ZODIC ET2202

こんにちは。今回紹介するイヤホンは「Zodic Audio ET2202」(以下「ZODIC ET2202」)です。
コンパクトな金属シェルに「2BA+2DD」構成のドライバーを搭載したハイブリッドイヤホンです。同様の構成の中華イヤホンでは、最近ではマニア間での評価も高く、私のレビューも多くのアクセスをいただいている「TENHZ K5」(名称変更前は「audbos K5」)が思い浮かびます。今回の「ZODIC ET2202」もAlExpressではアンダー100ドルの価格設定となっており、「TENHZ K5」(audbos K5)と同様のグレードの製品と見て良いでしょう。いっぽうで50ドル前後の価格帯でも「KZ ZS6」系とも呼べるような数々の低価格イヤホンが次々と登場している関係で、タイミング的にはかなりマイナーな印象も拭えないかな、という気がするのがちょっと残念ではあります。
TENHZ K5RN-QT3
しかし、これら低価格イヤホンも含め最近の「2BA+2DD」ハイブリッドがわりと派手めのドンシャリ傾向だったり、低音モリモリだったりするなか、「ZODIC ET2202」は「高域イヤホン」とでも呼べるような中華イヤホンでは非常に珍しい「高音域にフォーカスした製品」であるところが極めて個性的です。正直「ニッチを狙ってきたな」という感じもしますね(^^;)。

さて、改めて「ZODIC ET2202」はコンパクトな金属(ステンレス?)製シェルのステム部分に2個のBA(バランスド・アーマチュア)ドライバー、ハウジング部分には一体型のケースに収納された直列構造のグラフェン振動板を採用したデュアルダイナミックドライバーを搭載します。
ET2202ET2202
購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」にて。価格はAliExpress(中国からの発送)で99ドル、Easy Earphonesが運営するAmazonのマーケットプレイス「WTSUN Audio」では14,900円で販売されています。
AliExpress(Easy Earphones): Zodic Audio ET2202
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Zodic Audio ET2202

※現在WTSUN Audioで購入する場合、カート画面で合計2,000円の割引が適用され「12,900円」で購入が可能です。

アマゾンではすぐに届きますし、アマゾン経由での1年間の保証が受けられるので安心感が高いですね。またセールにより購入時に割引を受けられる可能性があります。
またより低コストで購入したい場合はAliExpressでとなりますが、購入方法などはこちらを参照ください。どちらの場合も、Easy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)では頻繁に割引情報などもツイートされますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。


■コンパクトな金属製ハウジング。ステムが太いので耳に合わない場合もあり(コンプライで解消)。

ZODIC ET2202」のメーカーである「Zodic Audio」の既存の製品としては「ET1101」というモデルがありますが、これは私のブログでも過去に紹介したことのある「BGVP DM5」というモデルと同一のイヤホンで、パッケージ違いの製品と思われます。いっぽう今回の「ZODIC ET2202」については今のところ類似モデルは見当たらず、とりあえずは同ブランドのオリジナルの製品のようですね。どちらの製品もEasy Earphones(およびWTSUN Audio)のみで販売されていることから、同社と関係が深いメーカーのひとつであろうと想像できます。
ZODIC ET2202ZODIC ET2202
到着した「ZODIC ET2202」は1万円台の製品ということもあり、比較的しっかりしたパッケージとなっています。
ZODIC ET2202ZODIC ET2202
パッケージ構成は、イヤホン本体、銀メッキコート線ケーブル(MMCXコネクタ仕様、マイク無し)、同マイクありケーブル(ブラック)、イヤーピース(シリコンS/M/L)、ウレタン(M/L)、専用ケース(フェルト生地)、説明書、となります。
ZODIC ET2202ZODIC ET2202
あらかじめマイクあり/なしの両方のMMCXケーブルを付属する点や質感の高いケースが付属するのは有り難いですね。

本体はクロームメッキが施された金属製で非常にコンパクトなシェルながら重量感を感じる作りとなっています。イヤホン本体のビルドクオリティは及第点だと思います。
ZODIC ET2202ZODIC ET2202
非常にコンパクトなシェルのため同じ2BA+2DD構成の「TENHZ K5」と比較すると大きさ、厚みともひとまわり以上小さく見えます。同様に「LZ-A5」と比較するとコンパクトさがよくわかりますね。ただ「ZODIC ET2202」のステム部分は長く、交換式フィルタを装着する「TENHZ K5」よりさらに太くなっています。また、MMCXコネクタの向きもちょっと変っているのがわかりますね。
ZODIC ET2202ZODIC ET2202

また付属する2種類のケーブル(マイクなし、マイクあり)はどちらもMMCXコネクタは本体にあわせて菱形の形状となっており、またステレオミニプラグ部分およびケーブル分岐部分が本体を意識した三角形のデザインになっています。マイクありのケーブルはゴム状の黒い被膜で覆われた銅線ケーブルで、マイクなしは銀メッキOFC線のケーブルとなっています。
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ただ手元に届いた個体では、この三角形や菱形の部品にこだわりすぎたせいか、銀メッキ線のMMCXコネクタのマーキングが「右が青色」「左が赤色」と、通常のイヤホンとは逆になっています。コネクタ部分を目を凝らしてみると非常に見えにくい角度で「R」「L」の刻印がされているのですが、油断すると間違って左右逆につけてしまいそうになります(^^;)。たぶん個体差らしいですが、いちおう確認した方がよさそうですね。

ZODIC ET2202装着性については耳にすっぽり入るコンパクトさなのですが、このやたら太いステムとケーブル装着位置の角度の関係で、すべての方がSHURE SEシリーズのようにすっぽり耳の中に入れる装着ができるとは限らず、耳の形状によって向き不向きがあります。パッケージでも最初から装着されているのはウレタン製のイヤーピースですし、たぶんあまり耳奥まで入れずに大きめのイヤーピースやウレタンイヤピで耳穴を覆うように装着するのが正解のようですね。そして耳穴が小さい私も付属イヤピではどれもしっくりこなかったため、ここは伝家の宝刀「コンプライ」を投入する事案となりました(笑)。
とはいえ、なにしろステムが太いので、コンプライの穴の大きい方のタイプ(T-500)を選んでも結構無理やり押し込む感じになります。他にもダブルフランジのイヤーピースなども良いかもしれませんね。


■中華ハイブリッドイヤホンでは非常に珍しい「高域メインのイヤホン」。サウンドバランスは秀逸。

ZODIC ET2202最近の中華イヤホンといえば派手なドンシャリか中音域メインのボーカル重視型のわかりやすいサウンドが増えている中で、「ZODIC ET2202」は煌びやかな高域がとても気持ちよいイヤホンに仕上がっています。前述の通り最近の中華ハイブリッドは低域厚めの派手めなサウンドが中心ですが、いっぽうで「ZODIC ET2202」は2BA+2DDのドライバーによる高域をメインに全体のバランスを組み立てたようなセッティングとなっています。インピーダンス32Ω、感度120dB/mWとスペック上は鳴りにくいイヤホンではないようですが、音量はちょっと取りにくく、DAPのボリュームは高めにする必要があります。

低域は軽めですがしっかり締まりがあり、中音域は高い解像度を持っています。そして「ZODIC ET2202」で最も特徴的な高音域は、煌びやかさを感じる金属質でシャープなサウンドで、このレベルに高音域が伸びるハイブリッドの中華イヤホンはかなり珍しい存在だと思います。印象としては「RHA CL750」などのサウンドが好みの方にはかなりマッチするのではと思います。

ZODIC ET2202高音域のシンバル音などはしっかりと表現しつつ、思ったより刺さりは少なく(といっても再生環境や曲によっては結構刺さります)、良いバランスで仕上げられていると感じます。中音域も近い距離で伸びやかな音で鳴ります。金属ハウジングによる響きにより印象的な音で鳴りますが、いっぽう籠もった印象ではなく癖は少なめでボーカルも気持ちよく聴くことができます。低音域は過度にエッジのある感じではなく全体のバランスにあわせた自然な締まりとなっています。低域の響きはかなり押さえられておりスッと抜ける感じですので音場は狭く感じますが、低域による中高域への籠りを気にする方には良いのではないかと思います。

とても明るくシャープなサウンドなので、ロック、ポップスなどのボーカル曲のほか、ピアノやトランペットなどのジャズも気持ちよく感じると思います。アニソンはアーティストによっては高域が盛大に刺さる場合もありますので、好み次第、というところでしょう。いっぽうバラード曲などはちょっと派手すぎに感じるかもしれませんね。


また、ここまでは標準の銀メッキケーブルで聴いてみましたが、リケーブルによってさらにサウンドを「濃く」することができます。特に低音域のメリハリを強化するためには高純度銅線ケーブルへのリケーブルがオススメです。具体的には「YYX4753 Yinyoo 6芯 純銅ケーブル」「KBF4759 Kinboofi 8芯 純銅ケーブル」)といった比較的購入しやすい価格帯ケーブルのほか、いわゆる「キンバー風ケーブル」と呼ばれる8芯OFCケーブル(YYX4744/ブラウンYYX4752/ゴールド)などがあります。
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実際にまず「KBF4759 Kinboofi 8芯 純銅ケーブル」にリケーブルしてみると、軽めだった低域がしっかりと締まりを維持したまま厚みが増し、全体的に濃いめのバランスになることが実感できます。さらに「YYX4752 Yinyoo 8芯 OFC ケーブル(ゴールド/シルバー)」へリケーブルしてみると、かなり明確に低音域の印象が強調され、全体的なメリハリが強いサウンドに変化しました。どちらもなかなか相性の良い組み合わせだと思います。


ZODIC ET2202というわけで、「ZODIC ET2202」は久々の高域メインの製品で個人的には、ちょっと嬉しくなりました。確かに、低域が分厚く刺さりの少ない最近の中華ハイブリッドとはある意味対極にあるような製品ですので、とにかく「刺さり」を気にされる方にはまったくお勧めできません。しかし、高域が派手めのサウンドでも歪んでいたり表現がチープだったりと中華イヤホンの高域に不満を感じていらっしゃる場合は、そこそこ低価格で結構しっかりとしたサウンドを実感できるイヤホンになっているのではと思います。ビルドクオリティに多少中華っぽさは感じますが高域がしっかりしたイヤホンを探している方には良い製品だと思います。また(再生環境や聴かれる曲の種類にも影響すると思いますが)「低域の籠り」をとにかく気にされる方からのご意見をいただくことも最近増えていますが、「ZODIC ET2202」は低域の分離の良さから中高域の明瞭さ、という点でも良いイヤホンだと思います。ちょっと変な表現ですが「高域イヤホンのなかでは比較的聴きやすい」バランスの製品だと思いますので、思ったほどニッチな製品でもないのかもしれませんね(^^)。