NICEHCK Bro

(10月16日追記)以前紹介した「NICEHCK Bro」ですが、HCKのアマゾンのマーケットプレイス出店にあわせてアマゾンでの購入が可能になりました。さっそく家族用に元々持っていたブラックに加えて紫をマーケットプレイスで購入しましたのでこちらのレビューも少し追記しました。

この夏は思いのほか大量出費になってしまって、なんというか、比較的「重量級」のレビューが続いていますので、ちょっと「息抜き」というかお遊び的なネタを含めた紹介です。これも中華イヤホンの楽しみ方のひとつ、という感じでご覧いただければと思います。

NICEHCK Bro今回メインで紹介するのは「NICEHCK Bro」という低価格ハイブリッドのイヤホンですが、本題は「NICEHCK Broの本当の比較対象はKZ ZSTじゃないよ!」という話です(*゜∀゜*)。

最近は中華イヤホンも認知度や評価が高まるにつれ人気モデルの価格が少しずつ上昇傾向にありますが、いっぽうで2千円台ハイブリットイヤホンの「KZ ZST」が思いのほか長く人気を保っていて、すっかり低価格中華イヤホンの代名詞的な存在になってしまいました。

まあそのKZ ZSTも元はT○Z MY L○VEのパ○リだったりするわけですが、そっちのオリジナルの方が「II」でKZ ZSTみたいな2pinリケーブル対応になったりと、もうどっちがオリジナルかわからない状況もあります(こっちの話は本筋ではないので割愛)。


■同じ時期に登場した「そっくりさん」な激安中華ハイブリッド

そんななか、AliExpressの日本向けイヤホンセラー(ショップ)として抜群の人気と実績をもつ「NiceHCK Audio Store」(HCK Earphones)から「NICEHCK Bro」という名称でZSTとほぼ同等の低価格ハイブリッドイヤホンを発売されました。
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NICEHCK Bro」は「KZ ZST」と異なり「MMCXコネクタ」に対応していることで、バランス接続も含めた豊富なリケーブルに対応できる点がポイントでした。ただし、カラバリが「KZ ZSTと同じ」に合わせた、完全に「MMCX対応のZSTが欲しい連中を狙い撃ち」仕様になっています(笑)。
NICEHCK BroNICEHCK Bro

また「NICEHCK Bro」より少しだけ先行して中国のイヤホンブランド「BGVP」より「SGZ-DN1」というハイブリッドイヤホンもリリースされていました(追記:現在は取り扱いを終了しています)。この「NICEHCK Bro」と「SGZ-DN1」、搭載するダイナミックドライバーの仕様の違いから僅かなスペック上の違いがあるものの、ハウジング形状も含めて「ほぼ同じ」イヤホンです。
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2種類のイヤホンの外観を比較すると、SGZ-DN1のハウジングはフェイスプレート以外は透明なデザインのため内部のネットワークがしっかり確認できる、のは良いのですが、あまりにハウジングの中身が「空っぽ」に見えるため、このイヤホンに限っては「透明なのも考えモノ」という気分になります。とりあえず「どっちもどっち」ではありますが(笑)、見た目としては「NICEHCK Bro」のほうが一般ウケはよさそうです。


■微妙にスペックが違うものの、調べた限りは「全く同じ」?!

ちなみに、2つの製品の特徴は、
imageNICEHCK Bro
 AliExpress(NiceHCK Audio Store):NICEHCK Bro 18.20ドル
 Amazon.co.jp(NICEHCK):NICEHCK Bro  2,699円
 ・構成:1DD(9.2mm)+1BAハイブリッド 周波数帯域: 20Hz~30kHz
 ・インピーダンス:16Ω 感度:108±3dB SPL/mW

【SGZ-DN1】 ※現在は販売を終了しています。
 ・構成:1DD(9mm)+1BAハイブリッド 周波数帯域: 20Hz~35kHz
 ・インピーダンス:12Ω 感度:110dB SPL/mW

といったところ。付属ケーブルの単品価格を考慮するとほぼ価格差はないと思って良いかと思います。仕様についてはダイナミックドライバの仕様の違いからスペック面に微妙な違いが発生しています。ただ実際に聴いた際の感覚は2つのイヤホンとも非常に酷似した音です。

imageというか、どちらも約100時間程度のエージングを行った上で同じケーブルで周波数特性を測定してみると、2つのイヤホンは「全く同じ」といって過言ではないカーブを描いており、反応も同じです。
個人的な印象としては両方のイヤホンを左右片方ずつ装着して使用しても全く違和感を持たないレベルには「同じ」でした。
もしかしてどちらかのスペック表記が誤りか、そもそも表記そのものが適当なのか・・・とりあえずこれ以上は深く考えるのはやめましょう(笑)。

というわけで、以降は「NICEHCK Bro」を中心にレビューしていきます。

NICEHCK BroNICEHCK Bro」は購入直後から分離感の良い音ですが、100時間以上のエージングでいわゆる「ハイブリッドのドライバー感のつながり」が良くなりトータルとしてバランスの良い音になります。
音質傾向は典型的なドンシャリですが、低域の量感と同時に高域もかなり高いところまで表現できていて、この価格帯のイヤホンとしては相当に優秀な音質であることを実感します。音場の広さは一般的ですが比較的分離感が良く、しっかり定位して聞こえます。

ただし、「NICEHCK Bro」の付属MMCXケーブルではすこし音域が狭いので、それほど高級でなくとも、リケーブルでの簡単にグレードアップを行うことができます。上記のKZ ZSTとの比較写真では同じくHCKで購入したKZ社製激安MMCXケーブル6.93ドル)を組み合わせていますが、価格以上の品質で見た目にも音質的にもグレードアップができました。また以前購入した8芯ケーブルに換装することで音質面の向上に加えて「見た目」もグレードアップしています(確実にケーブルの方が価格が高いという話もありますが・・・)。
NICEHCK BroNICEHCK Bro

他にもアマゾンのWTSUN Audio(Easy Earphoneのマーケットプレイス)など中華系のストアで販売しているMMCX対応のケーブルもさまざまな価格帯の製品が選べます。またバランス接続に対応したDAPを持っていればバランスケーブルに換装するのも面白いと思います。非常に低価格なイヤホンながらバランス接続によりいっそう分離感がアップしキレの良いサウンドに変化します。
NICEHCK BroNICEHCK Bro
NICEHCK Bro」は、ケーブルによる音質変化の比較的大きいイヤホン(それだけ本体のポテンシャルが高いともいえます)なので、いろいろリケーブルに挑戦してみるのも楽しいでしょう。

HCK Bro / HB1ちなみに、NICEHCKブランドの商品には、MMCXコネクタ仕様のBluetooth対応ケーブル「NICEHCK HB1」というアイテムがあります。このケーブルと「NICEHCK Bro」を組み合わせてみたところ非常に相性がよく、スマートフォン等で気軽に高音質が楽しめる組み合わせでした。
NICEHCK HB1」は40ドル程度の価格でapt-Xにも対応しており、DAPとの組み合わせでもより高音質でワイヤレス化できるなど持っていると結構便利ですよ。
AliExpress(NiceHCK Audio Store):NICEHCK HB1


■実は、ZSTじゃなく、「SENFER UEs」のそっくりさんだった!!(驚)

上記の通り、「NICEHCK Bro」はそのカラーリングから必然的に「KZ ZST」との比較をしたい気分になりますが、周波数特性上の音質傾向は2つのイヤホンは大きな違いがあり、聴いた印象としてはHCK Broのほうがメリハリのある音で分離が良く聞こえるいっぽう、中域の情報量はZSTのほうが多く聞こえる傾向にあります。
imageHCK Bro
個人的には「final E2000」などのほうが音質傾向としては近いと思っており、実際に聴き比べてみると結構いい勝負になることが分かります。特に「NICEHCK Bro」のケーブルをグレードアップすることでE2000よりさらに元気なサウンドを楽しめると思います。

HCK Broところで、「NICEHCK Bro」(およびSGZ-DN1)を所有するさまざまな新旧中華ハイブリッドイヤホンと比較している時に気がついたのですが、この2つのイヤホンの「シェル形状」と「ドライバー構成(ネットワーク)」は、以前から中華イヤホンを楽しんでいらっしゃる方々にはおなじみの、かつて高音質な低価格中華ハイブリッドのひとつとして話題になった「SENFER UEs」と全く同じものです。
(「SENFER UEs」をご存じない方は過去記事にて紹介していますので参照ください。)

imageSENFER UEs」と「NICEHCK Bro」(およびSGZ-DN1)を比べてみると、シェル外観の形状は全く同じで、ベント(空気穴)がステム横に3つ空いている点も同じ、さらに光を当ててシェルを透かしてみるとドライバーの配置などネットワークも全く同じであることがわかります。
AliExpress(HCK Earphones):SENFER UEs
 ・価格29.00ドル(ケーブル付き)
 ・構成:1DD(9.2mm)+1BA(Knowles 30042)ハイブリッド
 ・インピーダンス:16Ω 感度:112dB SPL/mW
 ・周波数帯域: 20Hz~20kHz
と、当然のことながら非常によく似た内容になっています
(おまけに意図せずHCK BroもSENFER UEsと同じカラーのものを買ってしまいました・・・汗)。

imageただ、音質傾向としてはZSTとの比較同様メリハリと高域の伸びは「NICEHCK Bro」などのほうがあるいっぽうで、音場の広さ、ボーカルなど中域の量感はUEsのほうが多く感じます。これは搭載するBAドライバーの性能差によるものかもしれませんね。ただ、1年以上にわたってエージングされたSENFER UEsは相変わらず良い音ではありますが、同様の傾向のイヤホンではさらに優れた製品が数多く登場しているため、「伸び」や「キレ」などにいささかの古さを感じるのも事実です。そういった意味では、多少メリハリに振った音作りをしている「NICEHCK Bro」(およびSGZ-DN1)は、この価格帯のイヤホンでの「イマドキの音」と言えるのではないかと思います。


というわけで、このような中華イヤホンが生まれる課程でウラでどのようなことが起こっているのか、あるいはどのような流れで作られているのかは、正直なところよくわからないのですが、こうやって購入したイヤホンを色々調べながらあれこれ想像してみるのも楽しいことです。
とりあえずは「NICEHCK Bro」の登場で3000円未満の低価格で安心してオススメできるイヤホンがひとつ増えたことは間違いない無いと思います。