
【 ZS6系イヤホンレビューマラソン その⑥ 】
こんにちは。今回紹介するのは「Yinyoo NY-06」、1BA+2DD構成のハイブリッドイヤホンとなります。先日より始めた「ZS6系レビューマラソン」も少しインターバルを空けましたが今回と次回で一区切りとなる予定です。「Yinyoo NY-06」は中低域寄りのバランスで、どちらかというと「派手さ」が特徴的な「ZS6系イヤホン」のなかでも、派手さよりバランスの良さを重視した印象のイヤホンで、低域の締まりの良さとスッキリめの聴きやすさを両立した秀作イヤホンだと思います。
さて、中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」が中心となって販売するイヤホンブランド「Yinyoo(音佑)」は、これまでも「HQ」シリーズなどの自社オリジナル製品や、様々なメーカー製品に独自にアレンジを加えた「Yinyoo版」イヤホンをリリースしており、私のブログでも昨年後半あたりからすっかりおなじみになりました。今回の「Yinyoo NY-06」(1BA+2DD)も、先日レビューした「BQEYZ K2」(2BA+2DD)と同じ製造元で「兄弟イヤホン」ともいえる製品だと考えられます。
「BQEYZ K2」については先日のレビューをご参照ください。
→ 「BQEYZ K2」(KBF K2) “ZS6系”に新たな選択肢! 響きを楽しむ2BA+2DDハイブリッド中華イヤホン【レビュー】
「Yinyoo NY-06」も「BQEYZ K2」同様にCNC加工によるアルミニウム製ハウジングを採用しています。「BQEYZ」の特徴ともいえる2つのダイナミックドライバを音導菅でバイパスする構造も同様です。


また「Yinyoo NY-06」もステム部分に搭載されたBAドライバーには高域の刺さりなどを抑制するフィルターが装着されているようです。2BA+1DD構成となり、「BQEYZ K2」と比べてどのようにサウンドが変化しているのか興味深いところです。


カラーバリエーションは「BQEYZ K2」同様、「シルバー」と「ブラック」が選択できます。
「Yinyoo NY-06」は、中国AliExpressの「Easy Earphones」およびアマゾンの「WTSUN Audio」において販売されています。今回はシルバーのモデルをEasy Earphones(AliExpress)へオーダーしました。
価格はAliExpress(中国からの発送)で46ドル〜、Amazon(国内からのプライム発送)が4,600円となります。アマゾン(WTSUN Audio)で購入の場合はプライム扱いで国内のアマゾン倉庫から発送されますので商品が直ぐに届きますし、アマゾン経由での1年間の保証が得られますので万が一の場合も安心ですね。中国からの発送となりますがより低価格で購入したい場合、AliExpress(Easy Earphones)でEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)をフォローのうえオーダー時にアカウントを連絡するとフォロワー値引きが得られると思います。AliExpressのオーダー方法はこちらを参照ください。またEasy EarphonesのTwitterアカウントでは頻繁に割引情報等がツイートされていますのでフォローの上こまめにチェックされることをお勧めします。
■よりソリッドなデザインが印象的。ただし装着性は「BQEYZ K2」のほうが良いかも。
到着したバッケージは「BQEYZ K2」と同じ大きさのボックスですが、表面に「Yinyoo」の新しいロゴマークが記載されています。いっぽうの裏面にスペックが記載されている点などは「BQEYZ K2」と同様ですね。


「Yinyoo NY-06」はパッケージ裏面によるとインピーダンス15Ω、感度105dB/mWとの記載で、どのような再生環境でも一般的に利用できるスペックとなっています。
パッケージ構成は本体、ケーブル、イヤーピースが2種類(それぞれS/M/L)、説明書、と今回もシンプルな内容です。


「Yinyoo NY-06」の本体は、エッジのあるソリッドなデザインとなっており、少し大柄で丸みを帯びた「BQEYZ K2」よりひとまわり小さく、対極的な印象にも見えます。


両方のイヤホンを比較すると、ハウジングの大きさに加え、0.78mm 2pin仕様のケーブルコネクタは異なった角度になっているのがわかります。いっぽうで内側のベント(空気孔)の位置やステムの太さなど両者が兄弟イヤホンであることをうかがわせる要素も多く見受けることができます。


ハウジングが多少コンパクトになったため、より耳に入りやすくはなったものの、ケーブル位置やステム角度の変更により装着性は「BQEYZ K2」に一歩譲るかな、という感じです。どちらのイヤホンもステム部分に凹凸がないため、穴の大きいイヤーピースを使用すると簡単に外れてしまう可能性があります。具体的にはAcoustuneの「AET08」やRHAのイヤーピースのほか、あまり耳にフィットしない方はコンプライ(例えば「TS-500」等)を使用するのもよいと思います。「BQEYZ K2」はコンプライを使用すると低域がさらにボワ付く印象となりあまり相性が良くなかったのですが、「Yinyoo NY-06」では後述の通り低域が改善されたことでコンプライも問題なく利用できるようになったと思います。
■グレードアップした低域と「ZS6系イヤホン」でもっともスッキリしたフラット寄りのサウンド
「Yinyoo NY-06」の音質傾向は弱ドンシャリで、一応、他の「ZS6系」イヤホンの傾向を踏襲しています。先日レビューした「BQEYZ K2」が全体的なサウンドバランスが「RevoNext QT2」に近いチューニングとなっている、という話がありました。そして今回、ドライバー構成がQT2と同じ1BA+2DDとなった「Yinyoo NY-06」では、これらのモデルと比較してドンシャリ感を抑えフラット寄りのサウンドバランスにチューニングしつつ、低域はより締まりを向上した印象になりました。

いっぽう高域については「BQEYZ K2」では2種類のBAドライバーを搭載しており、片方のみ出力部分にフィルターをつける構造となっていました(K2のレビュー参照)。今回の「Yinyoo NY-06」は(チューニングなどに違いはあると思いますが)K2のフィルターのあるほうのBAのみを搭載した構成と言えるのではないかと思います。結果的に「BQEYZ K2」で感じた高域のBAらしい硬質なキラキラ感は「Yinyoo NY-06」ではほぼ感じず、高域は刺さらない程度にかなりスッキリ処理されている印象となっています。

この中音域および高域の印象が「RevoNext QT2」ともっとも異なる部分ではないかと思います。「RevoNext QT2」はZS6系イヤホンのなかでも中低域寄りのセッティングおよび構成で、低域の質の良さに定評があるイヤホンですが、同時に「ZS6系」らしい、派手でメリハリのハッキリした音質傾向も踏襲していました。
今回の「Yinyoo NY-06」は、低域はQT2を彷彿とさせるような仕上がりにはなっているいっぽうで、「ZS6系」らしい派手さはかなり抑えられており、使い勝手の良いリスニングイヤホンとしてのサウンドバランスにセッティングされたイヤホンと言えるのではないかと思います。
■リケーブルによってサウンドをアレンジしてみる
また、「Yinyoo NY-06」は「Yinyoo」ロゴが入っているものの、「BQEYZ K2」と同種のケーブルが付属しており、リケーブルによりメリハリを向上させることができます。
Yinyooブランドのケーブルでは「YYX4753 6芯 純銅線ケーブル」や「YYX4762 8芯 銀メッキ線ケーブル(黒/茶)」および、最近発売された「YYX4769 8芯 OFC(高純度無酸素銅線)ケーブル」などが組み合わせとしては良いと思います。どのケーブルも分離性の向上による明瞭感のアップが期待できます。


特に「YYX4762 8芯 銀メッキ線ケーブル(黒/茶)」では高域の伸びが向上します。また新しい「YYX4769 8芯 OFC(高純度無酸素銅線)ケーブル」では全体的にメリハリのあるサウンドとなり、「Yinyoo NY-06」では多少抑えられていた「ZS6系イヤホン」としての要素が前面に出てくるような印象は面白いですね。リケーブルによってサウンドをアレンジしてみるのも楽しいと思います。

というわけで、いわゆる「ZS6系イヤホン」の集中レビューですが、今回の「NY-06」を経て、次回の別セラー向け「BQEYZ」イヤホン2種類で一区切りとする予定です。
そんななか、本家KZはすでに販売を開始している5BAモデルのAS10(オーダー済み出荷待ち)のようにさらにマルチBAイヤホンへの進化が止まらない感じです。ほんとどこまでついて行けるかわかりませんが、こちらの方も引き続き追っていきたいと思います(^^)。