MEE Pinnacle PX

コミュニティ・コマースサイト「Massdrop」オリジナルのコラボ商品「Massdrop × MEE Audio Pinnacle PX IEMs」(以下「Pinnacle PX」)を購入しました。「Pinnacle PX」は「MEE Audio」を代表的する人気モデル「Pinnacle P1」のMassdropバージョンで、音質面は「Pinnacle P1」と同等ながら本体の表面処理をつや消し塗装に変更し、パッケージや付属品を簡素化することでより低価格を実現したモデルになります。Massdropでは私も以前から「TFZ」の新モデルのイヤホンなどを購入していますが、「Pinnacle PX」については現在は日本への発送は行っていない「日本からは買えない商品」になっています(以前、初回の購入募集時のみ日本への発送可能だったようです)。

今回は「海外転送サービス」を利用し、Massdropからはいったん米国内の発送先を指定し、そこから日本へ転送することで購入を試みてみました。もちろん「購入は自己責任」となり、転送サービスの手数料も発生しますが、今回の購入そのものは問題なく手元に商品が届きました。


■「Pinnacle PX」/ 「P1」の低コスト版ながら十分なパッケージング

というわけで、まずはMassdrop × MEE Audio 「Pinnacle PX」についてですが、以下のMassdropサイトにて詳細情報を確認できます。この製品は米国のAmazon.com倉庫からの出荷をしており比較的通年にわたって購入募集を行っているようです。価格はMassdropコミュニティへの登録後に表示されますが、募集時には「Pinnacle PX」は115ドルにて公開されています。

Massdrop x MEE audio Pinnacle PX IEMs | Drop (formerly Massdrop)



ということで、今回の購入価格はMassdropでの「Pinnacle PX」の価格が113.99ドル、転送サービス(「スピアネット」)費用が31ドルで、合計144.99ドルでした。「Pinnacle P1」の国内正規版の価格(25,800円)より1万円ほど安く購入できた事になりますが、海外版の価格(198ドル)と比較すると転送サービスのコストが上乗せされる分、差額は50ドル程度となり、製品内容の違いを考慮すると「お得度はちょっと微妙」になるかもしれませんね。

MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX
到着したパッケージは「Pinnacle P1」と比べると簡易パッケージとなっています。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX

パッケージ構成はイヤホン本体、ケーブル(マイクリモコン付き)、イヤーピースは通常のシリコン製(S/M/L)、ダブルフランジ(M/L)、トリプルフランジ、ウレタン製(S/M/L)、Massdropロゴのイヤホンケース、説明書など。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX

ちなみに「Pinnacle P1」の付属品は、MMCXケーブルがマイクリモコン付きと無しの2種類付属するのとケースは「PINNACLE」ロゴになっている、ステレオコネクタの変換コネクタが付属するなどの違いがあります。
PinnacleP1

Pinnacle PX」のイヤホン本体は「Pinnacle P1」と同じ亜鉛合金ダイキャスト製のハウジングに10mmダイナミック・ムービングコイル+銅張アルミニウム・ボイスコイルのドライバーを搭載し、同等のサウンドを実現しているとのこと。違いは「P1」が手間のかかる磨き加工によりメタリック仕上げになのに対し、「Pinnacle PX」はPVDコーティングによるつや消しダークブルー塗装仕上げとなっています。
MEE Pinnacle PXPinnacleP1
「Pinnacle P1」の磨き込まれたメタリックなハウジングは大変美しく、これだけでも「持っている価値がある」と思わせるものですので、「Pinnacle PX」のいまひとつ味気ないつや消しダークブルーの塗装とは価格以上に差を感じます。「Pinnacle PX」を選択する場合、ある意味「道具」として割り切る必要がある部分かもしれませんね。

MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX
なお、「Pinnacle PX」付属の高純度銅線のMMCXケーブル(マイクリモコン付き)およびレザー製のイヤホンケースは「Pinnacle P1」と同様に非常に質感の良いものですが、どちらも「Massdrop」のロゴがプリント、またはロゴプレートが貼り付けられています(「P1」は「PINNACLE」ロゴ)。マイクリモコン無しのケーブルは別売りとなりますが、この辺はコストを考えれば仕方のない部分ですね。

MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX
イヤーピースは「Pinnacle P1」の豊富なバリエーションが「Pinnacle PX」でも全て同梱されています。このようにイヤホン本体の仕上げには決定的な違いはあるもののトータルとしては「P1」相当品として要所は押さえたパッケージングといえると思います。


■きめ細やかで伸びのあるPinnacleサウンドに酔いしれる。専用バランスケーブルも購入しました。

繰り返しますが「Pinnacle PX」の音質傾向は「Pinnacle P1」と同一です。シュア掛けでもストレートに装着しても抜群の装着性と十分な遮音性を持っており、なにより多くのオーディオファンを引きつける卓越したサウンドは、実際に聴いてみて「Pinnacle PX」はきちんと「P1」のそれでした。
広く響きの良い音場表現、タイトにディテールを表現する低域、どこまでも美しく伸びやかな高域、そして解像度の高さや分解能だけでは語り尽くせないような、きめ細やかに音を捉える美音系のサウンド。特にオーケストラなどの生演奏などでの「美しさ」は数万円クラスでは突出していますね。

ただし、「Pinnacle PX」も「Pinnacle P1」同様に、インピーダンス50Ω、感度96 ±3 dB/mWとかなり「鳴りにくく、音量が取りづらい」イヤホンであるという特徴も同一です。「Pinnacle PX」は前述の通りマイクリモコン付きのケーブルのみが付属しますが、一部を除き多くのスマートフォン等では駆動力不足から本来の実力を発揮できるとは言い難いでしょう。このイヤホンが十分に実力を発揮するためには相応に駆動力のあるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やポータブルアンプが必須となります。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX

もっとも先日レビューした「AAW ACCESSPORT」(または「ADVANCED ACCESSPORT」)のような駆動力のあるオーディオアダプタを組み合わせることで、「Pinnacle PX」のサウンドを堪能しつつケーブルのマイクリモコンを利用することも可能になります。またAndroid OSを搭載したDAPのなかには「FiiO X5 3rd gen」のようにマイクリモコンに対応した機種もあります。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX

そして、せっかくなのでバランス接続も利用したいと思い、同じMEE Audioの「MMCXバランスケーブル・アダプターセット」を購入しました。「Pinnacle PX」(および「Pinnacle P1」)はMMCXコネクタを採用しているので純正以外にも多くのリケーブルが活用できますが、純正オプションということと、これ1本で各種コネクタ形状のバランスおよびアンバランスに対応する「優れもの」のケーブルと言う点が大変魅力的でした。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX
バランス接続を利用することにより「Pinnacle PX」の繊細なサウンドはさらに明瞭感をもち、より豊かな空間表現を実感するようになります。また「Shanling M3s」や「Astenn&Kern AK70 MKII」のようなデュアルDAC、デュアルアンプを搭載するDAPの場合、バランス接続の方がより高い駆動力を持つ仕様となっているため、これらの機種ではバランス接続を行うことでより高い出力を得ることができるメリットもあります。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX
なお、「MMCXバランスケーブル・アダプターセット」には、一般的な2.5mm/4極、4.4mm/5極のバランス接続以外に3.5mmのバランス用コネクタも付属します。iFI-Audio「nano iDSD BL」ではこのコネクタを利用することで「Sバランス」でのデュアルモノ接続が可能になります。1粒で何度も美味しい、とても魅力的なケーブルセットですね。
もっとも、せっかく低価格で「Pinnacle PX」買っておいて1万円オーバーのケーブル買ってたら意味ないんじゃないの?てな声もありそうですが、逆にPXにしたおかげで差額でこのケーブルが買えたよ、という発想もあるワケで。。。(^^;;)


■海外転送サービスを使えば、買いたいアイテムはいろいろありますね(^^)

ということでMassdrop × MEE Audioコラボの「Pinnacle PX」をレビューしましたが、最後に今回利用した「海外転送サービス」についても少しだけ紹介しておきます(ご要望があればあらためて詳細レビューも検討します)。

今回利用したのは「スピアネットSpearnet)」というサービスで、数年前に仕事で必要だった日本で入手不可のアイテムをAmazon.comで購入するために何度か利用していたのですが、今回あらためて個人でIDを取得して利用しました。米国の住所を経由する転送サービスのため、Amazon.comやeBayなど米国内のECサイトで利用することが前提となります。

利用方法は非常に簡単で、無料でIDを登録すると、「発送先住所(自分宛番号付き)」が発行されるため、それを購入したいサイトの発送先に登録します(今回はMassdropのアドレスに登録)。
Spearnet Spearnet
ドロップに成功し、製品が発送されたら、スピアネット側でトラッキング番号を含めた転送依頼を作成し、登録します。製品が無事発送先に届いたら(複数梱包でなければ)自動的に発送準備にはいりますので、到着通知のメールを待って支払いを行います。スピアネットもMassdrop同様にPaypalが使用可能です。今回の「Pinnacle PX」の場合、スピアネットから手元には1週間ほどで届きましたが、Massdropでの国内便(FedEx Smartpost)でスピアネットに届くまでに2週間ほどかかりました。もっともMassdropで日本向け発送可能な場合に使われるDHL Packet Plus International(ドイツを経由する便)でも3週間くらいは余裕でかかるのでトータル期間では「似たようなもの」ですね(^^;)。

ところで、Massdropで現在は日本発送NGになっている商品で毎回話題にあがるのはなんといってもSENNHEISER「HD6XX」(「HD650」のMassdropコラボ版)ですが、この方法を使えば同様に購入が可能と思われます。価格も199ドルと相変わらずの破格で、募集自体は定期的に開催されています(毎回すぐに規定数に達して終了しまうのですが)。

Massdrop x Sennheiser HD 6XX Headphones | Price & Reviews | Massdrop
ただし、もし挑戦される場合は「あくまで自己責任で」お願いしますね(お約束)。