Yinyoo H5 Pro

■このシリーズ3種類め。すでにコレクター化してるような・・・(^^;)
というわけで、到着からすでに1ヶ月以上経ってしまいましたが、改めて「Yinyoo H5 Pro」です。昨年後半、イヤホンマニア、特に中華系のイヤホンに興味のある方々で評判となった「低価格で5BAを搭載したクリアデザインのイヤホン」の流れを組む製品の「ちょっと高級になった」バージョンです。「Pro」といっても従来の「H5」と音質的な違いはなく、フェイスプレートによりコストの高いスタビウッドを採用している点がポイントとなっています。

Yinyoo H5 Proすでに以前のレビューでも紹介しているとおり、このシリーズのイヤホンの製造元は複数のブランド向けにイヤホンを供給しており、今回入手した「Yinyoo H5 Pro」は、「Easy Earphones」などの販売元が中心に取り扱う「Yinyoo(音佑)」向けバージョンの「スタビウッド」(スタビライズウッド)製フェイスモデルになります。ちなみに「NICEHCK HC5」のスタビウッドのモデルとは販売元および「ブランド違い」のみで中身は全く同じと考えてよいでしょう。
なお、「Yinyoo H5 Pro」と同じシェルのクリアカラーモデル「Yinyoo H5」(現在はロゴ入りですが私はロゴ無しバージョン)、さらに中華イヤホンの世界では有名ブランドの「MaGaosi」の「MaGaosi K5」を所有しており、それぞれ過去のレビューにて紹介しています。よろしければ併せてご覧ください。
「Yinyoo H5」「Yinyoo H3」 5BA / 3BAのマルチBAドライバーとマルチカラーが楽しいクリアデザイン&高音質イヤホン
「MaGaosi K5」 5BA搭載で驚きの低価格と高音質を実現した中華イヤホン【購入レビュー】

スタビウッドの「Yinyoo H5 Pro」は、現在アマゾンのEasy Earphonesのマーケットプレイス(WTSUN Audio)にて販売されています。国内アマゾン倉庫に在庫がある場合プライム扱いですぐに商品が届きますし、万が一の際もアマゾンの購入履歴からサポート問い合わせ(日本語)が可能ですので安心感がありますね。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo H5 Pro

※下記の通り、現在WTSUN Audioでは2,000円引きで購入できるキャンペーンを実施中とのことです。

またEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)では頻繁に特価情報等もツイートされているためこまめにチェックされることをお勧めします。


■スタビウッド(スタビライズウッド)で一気に高級感を増したクリアデザイン

Yinyoo H5 Pro」もパッケージは最近のYinyooブランド製品共通の同社ロゴ入りケース+ボックス。
Yinyoo H5 ProYinyoo H5 Pro
構成はイヤホン本体、8芯銀メッキ線MMCXケーブル、イヤーピースはシングルフランジとデュアルフランジがそれぞれ3サイズずつとなっています。
Yinyoo H5 ProYinyoo H5 Pro
私は発売直後にAliExpressにて「ブルー」でオーダーしましたが、実際に届いたものはよりグリーンに近い濃いめのターコイズブルーといった感じの色でした。現在販売されているのはアマゾンの表記では「ブルー・Ⅱ」となっており、より青に近いカラーになっているかもしれませんね。
Yinyoo H5 ProYinyoo H5 Pro
ちなみに、スタビウッド(= スタビライズウッド:Stabilized Wood)は自然木をカラーレジンで圧力染色(着色ではない)した素材で、木目によって風合いが異なるため同じ色・模様はひとつとしてありません。またより硬度も高い材質になります。オーディオ的にはギターなどでよく使われているのを見かけますね。

そして、付属の「8芯 銀メッキ線ケーブル」は最近単品でも販売されており、アマゾンおよびAliExpressで購入することができます。最近は2.5mm/4極および4.4mm/5極のバランスコネクタ仕様もアマゾンで選択できるようになりましたので、同じケーブルでバランス仕様に気軽にアップグレードできるのは嬉しいところです。
※Yinyoo 8芯 銀メッキアップグレードケーブル
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 4,890円~ / AliExpress(Easy Earphones) $38.00~$40.00


■5BAの特徴と低コストを両立した定評あるサウンドは健在。リケーブルでの変化は?

さて「Yinyoo H5 Pro」の実際に聴いた印象ですが、何度も書いているとおり、音自体はこれまでもレビューしている「MaGaosi K5」および「Yinyoo H5」といったブランド違い、またはフェイスプレートの仕様違いの各モデルと「同じ音」です。フラット寄りの音質傾向で、広い音場とボーカル映えする明るめのサウンドが特徴的です。改めて聴いても4つの中高域BAドライバーが作り出す情報量が多く「濃い」中高域と、低域を担うKnowles製BAとのネットワークの調整もとても良好な印象を受けます。
Yinyoo H5 ProMaGaosi K5」のレビューの際も触れましたが、同じ5BAのイヤホンでも評価の高い10万円超えの製品の解像度や分離性、または高域の表現などと比べるのはさすがに無理がありますが、リスニングイヤホンとしての完成度は高く、クリアで美しいデザインとあわせてカラーバリエーションをいろいろ使い分けるのも楽しいのではと思います。ちなみに、多くの5BAクラスのマルチドライバーのイヤホン同様に比較的「敏感で鳴りやすい」傾向にあるため、ヘッドホン向けの高出力アンプやスマホのイヤホン端子などではホワイトノイズを多く感じるケースがあります。また出力が強すぎると高域がハイ上がり状態になることもあるので、再生環境はCIEM等にも最適なDAPを利用することをお勧めします。

ところで、「Yinyoo H5 Pro」をはじめとする各バリエーションはMMCXコネクタを採用しているため、気軽にリケーブルできるのも楽しいところです。最近、製品付属と同じ「8芯銀メッキ線ケーブル」以外にもEasy Earphoneでは「Yinyoo」ブランドなどで新シリーズの8芯ケーブルが相次いでリリースされました。
Yinyoo H5 ProYinyoo H5 Pro」は確かに他のブランドの同じ製造元のイヤホンも音は同じですが、より多くの種類のオプションケーブルを同じブランドで選択できるのはメリットのひとつですね。私も発売された3種類のケーブルを全て購入したため、標準ケーブルとの音の違いを比較してみたいと思います。
なお、今回比較する各ケーブルは、先日「中華ケーブルのまとめレビュー」のYinyooケーブル編にて紹介していますので、よろしければ併せて参照くださいませ。
→ 【その4:Yinyoo/Kinboofi新ケーブル編】 中華イヤホンケーブルをまとめてレビューしてみました ④

今回の比較でも再生環境はAstell&Kern AK300を使用しました。気がつけば現役で私が使用しているDAPのなかでは最古参ですし、性能インフレの進む現在では割と凡庸なスペックとなってしまいましたが、その無味無臭なサウンドが比較においては安心して使える存在でもあります。特に「Yinyoo H5 Pro」のようなマルチBAとの組み合わせでは十分元気にならしつつ出力が強すぎてハイ上がり気味になる心配もない点は有り難いところです。

【 標準・8芯銀メッキ線ケーブルとの組み合わせ 】
Yinyoo H5 ProYinyoo H5 Pro」および「H5」などのサウンドを補完している付属の8芯銀メッキ線ケーブルは典型的な中域の情報量を中心にフォーカスするタイプ。今回のケーブルの中では刺さりが少ない方のケーブルでクオリティは十分に高いと思います。また非常に柔らかく、装着時の取り回しが良いのも特徴的です。多くのケースではリケーブル無しでも十分に楽しめると思います。いっぽうで高域部分には若干の粗さがあり、「H5」「H5 Pro」では出力の強いDAPたと雑味を感じる可能性もありますね。この辺は同じケーブルでも上記の2.5mm/4極または4.4mm/5極仕様に換えてバランス接続することで分離性が良くなり多少印象が変わってくると思います。

【 GXX4728/8芯 銀メッキコート線&単結晶銅線ミックスケーブル 】
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 6,900円~ / AliExpress(Easy Earphones) $55.00~$60.00

Yinyoo H5 Pro高品質な銅線と銀メッキ線のミックスケーブルはケーブルの情報量アップ、分離性向上を比較的低コストで効率よく行える特徴がありますが、このケーブルも「Yinyoo H5 Pro」および「H5」との組み合わせではひとつ膜が取れたようなメリハリの向上があります。標準ケーブルより解像度がアップし、より近くで定位する印象を受けます。さらにこのミックス線との組み合わせでは高域の明瞭さがもっとも顕著に表れるため「高域好き」な方には最も良い選択肢になるのではと思います。ただしDAPによっては結構アグレッシブな音になるので刺さりを気にする方は注意が必要かも。ただAK300の出力ではこれくらいがちょうど良いくらいの印象でした。

【 GXX4726/8芯 高純度銅線ケーブル(錫メッキ) 】
Amazon.co.jp(WTSUN Audio)  6,900円~ / AliExpress(Easy Earphones) $55.00~$60.00

Yinyoo H5 Pro落ち着いたブラウンの色合いがスタビウッドの「Yinyoo H5 Pro」といちばんマッチしそうなカラーのケーブルです。こちらはケーブルのクオリティが向上することで上記のミックス線同様にメリハリが良くなり少し近くで定位しますが、同時に中低域の厚みが向上する印象です。「Yinyoo H5 Pro」「H5」との組み合わせではミックス線より落ち着いた印象のサウンドとなるため、ボーカル曲に加えてジャズなど演奏を楽しみたい方に向いていそうですね。今回の3種類のアップグレードケーブルの中ではいちばん柔らかく、標準ケーブルより少しだけ硬い程度なので取り回しが良いのもメリットだと思います。

【GXX4725/8芯 銀メッキコート線ケーブル  】
Amazon.co.jp(Kinboofi) 6,900円~ / AliExpress(Easy Earphones) $55.00~$60.00

Yinyoo H5 Proこちらは「Kinboofi」のブランドでアマゾンでは同マーケットプレイスで販売している8芯銀メッキコート線ケーブル。今回の3種類のアップグレードケーブルの中ではもっともナチュラルな音質傾向のケーブルで、「Yinyoo H5 Pro」「H5」のサウンドをよりクリアに聴かせてくれる印象です。他のアップグレードケーブル同様に分離性が向上しより近くで定位します。標準ケーブルで感じた高域部分の雑味も減少し明瞭感が向上します。特に強い味付けはありませんが、リケーブルによるグレードアップで「Yinyoo H5 Pro」「H5」のポテンシャルを発揮させるためのケーブルとしては最適な組み合わせだと思います。


というわけで、みたびの「Yinyoo H5 Pro」のレビューとなりましたが、リケーブルによってこのイヤホンの奥深さを改めて実感しました。スタビウッドの「H5 Pro」モデルはこのレビュー掲載時点でAliExpress側では在庫切れになっており、もしかしたらアマゾンで販売しているのも限定数で終了、ということかもしれません。
Yinyoo H5 Proもともとクリアボディのハウジングが非常に美しいビルドクオリティの高いイヤホンでしたが、「H5 Pro」モデルではその美しさにいっそう磨きがかかっており、より高級なイヤホンと並べても遜色ない仕上がりに感じます。サウンドもモニターライクではないものの、リスニングイヤホンとしてジャンルを選ばない音質傾向はとても使いやすく感じます。また思いのほか装着性が良いことも見逃せないポイントだと思います。もしこのイヤホンの購入を悩んでいる方がいらっしゃったら、無くなる前に押さえておいた方が良いかもしれません。比較的低コストで所有する満足感は十分に得られるイヤホンだと思いますので。

※その他「Yinyoo HQ」および「Yinyoo H」シリーズのレビューについてはこちらをご覧ください。
→ 過去記事(一覧): 「Yinyoo HQ」シリーズ/「Yinyoo H」シリーズ・マルチBAイヤホン