夏頃に福井の自宅でホームシアターまわりの配線レイアウト変更を行った際、AVアンプに接続するBDプレーヤーも新調しました。新たに購入したのはPioneerの「BDP-180」という「なんでもいける系」プレーヤーのひとつ。2万円台の普及型モデルです。
以前はソニーのBDP-S5100という同様にネットワークプレーヤーとしても使える系のプレーヤーを使用していましたが最近調子がイマイチで併用している初期型PS3(SACD対応)の稼働率のほうが高い状況になってきました。
しかし初期型PS3のほうこそ老朽化による故障などが懸念されるため、SACD再生も含めて対応でき音楽プレーヤーとしての機能も考慮してこちらを購入。
「BDP-180」はかつて140万円のSACDプレーヤーに同じ基盤が使われていたということで騒然となったSACD対応DVDプレーヤー「DV-600AV」の流れを組み、ブルーレイに対応しBDPシリーズとなって代々モデルチェンジした現行モデルになります。また、私が「BDP-180」購入後、音質重視でチューニングされた「BDP-X300」が発売されました。
ちなみに元祖というべき「DV-600AV」の後継で発売された「DV-610AV」は低価格・高音質のSACDプレーヤーとして定番になりました。私も「DV-610AV」は東京でのSACD再生用に中古で入手し、愛用しています。
■ネットワーク経由でのハイレゾ再生からSACDマルチchまで何でもこいのプレーヤー
「BDP-180」はBD再生に加え、DLNAによるネットワーク経由でのメディア再生が可能なマルチプレーヤーですが、さらに24bit/192kHzまでのハイレゾPCM、2.8MHz DSD(DSD64)のUSBメモリおよびネットワーク経由での再生に対応。またBDプレーヤー部もBD/DVD/CDに加え、SACDにも対応します。ほんと何でもこいのプレーヤーです。
しかも、同様のソニーのメディアプレーヤーなどと異なり、HDMIやSPDIF端子に加えRCAのステレオ出力にも対応しています。つまり、HDMIでAVアンプと接続しつつ、ステレオ端子にRCAケーブルでプリメインアンプに同時に接続することもできるわけです。
私の場合、BDP-180のHDMI端子は数年前から使用している同社のAVアンプ「VSA-922」に接続し、同時にRCA端子でDENONのプリメインアンプ「PMA-390RE」へ接続しています。
AVアンプ「VSA-922」は7.1ch+2chの構成ですが、フロント2chでのステレオ再生での利用も想定し、フロントスピーカーは以前まではJBL「CONTROL ONE」を、現在はTEAC「LS-H265」を使用しています。いっぽうプリメインのDENON「PMA-390RE」ではメインスピーカーにヤマハ「NS-BP200」を使用し、さらに中古で購入した同社のサブウーファーをプリアウトに接続しています。BDP-180はアンプ側のON/OFFでどちらかからも出力ができるわけです(もちろん両方同時も可能)。
同様にSACDに対応するマルチプレーヤーで、RCA出力とHDMI出力機能を持つ機種としては、ヤマハのマルチプレーヤー「BD-A1040」や最新の「BD-A1060」などがありますが、「BDP-180」とは価格差が結構あります。特に「BD-A1060」はどちらかというと上位の「BDP-LX58」あたりの機種が比較対象となりそうです。
■ネットワーク再生はiPad版のRadius「NePLAYER」を使用
ハイレゾ音源はネットワーク上のNASからDLNA経由で再生します。
Pioneerの場合、iOS/Android用の操作アプリ「iControl」が対応してていますが、VSA-922などAVアンプがアプリ内でライブラリのアクセスや再生などコントロールが自在に可能な判明、BDP-180ではあくまでリモコン代わりという位置づけで音楽再生のみの場合もHDMIからの画面表示が必要です。
このような用途ですとLINNの「Kinsky」がよく知られていますが、私はここでRadiusの「NePLAYER(iOS版)」をiPadで使用します。オンキヨーのHF Playerと同様のハイレゾプレーヤーアプリで相応の価格で販売されていますが、iOS版に限り、ネットワークプレーヤーアプリとして、DLNAライブラリのアクセスと、同様にDLNA経由でのプレーヤーへの出力に対応します。つまり「Kinsky」と同じことができるわけです。
操作性および反応はさすがの有償アプリで「Kinsky」より高く、ストレスのない利用が可能です。この用途でのNePLAYERの使用は結構オススメですよ。
ところで、私の場合、これまでSACDの再生は、初期型のPS3(SACD対応モデル)を使用していました。初期型PS3は、かつて低価格で高音質のSACDプレーヤーとして利用できると評判になっており、仕組み的にはHDMI出力での自身のDSD→PCM変換のロジックが高音質といわれています。
いっぽう「BDP-180」はDSDおよびSACDに関しては、HDMI経由でのDSDビットストリームと88.2kHzへのPCM変換し再生します。また設定画面でDSDを「ビットストリーム」の設定にするとHDMI経由でDSDのままAVアンプ側に送られます。
私の場合、同じPioneerのAVアンプ「VSA-922」はDSDビットストリーム再生およびSACDマルチチャネルに対応しているため(正確には入力のみ。DSDビットストリームはAVアンプ側でPCM変換して出力される)、「BDP-180」のDSD設定を「ビットストリーム」にしておけば、SACDの再生およびDSD64のネットワーク再生時にはDSDネイティブのままAVアンプに送られ、AVアンプ側でPCM変換して出力されます。
ただし、RCA経由での出力およびSPDIFからのデジタル出力ではPCM変換が必須となります。DSDビットストリーム時には「BDP-180」側ではPCM変換を行わないため、RCA出力からはSACDおよびDSDの再生は出力されません。また、SACDマルチチャンネルの5.1ch音声はビットストリームでもPCM変換でもHDMI経由のみで出力されます(PCM変換の場合、RCAとSPDIFは2chに変換され出力される)。
通常AVアンプから出力するときはビットストリーム、RCAからプリメインアンプにつなげる場合はPCM、というように都度DSDの再生方式を設定画面で変更すればよいわけですが(そうするとHDMI経由の出力も88.2kHzのPCMになる)、この設定画面は画面上で作業が必要なため、結局一度はHDMI経由でTVやプロジェクターへ設定画面を映しての変更が必要となります。
まあ、グレード的に「BDP-180」でも「VSA-922」でもどちらでも同じDACチップなどの回路を使ってるような気がしますし、どちらでPCM化してもさほど変わらないような気がします。
実際音質的な変化はほぼ見られなかったため、ビットストリームはOFFにしてRCA出力にも対応する「BDP-180」側でのPCM変換で問題ないかなという結論になりました。
より高性能なAVアンプを利用の場合はビットストリームが生きてくると思います。
■デザインは同社AVアンプとマッチ。BD性能は普及モデルとして及第点。
話が前後しますが、「BDP-180」の外観と、本来の用途であるBlu-rayプレーヤーとしての性能についても少々。
外観はコンポーネント機器っぽくまとめられていて、価格の割に多少高級感があります。ただ、X300と異なり、足の部分は簡単ゴム足でインシュレータなどはついていません。
ただ、数年前から使用している同社のAVアンプ(VSA-922)とのマッチングは悪くありません。
プレーヤーのリモコンでの操作性はソニーのような作りこみは特にありませんが操作に迷うことはなく、レスポンスもそれほど不満を感じるレベルではありません。
BD画質および音質についてもこのクラスの機器として特に不満はありません。
私の場合、東京の単身赴任先ではソニー、福井の自宅ではパナソニックのBD/HDDレコーダーを使用していますがどちらのメーカーの機器から書き出したBDAVのメディアの再生も問題はありませんでした。
特に、ソニーのレコは長時間モード(LSR、4M)の画質がそこそこキレイなので結構多用しているのですが、このモードで書き出したBDAVを例えばパナソニックのDIGAなどで再生するとちょっと画質が落ちる現象がありました。BDP-180ではPS3などソニーのプレーヤーで再生したときと同様にこのようなBDAVでもきれいに再生できました。
■ネットワークメディアプレーヤーの性能は上々。PS3の出番は激減しそう。
ネットワーク経由(DLNA)でのメディア再生機能も必要十分な機能をもっています。
家族が自分の部屋のBDレコーダー(すべてパナソニックのDIGA)で録画したものをホームシアターでDLNA経由で再生したい、という場合も問題なく対応。以前のソニーBDP-S5100ではDIGAからのDLNAはうまくいかなかったのですが、こちらはPS3とほぼ同様の操作性で特に問題はありません。
(パナソニック同士の場合は「お部屋ジャンプリンク」で再生側で録画したプレーヤーのメニュー画面をそのまま表示できるが、BDP-180やPS3ではDLNAで参照できる範囲なので大量の録画のある場合の検索性は当然落ちます)
また同様に使用しているソニー「nasne」、パナソニックのCATVのSTB(どちらも録画情報に加え、ライブチューナーでの放送の再生も可能)も問題なく利用できました。
これらの機能は以前はPS3+BDリモコンの組み合わせでの利用だったのですが、今後はBDP-180に一本化できそうです。