KZ ES4

こんにちは。今回は私のブログでもお馴染み低価格中華イヤホンの代表的ブランド「KZ」の新モデル「KZ ES4」です。前後編の2回に分けてレビュー予定で、こちらは紹介編となります。「新モデル」といっても今年に入ってからのKZはとにかく矢継ぎ早に新製品を投入しているため、このレビューを掲載時にはすでに「KZ ZSA」が日本にも到着し始めていたり、先日レビューした「ED15」と同じEDラインの「KZ ED16」のオーダーが始まっていたりと、もうわけわからん状況です。さらにKZサイトには「ZS10」を超えるさらなるハイエンドモデルの情報も・・・。さすがに私もちょっと息切れ気味です。。。( ̄。 ̄;)

気を取り直して、今回の「KZ ES4」ですが、同社の新しいES系の1BA+1DDのハイブリッドモデルとなります。どうやら現在のKZでは「ZS」「ES」「ED」「HD(旧AT)」といったラインで製品を展開しているようです。私のブログでもこれまでに、
 ・「ZS」系:「ZS3」「ZST」「ZS5」「ZS6」「ZSR」「ZS10
 ・「ED」系:「ED9」「ED15
のレビューを掲載しています。また「HD」系ではオーダー中の「HD9」を既存の「ATE」「ATE-s」「ATR」と一緒にレビューを予定しています。
→ 過去記事: KZイヤホンのレビュー一覧

そして、「ES」ラインでは前モデルとなる「ES3」のレビューを行っています。
→ 「KZ ES3」低コスト&高音質、新ドライバー搭載で高域が進化した最新ハイブリッドイヤホン

今回の「KZ ES4」はES系のモデルではありますが、現時点での同社最上位モデルに当たる「KZ ZS10」の設計・デザインを踏襲した仕様のイヤホンとなっています。そのため、同社の「1BA+1DD」構成のハイブリッドイヤホンのなかでは上位の位置づけとなっているようです。
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購入は中国のイヤホンセラーEasy Earphonesのアマゾンのマーケットプレイス「WTSUN Audio」にて。カラーは「ブラック」「グリーン」「シアン(ブルー)」の3色で、AliExpressでは全色オーダーできますが、アマゾンでは日本に入荷したものから順次販売されています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ ES4 表示価格 3,289円
AliExpress(Easy Earphones): KZ ES4 表示価格 17ドル~18ドル

AliExpress(中国からの発送)でのオーダー方法はこちらを参照ください。アマゾン(WTSUN Audio)で購入の場合は、国内のアマゾン倉庫から発送されますので商品が直ぐに届きますし、1年間の保証が得られますし、万が一の場合もアマゾン経由での対応ができますので安心ですね。
またEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)では頻繁に割引情報等がツイートされていますのでフォローの上こまめにチェックされることをお勧めします。


■実質的に「ZS10」の兄弟モデル?の1Ba+1DDハイブリッド仕様

KZ ES4」は上記の通り前モデルの「ES3」同様の「1BA+1DD」構成となっています。搭載されているBAドライバーは「KZ 30095」で既存モデルの「KZ ES3」が現在のロットの「KZ ZST」をはじめ最近の同社製イヤホンではお馴染み、またダイナミックドライバーは「ZSR」で使用されているのと同じ「レンコン」タイプですが、同時に初期ロットの「ZS10」や一部ロットの「ZST」でも搭載が確認されているなど、やはり最近のモデルでは一般的なドライバーです。
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「KZ ES4」がこれまでの同社製「1BA+1DD」ハイブリッドと最も大きく異なるのはフェイス部分の全面を覆う基板で、4BA+1DD構成の「ZS10」同様に抵抗などのネットワーク回路によりコントロールが行われている点で、これにより他モデルよりレベルアップしたサウンドを実現している模様です。

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到着したパッケージはいつものコンパクトなボックスで、付属品も本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書・保証書、といういたってシンプルな内容。
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本体デザインはまさに「小型版ZS10」といった印象で、ZS10のブラックおよびブルーはZS10の同色と同じカラーリングのためさらにソックリ度が高くなります。
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遠巻きに見ると「KZ ZS10」と見間違えそうになるくらいよく似ており、実際両者を並べてみるとまさに「兄弟イヤホン」という趣ですね(^^)。

ただ、あらためて「KZ ES4」を見てみると、ステム角度は多少改善されておりよく似たデザインながら装着性はかなり向上しています。またステム部分に搭載するBAが1個ということもあり、イヤーピースのが固定しやすく凹凸のあるデザインになっているのも有り難いところです。
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「ZS10」との比較で考えると、確かにZS10は4BA+1DDとスペックで目を引きますが、ハウジングの大きさやデザインなどでもかなり設計面やコスト面で無理をしている感じも見受けられます。その点、ダウンサイジングされた「KZ ES4」では余裕を持ってデザインできている印象があり、「数を売る」ことが重要な薄利多売モデルの低価格イヤホンの世界を考えると、このタイプのシリーズでは「KZ ES4」こそが本命の製品なのかな、という気もしてきます。このような点を踏まえて実際の音質も確認してみます。


■スッキリ系で最もコントロールされたサウンド。もしかしてKZでいちばんオススメかも

KZ ES4」の音質傾向は弱ドンシャリで「ES3」と比較してかなりフラット寄りの傾向になっています。「ZS10」などと同様に刺さりの少ない非常に聴きやすいサウンドで、中音域の一定のシャープさを維持しながらしっかり聴かせてくれるスッキリ感は特筆すべき部分です。また一般的に刺さりなどを感じやすい中高域(3kHz~5KHzくらい)のバランスがかなりコントロールされている印象を受けます。さらに高域の伸びは「ES3」や最近のロットの「ZST」同様にこのクラスのイヤホンとしてはかなり明瞭で、結果的に「ボーカルは聴きやすく、高域の刺さりも抑えつつ、高域のキラキラ感はしっかり感じる」という絶妙なバランスにコントロールされています。
KZ ES4いっぽうで低域は量感は十分にあり響きも良く感じますが沈み込みは少し軽め。好みによっては少し物足りなさを感じるかもしれませんが、中高域との分離感が従来のES3などより向上しており、前述のスッキリ感につながっていると同時によりクリアな空間表現にも一役買っています。「ZS10」のような価格帯の枠を超えた解像度の高さはありませんが、非常にバランスが良く、あらゆるジャンルの曲で楽しめる仕上がりになっていると思います。全般的にクールでスッキリ系のサウンドですのでより「濃い音」を求める方にはあまり向きませんが、より多くの人に「最初のKZ製イヤホン」または「最初の中華イヤホン」としてオススメできる製品ですね。


KZ ES4ただし、出力の大きいDAPやポータブルアンプの場合、低域強めの印象を受ける場合があります。また構造的にBAドライバーは高出力では歪みを発生しやすくなりますが、搭載される同社製「KZ 30095」BAドライバーは価格なりの製造コストで作られているユニットということもありこの傾向がさらに顕著なようです。この点は同じドライバー構成の「ES3」と同様で、「ZS5(後期)」「ZS6」「ZSR」や「ZS10」といったBAドライバーをマルチ化して出力を分散しているモデルより高出力での印象が変わりやすくなります。
KZ ES4」では「ZS10」より採用されているブラウンの撚り線ケーブルは従来のゴムゴムしたケーブルよりかなり品質が向上していますが、さらに高品質のケーブルにリケーブルすることでこれらの印象はかなり改善することが可能です。またイヤーピースによっても印象が大きく変化するのも従来のKZ製品と同様です。

この辺は後編の「比較編」でもう少し掘り下げてみたいと思います(つづく)。
→ 「KZ ES4」 低コスト・高音質ハイブリッドイヤホンの同社製品との傾向の違いを比較してみた【レビュー/比較編】