KBEAR KS2

こんにちは。約半月ぶりの更新ですね。少しだけご無沙汰しておりました。
ここ1ヶ月ほど、ちょっと東京の住居の引っ越しをしていたり、本業のほうで新しい仕事を始めたりとなかなか慌ただしい状態でした。その間も色々購入をしたり依頼を受けたりもしていたのですがじっくり聴いている余裕が無かった、というのが正直なところです。ということでレビュー待ちのネタも相当に溜まっていますし、これから届くものも結構ありますので、少しずつ本来のペースに戻していこうと思います。今後ともよろしくお願いいたします(^^)。

というわけで今回レビューするのは「KBEAR KS2」です。中国の新しいイヤホンセラー「Keephifi」(@KeephifiO)からのサンプル提供となります。「KBEAR」は昨年登場した新しい中国のイヤホンブランドですが、私のブログでもすでに多くのモデルを紹介しており、精力的に新モデルをリリースしている注目の存在。また多くのジャンルの曲で使いやすいドンシャリ傾向のバランスでまとめられることが多く従来のモデルも好評なところもポイントですね。
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今回の「KBEAR KS2」は1BA+1DDのハイブリッド構成のイヤホンで、低価格ながらこだわりを感じるサウンドチューニングが印象的。またシンプルかつ使いやすいデザインで見た目にも多くの方が違和感なく使えるのも良いですね。そして音質面でも従来の低価格の中華ハイブリッドとは一線を画した非常にまとまりの良いサウンドで、多少地味な印象ながら、30ドル以下、3千円未満の製品としてはかなり良いイヤホンだと思います。
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搭載するドライバーは10mmサイズの複合振動板ダイナミックドライバーとシングルのバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを1基ずつ搭載し、それぞれのユニットはネットワーク回路により出力がコントロールされています。コネクタ部分にはTFZ製イヤホンと互換性のある0.78mm 2pinコネクタを採用しており、中華2pin、CIEM 2pinおよびTFZ用2pinコネクタのケーブルでのリケーブルが可能です。また、ステムノズル部分にはアルミニウム合金が使用されています。
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KBEAR KS2」のカラーバリエーションは「グリーン」と「ブラック」の2色。価格は23.99ドルKeephifiオフィシャルストア)です。KeephifiではPayPalでの支払いが可能です。個人的にはAmazonやAliExpress以外ではPayPalが使用できるショップを選ぶことが多いのでとても有り難いですね。
Keephifi Offical Shop: KBEAR KS2

またおよびAliExpressでも23.99ドル、アマゾンでは2,750円となっています。
AliExpress(KBEAR Offical Store): KBEAR KS2
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KBEAR KS2
Amazon.co.jp(Kinboofi): KBEAR KS2


■ 派手さは無いものの使いやすいシンプルなデザイン。装着感も良好。

KBEAR KS2」のパッケージはコンパクトな白箱タイプ。20ドル台の低価格モデルと言うこともあり、パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ+本体装着済みMサイズ)、説明書、といったミニマルの内容。付属ケーブルはKZ/CCAのイヤホンを彷彿とさせる銅線タイプ。同じ線材ぽいですね。耳掛け部分はCCAと同様の樹脂加工です。
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イヤホン本体の形状は写真の印象よりコンパクトで装着性も比較的良好です。樹脂製のデザインは派手さは無いものの、シンプルなデザインは好き嫌いが少なく多くの方が違和感なく使えると思います。本体カラーはブラックのほかグリーンがあり、やや落ち着いたカラーリングのクリアシェルは格好良さも感じますね。
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シェル形状は「TRN ST1」に少し近い感じですが、「KBEAR KS2」のほうが薄く感じる形状になっており、ステム角度とあわせて装着性の上でも向上している印象です。また「KZ ZSN Pro」より厚みを抑えたデザインになっているのがわかりますね。耳にすっぽり収まる印象の装着感になります。
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イヤーピースは本体付属のもののほか、定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が広く、耳にフィットするものを選ぶのがお勧めです。


■ 良く伸び良く沈む。奥行きのある音場と存在感のあるボーカル。バランスの良さが際立つサウンド。

KBEAR KS2KBEAR KS2」の音質傾向は中低域寄りのドンシャリ、なのですが、低価格の中華ハイブリッドにありがちな派手目のサウンドとは一線を画しており、「サウンドバランスだけ」を捉えれば、よりモニターサウンドに近い数万円クラスのイヤホンにも寄せた印象を受けます。20ドル台の製品でもこういう音作りができるのだな、とちょっと驚かされる仕上がりです。「モニターサウンドに近いバランス」といっても実際に分析的に聴くと価格相応の要素も当然あるわけですが、綺麗に伸びる高音としっかり沈む重量感のある低音、そして音像を捉えやすい音場感のある中音域と「雰囲気重視」で気軽にリスニングを楽しむ上では30ドル未満、3千円未満の製品としては現時点でベストに近いかもしれませんね。ただ、あくまで雰囲気重視な音作りですので、細かいところで「気になる人は気になるかも」と感じる部分も多少有ります。

KBEARのイヤホンはいくつかの異なるファクトリーで作られていますが、「KBEAR KS2」の「限られたコストのなかで、より上のクラスの製品のような雰囲気でまとめる」のが上手いところ、というと思い当たるファクトリーブランドもありますね。前回の(間違いなく製造元の異なる)「KBEAR KB04」との明らかな方向性の違いはとても興味深いところです。実際のところは分りませんがモデルによってこういう製造元のキャラクターの違いが時々垣間見られるのもディープな中華イヤホンのマニアにとっては楽しみのひとつかもしれません(^^;)。

KBEAR KS2」の高域は、とても聴きやすくいっぽうで綺麗に伸びます。ややドライな印象でシンバルなどは派手に鳴るいっぽう早めに減衰します。そのため、決して解像感の高い音ではないのですが全体としては分離がよく感じるチューニングになっています。中低域をメインに捉えれば籠もること無く綺麗に鳴り、いっぽうで刺さりなどの刺激は皆無の聴きやすい高域に感じるのではと思います。

KBEAR KS2中音域は僅かに凹みますが、広く奥行きのある音場と存在感のあるボーカルにより非常に聴きやすく心地良いサウンドです。高域同様多少ドライな印象ですが、ボーカル帯域と演奏の分離感は良く、適度な熱量と見通しの良さを感じます。またギターなどもモニターライクに聴ける表現力があります。女性ボーカルの高音の抜けや、男性ボーカルの低音なども心地良いですが、少しボーカル寄りのチューニングが強く、自然なバランスを好まれる方にはややわざとらしく感じる場合もあるかもしれません。個人的には全体的なサウンドバランスとしてこういうアプローチも十分に有りだと思いました。

低域は最も質感の良さを感じる部分で複合ダイナミックドライバーによる価格を超えた表現力を感じます。立ち上がりが早くキレのある低音で、ややタイトながら膨らむこと無く存在感を示します。重低音の沈み込みはこの価格帯のイヤホンとしてはかなり深く、重量感があります。とはいえ、低価格ハイブリッドにありがちな硬さはなく適度に温かく柔らかな印象もあります。好みの問題もあると思いますが、スピード感のあるロックやEDMでも心地良く聴けるサウンドでは無いかと思います。

相性の良いのはロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲ですが、癖のない手堅いサウンドなのでどのジャンルの曲でもさほど苦手意識なく楽しめるのではと思います。いっぽうで派手さや明瞭感のある「TRN ST1」のようないかにも中華ハイブリッドなサウンドと比べると地味さは否めませんし、もちろんより高価格帯のイヤホンの表現力には及びません。しかし「KBEAR KS2」の普通に聴いて良い音に感じるイヤホンとして分りやすく楽しめる「総合力」の高さはこの価格帯では突出していると思います。
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KBEAR KS2」はこのように非常にバランスの良いサウンドですので、リケーブルをする場合も解像度や分離感の向上を中心にあまり味付けの無いケーブルを選ぶのが良いでしょう。とはいえ、もともとが低価格のイヤホンですので、ケーブルの方がイヤホン本体の数倍、みたいな組み合わせもどうかな、となりますよね(^^;)。そういった意味では「KBEAR 4833」8芯 銀メッキ線ケーブルあたりは手頃な選択肢といえるでしょう。また価格的には「本体より高く」なってしまいますが、TFZ仕様のコネクタという点では、「Yinyoo YYX4865」や「NICEHCK C16-1」などの16芯ケーブルもお勧めです。これらのケーブルでは、より解像感および明瞭感がアップし、輪郭のはっきりしたキレのあるサウンドが楽しめます。


というわけで、KBEARのイヤホンは全般的に手堅く、極端に攻めるようなことはないものの(そういった意味では某H○Kは対照的^^;)、毎回アプローチを少しずつ変えながら、適度に質の高い製品を低価格でリリースしている点はとても好感が持てます。今回の「KBEAR KS2」も、際立った特徴こそ無いものの、20ドル台、2千円台のイヤホンとしては屈指のバランスの良さで、多くの人に幅広くお勧めできるイヤホンに仕上がっていました。今後の定番イヤホンのひとつになるかもしれませんね。