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ちょっと前からかるい物欲発作(笑)が起きるたびに激安の中華イヤホンを購入していて、気がついたらここ数ヶ月くらいでも結構な数を購入していました(笑。

中華イヤホンというと、最近は某イヤホン専門店が「Auglamour R8」をえらく推したあたりでネットでの露出も増え、同社が扱う小米(Xiaomi)のオーディオブランド「1 MORE」のイヤホンやヘッドホンもよく売れている模様。

そんななかKZ(Knowledge Zenith)社の「KZ ATE」や「ATE-s」などは、とにかく激安で高音質ということで中華イヤホンで以前からよく知られています。私自身はATE-Sは購入していないのですが、このKZ社のイヤホンも昨年から何種類か集まってきたのでまとめて紹介します。
私自身はものは中国アリババの海外向け通販サイト「AliExpress」などで購入している商品が多いのですが、今回紹介する製品はすべて現在は日本国内のアマゾンでも3000円以下で手軽に入手できるため、中華イヤホンの入り口としては最適なのではないかと思います。



■装着感抜群、ユニバーサルでは唯一無二のハウジング形状が生み出すサウンド「KZ ZS3」

まずはシングルのダイナミック型ドライバを搭載した「ZS3」。シュア掛けスタイルのイヤホンで、ハウジングは結構大きいのですが、なぜか耳にしっくりくる絶妙な装着感が特徴。価格も本当にこの値段で良いの?てくらい安価です。アマゾンでもいろいろなショップが扱っていますが送料込み2,000円以下で購入できます。
→ Amazon.co.jp(WTSUN Audio):KZ ZS3
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個人的にイヤホンのエージング効果は良くわかっていないのですが、ネットなどを見ると中華イヤホンは100時間~200時間のバーンインが良いとされているようです。購入後ちょうど1週間程度の出張があったため、そのあいだお留守番のiPodで結構長めのプレイリストをループ再生し続けることで同等のバーンインを行いました。
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聴いてみると、全般的にドンシャリ傾向ながら高音少なめ、重低音指向な音です。ただ、こもった感じではなく、比較的クリアで広い音域を持っています。それほど刺さる感じではないので心地よく聴けます。曲としてはロック系や打ち込み系が良いと思います。アニソンも女性ボーカルの刺さりが少ないので個人的には良いと思います(刺さる方が良い人もいるのでそこは好みで)。
また後述のZST同様にZS3用アップグレード用のリケーブルも販売されており、好みに応じて交換が可能です(ZST用のケーブルとは微妙にピン位置が異なるため互換性はありません)。

imageZS3は上記の通り、その特徴的なハウジングはKZのイヤホンのなかでもひときわ異彩を放っていますが、この形状はユニバーサル(汎用型)のイヤホンとしては画期的に攻めてると思います。チープ感をどうして持ってしまうプラッキーな材質なせいか、あまり話題になりませんが、ほとんど耳型から作るカスタムIEMと同様な形状ともいえます。
ダイナミックドライバは構造上どうしても空気の抜けが必要で、同時にハウジングの形状による音への影響を反映する点はスピーカーと同じです。
ZS3の独特の形状による、他の一般的なイヤホンにはないフィット感が生み出す音場効果こそが、この価格にしてこの音を生んでいるとしたら、もし同じハウジング形状で本気でイヤホンを作ったらどんな音になるんだろう、そんな妄想をしてしまわずにはいられないのでした。
※追記:実はそのアプローチはユニバーサル型のカスタム仕様の中華イヤホンには主に多ドラ系に結構あるという事が後に判明するのでした(実際に買っています^^)。


■メタルボディが頼もしい。ノズル交換で音質変化が楽しめる「KZ ED9」

ネットで一時、1万円超えの音質をした1000円台イヤホンとして話題となったのが「ED9」です。私は中国Bandgoodのショップで購入したのですが、現在はやはりアマゾンでも同等の価格帯で購入できるようになっています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ ED9

コンパクトなメタルボディのダイナミック型イヤホンですが最大の特徴はノズル部分が2種類同梱されており交換が可能な点。こちらもZS3同様、購入後1週間程度バーンインを行いました。
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ノズルは金メッキベース(3枚目の写真で右側)と真鍮ベース(同・左側)の2種類が入っており、金メッキベースののものがドンシャリ傾向、真鍮ベースがフラット傾向になります。個人的にはフラットな音の方が好みなので真鍮ベースを使うことが多くなりますが、ノズル自体の交換は簡単なのであらかじめ両方のノズルにイヤーピースをつけておき、イヤーピースごと交換できるようにしています。イヤーピースは手持ちのSONY製のものに交換。このイヤホンはイヤーピースの違いで結構音質に差が出るので、自分の耳に一番フィットするものを選んだ方が良いと思います。
ちなみに、どちらのノズルの場合も、クリアで音の情報量は非常に多いイヤホンですが、ちょっと聴き疲れします。また、高音の刺さりが結構ありますので、わりとアコースティックなサウンドと相性が良さそうです。アニソンやEDMはちょっと好みの音ではありませんでした。


■ハイブリッドでこの価格。カラーモデルは音質も向上?
リケーブルも楽しい「KZ ZST(紫モデル)」


※追記:本レビュー以降、後期型「ZST」さらに「KZ ZST Pro」バージョンの発売にあわせて、アップデート版のレビューを掲載しました。あわせてご覧ください。
→ 「KZ ZST Pro」編/ZS6だけじゃない! KZ人気イヤホンの「新バージョン」を深掘りしてみた

そして1DD+1BAのハイブリッドモデルの「ZST」です。中華イヤホンのハイブリッドというと小米(Xiaomi)の「Xiaomi Hybrid IEM」という、これまた激安高音質のイヤホンを持っているのですが、ZSTも負けず劣らずの価格です。ただ、上記の「ZS3」などと比べネット上の評価が分かれていたので購入を躊躇していたのですが、本来のブラックのモデルに加えカラフルな紫色(Purple)のモデルがAliExpressで発売され、「これはカッコエエ」と思い、交換用のケーブルもセットでつい購入しました(笑)。現在はどちらのモデルもアマゾンで購入できます。しかも後発のPurpleモデルはいろいろ改良されているらしく、Blackの初期モデルと比較しかなり良くなってるようです。

Amazon.co.jp(WTSUN Audio):KZ ZST(各色・マイクあり・なし)
→ Amazon.co.jp:KZ ZST(国内正規品)
 
Amazon.co.jp(WTSUN Audio):ZST用アップグレードケーブル

それにしても、ハイブリッド型の高音質イヤホンが2千円台で購入できるとか、日本で販売されている普通のイヤホンでは考えられない価格設定ですよね。
こちらもバーンイン後の確認となりますが、中華ハイブリッドは特にバーンイン効果が大きいと言われていますので、今回はまずは購入直後の音も入念に聴いてみました。たしかにネットの記事にあるように全般的に低域が強く中域は弱いですが、購入した個体が「当たり」だったのか、それほど悪くない印象です。

imageこの価格帯の中華イヤホン(特にデュアルドライバー)にはハズレの商品もあり、私自身も過去に何個かハズレも買っていますが、それら「ハズレ」イヤホンの「こもった音」と比較すると、「KZ ZST」は十分にハイブリッドらしい明瞭さになっています。
ネットの記事のよると後発のPurpleのほうが多少改良されているのかBlackより音の締まりが良い、という記述もありましたので、カラーによって評価は結構違うのかもしれません。ATEでもよく言われましたがKZのイヤホンは同じ製品でもバージョンによって音質が変わっていたり、当たりはずれもあるようなので、一概に評価できないこともあります。

※追記:現在はブラックもパープルも改良したモデルになっており、どちらも問題なく安心して購入できるようです。

imageその後1週間程度のバーンイン後、改めて確認すると、ドンシャリ傾向でさらに中域も出てくるようになりました。音の絞まりもちょっと良くなったようです。さらに一緒に購入したZST用アップグレードケーブルに換装することで明瞭さが向上。音域の広さはまずまずです。
「ZS3」も「ZST」もケーブルは脱着式ですが、「ZST」のほうはサイズ的に一般的なIEM用の2pinコネクタと互換性があり、今回購入したアップグレードケーブル以外にもリケーブルを楽しむことができます。1000円程度の安価なアップグレードケーブルでも確かに結構な音質変化がありましたので、ケーブルによってはさらなる音質向上が望める可能性があります。

個人的には、普段あまり低音押しのイヤホンは使わないのですが、取り回しも良く、(価格的にも)気兼ねなく持ち歩けるので、特に低音が効いている方が有り難い屋外で使うのにはアリだな、と思いました。

image※追記:その後、約100~200時間程度のエージングが進むと、中高域の伸びは購入当初とはまったく別次元のレベルにまで進化します。この状態のZSTはすでに「低音イヤホン」ではなく「綺麗なドンシャリ傾向」で、かつボーカルの距離も近い抜群のリスニングイヤホンになります。
私自身は、「KZ ZST」は改造目的(フェイスパネルを交換したり、MMCX化したり)なども含め5個以上購入しているのですが、すでにエージングが済んだ個体と、購入したてのものを聴き比べると「よくここまで変化するものだ」と驚きを感じます。

「長時間エージングを行ったZST」は、この価格帯のハイブリッドとしては相当高いレベルのイヤホンだと思います(あと価格的に改造のようなDIY的楽しみもハードルが低いのがいいですね^^)。


どれも購入しても大手メーカーのエントリーモデルより安いくらいの価格設定で驚きの音質。
お手軽に中華イヤホンへデビューするのには最適だと思います。



■(追記&オマケ)形状はそっくり「ZST 」の1DD版「KZ ED12」

最後にオチ、というわけではありませんが、上記の記事を書いた後に、おなじKZのカラフルなダイナミックドライバ搭載イヤホン「ED12」も購入しました。レッドと濃いブルーの左右異なるカラーのクリアシェルのイヤホン。シングルダイナミックドライバーのイヤホンで、「ZST」とおなじコネクタでリケーブルも可能です。
というか、カラーこそ違いますがハウジングの形状はZSTと同一でおそらく搭載しているダイナミックドライバも同一。つまり1BA+1DDハイブリッドのZSTからBAをはずしてシングルにしにしたのがED12ですね。こちらも前期モデルが出てから半年程度経過しており、購入ロットでは多少の改良が加えられている気がします。
Amazon.co.jp:KZ ED12

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というのも、たしかに聴いてみて解像度は高くないのですが、ドンシャリ傾向のイヤホンとしてはまあわかりやすい音になっています。初期ロットはけっこうぼんやりした音だったらしいのですが、少し絞まった音に改良されているのかもしれません(たまたま個体差で「アタリ」の可能性もあります)。ただし、バーンインを行い、ケーブルをZST用のアップグレードケーブルでリケーブルをすることで多少は改善されたような気がしますが、ZSTと比較すると基本的には中途半端な感じはします。ZST Purpleとの価格差を考えるとおとなしくそちらを購入した方がよさそうです。
※その後ED12のプライスも結構下がり現在はZSTの半額くらいになっています。この価格なら記事の内容より少しだけ評価をアップしても良いかもしれませんね。