジェクト参加者を募集中です。
Campfire(KZ Acoustics): KZ-S2 TWS プロジェクト


■ 稼働時間に加えて装着性など細かい改良で完成度が向上。イヤーピースはSサイズも欲しい。

手元に届いた「KZ-S2」のパッケージは白箱にラインイラストが掲載されたシンプルなタイプ。今回はブラックのカラーで届きました。クラウドファンディングでは「ブラック」および「ホワイト」の2色が掲載されていますが、パッケージ側面には「グレー」と「レッド」の記載も。今後正式に製品化された際にカラーバリエーションがラインナップされる可能性がありますね。
KZ-S2KZ-S2
KZ-S2KZ-S2
パッケージ内容は、イヤホン本体および充電ケース、イヤーピース、充電ケーブル、説明書、保証書。充電コネクタはUSB Type-C仕様になっています。

KZ-S2」のイヤホン本体は樹脂製でステムノズル部分のみゴールドカラーの金属製。一般的なTWS製品のようなイヤーフックなどは付属しません。少し大きめのハウジング形状ですが耳にフィットしやすい形状で装着感は良好です。
KZ-S2KZ-S2
既存モデルの「KZ-S1」「KZ-S1D」と比較すると全体的なサイズ感はほぼ同じですが、背面部分が「KZ-S2」では耳にフィットしやすい形状にデザインされており装着感は確実に向上しています。イメージとしては「KZ ZSX」に近く、この耳へのフィット感が低域などの感じ方にも影響があると思われます。フェイス部分はタッチセンサー部分が円形で僅かに盛り上がった形状になっており、平面の「KZ-S1」「KZ-S1D」より操作部が分りやすいデザインとなっていますね。
KZ-S2KZ-S2
また「KZ-S2」本体の連続稼働時間も4時間と「KZ-S1」「KZ-S1D」の3時間から長時間化しています。1時間の差ですが実際に利用していると結構違いがありそうです。さらに充電ケースは「KZ-S1」「KZ-S1D」より大容量化しており、充電ケースを含めた稼働時間では倍近い長時間利用が可能になっています。また「KZ-S2」の重電用のポートがケース下面に付いているのも面白いですね。縦長のケースなので横にして充電した方が安定していそうですし、細かい配慮が感じられます。
KZ-S2KZ-S2
なお、手元に届いた「KZ-S2」ではイヤーピースはLサイズとMサイズの2種類でした。ほとんどの人はこのサイズで問題ないと思いますが、私は耳穴が細いため「KZ S1」など同社の過去モデルに付属するSサイズのイヤーピースを流用して使用しました。もし製品版でもイヤーピースは2サイズのみの同梱だった場合、既存モデル同様にSサイズを含めた3サイズを要望したいところです。


■ アクティブな利用でも安定性および操作性が向上。また低遅延モードも実装。

さっそく「KZ-S2」をBluetoothでペアリングして聴いてみます。LR独立ではないため、プレーヤー側では「KZ S2」と1項目のみ表示されます。iPhoneおよびAndroidデバイスのどちらでもAACコーデックでスムーズに接続できました。

KZ-S2最近ではテレワーク中心で外出機会が少なくなっていることもあり、週末早朝の東京都心を軽くウォーキングおよびランニングをして運動不足を解消しています。今回はこのときに「KZ-S2」を使用してみました。
KZ-S2」はRealtekのチップセットを採用していますが、Bluetooth 5.0での接続性は良好で全く途切れることはありませんでした。フィット感が向上したシェル形状により、「KZ-S1」より多少の動きでも外れにくくなったことは良い進化ですね。また、IPX5の防水性により結構汗をかいてもまったく動作に支障は支障はありませんでした。フェイス部分のタッチセンサーが丸いパーツで僅かに盛り上がった形状になったことで、このように汗をかいたときに誤操作がほぼ無くなったのも細かい部分ですが良い変化でしょう。

なお、「KZ-S2」のフェイス部分のタッチセンサーは、「再生/停止」(シングルタップ)や「曲送り」(右側2回タップ)/「曲戻し」(左側2回タップ)などの操作が可能です。センサーの反応は適度な印象で、極端に敏感で誤操作につながることも逆に反応が悪く操作しづらい事もありませんでした。なお、タッチセンサーで音量操作はできず、プレーヤー側で行う必要があります。
KZ-S2また「KZ-S1」で「Game Mode」として搭載されていた、いわゆる「低遅延モード」は、「KZ-S2」でも「High-performance Mode」という名称で搭載されています(製品付属のマニュアルに記載あり)。「左右どちらかを3回タップ」すると「High-performance Mode」というボイスアナウンスが入ります。逆にこのモードでもう一度3回タップすると「Standard Mode」というボイスアナウンスとともに標準のモードに戻ります。
「High-performance Mode」ではよりゲームに適した低遅延での再生が可能ですがバッテリ消費はある程度早くなるようです(音質的な違いはほぼありませんでした)。


■ 中華ハイブリッドの醍醐味を感じる、パワフルで楽しいサウンド。

KZ-S2」の音質傾向は、わかりやすい「寒色系ドンシャリ」で、ボーカル寄りにまとめられた「KZ-S1」「KZ-S1D」と比べてもかなり「派手め」のサウンドに仕上がっています。「中華ハイブリッド」らしい、伸びがあり明瞭な高域と、パワフルで主張のある低域が特徴的です。「KZ-S2」と聴き比べると同様にスッキリした印象で1BA+1DD構成のハイブリッドTWS「KZ-S1」は相当大人しく感じるでしょう。

KZ-S2」の高域は煌びやかさを感じる明瞭で少し主張のある音を鳴らします。開封直後はかなり強めの音に感じましたが数時間鳴らしたことで落ち着き、聴きやすいバランスになりました。いわば「いかにも中華ハイブリッド」という音ですが、シンバル音なども適度な刺激とともにバランス良く鳴ってくれるのは好印象です。「KZ-S1」より明らかに強めの主張がある高域ですが、刺さりやシャリ付きは適度にコントロールされています。
KZ-S2中域は強めのドンシャリ傾向のため僅かに下がって定位しますが、特に凹むこと無くなります。低価格ワイヤレスイヤホンにありがちな誇張された音ではなく、味付けの無いスッキリとしたサウンド。また音場は広くないものの分離が良いためボーカルの定位は自然で、輪郭を捉えやすい印象です。いかにもKZらしい寒色系でやや硬質感のある音のため、ロック、ポップス、アニソンなどのスピード感のある曲や音数の多い曲もしっかり聴かせてくれるいっぽうで、バラード曲などは多少ドライに感じる場合もあるかも知れませんね。
低域は非常に力強く存在感があります。しかし中高域との分離の良さと締まりがあり、籠もるようなことはありません。また重低音の沈み込みはこのクラスの製品としてはかなり良く、しっかり鳴らしてくれるのも好印象です。曲によってはベースラインが少し強めに感じる場合があります。しっかりとした低域の下支えがあり、多少エッジの効いたハッキリ目のサウンドで鳴らしてくれるため、全体としてジャンルを選ばず楽しく聴ける元気なイヤホン、という印象に仕上がっています。

個人的には「KZ-S1」のボーカル寄りで聴き疲れしないサウンドも使いやすくて良いと思いますが、「KZ-S2」は「これこそKZの音だよね」と感じさせる楽しさがあり、製品としても低価格で手堅くまとめられていることも含めて非常に好感の持てる仕上がりでした。


というわけで、「KZ-S2」は完全ワイヤレスイヤホンとして、音質面や実用性においても十分にコストパフォーマンスに優れた製品だと感じました。ほぼ同じ1BA+1DDハイブリッド仕様の「KZ-S1」との比較では音質面で「KZ-S2」のほうがより「ハイブリッドらしさ」を感じるメリハリのあるサウンドにチューニングされています。また装着性や稼働時間、充電ケースのバッテリ容量など様々な点で細かいながらアップデートが加えられており、低価格TWSとしてさらに完成度がさらに向上した印象です。
KZ-S2とはいえ「KZ-S2」はクラウドファンディングでの募集という扱いになっていますが、これは「販売方法の違い」だけで製品としては従来のKZのイヤホンの流れを組むバリエーションのひとつと考える方が良いでしょう。つまり、私のブログでも繰り返し書いている「中華イヤホン」らしい「怪しさ」というか「自己責任」の部分は特に払拭されているわけではないという認識ですね。そういった意味では従来のKZ製イヤホン同様、製品としての内容に関係なく、通常に日本国内の店頭で販売されている商品とは完全に区別して捉える必要はあります。要するに諸々分かってる方が承知の上、というやつです。
とりあえず今回の販売アプローチで従来と市場の変化がどのようにあるか、いちユーザーとして今後も見守っていきたいと思います。