
中華イヤホンブランドのひとつ「Rose」の5BAイヤホン「Rose BR5 Mk2」です。
「Rose」の製品としては「Cappuccino 2+2C」(2DD+2BA)と並び300ドルを超えるイヤホンで、Mk2という名前の通り「Rose BR5」からモデルチェンジした2代目の製品になります。スペックおよび価格からも中華イヤホンとしては高価格帯の製品と言えるかもしれません。
とはいえ、最近は中華イヤホンでも300ドルを超える製品も珍しくはなくなってきましたし、10BAを超えるドライバー数を持つイヤホンも何種類も登場しているなかで「5BA」という仕様ももはや「多ドラ」とは呼べなくなっているような気もします。ここ1~2年のマルチBAインフレはすさまじいですね(^^;)。
※「ROSE BR5 MK2」については現在、国内正規品の購入が可能です。
Amazon.co.jp(国内正規品): ROSE BR5 MK2



ちなみに、今回私が購入したのはRoseの在庫処分のもので、フェイスカラーはブルー、コネクタはMMCXタイプでした。またこの関係で届いたパッケージがちょっと古かったりケーブルが違っていたりしましたが、その辺はご愛敬。HCKに伝えたところ新しいケーブル他を別途送って頂けることになっています(そのため、このレビューではケーブルは手持ちのMMCXケーブルを使用しています)。
中華イヤホンを購入する際は多少の「おおらかさ」は必要かとおもいますが、HCKはAliExpressのセラー(ショップ)の中でも相当に良い対応を取ってもらえるところなので、この価格帯のイヤホンでも安心して購入できます。
■仕上がりは上々。特徴的なステムは小さめイヤーピースで奥まで装着がベスト。

シェル形状は初代の「Rose BR5」と大きく異なり、よりコンパクトなシェルと長く伸びたステムが特徴的なデザインとなっています。低音用の大きなドライバーと中域・高域を担う4つのドライバーがびっしり詰められたシェルはなかなかの格好良さです。
ちなみに、シェルの大きさですが手持ちの「SE535LTD」「DZX 1D+3BA」あとオマケで「KZ ZST」あたりと比較してみると、その「Rose BR5 Mk2」のコンパクトさがわかります。また長いステムも際立っています。
(写真は左からSE535LTD、Rose BR5 Mk2、DZX 1D+3BA、KZ ZST)


このような形状のため、普段大きめのイヤーピースを使用している方の場合、同様に使用するとハウジングが耳から飛び出してしまい、いまひとつ装着感が安定しません。そのためひとまわり小さいイヤーピースを使用し、耳穴の奥まで装着する必要があります。コンパクトになったデザインのおかげで、耳穴の位置や耳の形状にあまり関係なくしっかりと装着ができると思います。


私の場合は耳穴が結構狭いため、「SpinFit」のSSサイズを使用しています。この利用方法だと遮音性もまずまずで、混雑したカフェや家族連れの多い週末の新幹線でもどっぷり音楽に浸ることができました。
■中低域に存在感を示すサウンドの濃さと透明度。フラットながら女性ボーカルが近くて映える

低域はBAらしい締まりを持ちつつ存在感を示しており、透明感のある中域と伸びのある高域で特に「ボーカルをしっかり聴かせる」という点では抜群のサウンドを実現していると思います。最近の高性能ハイブリッドや同価格帯のダイナミックと比較して音場は決して広いわけではありませんが(一般的なマルチBA機並)、解像度および透明度は非常に高く、見通しの良さを実感できる明瞭感があります。またボーカルは近くしっかり聴かせる「濃さ」を感じるイヤホンでもあります。
そのため、相性面ではポップス・ロック・アニソンなどのボーカル曲をメインに楽しむのに最適なイヤホンだと思います。特に中域の美しさと透明感から女性ボーカルの曲は鮮やかに「映える」印象です。いっぽうクラシックなどの音場感を求めるものは得意ではないかもしれません。
「Rose BR5 Mk2」の音量は比較的取りやすいイヤホンで反応も良いため、どのようなDAP(デジタルオーディオプレーヤー)でも鳴らす上で困ることはないと思います(ただしDAPやアンプによってはわずかにホワイトノイズが発生する場合があり)。ところが、この反応の良さ故に、DAPの出力やポータブルアンプで特に高域の出方が大きく変わります。
今回メインの試聴環境で使用しているAK300の場合、高域の刺さりはほとんど無く、これはバランス接続にしても変化はありません。

※DAPによる音の変化についてはkiliko(@kiliko3611)さんにヒントをいただき一部追記しました。ありがとうございます。
このようにDAPによって場合によっては高域に違いはありますが、どのような利用環境でも共通して非常に濃い印象を受けるイヤホンであることは間違いないところです。そのため、例えば新幹線で仕事をしながらBGMで聴いていると他のイヤホンより曲がしっかり入り込んできてあまりBGMにならない(笑)なんてこともありました。
■で、結局ANDROMEDAと比べてどうよ、って話もありましたね(笑)
ところで、6月下旬の「Rose BR5 Mk2」を売り出すよ、というタイミングのHCKのツイートで(Rose社曰く)「qdc 5 & VE5 & ANDROMEDA に対抗するぜ」みたいなことをつぶやいていました。
この「煽りツイート」(笑)は結構な反響があったようですが、結果「Rose BR5 Mk2」は「ANDROMEDAと比べてどうよ」というネタが必ず挙がるイヤホンになってしまったみたいです。


ただ、ビルドクオリティなど多くの面でまだまだ及ばない部分も多く、さらにDZシリーズなど、この点ですでにトップクラスを実現できている中華イヤホンメーカーも存在する中では、エールも込めて「もっと頑張りましょう」と伝えたいところではあります。今後、煽りツイートなしでもちゃんと評価されるイヤホンブランドになるといいですね(^^)。