MacaW GT600s

最近地味に忙しくてちょっとレビューも遅れがちですがぼちぼち書いていこうと思います。
というわけで今回は「MacaW GT600s」です。

中国「MacaW」ブランドのイヤホンで1DD+1BAのハイブリッド構成で美しいメタルボディと3種類のサウンドフィルターが特徴的です。
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9月にAliExpressのHCKで購入し、10月の初旬に到着。2週間ほど使用してのレビューとなります。
AliExpress(NiceHCK Audio Store):MacaW GT600s

HCKの場合、表示価格は99.99ドルですが、購入時に「bisonicr」とメッセージを入れていただくと69.99ドルで購入できます。カラーはシルバーとブラックが選択できます(私はシルバーで購入)。
購入方法はこちらを参照ください。

MacaW GT600sMacaW GT600s
パッケージ構成は本体とS/M/Lのシリコン製と2種類のウレタン製イヤーピース、3種類のサウンドフィルター(標準フィルターは装着済み)、MMCX仕様の専用ケーブル、ポーチ、説明書など。
MacaW GT600sMacaW GT600s
MacaW GT600s」の金属製ハウジングはコンパクトながらとても美しいデザインで、パッケージを開けた瞬間に「カッコいい」と感じます。またスウェード調のココア色のイヤホンポーチは質感の良いものでパッケージクオリティの高さを感じます。付属の専用MMCXケーブルは銀メッキOFC(無酸素銅)線のとスペック的には一般的なものですがコネクタ部分なども本体のデザインとあわせており、トータルとして「とてもカッコいい」イヤホンに仕上がっています。

MacaW GT600sMacaW GT600s
金属製イヤホンということでしっかりとした重量感のあるつくりですが、ハウジングそのものが非常にコンパクトなので実際の重量は気になるほどではありません。装着性もなかなか良好でした。
ベントは2か所ありますが一般的なハイブリッド同様で音漏れはほぼありません。


■フラット傾向の良い音ですが「無難な」仕上がり。この辺がいまいちマイナーな理由?

MacaW GT600s」の周波数特性は弱ドンシャリ寄りのフラット。最近の100ドルクラスの中華イヤホンは圧倒的にこのような特性のイヤホンが増えています。
MacaW GT600sジャンルを選ばずオールマイティに聴けて、派手なドンシャリよりも上品(高級?)に感じる、というイメージかもしれません。
100ドルクラスのメジャーな中華イヤホンブランドで(中華イヤホンにメジャーがあるかどうかは別として^^)がっつりドンシャリで攻めているメーカーというと最近では「TFZ EXCLUSIVE KING」 等のTFZ製品くらいになってしまっているような気もします。他にも「MaGaosi K3 Pro」(日本名「BEAT-IN HYBRID」?)とかもありますが、製品自体は出てから結構経ちますので。やはり「SIMGOT EN700 Pro」のような「大当たり」なイヤホンもあるため、しばらくはフラット寄りの傾向は続くのかもしれませんね。

MacaW GT600sMacaW GT600s」は全般的には高域に特徴のあるサウンドですが、「刺激的」というよりキラキラ感を演出するような音作り。届いた直後の音は多少高域に刺さりのある音でちょっと刺激的なサウンドを期待したのですが、エージングが進めにつれて刺さりはほぼ無くなり見通しの良い美音系のサウンドになりました。
解像度も極端に高い、というわけではないですがこの価格帯のイヤホンとしては十分のレベルで、いっぽうでしっかりと分離感はあるため「ふつうに良い音」と感じるつくりになっています。ただ裏を返すと見た目の格好良さ以上には「極端に目立つ特徴はない」とも言えます。
そのため、上記の通り中華イヤホンの世界でも個性的かつ高音質のイヤホンがひしめくこの価格帯では音質面についてはちょっとマイナーな印象になるかもしれません。

そして、「MacaW GT600s」の最大の特徴として、3種類のサウンドフィルターが交換可能となっており、標準のフィルター(シルバーメッシュ)以外に「高域用」(ゴールド)と「低域用」(ブラック)のフィルターが付属します。

MacaW GT600sMacaW GT600s
標準フィルターでの傾向は高域の特徴は活かしつつ刺さりの少ないサウンドになります。
音場は比較的広めで低域の締りも良く、演奏を心地よく聴ける印象です。いっぽう中域は少し凹んでボーカルも多少下がった印象となります。もともとコンパクトなハウジングで遮音性も比較的良いため、仕事をしながらBGM用に、という使い方には最適でしょう。ジャズなどはこのフィルターが一番向いています。

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いっぽう、ゴールドの高域フィルターに交換すると音場は少し狭くなりますが、ボーカルが前に出てきてきます。持ち前の綺麗な高域とあわせて女性ボーカルとの相性の良さを感じます。個人的にはこのフィルターが一番気に入っています。

MacaW GT600sMacaW GT600s
最後に、ブラックの低域フィルターですが、こちらは単純にイコライザでBassブーストしたような印象。そのため曲によっては全体のメリハリが崩れて中域が曇ったような印象になることがありました。
ただ、屋外で電車での使用など低域を活かしたい用途には悪くはないと思います。こちらはロック系の曲との相性がよいと思います。


■競争激化のアラウンド100ドル中華イヤホン。本命は次の「GT600s Pro」待ちかな?

MacaW GT600sというわけで「MacaW GT600s」ですが、普通にオススメできる「良い音」のイヤホンですし、個人的には気軽に使うアイテムとして、使いまわしも良く案外気に入っていたりもするのでこの価格帯のイヤホンとしては結構オススメできるイヤホンだとは思います。ただ「格好良くで音が良い」という以上の個性という視点では「いまひとつ推しに弱い」というのもまた事実。
正直なところ辛口の人からは「見た目の格好良さに対して、無難な音づくりに仕上げた」という評価もありそうです。
実際HCKの販売履歴を見ても初期購入者以降全く売れていない人気のなさが評価を裏付けている気もします。
このイヤホンのメタリックデザインのイメージからすると、たとえばRHA製品のような全力で高域に振った過激さとかがあれば180度評価も違っていたのかもしれませんが。難しいところです。

image最近では、中華イヤホンも特に100ドルクラスともなると「高品質」で「高音質」なのは当たり前で、さらにいかにイヤホンとしての「個性」をアピールできるかがポイントになってきていると思います。
「GT600s」も私がオーダーした直後にサイトで「GT600s Pro」が出る、という情報が流れました(まじかー。それならProまで待ったのにー!、というのがもちろん「本音」)。アップグレード内容をみるとおそらく「GT600s」ではいまひとつだった「解像度」や「クリアさ」がドライバやハウジング周りとケーブルのグレードアップで大幅に改善しそうな印象です。なんというか、本命はこのProの方かなー、とも思いながら、今後の展開を楽しみに、とりあえずはこの「GT600s」を活用したいと思います。