こんにちは。今回は最近怒濤の新製品ラッシュが続いている低価格中華イヤホンの代表的ブランド「KZ」の最新ハイブリッド(1BA+1DD)モデル、「KZ ZSA」です。最新、といってもあまりに次から次へと新製品が発表されるのでいったい何が最新なんだ?という感じにもなりつつあります(^^;)。
外観は同社の昨年の人気モデル「ZS6」を彷彿とさせるメタルボディですが、ひとまわり以上小さく、シュア掛けタイプのイヤホンとしてはかなりコンパクトなデザインとなっています。サウンドはZS6のような金属質なキレの良さと低音寄りの厚みのある聴きやすいサウンドを両立しており、今回もアンダー3,000円クラスのイヤホンとしては抜群に完成度の高い仕上がりとなっています。
さて、そんな「KZ ZSA」ですが、今回も前後編として取り急ぎ先に届いた「ブラック/レッド」モデルを元に「紹介編」としてレビューを行います。「KZ ZSA」も各色オーダーを行っていますので、もうひとつの「メタリックグレー」が到着したタイミングで続編を掲載したいと思っております。
※グレーモデルも到着しましたので以降で一部写真の追加を行いました。
■怒涛の新製品ラッシュ、今回のハイブリッドは開放型メタルボディ&8mmダイナミック搭載
「KZ ZSA」は「1BA+1DD」のハイブリッドモデルですが、先日の「KZ ES4」のレビューでも触れたとおりこのレンジにはKZだけでも非常に多くのモデルが製品化されています。ただKZの1BA+1DDハイブリッドの多くがシングルBA(ツイーター)+10mmダイナミックドライバー(「勾玉タイプ」または「レンコンタイプ」)の構成に対し、「KZ ZSA」ではシングルBA+8mmのダイナミックドライバーを採用しており、他の同社製品では「ED15」に近い仕様となっています。後述しますが、音質傾向的にも、「KZ ZSA」は「ED15」とダイナミック、BAとも同じドライバーを採用している可能性もありますね。
ハウジングはCNC切削加工されたアルミ製で、フェイスプレート部分に「ZS6」と同様の大き目のベント(空気孔)があるデザインとなっています。「KZ ZSA」のサウンドを構成するうえで、ベント、ダイナミックドライバー、BAドライバーが同一線上でステムにつながるシンプルな設計となっており、KZらしいローコスト化の工夫も感じますね。
購入は中国のイヤホンセラーEasy Earphonesにて。カラーは「ブラック/レッド」「グレー」の2色が選択できます。本レビュー執筆時点では「ブラック/レッド」モデルのみが日本へ届いているようですが、私がオーダーしている「グレー」もすでに中国から発送されており、まもなく両方のカラーが揃うのではと思います。
AliExpress(Easy Earphones): KZ ZSA 表示価格 21ドル~22ドル
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) KZ ZSA 表示価格 2,799円
Amazon.co.jp(Kinboofi): KZ ZSA 表示価格 2,799円~
AliExpress(中国からの発送)でのオーダー方法はこちらを参照ください。Easy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)をフォローのうえオーダー時にアカウントを連絡するとフォロワー値引きが得られると思います。また同Twitterアカウントでは頻繁に割引情報等がツイートされていますのでフォローの上こまめにチェックされることをお勧めします。
パッケージはいつものKZのサイズ白箱。今回はES4同様にラインアートのデザインとなっています。
パッケージを開けてまず驚かされるのは「KZ ZSA」のコンパクトさ。
「ZS10」のときはつい「でかっ」と思ったのですが、今度は「ちいさっ」となりました(^^)。
付属品は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書・保証書。いつもの最小限の内容です。
「KZ ZSA」の本体デザインは非常に小さなサイズながらよくまとまった形状で、昨今の同社製イヤホンに共通のビルドクオリティの高さも実感します。また今回は「ZS6」のようなパ〇リ感はかなり解消できている印象です。
本体のコンパクトさに対してBAドライバーを収容するステムは結構太めとなっています。
「KZ ZSA」を「ZS10」「ZS6」と比較するとあらためてそのコンパクトさを実感します。ZS10と比較すると半分以下のサイズですね。
※また、後日到着したメタリックグレーのモデルは「ZS6」のグレーとほぼ同色でとても落ち着いたカラーリングとなっています。用途に合わせてカラーを使い分けるのも楽しいですね。
■標準ケーブルのコネクタはL字ですが「ZS5/ZS6」タイプが付属。
また付属ケーブルはZS10、ES4同様のブラウンのケーブルでコネクタ部分もL字のタイプですが、本体への挿入部分(カバー)の形状が変わっています。サイズ的には「ZS5」「ZS6」用の純正ケーブルと同じとなっています。
そのため「KZ ZSA」の付属ケーブルは「ZS5」「ZS6」への流用が可能です。またKZの純正アップグレードケーブルは「ZS5/ZS6/ZS3用」が「KZ ZSA」でも使用することができます。「ZST/ZSR/ZS10/ES3/ES4用」ではないのでご注意ください。
「KZ ZSA」はシュア掛けタイプながら非常にサイズが小さいイヤホンのため、耳の大きさによってはすっぽり収まります。いっぽうステムはZS5/ZS6同様に太いこともあり、ストレートタイプのイヤホン同様にほぼイヤーピースのみで耳に固定する状態になります。そのためイヤーピースは場合によっては少し大きめのものやダブルフランジタイプが良いかもしれませんね。
■メタルハウジングならではのキラキラ感と低域寄りのサウンドが共存する絶妙なバランス
「KZ ZSA」の音質傾向は低域が厚めのドンシャリですが、同時にメタルハウジングの同様なデザインの「ZS6」とも共通する金属質なキラキラ感のあるサウンドです。周波数特性的には「ED15」とよく似たカーブを描きます。
実は先日レビューした「ED15」ですが、販売開始早々でもう生産を終了した(あとは在庫限り)という情報もあります。もしかしたら「KZ ZSA」は「ED15」と同じドライバーで同じライン上で入れ替わりで生産されているのかもしれませんね。ただ、「KZ ZSA」は「ZS6」同様にフェイス部分に大きなベントのある開放型の側面もあり、「ED15」より音抜けの良い音場の広さがあります。「ED15」も本体後方のベントから少し音抜けはありますが、密閉型として力強い低域を響かせる「ED15」と、開放型として低域をは少し抜けますが十分な厚みで、ちょうどよい心地よさの広がりを作っている「KZ ZSA」という印象です。この辺はハウジングのデザインによる音作りの違いといった感じでしょう。
低域の抜けが「ED15」より良くなったことで、全般的には低域寄りの元気で派手めなサウンドは維持しつつ、比較的スッキリした印象でまとめられいるのが特徴的です。音場は広めですがボーカルは近めで定位します。
KZらしい寒色系でシャープなサウンドで、かつ高域は「ZSR」「ZS10」以降のKZイヤホンに共通の刺さりは適度に抑えたチューニングとなっていますが、いっぽうで適度なキラキラ感はしっかり表現し、メタルハウジングらしいキレの良さを感じます。この辺は中高域の表現に注力したリスニング特化型が「ES4」だとすると、キレが良く音楽を楽しむアプローチで仕上げたイヤホンが「KZ ZSA」という感じがします。
解像度は最近のKZ製品の水準を維持しており、同価格帯のイヤホンのなかでは満足のいくレベルではないかと思います。開放型ですので多少の音漏れはありますが、混雑した電車内での利用でもよほど大きな音量にしない限りはほぼ迷惑をかけないレベルです。静かな図書館など極端な場所いがいであれば問題ないと思います。ただ遮音性については小さなハウジングの関係もあり、他のKZイヤホンよりは低めです。イヤーピースなどを工夫することである程度は調整できると思いますが、この辺が他の機種との使い分けのポイントになるかもしれませんね。
■ZSAもリケーブルでグレードアップ。音質にくわえて装着性も向上
「KZ ZSA」は「ZS10」以降のブラウンの撚り線ケーブルを採用しており、ケーブルのウイークポイントは標準でもかなり解消できていますが、それでもリケーブルはやはり有効なアップグレード手段です。前述のとおりKZ純正の銀メッキ線アップグレードケーブル(KZX4197/通称「きしめんケーブル」とよばれているケーブルですね)は「ZS5/ZS6」用が使用できます。「ES4」の場合と同様に低域の分離性が向上しより明瞭感のあるサウンドとなります。
また最近では結構定番になってきましたが、Yinyooブランドをはじめ、各社から出ている4芯銀メッキ線ケーブルおよび8芯銀メッキ線ケーブルは「KZ ZSA」でも明瞭度のアップなど十分な効果が得られます。非常に柔らかく取り回しが良いのと、2.5mm/4極または4.4mm/5極のバランスケーブルも選択でき、価格も手ごろなのがよいですね。またYinyooやKinboofiのブランドではシルバー以外のカラーも選択できるのでさらにイヤホンに合わせやすいと思います(私はYinyooの8芯銀メッキ線のブラックを合わせてみました)。
KZの純正のアップグレードケーブルもそうですが、個人的には「KZ ZSA」については標準ケーブルのようにコネクタ部分がL字になっているよりまっすぐな形状のほうが装着しやすい印象を受けました。
また、Yinyooブランドでは別バージョン(手編み)の4芯銀メッキコート線も販売されており、こちらのケーブルだとよりスッキリ感が向上した聴きやすいサウンドになりました。
他にも少し高価ですが、先日レビューした「キンバー風8芯OFC」や「純銀線ケーブル」など音質傾向を結構大きく変えるケーブルも販売されていますのでいろいろ組み合わせて好みのサウンドを見つけていただくのも楽しいのではと思います。
というわけで「紹介編」では「KZ ZSA」の印象についてざっと紹介させていただきました。
続編(タイトル未定)では、さらなる深掘りや比較などを行っていきたいと思います。