BQEYZ K2

【 ZS6系イヤホンレビューマラソン その① 】

こんにちは。たまたまなのか私の職業柄のせいかは未だによく分っていないのですが、6~7月が毎年異様に忙しくレビューも滞りがちになっています(ごめんなさい)。それでも結構ネタになりそうなアイテムをいろいろ買い物はしているのですが、レビューできるのはもう少し後になりそうです(^^;)。

というわけで、今回紹介するのは「BQEYZ K2」という2BA+2DDのハイブリッドイヤホンとなります。BQEYZの様々な独自のアプローチにより、今後も紹介していくいわゆる「ZS6系イヤホン」およびオリジナル?の「KZ ZS6」と比較してもキレより響きに特徴のあるサウンドが特徴的です。「ZS6系イヤホン」のメリハリのある側面も維持しつつ、ZS6等の刺さりのある派手な音が少し苦手、という方にも聴きやすく仕上げられているのが個性的なイヤホンだと思います。

BQEYZ K2」は見た目的にも構成的にも、私のブログでは毎度おなじみKZの「ZS6」の印象を色濃く感じるモデルです。先日レビューした「RevoNext QT2」(1BA+2DD)をはじめ、このところ「ZS6」を意識したと思われるモデルが次々と登場する傾向にあります。今後さらに「TRN V80」や「RevoNext QT3」といった2BA+2DDモデルのイヤホンも予定しており、もう「ZS6系イヤホン」とか呼んでもいいんじゃないか、というくらいの勢いがあります。
BQEYZ K2
BQEYZ K2」は、中国AliExpressの「Easy Earphones」において販売されています。また同じモデルがアマゾンのマーケットプレイス「KINBOOFI」では「KBF K2」という名称で販売されています。今回はブラックとシルバーのそれぞれのカラーでEasy Earphones(AliExpress)とKinboofi(Amazon)へオーダーしました。
AliExpress(Easy Earphones): BQEYZ K2
Amazon.co.jp(Kinboofi):BQEYZ K2

価格はAliExpress(中国からの発送)で49ドル、Amazon(国内からのプライム発送)が5,999円となります。アマゾン(KINBOOFIストア)で購入の場合はプライム扱いで国内のアマゾン倉庫から発送されますので商品が直ぐに届きますし、アマゾン経由での1年間の保証が得られますので万が一の場合も安心ですね。中国からの発送となりますがより低価格で購入したい場合、AliExpress(Easy Earphones)でのオーダー方法はこちらを参照ください。Easy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)をフォローのうえオーダー時にアカウントを連絡するとフォロワー値引きが得られると思います。またEasy EarphonesおよびKinboofi(@kinboofi)のTwitterアカウントでは頻繁に割引情報等がツイートされていますのでフォローの上こまめにチェックされることをお勧めします。


■「ZS6系イヤホン」ながら、細かいところに個性を感じるドライバー構成

さて、「BQEYZ K2」はCNC加工によるアルミ製ハウジングに10mmと6mmのダイナミック型ドライバーを並列に配置し、ステム部分に2個のBAドライバーを装着する2BA+2DDの構成となっています。この分解図だけみると、KZの「ZS6」と同様な構成のイヤホンにみえます。もちろん「BQEYZ K2」は基本的に密閉型の構造ですので、フェイスプレート部分に大きなベント(空気孔)のある「開放型」的構造の「ZS6」や同様のデザインの「RevoNext QT2」とは異なります。とはいえ、さすがに同じ部品を使っているとまでは言えませんが「ZS6」を意識して設計されていることは確実でしょう。
BQEYZ K2 BQEYZ K2
さらに、「BQEYZ K2」の中国語の製品説明には、明らかに「ZS6」との比較を念頭にしたと思われるポイントが記載されています。一般的に「ZS6」はとても派手な音のイヤホンといわれており、それはそれで魅力的なサウンドですが、ウイークポイントとしては各ドライバー間の繋がりがいかにもハイブリッドという人工的な音で、さらに高域の歯擦音、つまり「刺さり」も結構強いという傾向がありました。
BQEYZ K2BQEYZ K2
いっぽう「BQEYZ K2」では、製品説明によると、まず「KZ6」では中低域をほぼカバーしていた10mmと6mmのダイナミック型ドライバーについて、2つのドライバーの間にサウンドチューブが渡されており、このチューブにより自然なクロスオーバーをつくり、中音域の精度を上げているらしいです(仕組み的にいまいちメリットが理解できてないです^^;)。さらにBAの出口にはフィルタが装着されているらしく、これにより高域の歯擦音を抑制している、とのことです。

また「Easy Earphones」によると、「BQEYZ K2」は「RevoNext QT2」と同様のサウンドチューンを施している、という事前情報がありました。どちらのイヤホンもEasy Earphonesが製品化に関与しているようですので実際のところ同じエンジニアによる調整が行われている可能性もありますね。

さて実際に届いた製品を確認すると、Easy Earphonesの「BQEYZ K2」およびKinboofiの「KBF K2」は完全に同一のパッケージでした。改めてKInboofiの「KBF K2」という商品名は販売上の名称で中身は「BQEYZ K2」そのもの、ということが確認できました。
BQEYZ K2BQEYZ K2
BQEYZ K2」(KBF K2)はコンパクトなボックスに収納されています。
BQEYZ K2BQEYZ K2
パッケージ構成は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書と採点源のシンプルなものです。
BQEYZ K2BQEYZ K2
付属する(装着済み)ケーブルは、0.78mmの2pinタイプで、最近のKZのケーブルと比較しても良質なものが付属しています。2pinコネクタの形状やケーブルの質感は「TFZ EXCLUSIVE」シリーズのケーブルとよく似ています(もっとも中身の線材は後述の通りかなり差があるようです)。

BQEYZ K2BQEYZ K2
イヤホン本体は、シンプルな「ハコ型」のデザインということもあり、ハウジングは結構大きく感じます。ステムは引っかかりのないタイプですのでイヤーピースは付属品以外を使用する場合は少しきつめのものを使用する方がよいと思われます。
BQEYZ K2BQEYZ K2
「ZS6」や「ReveNextQT2」と比較するとひとまわり大きいイヤホンのように感じますが、ステム部分やケーブル接続部分の角度などの関係で装着性は比較的良好です。ただハウジングの大きさから耳の小さい方の場合は入らない、という可能性もありますね。


■響きの良さが印象的な中低域メインのドンシャリ傾向。リケーブル効果はかなり絶大。

BQEYZ K2」の周波数特性は典型的なドンシャリで、実際聴いてみると低域が厚く高域の刺さりが少ない印象で「RevoNext QT2」と似たアプローチだと感じました。インピーダンス15Ω、感度105dB/mWと比較的鳴りやすいイヤホンですので再生環境への依存は少ないですが、よりS/Nの高いDAP(デジタルオーディオプレーヤー)を使用した方がメリハリが向上します。また、100時間程度のエージングで多少ですが分離性が改善する傾向にあるようです。
BQEYZ K2BQEYZ K2」の低域は「RevoNext QT2」のしっかりとした沈み込みと締まりのある低域に対して、より響きを重視したサウンドという印象をうけます。ただ響きの良さに対して沈み込みは浅く軽めの印象で、キレのある「KZ ZS6」や「RevoNext QT2」と比べると低域の解像度は少し緩く感じます。
このように低域は緩めですが、中音域はハイブリッドらしい硬質な印象と聴きやすいサウンドを両立しており、ボーカルも比較的近くで定位します。音場は響きの良さから左右には広く感じますが奥行きは少なくちょっと平面的な印象です。これはサウンドチューブにより2個のダイナミックドライバーをバイパスしている効果だと思いますが、同時に低域のキレが損なわれているように感じるのは少し残念なところです。しかし、「BQEYZ K2」はキレよりも響きを重視したような設計のイヤホンだとも考えられ、本来は籠りがちの音になりそうなセッティングながら、ボーカルなどの中音域が一歩前に出るような定位感により、低域のボワ付きなどをほぼ感じない絶妙なバランスを実現しています。ポップスやアニソンなどのボーカル曲に特化した「わかりやすい」チューニングと言えるかもしれませんね。
高域の印象は「ZS6(後期型)」と「RevoNext QT2」の中間くらい、という感じでしょうか。かなり刺さりをコントロールできているとは思いますが、ある程度駆動力のあるDAPを使用すると刺さりまでは行かないですが多少のシャリ付きを感じる場合があります。
BQEYZ K2そこで、「BQEYZ K2」のステムのメッシュを剥がして見てみると、分解図とは異なり、2種類の形状の異なるBAドライバーが装着され、片方のBAのみ先端にフィルターが貼り付けられているのが確認できました。おそらくフィルタされている方のBAがより高域を担うツイーターで、フィルタされていない方は中高域寄りのBAドライバーではないかと思われます。つまり片方のBAは歯擦音を抑制するようにフィルタし、同時にもう片方のBAでハイハットなどの可聴域の高音を補っているという構図だと考えられます。マルチBAイヤホンではステム部への音導管にフィルタを入れて調整をすることがよくありますが、コストを抑えつつ同様の効果を狙った設計ではと思います。なかなか面白いアプローチですね。

BQEYZ K2イヤーピースは付属品以外のものでは、低域をあまり厚くしないタイプがよさそうです。具体的にはRHAのイヤーピースやAcoustune(日本ディックス)の「AET06」(ダブルフランジ)、「AET07」などが良いと思います。装着性の問題からどうしてもウレタンタイプを使用する場合はリケーブルも併せて検討した方が良いのではと思います。
そしてここまでにも何度か記載したとおり、「BQEYZ K2」はリケーブルの効果を実感できるイヤホンです。というか付属のケーブルの音質があまり良くない、というほうが適切かもしれませんね。個人的にはリケーブルは必須だと思います。

また「BQEYZ K2」はより駆動力のあるDAPのほうがメリハリが大きくなることもあり、同様にリケーブルによる効果を得やすいイヤホンだと思います。
リケーブルにおいて選択のポイントは「低域だけでなく、高域もしっかり出るケーブル」を選ぶこと。中低域メインのケーブルを「BQEYZ K2」に装着すると、低音過多となり中高域がマスクされてしまう(多少籠もる)可能性があります。最近Easy(Yinyoo)とKinboofiがそれぞれ販売している新しい純銅線ケーブル(「YYX4753 Yinyoo 6芯 純銅ケーブル」および「KBF4759 Kinboofi 8芯 純銅ケーブル」)は購入しやすい低価格なケーブルですが低域および高域をしっかりフォローしてくれるケーブルなのでオススメです。
BQEYZ K2BQEYZ K2
これらのケーブルを使用すると低域の締まりが大幅に向上し、全体的に解像度があがるのを実感できると思います。また「KBF4759 Kinboofi 8芯 純銅ケーブル」に変更し、駆動力のあるDAPを使用すると平面的に感じた音場感がより立体的に定位するような印象も受けました。リケーブル後の再生環境においては、やはり駆動力のあるDAPのほうが厚みが増す傾向がありました。手持ちの環境ではAstell&Kern AK300では比較的軽めのあっさりした音に感じたものがより駆動力のあるiBasso Audio DX150だとぐっと厚みを増す、といった感じです。

なお、多少オーバースペックだとは思いましたが、Yinyooの「キンバー風ケーブル」(金色キンバー風)にもリケーブルしたところ同様の効果を実感したものの、「KBF4759 Kinboofi 8芯 純銅ケーブル」との差は限定的でした(この辺が「BQEYZ K2」の音質的な上限のようですね)。
BQEYZ K2BQEYZ K2
あとかなり余談ですが、「BQEYZ K2」の付属ケーブルとよく似た印象のTFZ EXCLUSIVEシリーズのケーブルに交換してみたところ、上記のケーブル同様にかなり良い印象に変化しました。TFZは標準でも品質の良いOFC線を使用しているのでもし手元にあればお試しください(ただし「SERIES 2」以降のカバー付きのタイプは流用できません)。それにしてもイヤホンケーブルは見た目に騙されちゃいかんよ、という分りやすい例かもしれませんね(困ったものですが・・・)。

リケーブル後の印象としては、ポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲との相性がさらに向上しそうです。またピアノやギターなどは響きの良さを堪能できると思います。


■続々登場する「ZS6系イヤホン」。とりあえず大運動会、もとい一斉比較を検討しようかな(^^;)。

BQEYZ K2というわけで、「BQEYZ K2」ですが、最初は「RevoNext QT2」と似た印象のイヤホンだと感じましたが、じっくり聴いてみると相違点はかなりあるものだな、と感じました。
正直なところ完成度は「RevoNext QT2」に少し譲る、という感じですが、サウンドバランスは非常に秀逸で、リケーブルなどにより「化ける」イヤホンとしてはかなり面白いと思います。密閉型で音漏れの心配が少ない点が、開放型に近い「ZS6」や「RevoNext QT2」よりメリットですし、装着性のうえでも「BQEYZ K2」のほうが良いという方も多いでしょう。また中定期に特化した独特の響きの良さはボーカル曲を中心に相性の良さを感じます。リケーブルによりある程度は低域のウイークポイントを解消でき、「RevoNext QT2」と比べても遜色ないレベルになりますし、トータルとしてはかなりレベルの高いイヤホンなるとおもいます。なにより響きが良く聴きやすいサウンドは普段使いでも十分に活躍できそうだとは感じます。

まあマニアの方なら、「ZS6系イヤホン」を全部揃えて聴き比べを楽しむ、という使い方があるわけですが、イロイロ買うと実は結構高級なイヤホンを価格になっていたり・・・。なかなか悩ましいですね(^^;)。

そんなこんなで、とりあえす今後の予告としてですが、到着順と変りそうですが、次は到着予定の「RevoNext QT3」のレビューを掲載し、次に「TRN V80」のレビューと、今回の「BQEYZ K2」を含めた2BA+2DDモデルを順次紹介します。さらにこれら3モデルの比較レビューを用意したいと思います。
これら3つイヤホンのレビュー後も、KZ6そっくりさんの「phb EM-023」や、2BA+1DD仕様の「Yinyoo NY-06」とさらに「ZS6系イヤホン」のレビューは続く予定です(えらいこっちゃ)。
「NY-06」までのレビューを終えた後は、お盆くらいの時期になるかと思いますが、まとめとして「ZS6系イヤホン大運動会(笑)企画」みたいなこともやってみたいですね。出場選手はZS6/ZS5/K2/V80/QT2/QT3/EM-023/NY-06といったところでしょうか。内容はこれから検討したいと思います。にしてもイロイロ短期間に出し過ぎじゃないですかね。やっぱり・・・(^^;)。