※本レビューは12月3日に投稿した「Yinyoo H3」のレビューに追加で入手した「Yinyoo H5」の内容を加え、あらためて再構成いたしました。
※さらに「Yinyoo H5 Pro」の購入情報および H3/H5/H5 Proの「追加のブログ値引き情報」を追記しました。
2017年も12月に突入し、いろいろ慌ただしくなってきましたが、実はレビュー予定のネタが年末に向け増えるいっぽうで「なんで俺はこんなにポチったのだろう?」と述懐せずにはいられない今日この頃です(゜-゜)。
というわけで、今回紹介するのは中国のイヤホンブランド「Yinyoo」のマルチBAイヤホン「Yinyoo H3」および「Yinyoo H5」です。写真のとおり美しいクリアシェルにマルチBAドライバーを搭載したイヤホンになります。このシリーズでは3BAトライバーを搭載した「Yinyoo H3」と5BA搭載タイプの「Yinyoo H5」の2種類が同時にリリースされており、ドライバ構成で選べる仕様となっています。
さらに現在は両モデルとも「赤青」「紫」「緑」「濃紺」「透明」と複数のカラーバリエーションが選択可能となっています。
※最新モデルではフェイスに「Yinnyo」ロゴが入るとのことです。
私は「Yinyoo H3」は赤青のコンビネーション、「Yinyoo H5」は紫のカラーでオーダーしました。
購入はAliExpressのEasy Earphonesにて。
サイトの表示価格は3BAの「Yinyoo H3」が129ドル、5BAの「Yinyoo H5」が169ドルとなっていますが、フォロワー値引きでそれぞれ100ドル(Yinyoo H3)、120ドル(Yinyoo H5)で購入することが可能です。
AliExpress(Wooeasy Earphone Store):Yinyoo H3 / Yinyoo H5
AliExpressでの購入・フォロワー値引きの方法を含め詳しくはこちらをご覧ください。
また、5BAモデルについてはフィスプレートに高品質の木製パネルをあしらった「高級バージョン」の「Yinyoo H5 Pro」も登場しました。
また「Yinyoo H3」「Yinyoo H5」「Yinyoo H5 Pro」ともアマゾンのWTSUN Audioでも購入することが可能です。
・Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo H3
・Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo H5
・Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo H5 Pro
※「Yinyoo H5 Pro」のみ、WTSUN Audioでは2,000円引きの割引を実施中とのことです。
Easy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)へでは頻繁に割引情報などもツイートしていますのでこまめにチェックされることをおすすめします。
「Yinyoo H3」「Yinyoo H5」とも、パッケージはYinyooブランドのイヤホンでは共通のボックスで、なかに大きめのイヤホンケースが入っています。
ケースの中には、イヤホン本体、MMCXケーブル、イヤーピース(グレーのものと、ホワイトのデュアルフランジタイプがそれぞれS/M/Lサイズ)の内容です。
イヤホン本体はあらかじめケーブルに装着された状態でパッケージングされています。「Yinyoo H3」の赤青のカラーフェイスのクリアシェルと金属製のステムで構成された本体は非常にビルドクオリティの高いものです。また追加でオーダーした「Yinyoo H5」も同様のパッケージ構成でこちらも同様にクリアで非常に美しいシェルです。
さらにどちらのモデルも付属MMCXケーブルには8芯銀メッキ銅線を使用した手編みケーブルが採用されており、非常にしなやかで品質もよい線材が使用されています。
■「Yinyoo H5」は「MaGaosi K5」と同じ、「Yinyoo H3」は異なるシェルデザインの別バージョン
さて、手元に届いた「Yinyoo H3」「Yinyoo H5」ですが、見ての通り、先日レビューを行った「MaGaosi K5」と非常に酷似しています。特にMaGaosi K5と同じ5BAの「Yinyoo H5」はMaGaosiのロゴがない以外、シェル形状は全く同じです。
まず、同じ5BAタイプの「Yinyoo H5」ですが、「MaGaosi K5」の写真を比較すると、MaGaosi K5のグリーンの基板に対してYinyoo H5はブラウンと異なっており、さらに内部の抵抗やネットワークも違うため同様のドライバーを使用しているものの異なるセッティングのようにも見えます。
しかし、ネットの情報やAliExpressの商品写真をみると本体カラーによってはMaGaosi K5と同様のグリーンの基板のタイプもあるようで単純にロットによる違いのようにも思われます。そこで、実際に周波数特性を測定してみたところ、2種類のイヤホンの違いはほとんど無く「同じイヤホン」といっても支障が無いことが確認できました。さっそく販売しているEasy EarphonesにDMで確認したところ「同じ工場で作った同じイヤホンである」とのことでした(その後のツイートでも言っていますね)。
Easy earphones@hulang9078@bisonicr Yinyoo H5とMaGaosi K5のメーカーは同じです。😀
2017/12/19 14:36:56
いっぽう、3BAとドライバ構成の異なる「Yinyoo H3」のほうは「Yinyoo H5」「MaGaosi K5」とはシェル形状が異なっており、内部のBAドライバーの配置にも違いが確認できます。こちらは本体部分は同じ製造元で作られているものの、もちろん異なるチューニングを行っているとのことでした。
実際に比較すると、「Yinyoo H3」では写真の通り「Yinyoo H5」「MaGaosi K5」よりコンパクトなシェル形状となっており、耳にフィットしやすく、装着性も良くなっています。また遮音性も比較的良好でした。
また「Yinyoo H3」および「Yinyoo H5」は、付属ケーブルについても「MaGaosi K5」とは大きな違いがあります。
「MaGaosi K5」ではapt-X対応のBluetoothケーブルが同梱されているいっぽうで、標準のMMCXケーブルは特に高域の表現で若干スペック不足な印象が否めず、より高品質なケーブルを用意しリケーブルを行うことが望ましいですが、「Yinyoo H3」「Yinyoo H5」では最初から高品質な8芯銀メッキ線のケーブルが同梱されています。調べてみると、AliExpressで同一と思われるMMCXケーブルが単品で41.99ドルで販売されていました。イヤホン本体の価格を考えるとかなりお得ですし、購入直後から最適な構成で使用できる点は「Yinyoo H3」「Yinyoo H5」の大きなメリットだと思います。
このようにメーカーの違いにより構成面で違いがある「Yinyoo H3」「Yinyoo H5」ですが、音質面でのチューニングの違いもとても気になるところです。
■「Yinyoo H3」はより刺激的な高域が楽しめる、アグレッシブなサウンド
「Yinyoo H3」の周波数特性はMaGaosi K5同様にフラット寄りの弱ドンシャリですが、「MaGaosi K5」よりメリハリが強く、高域へのアプローチが鮮明になっています。2つのイヤホンは共通のBAドライバーを使用していることもあり音質傾向そのものは似ているのですが、「Yinyoo H3」のほうが反応が良く、エッジを効かせる方向に振っているように感じます。
また、「Yinyoo H3」は3BAの構成らしいよりスッキリしつつアグレッシブなサウンドにチューニングされている印象です。
「Yinyoo H3」は「MaGaosi K5」よりかなり高域は強めで、シャリシャリ感は少ないもののDAPによってはより刺さりを強く感じるサウンドです。いっぽうで中低域は分離性が高くキレのある印象で、「MaGaosi K5」の量感のある情報量の多いサウンドとは対照的です。高品質なケーブルとの組み合わせもあり解像度も高く、音場は「MaGaosi K5」よりは少し狭くなっていますがそれでもフラット傾向の3BAとしては十分な広さがあり、いっぽうでボーカルはより近くで定位します。全体的なバランスは「MaGaosi K5」のほうが優れていますが、「Yinyoo H3」のチューニングも面白いと思います。
ところで、「MaGaosi K5」もポータブルアンプやプレーヤーの組み合わせによっては結構刺さりが強いサウンドになりましたが、「Yinyoo H3」はその傾向がさらに顕著で、より刺激的なサウンドが楽しめます。おそらく5BAの「MaGaosi K5」ではある程度ネットワークで中高域のドライバーを抑制することで全体のバランスを取っているものと考えられ、よりシンプルな構成の「Yinyoo H3」のほうが搭載ドライバー本来の高域が出せている可能性もあるのではと思います。
ただし、「Yinyoo H3」はDAPによっては多少聴き疲れしやすく感じるかもしれません。
例えば、最近利用機会の多い「Shanling M3s」ではパワーが供給過剰気味で「Yinyoo H3」は多少刺さりが強くなります。いっぽうで「PLENUE R」との組み合わせではモード設定にるパワーコントロールがしやすく個人的には結構気に入ってる組み合わせです。普段は「Normal」モードで刺さりを適度に抑えつつ、曲によってモードを「BBE+」や「Crystal Clear」に変更することで「Yinyoo H3」本来のアグレッシブさを楽しんでいます。逆に「Shanling M3s」ではあえてバランスケーブルにリケーブルして「刺激マシマシ」でロック系のサウンドを盛り上げたりもしています。
いっぽう「Yinyoo H5」については前述の通り「MaGaosi K5」と同様のサウンドでした。「MaGaosi K5」の音質傾向については先日のレビューで紹介していますのであわせてご覧ください。
→ 「MaGaosi K5」 5BA搭載で驚きの低価格と高音質を実現した中華イヤホン【購入レビュー】
■万人受け構成の「MaGaosi K5」と、よりマニア向け/玄人向けな「Yinyoo H3」「Yinyoo H5」
というわけで、「MaGaosi K5」に引き続きで入手した「Yinyoo H3」「Yinyoo H5」でしたが、同じ工場で生まれた「兄弟イヤホン」にもかかわらず、特にH3については若干好き嫌いを選びそうですが、音質面でもそれぞれブランドのキャラクターを明確に感じることができ、とても興味深く思いました。
「MaGaosi」という中華イヤホンの世界では比較的メジャーなブランドで登場した「MaGaosi K5」は、とにかく5BAというインパクトのある構成に加えて、最初からapt-X対応の高音質Bluetoothケーブルの同梱したうえで100ドル台の価格を実現するなどスペック面では非常にキャッチーな構成となっています。いっぽうパッケージ内で目立たないMMCXケーブルは従来モデルのK3 Pro(青色)やK3 HDなどで採用している比較的安価なものを使用しており、イヤホンケースについてはさらにK3よりコストを下げたものになっています。
いっぽう、「Yinyoo H3」「Yinyoo H5」はシンプルなパッケージ構成ながら、逆に付属ケーブルが8芯銀メッキ線の高品質なものを同梱したり、ケースをよりしっかりしたものを同梱するなど「わかる人」への訴求が強い内容で、トータルとして購入直後からそのままで使用できる内容になっています。
さらによりシンプルな3BAとドライバー構成面では多少見劣りする「Yinyoo H3」については、よりアグレッシブでドライバーのパフォーマンスを活かした仕上がりとなっており、「Yinyoo H5」および「MaGaosi K5」のマルチBAらしい情報量の多さと中域をメインに聴きやすくセッティングされたサウンドと比較して、より「玄人向け」というか、多くのイヤホンに親しんだマニアが楽しめそうなサウンドになっています。この似て非なるイヤホンを使い分けるのはなかなか楽しいのですが、とりあえず「MaGaosi K5」と「Yinyoo H5」は同じサウンドなので、片方はバランス接続やLightning/Bluetooth接続など利用シーンを変えて使おうと思っています。
「MaGaosi K5」「Yinyoo H5」と「Yinyoo H3」はどれも非常にお買得度が高く購入後の満足感も大きいイヤホンだという点で間違いなくオススメです。さらに、もしBluetoothケーブルが不要でより自分好みのカラバリを選びたい場合は「Yinyoo H5」は良い選択肢ですし、同様にカラーを選びつつ、刺激的なサウンドのほうが好みであれば「Yinyoo H3」はかなり良いイヤホンだと思います。
このシリーズは今後、マルチBA中華イヤホンの定番のひとつになっていくかもしれませんね。
※その他「Yinyoo HQ」および「Yinyoo H」シリーズのレビューについてはこちらをご覧ください。
→ 過去記事(一覧): 「Yinyoo HQ」シリーズ/「Yinyoo H」シリーズ・マルチBAイヤホン