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先日、福井の自宅にあったKORGのUSB-DAC「DS-DAC-10」を東京の環境へ移しました。

もともとは昨年秋に福井の自宅のホームシアター兼リスニングルームをアップデートした際に購入したもの。ちなみに、ヘッドフォンやイヤホンは大型の家電量販店などでいろいろ試聴ができますが(といっても都市部のハナシ。福井など地方の量販店ではそれすらできない)、USB-DACともなると専門店などを訪れないとなかなか気軽に試聴して選べる環境がありません。 というわけで素人の私などはおのずと「定番」へ走るわけで、雑誌やネットなどで当時評判のよかったDS-DAC-10を購入したという流れです。

DS-DAC-10はひとことで言うと「DSDをいい音で鳴らすDAC」というのがおそらく正解。
そして再生には専用のドライバと「AudioGate」のインストールが必要。
 
ただ、自宅のホームシアターはどれも相当昔の古いアンプやスピーカーばかりですが(10年近く前に単品で中古を集めたもの)、この環境でDS-DAC-10を接続し、Windows環境下でfoobar2000から鳴らしてみると、CD音源のFLAC等でもなかなかいい感じで再生できました。たしかに高音質DACとして定番になるだけのことはあるな、という印象です。

2014-05-23-01-44-16ところが東京に移動して、ONKYOの「GX-70HD2」へ接続すると(マシンはMac mini 2011に変更)、その好印象は一変。まず再生環境はいつもの「Audirvana Plus」で、CDから作成したFLACファイルを192kHzにアップサンプリングして試聴すると、非常に物足りなさを感じます。ひとつふたつ膜をかぶった感じです(二重ガラスと書いていた方がいらっしゃいましたがまさにそんな感じ)。
いっぽうAudioGateを使用し、同じ曲データをDSDへリアルタイム変換で再生すると、メリハリのある明瞭なサウンドに一変。中高域の抜けが良く、同時にDSDならではのなめらかな感じになります。ただリアルタイム変換の場合、音量が非常に大きくなる傾向がありボリューム設定でちょっとあせります。

おそらく東京で使用しているGX-70HD2は、あまりDS-DAC-10とは相性はいまいちのようで、ヘッドフォン端子にAKG K550を接続した方が良い感じで聴くことができました。おそらく古いとは言え、この福井と東京での感覚の違いは、もともとつないでいた福井の自宅のAVアンプおよびスピーカーの環境とのオーディオ的な差が出たようです。まあ、アナログの世界の話ですから仕方ないですね。

また、DS-DAC-10をはじめKORGのUSB-DACは、AudioGateでDSDに直接変換して送る仕様であるため、MacでもCoreAudio用の専用ドライバを使用します。そのため、Audrvana Plusのウリである「Integer Mode」(MacのCoreAudioをバイパスし直接DACへ送るモード)が使用できず、強制的にCoreAudio経由になってしまいますし、DSDはAudioGateからしか再生できないため、Audrvana Plusとは相性が悪いかも、というか使うべきではない、という気がします。Mac環境ではAudioGate専用のDACと考えるべきですね。
というか、DS-DAC-10を購入するときに参考にしたオーディオ紙の評価レビューは確かAudirvana Plusで使用してDS-DAC-10がベスト評価だったような・・・。そういえばDSDの音質が、といってる時点で結局AudioGate使っていたんでしょうね。まったく、あの手の記事はアテになりません。


2014-05-23-01-46-41しかしながら、なるほど、とにかくDSDにして安定して再生させたい、自分のお気に入りのオーディオ環境に違和感なくDSDのサウンドを入れたい、という傾向にはぴったりはまる製品だということを再認識。いっぽうiTunesの圧縮音源を含め、いろいろなフォーマットで、いろいろなジャンルの曲をいろいろな環境で楽しみたいという向きには結構「用途が絞られる」、というかオーディオ側の環境を選ぶUSB-DACと感じました。
いい製品だとは思いますが、決して安価でもなく結構偏った製品が売れ筋だったというのは、なかなか不思議な感じですね。まあ購入者の多くはメディアの露出度と評価で決めるしかないの仕方ないかなとも思いますが。
とりあえず、現在の東京の環境では向いていないと判断し、再度福井のリスニング環境へ帰還させることにしました。

追記:
その後、DS-DAC-10はオークションで売却しましたが、東京用のスピーカーとしてDALIの「ZENSOR1」を購入し、手持ちのCR-D2をアンプにオーディオ環境を再構築したため、改めてDS-DAC-100mを購入。気がつけば結構増えていたDSDのネイティブ再生やハイレゾのDSDリアルタイム変換再生で活躍することになります。またiAudioGateのリリースにより、iPhoneでのモバイル利用もはじめました。
この記事を書いた時点の私には買うのがちょっと早かったようですね(笑)。