KZ ZSA

こんにちは。先日掲載した「KZ ZSA」のレビューにて「グレー」モデルの到着に合わせて「後編」を予告していたのですが、思いのほか時間が経ってしまいました(^^;)。というわけで、後編は「比較編」として予定を「少しだけ」変更した内容としました。またHCKから新しいOFC銅線ケーブルも届きましたので一緒に比較してみようと思います。

ちなみに、「KZ ZSA」のレビューについてはこちらをご覧くださいませ。
→ 「KZ ZSA」 コンパクトなデザインと馴染みやすいサウンドがうれしい、KZの低価格ハイブリッド中華イヤホン【レビュー/紹介編】

KZ ZSAKZ ZSA」のドライバー構成は1BA+1DDでダイナミックドライバーは少しコンパクトな8mmサイズのものを搭載しています。音質的な点で言えば、同じく今年の春に登場した1BA+1DDハイブリッドの「KZ ES4」との比較でで甲乙つけがたく評価や好みが二分されるのではと思いますが、いまひとつカッコ良さに欠けるES4に対し明らかに「見た目で勝ってる」という点もあり、直近では一番注目されているKZ製イヤホンはこの「KZ ZSA」になるのかもしれませんね。ただそんな「KZ ZSA」のなかでも明らかに「ブラック/レッド」のカラーのみが売れてそうな印象もあるのですが、今回届いた「グレー」もZS6のグレー同様になかなか渋いメタリックグレーだと思いますよ。

今回、「KZ ZSA」のグレーのモデルはいつもお世話になっているHCK Earphonesへオーダーしました。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): KZ ZSA
Amazon.co.jp(NICEHCK): KZ ZSA

アマゾン(NICEHCK)で購入の場合は、プライム扱いで国内のアマゾン倉庫から発送されますので商品が直ぐに届きますし、アマゾン経由での1年間の保証が得られますので万が一の場合も安心ですね。また、より低価格で購入したい場合、AliExpress(中国からの発送)でのオーダー方法はこちらを参照ください。KZ制イヤホンはオーダー方法に記載の「フォロワー値引き」「ブログ値引き」を適用できますのでご活用ください。どちらの場合も、HCKのTwitterアカウント(@hckexin)では頻繁に割引情報等がツイートされていますのでフォローの上こまめにチェックされることをお勧めします。
KZ ZSAKZ ZSA
私はブラック/レッドとほぼ同時期にAliExpressのHCKで購入したのですが、出荷は少し後になりました。今回は人気のあるブラック/レッドのモデルから先に生産したようですね。
KZ ZSAKZ ZSA
グレーモデルは結構落ち着いたカラーリングのメタリック色で、目立たず気軽に使いたい場合にはむしろ良さそうです。
KZ ZSAKZ ZSA

そして、今回「KZ ZSA」はエージングを実施後、標準ケーブルからHCKから新しく販売開始となった「NICEHCK 8芯 無酸素銅(OFC)ケーブル」にリケーブルを行い、標準ケーブルとの比較を行ってみました。アマゾンでも3千円台と低価格の柔らかい銅線ケーブルでケーブルの傾向からKZやTFZとの相性の良さを感じます。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): NICEHCK 8-Core Pure Copper Cable
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK 8芯 無酸素銅線(OFC)イヤホンケーブル 

hck cableKZ ZSA
このケーブルについては今回のレビューと併せて、一緒にオーダーした新しい「銀メッキ線ケーブル」と一緒にあらためてレビューを予定しています。


■「高域が派手」から「ボーカルメインの聴きやすいサウンド」に変化を遂げるKZイヤホン

さて、以前のレビューでも記載しましたが、今年に入って1BA+1DD構成のハイブリッドイヤホンは「HD15」「ES4」そして「KZ ZSA」と立て続けに登場しており、既存の「ZST」「ES3」も含め、ほんと「どんだけ1BA+1DD構成が好きなんだ」という気分になります。
しかし、よく考えると、例えばKZ同様に私のブログで新製品を毎回購入レビューしている「TFZ」も、シングル構成の10mmグラフェンダイナミックドライバーを搭載し、どれも同じような形状で、3千円台~1万円オーバーまで幅広く取りそろえていますね。そう考えればKZのダイナミックもまだまだこれから、なのかも(^^;)。
というわけで、以前掲載したKZイヤホンのポジショニング図を再度整理してみました(笑)。
kz
価格は結構新旧モデルで変動するのでとりあえず目安程度です。あいかわらず異論やツッコミどころは多いと思いますが、全体としてZS6をピークとしてそれまで高域の派手さに特徴のあった傾向から中域、とくにボーカル域の聴きやすさを重視する方法にシフトし、さらに比較的低価格のモデルではかつての低域推しのドンシャリ傾向が復活しつつあるのかな、という雰囲気でご覧頂ければと思います。

今回はこれらのモデルの中から中高域(とくにボーカル)の良さに特徴のある「ES4」と「ZSR」の2モデルで「KZ ZSA」との比較を行ってみました。3つとも「高域が刺さらない」「ボーカルに強い」「低域がそこそこ厚い」という比較的よく似た傾向にあるイヤホンです。
ちなみに「ZSR」については最近、白色のモデルをオーダーしました。残念ながら白色ZSRはまだ購入できるセラーが限られているため、私はAliExpressの「KZ Offical Store」にて、後日レビュー予定の「HD9」と一緒に購入しました。
KZ ZSRKZ ZSR
ブラックと同じプラスチックの色違いなのですが、ホワイトだとちょっとセラミックぽくもみえて高級感を感じるのは私だけでしょうか?(笑)。個人的にはZSRのなかでは一番格好良いカラーだと思います。


■というわけで「ZSA」「ES4」「ZSR」の3つのイヤホンを比較してみた。

KZ ZSA今回比較する3種類のKZイヤホンですが、改めて同一環境で比較してみたいと思います。元々手元にあった「ES4」にあわせて「KZ ZSA」「白ZSR」も同時に約150時間ほどの長時間エージングを実施し(エージング方法はApple Musicのランダム&エンドレス再生)、同じイヤーピース、同じケーブルで比較します。まずは、標準ケーブルとして「KZ ZSA」と「ES4」は付属ケーブル、「ZSR」は付属ケーブルがゴムゴムとしたバージョンのためZS10付属のブラウンの標準ケーブルを使用しました。次にそれぞれのイヤホンでHCK「8芯 無酸素銅(OFC)ケーブル」へのリケーブルを行い同様に比較を行いました。またイヤーピースはAcoustuneの「AET07」を使用しています。3つのイヤホンともKZの製品のなかでは中音域、特にボーカルなどの音域が聴きやすくチューニングされている傾向にありますが、それぞれの「表現方法」には結構違いが確認できました。

KZ ZSAまず3つのイヤホンのなかでいちばん抜けがよくスッキリした印象を受けるのは、やはりフェイス部分に大きなベントがある「KZ ZSA」で、同時に金属ハウジングの影響とあわせて硬質ながら少し軽めでドライな響きを感じます。また同じイヤーピースだと低域の厚みが一番少ないのもやはり「KZ ZSA」でした。もちろん8mmと他よりコンパクトなダイナミックドライバーを使用し、開放型である点も重要な要素ですが、紹介編のレビューでも触れたとおり、ハウジングが他より非常にコンパクトなため、耳の中ではほぼイヤーピースのみで固定している状態になることも印象に影響しています。できればコンプライのようなフィット感の高いウレタンフォームやダブルフランジなどのイヤーピースを使用することで低域の印象はかなり変化します。

KZ ES4次に「ES4」ですが、中音域のクオリティの高さはもちろんですが、「KZ ZSA」と比べると一気に低域の厚みが増し、同時に響きの良さを感じ音場表現が豊かになった印象をうけます。寒色系のスッキリめの音であることには変わりはありませんが、「KZ ZSA」のドライな硬質さと比べるとより自然な印象を受けますね。改めて聴いてみるとまた違ったアプローチでよくできたイヤホンだと思います。
また「KZ ZSA」はフェイス部分のベントのためZS6同様に開放型的な側面がありますので、音漏れの点はもちろん「ES4」や「ZSR」のほうが優れていますし、同時に遮音性の側面でも「ES4」は比較的良好なイヤホンです。そのため主に屋外での利用であれば「KZ ZSA」より「ES4」のほうがよい選択肢となる場面も多いかもしれませんね。

KZ ZSRそして白色バージョンの「ZSR」ですが、以前の黒/グリーン版のレビューの際には「中音域推し」というのをとても強調して書いた憶えがあります。しかし、こうやって以降に登場した他の「中音域推し」のイヤホンと聴き比べると、さらに低域が厚く派手さのあるイヤホンであることを実感しました(レビュー当時は派手さのチャンピオン的存在の「ZS6」と比較したのでどうしても大人しく感じましたね)。3つの中では「ZSR」だけが2BA+1DDの構成ですが、搭載BAは高域用(KZ 30095)とミッドレンジ用(KZ 50060)のコンビネーションであることが分ってきています。これらの構成により他の2つよりより派手めのサウンドになっているのでしょう。バランス面では「ES4」には及びませんし、「KZ ZSA」のような気軽なスッキリさもないですが、「ZS6」と比べても格段に聴きやすく、音楽を聴く楽しさという上では、改めて「ZSR」は評価しても良いのかなと感じました。

KZ ZSAここで、ケーブルをHCKの「8芯 無酸素銅(OFC)線ケーブル」にそれぞれリケーブルして聴いてみます。3つともまず標準のケーブルより情報量がアップすることで少し音量があがりますが、さらにより近くで定位し全体的に音のメリハリがわかりやすく向上し、より明瞭感のあるサウンドになります。標準ケーブルとの比較ではかなり明確にリケーブル効果を実感できると思います。「KZ ZSA」の場合、いっぽうで硬質な印象もアップします。OFC線らしく、イヤホンのキャラクターをより引き立たせる傾向にあるようですね。ケーブル自体も柔らかく取り回しも良いので音質的にも使い勝手的にも良いケーブルだと思います。

同様に「ES4」でも音の濃さが増すのが実感できます。やはりKZのようなメリハリのある音のイヤホンとの相性はとても良いようですね。「ZSR」の場合もBAドライバーまわりの分離性が向上するためか中音域のキレがよくなる印象があります。ただ「ZSR」の場合は再生環境によっては少し低域が濃すぎる印象に感じる方もいるかもしれませんね。
KZ ES4KZ ES4

3つのイヤホンともに共通してこのケーブルとの相性は良好で、どうやらKZのような派手めのサウンドのイヤホンには結構向いているようです。価格もわりと安価ですし、今後のKZ用にすこし買い増ししておこうかな?という気分になりました。
KZ ZSA」ではこのHCKの8芯OFCケーブルと、後編のレビューでは使いませんでしたがAliExpressで販売しているHCKのダブルフランジのイヤーピースの組み合わせが個人的には一番良好のようでした。

KZ ZSAというわけで、今回はちょっとトリッキーなレビュー構成となりました。KZのイヤホンは前述の通り似たような価格帯に似たような構成のモデルを次々と投入するためレビューもどうしてもワンパターンになりがちです。私もそろそろ次は本格的にネタに走ってしまいそうな衝動を必死に押さえています(^^;)。ただ幸いにも(?)KZの春の新製品ラッシュはどうやらこの「KZ ZSA」で終了のようで、次は片側5BA搭載の金属シェルのイヤホンの登場が控えている、ちょっと「嵐の前の静けさ」という様相ですね(笑)。
まあ、正確には他にも「KZ ATE」系列の「HD9」もリリースされており、実際KZ Offical Storeで購入した実機が手元に届いていますが、こちらのレビューはまた改めて、と思っています。こちらは実は持っていたけどレビューしていなかった「ATE」「ATR」「ATE-S」の兄弟対決ネタで行こうかと思っています。って、やっぱりネタに走ろうとしていますね。実際のところはまだ何も考えてないのですけどね(^^;)。