NICEHCK LitzPS / NICEHCK C8-1

※(追記)アマゾンでの取扱い開始に伴いリンクを追加しました。

こんにちは。というわけで、今回も最近オーダーしたイヤホンケーブルのレビューです。3回目は「NICEHCK LitzPS」(4芯 純銀ケーブル)と「NICEHCK C8-1」(8芯 ミックス線ケーブル)の2種類です。私のブログでもお馴染みの中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」のオリジナルケーブルについては、本当はこれ以前にオーダーしているケーブルもあるのですが、なぜか発送後中国で止まっていて届く気配がないため、こちらの2種類を先にレビューすることにしました。
どちらも非常に低価格かつ特徴的なケーブルで、レビュー掲載時点ではAliExpressでのみ購入可能となりますが、ぜひともチェックしておきたい製品だと思います。購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Stere」にて。AliExpressでの購入方法についてはこちらを参照ください。

[ NICEHCK LitzPS ] NICEHCK 4芯 4N 純銀線 アップグレードケーブル
NICEHCK LitzPS 4N Litz Pure Silver Earphone Upgrade Cable 3.5/2.5/4.4mm MMCX/NX7 Pro/QDC/0.78mm 2Pin
【 MMCX 】【 中華2pin 】【qdc】【NX7※】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】

NICEHCK LitzPSNICEHCK LitzPS
ネット上ではすでに線材をバラして確認した方も現れている、HCKの激安「純銀線」ケーブル。「純銀線」については私のブログの「解説編」でも触れているとおり、中華ケーブルでは「厚めの銀メッキをしたケーブル」や「銅線などを芯材に銀線を巻いた、実質的には銀線と銅線のミックス線ケーブル」みたいなものも多く存在してきました。しかし、TRNの「TRN T3」では線材のバラし写真や検査証などを掲載し「爆安だけの本物の純銀線」ケーブルが登場するようになりました。

NICEHCK LitzPS」は4N(99.99%以上)の純銀線を使用した4芯ケーブルで、1芯ごとに0.08mmの線材を10本束ねて撚り線(リッツ線)にしたケーブルです。前述の「TRN T3」はより細めの線材を1芯ごとに12本束ねた8芯ケーブルでしたので、同じ激安の純銀線でも「NICEHCK LitzPS」とは仕様の異なるケーブルだということがわかります。
NICEHCK LitzPS
コネクタはMMCX、中華2pinのほか、qdcコネクタ、NX7(TFZ仕様と同じ)コネクタを選択可能。プラグも3.5mmステレオ、2.5mm/4極、4.4mm/5極バランス仕様が選択できます。一部の埋め込み2pin仕様のCIEMなどを除きほリケーブル可能な多くのイヤホンで手軽に試すことができますね。
NICEHCK LitzPSNICEHCK LitzPS

今回MMCXコネクタとqdcコネクタの2種類をオーダーしました。細い線材の4芯線ということありケーブル自体はとても細い印象。光沢のある透明な樹脂被膜は多少弾力があるものの柔らかい印象。取り回しも比較的良好です。
NICEHCK LitzPSNICEHCK LitzPS

NICEHCK LitzPS」と同じ低価格純銀線の「TRN T3」を比べると1芯ごとの銀線の段階で「TRN T3」のほうが若干太さがあり、しかも8芯ですのでかなり大きな違いがあります。そのぶん「TRN T3」のほうが被膜は柔らかいため取り回しの上ではどちらも使いやすいケーブルですね。コネクタ部分は「NICEHCK LitzPS」のほうが少し良い部品を使っているようにも見えます。
NICEHCK LitzPSNICEHCK LitzPS
NICEHCK LitzPS」へリケーブルした場合の音質傾向はとてもナチュラルで、より繊細な表現力を与える印象。同価格帯の銀メッキ線ケーブルのような派手めの変化はありませんが、組み合わせるイヤホンによって高域の煌びやかさが増したり中音域の粒状感をアップすることでより濃密さを感じるサウンドを実感することができます。低域は組み合わせるイヤホンによっては少し細る印象になりますが全体としてはスッキリとまとめる印象です。
「TRN T3」との比較では同じ低価格の純銀線ということもあり、中高域の傾向自体は結構似ていますが、「TRN T3」が低域も含めて透明度のが向上するのに対して「NICEHCK LitzPS」のほうが中高域を中心にメリハリを感じやすくなります。また情報量については8芯の「TRN T3」が多少の向上を感じるのに対して、4芯の「NICEHCK LitzPS」はあまり大きな変化を感じませんでした。また一定以上のグレードのイヤホンでは付属ケーブルと逆転するケースもあります。どちらも「純銀線」であることはほぼ確認ができていますが、「NICEHCK LitzPS」の線材のほうがオーディオケーブルとしてより「銀線らしさ」を感じるかもしれませんね。ただ、「NICEHCK LitzPS」の場合、ウォーム寄りのイヤホンとの組み合わせでは中音域のバランスがちょっと変わる印象で合わないケースもあります。情報量や低域の変化も含めて、多少イヤホンを選ぶケーブルでもあります。
NICEHCK LitzPSNICEHCK LitzPS
NICEHCK LitzPS」は「KZ ZSX」「CCA C12」「TRN V90」「TRN VX」といった、最近の音質向上が著しい50ドル~クラスの中華ハイブリッドや、シングルダイナミックでは「TFZ KING EDITION」など、もともと十分に明瞭で解像感のあるイヤホンとの組み合わせが良いケーブルですね。これらのイヤホンでは音質傾向を変化させずに粒立ちや伸びを向上させ、より繊細な表現を引き出すのに最適です。また反応の良いマルチBAイヤホンとも比較的相性の良さがありますね。情報量の点では低価格ケーブル相応の部分もありますが、音質傾向自体は「丸七銀龍」など1万円オーバーの純銀線にも近く、間違いなく「価格破壊」と言って良いクオリティのケーブルだと思います。いっぽうで鳴らしにくく、駆動力を必要とするイヤホンとは合わない場合が多いようです。

NICEHCK LitzPSNICEHCK LitzPS」と「TRN T3」の差は少ないものの、「NICEHCK LitzPS」のほうがより煌めきを実感しやすいため、組み合わせるイヤホンや好みで使い分けるのが良いでしょう。いっぽうで、よりメリハリをしっかり付けたい場合は高純度銅線のケーブルのほうが良いですし、駆動力が必要で鳴らしにくいイヤホンなどより情報量を上げたい場合は、次の「NICEHCK C8-1」や16芯ケーブルの「C16シリーズ」のほうが相性が良いかもしれませんね。
また「NICEHCK LitzPS」は低価格ながら数万円クラスのイヤホンでも遜色なく使える実力もありますので、「いちど純銀線も試してみたい」という方にも最適なケーブルだと思います。


[ NICEHCK C8-1 ] NICEHCK 8芯 銀メッキ線&高純度銅線ミックス アップグレードケーブル
NICEHCK C8-1 8 Core Silver Plated and Copper Mixed Earphone Cable 3.5/2.5/4.4mm MMCX/NX7 Pro/QDC/0.78mm 2Pin
【 MMCX 】【 中華2pin 】【qdc】【NX7※】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】

続いての「NICEHCK C8-1」は新しいミックス線ケーブルです。「タイ○ース」カラー、というよりはちょっと「工事中」感も否めないカラーリングですが、中国ではこういう色って好まれるのでしょうか(^^;)。
NICEHCK C8-1NICEHCK C8-1
NICEHCK C8-1」はOFC(無酸素銅線)の高純度銅線ケーブルと銀メッキ線ケーブルのミックスで、12ドル台の低価格を実現しています。コネクタは従来はミドルグレードの16芯ケーブル「C16シリーズ」でのみの設定だった「NX7」(TFZ)コネクタがこちらも選べるようになり、TFZ製イヤホンはもちろん、「NICEHCK DB3」や「KBEAR KS2」、「FiiO FH1s」(または「JadeAudio EA3」)、「AUGLAMOUR F300」などカバー形状に互換性のある低価格イヤホンで気軽に組み合わせられるのは嬉しいですね。
NICEHCK C8-1NICEHCK C8-1
低価格なケーブルですがプラグ等の部品ではクロームメッキ仕上げのものが使用されており、非常にコストパフォーマンスの高いケーブルになっています。今回、「NICEHCK C8-1」のほうは中華2pin仕様とqdcコネクタ仕様でオーダーしました(オーダー後にNX7仕様にすればよかったかな、とちょっと思いました)。
NICEHCK C8-1NICEHCK C8-1
結構存在感のあるカラーリングの8芯線ですが、実物は思ったより落ち着いたカラーリングで、16芯ミックス線の「NICEHCK C16-2」より渋めの印象になります。黄色系のミックスというと、例えば「TRN T1」ほどのタ○ガース感はありませんし、「KBX4869」ほど組み合わせるイヤホンに悩むカラーリングでもありません。とはいえやはり「UNDER CONSTRUCTION」とか書きたくはなる色ですよね・・・
それはさておき、線材は以前の8芯ミックスケーブル「TYB1」よりは細く、取り回しは良好です。実際にイヤホンを組み合わせて見ると不思議とそれっぽくなる感じもあり、ストリート系のファッションと合いそうな雰囲気もありますね。

NICEHCK C8-1」の音質傾向は情報量をぐっと底上げし、ミックス線らしく全体的に明瞭感と濃さが増す印象となります。中華16芯ケーブルほどの量ではありませんが情報量も非常に多く、標準ケーブルでは駆動力不足により多少平坦な音になりがちなイヤホンとの組み合わせはかなり効果があります。具体的には「CCA CA12」のような中音域に特徴のある多ドラ系のハイブリッドや、インピーダンスの高いダイナミック系などのイヤホンですね。また「TRN V90」など16芯ケーブルではメリハリが強くなりすぎるイヤホンで音質傾向を維持しながら情報量をアップし、音を濃くする、という使い方にも最適でしょう。
NICEHCK C8-1NICEHCK C8-1

これらのイヤホンでは高域の明瞭感や低域の解像感の向上により、より深みのある音場感や適度にメリハリが増しより濃密さを感じるサウンドが実感できます。以前の「NICEHCK TYB1」に比べるとナチュラルで派手さは抑えられていますが、そのぶんとても使いやすく、こちらも10ドルそこそこの製品ながらよりハイグレードなイヤホンでも十分にリケーブル効果を実感できそうです。個人的にはせめて「C16-5」(ブラウン/シルバー)くらいのカラーリングにしておいてくれるともう少し利用範囲も増える気がするのですが、とにかくコストパフォーマンスは抜群によいケーブルだと思います。

HCKの従来のパターンですと、「NICEHCK C8-1」についても「C8シリーズ」みたいな感じで銀メッキ線や高純度銅線、あるいはカラーバリエーションなども今後リリースされそうな気もしますので、そちらについても期待していきたいと思います(^^)。