
今回は「RevoNext QT2」(RN-QT2)の紹介です。オーダー開始直後の注文で到着したのはGW中ですので2週間ほど経ってしまいましたが、GW中は地元にいたため、実質は1週間程度の利用となります。
「RevoNext QT2」は中国でサプライ製品などを製造・販売している「RevoNext」と中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」等が展開する中華イヤホンブランド「Yinyoo(音佑)」のコラボレーションによる製品です。販売もYinyooブランド製品と同じく、Easy Earphones、アマゾンのWTSUN Audioなどで行われます。


ドライバー構成は1BA+2DDで、金属製ハウジングのデザインは私のブログでもおなじみ「KZ ZS6」を思わず彷彿させるものです。ただ音質面は「KZ ZS6」とはだいぶキャラクターの異なるとても聴きやすい中低音メインのサウンドで、同価格帯のハイブリッド機としてもかなりレベルの高いサウンドに仕上がっています。
「RevoNext QT2」はマイク無しタイプの価格で、AliExpressのEasy Earphoneが47ドル、アマゾンのWTSUN Audioにて5,600円にて販売されています。
AliExpress(Easy Earphones): RevoNext QT2
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): RevoNext QT2
AliExpressでの購入方法はこちらを参考にしてください。またEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)をフォローいただくと割引情報なども頻繁にツイートされていますのでこまめにチェックすることをおすすめします。
届いたパッケージはKZのパッケージより少し大きいくらいのコンパクトなボックス。


付属品もイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースS/M/L、説明書と至ってシンプルな内容です。


付属の2pinケーブルは「KZ ZS6」等のケーブルよりは幾分良い品質のものですが、被膜が同様にちょっとゴムゴムしていているため、可能であればリケーブルを行った方がよいでしょう。
■「RevoNext QT2」の外観を「KZ ZS6」と比較してみた
「RevoNext QT2」の本体はCNC加工した金属製ハウジングで、確かに「KZ ZS6」とかなり酷似していますが、よりスリムな形状になっています。それでも同じカラーの「KZ ZS6」と比較すると兄弟イヤホンというか、かなり「そっくりさん」かもしれませんね。


ちなみに「KZ ZS6」は2017年の発売時のロットから今年に入ってマイナーチェンジが行われており、最新のロットではステム部分の形状や装着角度が微妙に異なっています。上記の写真では左が「RevoNext QT2」、中央のレッドのZS6が2018年4月頃の最新ロット、右のグリーンのZS6が初期ロットとなります。


そして、フェイス部分のネジを開けてみると、もうこれは兄弟イヤホンとしか思えないようなそっくりな内部構造に遭遇します。使用しているダイナミックドライバーが同一かは特定できませんが、少なくとも「同サイズ・同仕様」であることは間違いなさそうです。

これを見ると「RevoNext QT2」は「ZS6の製造工場で作っている」または「そもそもKZがZS6の製造委託をしていた工場がRevoNextの工場だった」かなど、「同じ製造元」の製品にしか見えない気もします。
ただ、中華イヤホンの世界では有名ブランドのクローン品のような「そっくりさん」も数多くありますし、最近の低価格イヤホンでも「Yinyoo Pro」「HCK Bro」(どちらも同じ工場で製造)が、以前の「SENFER UEs」と採用ドライバーこそ違いますが、全く同じ形状、同じ内部配線のクローン品でした。そのため「「RevoNext QT2」も、別工場による「ZS6の内部構造の完コピ製品」である可能性も否定はできないところです(Easy Earphonesも私からの質問に対して「KZとは別の製造元」と回答しています)。
実際、両方のイヤホンを聴き比べることで、「RevoNext QT2」の相違点がさらに浮き彫りになります。
■「ZS6」とは真逆?の派手さより中低音が心地良い聴きやすいサウンド
「RevoNext QT2」は「KZ ZS6」に比べ多少スリムな形状になったことで装着感が向上し、ZS6では長時間の装着で耳が痛くなった方でもかなり改善されているのではと思います。またZS6同様にフェイス部分にベント(通気口)があるため、わずかながら音漏れしますが、静かな図書館など以外では屋外でも利用にも支障はないと思います。
音質傾向については低音重視のドンシャリで、高域については抑え気味のセッティングとなっています。Easy Earphonesによると「有名イヤホンを手がけたエンジニアによるサウンドチューニング」ということですが確かに中低域に主眼を置いたキャラクター付けは非常に上手で多くの方が好感を持つようなバランスだと感じました。

全体としてロック、ポップス、アニソンなど多くのジャンルで楽しめるイヤホンです。ただある程度のキラキラ感はあるものの、派手さは抑え気味ですので、メリハリの効いた音を楽しみたい方にはあまり向かないかもしれません。またクラシック等にもあまり向いていないと思います。

内部構造的にいっけん同様に見える「RevoNext QT2」ですが、実際は全く異なるバランスでのチューニングが行われているようです。また、ここまで音質傾向が異なるとBAドライバー部分だけでなくダイナミック部分も「同じサイズの異なるドライバー」を使用している可能性も出てきますね。
さらに、「RevoNext QT2」はリケーブルによる音質向上も期待できます。Easy Earphonesなどが販売するKZやTFZのイヤホンで使用できる2pinタイプのケーブルがそのまま使用できますし、さらにKZ純正の銀メッキ線ケーブル(よく「きしめんケーブル」とかいわれるやつです)も「ZS5/ZS6用」のタイプがそのまま流用できます(ZST用のタイプは使えません)。


たとえばYinyooブランドの「YYX4729 銀メッキ 4芯ケーブル」や同ケーブルのブラックタイプ(「YYX4731 ブラック 銀メッキ 4芯ケーブル」)などは手ごろな価格ながら使い回しも良く音質面も明瞭さがアップします。またこれらのケーブルはバランス出力に対応したタイプも選択できますので、対応したDAP等を使用する場合は分離感の向上とともに出力を確保する上でも有効な手段ですね。私はAliExpressのEasy Earphonesで購入した同じタイプのブラウンのケーブルを合わせてみました。
■セラーの気合いの入りようも納得の完成度の高いサウンド

「RevoNext QT2」はサウンドの方向性が「KZ ZS6」とは全く変わってしまったため、同じような感覚で聴くと拍子抜けしてしまうのですが、非常に完成度の高いイヤホンに仕上がっていることは間違いないと思います。もしあなたが低域が効いたサウンドが好みでしたら「RevoNext QT2」は良い選択肢のひとつです。ただし、この価格帯は優秀なイヤホンの激戦区でもあるのでどれも優劣つけがたいのも事実。試聴無しでひとつを選ぶのはかなり難しいかもしれません。ひとつヒントと挙げるとすると、派手さの「KZ ZS6」、バランスの「E3000」、メリハリとキレの「TFZ SERIES 2」、解像度と聴きやすさの「ZS10」、そして中低域の気持ちよさの「RevoNext QT2」、という感じでしょうか(異論もあると思いますので参考程度で)。
もちろん、できればこれら全部買って聴き比べていただくのが個人的にはいちばんオススメです(^^;)