
エレコム「EHP-SH1000」デュアルダイナミックドライバー構成の同社ハイエンドイヤホンを入手しました。すでに発売開始から1年ほど経過していますが、こちらは約1か月ほど前に譲っていただいたイヤホンになります( ^^) 。
エレコムも数年前より精力的にイヤホン製品を発売しており、幾つかの製品については過去に私のブログでも紹介させていただきました。
今回紹介する「EHP-SH1000SV」は「士郎正宗コラボ」として発売前にも同氏との開発経緯がエレコム社サイトに掲載されています。また、パッケージにも同氏のサインがプリントされています。



いっぽう、エレコム社のイヤホンのラインナップ的にも、発売時価格が3万円近いフラグシップ的な製品として発売され、現在も他のモデルと比較すると最上位モデルの位置付けとなっています。とはいえ、すでにアマゾンなどでは新品価格もかなりこなれてきており、現在の価格なら相当に「買い」な音質・クオリティではないかと思います。
■個性的なデザインで装着性には多少の難ありもイヤーピースを工夫して解消

高いビルドクオリティのハウジングはサイズ的には大振りですが、重量的にはそれほど重くはありません。MMCXケーブルはマイクコントロールあり、なしの2本が付属。
なお、イヤーピースはS/M/Lの3種類ですが、その大きなハウジングの関係もあり、装着性は結構「人を選び」ます。
個人的には士郎正宗氏の単行本は「攻殻機動隊」などはもちろん、1980年代の「アップルシード」や初期作品集「ブラックマジック」を結構初期の版で買ってる世代のファンなので(^^;)、当初「EHP-SH1000SV」も発売と同時に買うつもりだったのですが、装着性でいったんは断念した経緯があります。またシュア掛けもできないことはないですが、デザイン的にあまり向いているとも思えません。


今回改めて入手し、いろいろなイヤーピースを試したところ、幅が広めのウレタンイヤーピースや、SpinFitの「Twin Blade」などのリーチの取れるタイプであれば、標準のイヤーピースで固定できない方でもかなりしっかりと装着できそうです。
■味付けをせず、イヤホンの実力でしっかり聴かせる「抜群のフラットサウンド」
「EHP-SH1000SV」の周波数特性はとても綺麗なフラット。変な味付けのない、「実力勝負」のイヤホンです。

デュアルダイナミック型ドライバーですので多少のエージング効果は期待できると思いますが、上記の通り、それ以上にキチンと装着できるイヤーピースを選択することのほうが本来の実力を発揮させるためには重要だと思います。
約100時間程度のエージング後の感想では、まず低域はしっかりコントロールされた質感重視で、2DDタイプのイヤホンによくある低音偏重の傾向はありません。いっぽう高域は極端な刺さりなどはなくとても伸びやかで必要十分な情報をしっかり伝えてくれる印象です。中域は結構ボリューミーですがきちんと統制がとれているためうるさく感じることも無く、フラット傾向のイヤホンながら長時間のリスニングでも聴き疲れしないサウンドだと感じました。
ボーカルも比較的近くでしっかり定位していることも「聴きやすさ」のポイントで、曲のジャンルは選ばないものの、やはりインストルメンタルよりボーカル曲のほうが本領を発揮できそうです。

■バランスケーブルへのリケーブルで解像度とサウンドの濃さが大幅アップ
「EHP-SH1000SV」はMMCXコネクタを採用しているため、他社製のケーブルでリケーブルを行うことが可能です。ただし、MMCXケーブルにはシュア掛け用にアーチ状に加工されているものが多いため、ストレートなタイプのものは割と選択肢が絞られるかもしれません。
私は手持ちのonso製バランスケーブル(iect_01_bl2m_b_120)に換装してみました。バランスケーブルには非常に高額な製品もあるため、onsoのケーブルは比較的安価な部類に入ると思います。

また、ケーブルの「見た目」もエレコムの純正ケーブルのデザインに近く、シュア掛け用のワイヤーなども入っていないタイプなのでEHP-SH1000とも全く違和感なく合わせることができます。
「EHP-SH1000SV」でバランス出力を行った場合、DAP(プレーヤー)側もバランス対応だけでなくある程度の駆動力があったほうが良いようです。そのため、普段使いのAstell&Kern 「AK300」では特に低域などが多少心もとない印象になります。そこでDAPをFiiOの「X5 3rd Generation」を組み合わせたところ、バランス接続では抜群の相性の良さを感じました。
■できればより長く販売され定着して欲しい、エレコムの名機
エレコムのイヤホンは発売開始から徐々に実売価格が下がり始めて、ある程度の期間、または数量を販売すると販売終了になってしまう傾向にあります。

せっかくの「良い音」ですからもっと多くの方に広まるといいですね。