■SHURE SE535LTDを「あえて選びました」
この数年で急速にオーディオに足を突っ込み、序の口から序二段くらいへのステージアップを目指す今日この頃。さて先日、それまで使用してた「Ultimate Ears UE900s」をあえて手放し(ヤクオフで思いのほか高く売れました)、「Shure SE535LTD」へ鞍替えしました。
「SE535LTD」というと、SE846登場まではShureのフラグシップで、かなりメジャーなイヤホンです。無印SE535と比較しても絶賛のレビューがネットにあふれるいっぽう、酷評もおなじくらい主に掲示板などで見かけるのも事実。「これをいいと言う人は宣伝に騙されてる」なんて話もよく聞きます。ただ私は素人なりに試聴しまくって、結局ここへ至った、という感じです。
SE535LTDはプレミアムらしくとてもフラットで高い解像度と原音忠実性を持っていますが、以前持っていた「UE900s」や試聴し比べた「Westone W40」などと比較して、ちょっとモワっとしていて決して細かい音ではないと思います(オーディオ的には分離感が高くないとか、篭もる、とかいわれるところですね)。しかしながら、全体的に非常に濃く、ボーカルがとてもエモーショナルな印象を受けて、それで一気に惚れ込んだ、というのがあります(聴きたい好み音が聞けた感)。
ただし、この価格帯でプレミアムを求める人の多くには(いかにも高性能BAモデルという、「らしさ」から)UE900sやW40を勧めた方がいいかもな、という気がするのも事実。個人的には、その辺がSE535LTDの「特徴」であると思っています。
ただし、この価格帯でプレミアムを求める人の多くには(いかにも高性能BAモデルという、「らしさ」から)UE900sやW40を勧めた方がいいかもな、という気がするのも事実。個人的には、その辺がSE535LTDの「特徴」であると思っています。
■どんな環境にもちゃんと応えてくれる非常に「賢い」イヤホン。
だからこそ「ベスト」の相性は結構難しいかも。
現在使っているiPod Touch (5th) + Astell&Kern AK10 の組み合わせでは、携帯性はまあまあですが、HF Playerでハイレゾを鳴らしてみても、プレーヤーの性能としてはまだまだ不満が多くあります。
もともとSE535LTDはどんな環境でもその環境にあわせてちゃんと鳴ってくれる大変賢いイヤホンです。だからiPodやWalkman直刺しでも、USB-DACやアンプを経由しても、いい感じで聴けるサウンドを奏でてくれます。ただし、私が思っているSE535LTDの特徴を「本気で活かそう」と思うと、プレーヤーにもアンプにも相当に費用をつぎ込む必要があり、実際にネットでやっているすごい方々をみて「これは手が出せない」と思いますし、携帯用、という本来の主旨からも大きく逸脱します。
もともとSE535LTDはどんな環境でもその環境にあわせてちゃんと鳴ってくれる大変賢いイヤホンです。だからiPodやWalkman直刺しでも、USB-DACやアンプを経由しても、いい感じで聴けるサウンドを奏でてくれます。ただし、私が思っているSE535LTDの特徴を「本気で活かそう」と思うと、プレーヤーにもアンプにも相当に費用をつぎ込む必要があり、実際にネットでやっているすごい方々をみて「これは手が出せない」と思いますし、携帯用、という本来の主旨からも大きく逸脱します。
それでも、イヤホンありきでプレーヤーやアンプを選ぶのは珍しくはないと思います。
しかし個人的にはSE535LTDはどんな環境でもいい音で鳴ってくれるが故に、本気になると結構難しいイヤホンだとも思っていて、これの「特徴」を気に入ると今度は「ベストな組み合わせ」になかなか巡り会えなくなります。
現在の音も十分に気に入っていますが、きっとSE535LTDを使い続ける以上、「今以上に良い音」を求めて今後もプレーヤーを渡り歩く日々が続くのだろうと確信じみた予感がするのです。
■イヤホンをあきらめかけた耳穴でもいける装着感
ちなみにShureに関しては以前より「SE215SPE」という、もともと非常にコスパのよいイヤホンとして知られているダイナミック型モデルを持っており、高い遮音性と併せて、これの装着感が大変気に入っていたのもSE535LTDへアップグレードした理由のひとつ。
私は耳穴が非常に小さく、別途XSサイズのイヤーチップを購入してもほとんどのカナル型イヤホンはまともに装着し続けられず、ただフラストレーションが溜まるだけ、という状態でした。いわゆる「シュア掛け」ができるUE900sなどでもそれは同様で「これはイヤホンはあきらめるしかないかな」と思っていたところで、本家Shureはバッチリ。
SuperTipsのShure用のXSサイズに替えたらしっくりました。
またXSサイズではありませんが、コンプライのTX100のSサイズでもバッチリでした。
※追記:Shureのイヤホンはノズル部分が細いため、コンプライのようなやわらかいウレタンの場合はSサイズでもギュッと指でつぶして耳穴の奥に装着すれば他のイヤーチップではXSの方でも装着可能な場合が多いようです。遮音性および音質面ではやはりコンプライは最強ですが、ただSサイズをXS並みに圧縮して使っているせいか他の方より消耗が早く、結構頻繁に交換しないといけないのが難点ですね。
あと、個人的にSサイズでも大丈夫だったのは最近ですと「SpinFit」のShure用のSサイズ。SpinFitはほかのシリコン製より耳穴にフィットする構造のためSサイズでも使える可能性があります(一般用のSpinFitはSSサイズがあるのですが、Shure用のSサイズも一般用のSSサイズとさほど変わらない大きさでした)。
SuperTipsのShure用のXSサイズに替えたらしっくりました。
またXSサイズではありませんが、コンプライのTX100のSサイズでもバッチリでした。
※追記:Shureのイヤホンはノズル部分が細いため、コンプライのようなやわらかいウレタンの場合はSサイズでもギュッと指でつぶして耳穴の奥に装着すれば他のイヤーチップではXSの方でも装着可能な場合が多いようです。遮音性および音質面ではやはりコンプライは最強ですが、ただSサイズをXS並みに圧縮して使っているせいか他の方より消耗が早く、結構頻繁に交換しないといけないのが難点ですね。
あと、個人的にSサイズでも大丈夫だったのは最近ですと「SpinFit」のShure用のSサイズ。SpinFitはほかのシリコン製より耳穴にフィットする構造のためSサイズでも使える可能性があります(一般用のSpinFitはSSサイズがあるのですが、Shure用のSサイズも一般用のSSサイズとさほど変わらない大きさでした)。
■結局ハイレゾも聴き手次第
ところで、SE535LTDのカタログスペックでは再生周波数の上が20KHz以下で、「ハイレゾ対応じゃないんじゃないの?」と知人から聞かれたことがあります。オーディオに詳しい人には常識だと思いますが、「ハイレゾ対応機器」としてソニーなどが提唱する「再生周波数帯域の上が40KHz以上」はほぼナンセンスです。
もちろんサンプリング周波数が増えれば周波数帯域も広くなるわけですが、それがハイレゾを鳴らす条件ではありません(どうせ可聴領域外だという話をしなくてもそうです)。むしろハイレゾ(高解像度)というなら量子化ビット数のほうが重要ですし、多くのレコーディング音源が48KHz/24bit(サンプリング周波数はCDより少し高い程度で量子化ビット数が高い)だったりすることからもそれは明らかでしょう。そもそも、ふつうのオーディオ環境ではCD音源ですらマスタリング時のベストを再現させるのは難しいといわれますが、単にハイレゾ対応機器にしても、それ以上の音質が再現できるのか、という話もあります。
やはりカタログスペックで判断せず自分の耳で確認することが重要ですよね。
また、同じハイレゾ音源を再生する場合も、中途半端なハイレゾ対応機器より、昔からのオーディオ機器の方が遥かにいい音で違いを実感できる場合も多くあります。
最近リリースされているハイレゾ音源は、再生環境のダイナミックレンジの広さを活かすために、コンプレッサー処理を積極的に施さないマスタリングが主流になっています。そのため同じ曲でもCD音源とハイレゾを聞くとハイレゾのほうがボリュームが小さく感じますが、小さい音から大きい音まで非常に豊かなサウンドになっています(ダイナミックレンジが広い)。
この辺は宇多田ヒカルのハイレゾ音源について解説した記事がわかりやすいです。
→ Phile-web: 【第79回】宇多田ヒカル「First Love」ハイレゾ音源全曲徹底レビュー!
CDや多くの圧縮音源は安価なオーディオでもそれなりに聴けるよう、コンプでダイナミックレンジを圧縮しているものも多いため、SE535LTDクラスのイヤホンならハイレゾ音源との違いを、もうこれでもか、という勢いで感じることができるわけです。
ハイエンドなオーディオを所有している方なら以前は昔はそれを活かせる音源がクラッシックくらいしかなかったものが、今ならハイレゾでJ-Popでも堪能できる、というところでしょうか。いい時代になったものです。
とはいえ、結局、オーディオはひとそれぞれ、自分の耳次第。自分が気持ちよければいいと思います。
まわりに惑わされちゃいかんですよね。
■(2016年3月・追記)その後の利用環境
SE535LTDを使い始めて2年ほどになりますが、自分で書いたとおり、あまり費用は掛けられないながらも再生環境(DAPなど)はいろいろ変わってきました。現在のメインは「FiiO X3 2nd Gen」+「FiiO E12A」の組み合わせです。
でも、ときどきiPod TouchにE12Aを組み合わせたり、iPhone直差しでApple Musicを聴いたり、Walkman NW-A17につないでみたりといろいろな場面で活躍しています。
イヤホンのエージングがあるのかどうかは良くわかりませんが、少なくとも私自身の「耳」はこのクラスのイヤホンに対応できるようになったようで、購入当初の「こもった」感じはすっかりなくなって、いろいろなイヤホンやヘッドホンを使い分ける中でそのクオリティの高さをひたすら実感しています。もともと使っていたUE900sは「細かい音」と上記で表現している部分はいわゆる「音の演出」の部分で、SE535LTDをはじめShureのイヤホンはあくまで演出のない正確なサウンドのため、相対的にメリハリが弱い印象になり、そのことで「こもった」ように感じていたのだろうと思います。
また自分でも書いているとおり、このIEMクラスのイヤホンはとにかく再生環境に相当に影響します。また非常に反応が良く、ホワイトノイズを拾いやすいため、プレーヤー(またはポータブルアンプ)やケーブルの能力が不足していたとも思えるわけです。
次はより高性能なDACやバランス稼働ができるDAPを購入予定ですので、さらにリケーブルして楽しみたいと思っています。ほんとうにひとつ持っていれば手軽に「オーディオ」を長く楽しめるアイテムだと思いますね。
■(2016年10月・追記)その後の利用環境2
上記のとおりさらにDAPをアップグレードしました。いろいろ検討した結果購入したのはAstell&Kernの「AK300」でした。
現在SE535LTDはバランスケーブルを使用して接続しています。
→ 「Astell&Kern AK300」を買ってしまいました。
またヘッドホンやライン出力がメインではあるものの、Chordの「Mojo」という高性能なポータブルDACも購入することとなり、AK300やiPhoneなどとの連携でSE535LTDを組み合わせるケースも多くあります。
→ CHORD「Mojo」を据置きDACとしてスピーカー環境で使ってみる
その後もガジェット好きの性からか、コスパに優れたUSB DACやスマホなどを次々購入しており、それらのレビューの上でリファレンスとしてのSE535LTDは欠かせません。私自身のオーディオライフを充実させる上での「基点」としてSE535LTDは今後も大事に愛用していきたいと思います。