BQEYZ KB1/KC2


こんにちは。お盆前からケーブル関連のレビューで少し間が空きましたが、先日より行っていた「ZS6系イヤホンレビューマラソン」も最後のエントリー、「BQEYZ KC2」(2BA+1DD)、「BQEYZ KB1」(1BA+2DD)の2種類のハイブリッドイヤホンの紹介です。どちらも中国のイヤホンブランド「BQEYZ」の製品で、先日レビューした「BQEYZ K2」と「Yinyoo NY-06」のそれぞれ別バージョンと考えられます。

BQEYZ KC2」(2BA+2DD)、「BQEYZ KB1」(1BA+2DD)はどちらもCNC加工によるアルミニウム製ハウジングを採用しています。さらに「BQEYZ」のイヤホンで最も特徴なポイントは10mmと6mmの2つのダイナミックドライバを音導菅でバイパスする独自の構造で、双方のダイナミックドライバー間のクロスオーバーを調整し、特に中音域のクオリティを向上させる効果があるようです。
BQEYZ KC2BQEYZ KC2
またステム部分に搭載されるBAドライバーについては「BQEYZ KC2」は2個のBAのうち片方に、「BQEYZ KB1」は搭載されるBAに、それぞれ先端部分にフィルターが貼り付けられており、高域の歯擦音を抑制し、刺さりの少ないサウンドにコントロールされています。どちらのモデルもカラーは「ブラック」と「シルバー」が選択できます。
BQEYZ KB1BQEYZ KB1


購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」にて。このレビューの公開時点ではAmazonでは販売しておらず、中国AliExpressの「NiceHCK Audio Store」でのみの取り扱いとなります。表示価格は「BQEYZ KC2」が48ドル~、「BQEYZ KB1」が40ドル~となっています。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): BQEYZ KC2
AliExpress(NiceHCK Audio Store): BQEYZ KB1

なお、HCKのTwitterアカウント(@hckexin)をフォローの上購入時にアカウントを連絡することでフォロワー値引きが得られると思います。AliExpressでの購入方法、フォロワー値引きの詳細はこちらを参照ください。またHCKのTwitterアカウントでは頻繁に割引情報などもツイートされますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。

※アマゾンでもWTSUN AudioおよびKinboofiより「BQEYZ KC2」(5,600円)および「BQEYZ KB1」(5,800円 ※購入時にさらに20% OFF)が販売されています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): BQEYZ KC2
Amazon.co.jp(Kinboofi): BQEYZ KB1

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HCKより到着した両方のイヤホンは、これまでのBQEYZのイヤホン同様にコンパクトなボックスに収納されており、内容もイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書というシンプルな構成。
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なお、ボックスの裏面にはスペックが記載されていますが、両モデルで箱を流用するため重量が「25±5g」という記載になっていたりします(^^;)。どちらのイヤホンもインピーダンス15Ω、感度105dB/mWとなっています。
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付属の0.78mm 2pin仕様のケーブルは「BQEYZ K2」と同一で多少絡まりやすいですが、使い勝手の良い撚り線ケーブルとなっています。

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BQEYZ KC2」および「BQEYZ KB1」と同じく「BQEYZ K2」および「Yinyoo NY-06」を比較すると外観上の違いはフェイスパネル部分のデザインでそれ以外には全く同一といってよいと思います。「BQEYZ KC2」のほうがハウジングは大振りですが、装着性については形状的に「BQEYZ KB1」より良好な印象です。
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なお、「BQEYZ KC2」「BQEYZ KB1」付属イヤーピースについては「BQEYZ K2」「Yinyoo NY-06」とは若干タイプの異なるものが付属し、低域の印象などが少し違いがあるようです。
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どちらの場合もイヤーピースの交換により音質面の改善効果があります。具体的には「RHA」のイヤーピースや「SpinFit」「Acoustune AET08」などへ交換した方が付属のものより低域の締りが向上します。ただ「AET07」や「SednaEarfit」など穴の大きいイヤーピースはステム部分に「ひっかかり」がないデザインのため使用中に外れてしまう可能性があります。


■両モデルで特徴の異なるサウンド。イヤーピースおよびリケーブルで印象が変化。

BQEYZ KC2」および「BQEYZ KB1」の音質傾向は基本的には以前レビューした「BQEYZ K2」および「Yinyoo NY-06」とほぼ同一です。
よろしければ、これらのイヤホンの過去レビューも併せてご覧ください。
「BQEYZ K2」(KBF K2) “ZS6系”に新たな選択肢! 響きを楽しむ2BA+2DDハイブリッド中華イヤホン【レビュー】
「Yinyoo NY-06」 バランス重視の秀作で“ZS6系”では最もフラット寄り? 1BA+2DD構成のBQEYZ K2兄弟イヤホン【レビュー】

BQEYZ KC2まず、2BA+2DD構成の「BQEYZ KC2」はドンシャリ傾向のサウンドで、付属ケーブルを使って聴いた印象では低域が厚く高域の刺さりが少ない、全体的には1BA+2BA構成の「RevoNext QT2」をイメージさせるサウンドバランスとなっています。
低域は量感はあるものの少し後方で柔らかく響く印象ですが、いっぽうで中高域は近く、特にボーカルが一歩前に出る定位で明瞭感のあるサウンドを実感します。先日の「BQEYZ K2」のレビューでも記載しましたが、とかく派手さが特徴的なZS6系イヤホンの中ではかなり穏やかな印象で、響きのある音場感とあわせて長時間のリスニングにも最適なサウンドといえますね。完成度はとても高く、個人的にはかなり好きなイヤホンです。また、「BQEYZ KC2」は後述の通りリケーブルにより印象がかなり(良い方向に)変化しますので、リケーブル必須のイヤホンと考えた方が良いかもしれませんね。また前述の通りイヤーピースは交換した方がより印象が向上します。

BQEYZ KB1そして1BA+1DD構成の「BQEYZ KB1」ですが、こちらは「BQEYZ KC2」と比べ中高域を担うBAが搭載されていないこともあり相対的に低域が強い印象があります。付属するイヤーピースでは「BQEYZ KC2」同様に低域が緩い印象になるのですが、「BQEYZ KB1」のほうが相対的に低域が強い分すこしモコモコする印象を感じる可能性もあります。そのためイヤーピースの交換は必須と考えた方が良さそうです。
イヤーピース交換を行った「BQEYZ KB1」は低域の締りも向上し、「BQEYZ KC2」より若干フラット寄りで中低域が聴きやすいイヤホンになります。なお「BQEYZ KC2」ではリケーブルしたほうが確実に印象が良くなりますが、いっぽうの「BQEYZ KB1」は標準ケーブルとの相性は良く、リケーブルによっては逆に低域が強くなりすぎる傾向もあるようです。この辺のキャラクターの違いは興味深いところですね。


■HCKの新しい8芯ケーブル3種類ででリケーブルの変化を確認する。

さて、「BQEYZ KC2」「BQEYZ KB1」が手元に届いて数日の間にHCKより新しいケーブルが発売されました。せっかくなのでひと通り購入してリケーブルを試してみました。HCKの新しいケーブルは「CT1(高純度銅線ケーブル)」、「TDY1(銀メッキ銅線ケーブル)」、「TYB1(高純度銅&銀メッキ線ミックスケーブル)」の3種類で、どれも新しいタイプのコネクタ・プラグ部品を使用した8芯の撚り線ケーブルとなっています。「BQEYZ KC2」「BQEYZ KB1」の標準ケーブルと比較するとどのケーブルも音量がぐっとアップし、より低抵抗で伝達される情報量が格段に増えていることを実感します。



まず「BQEYZ KC2」へのリケーブルですが、3種類のケーブルとも特に低域の解像度および締りが格段に向上し、全体的に抜けが良くなるのが分かります。過去にレビューした「BQEYZ K2」もリケーブル効果はかなり大きいイヤホンでしたが、同様に「BQEYZ KC2」も性能を十分に活かすためにはリケーブルは必須と考えた方がよいでしょう。
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HCKの3種類のケーブルはどれも相性的には良いと思いますが、最も印象が良かったのは「TDY1(銀メッキ銅線ケーブル)」で、低域の締りき加え、中高域の明瞭感もアップします。特に駆動力のあるDAPを使用するとリケーブルにより格段にキレが良くなり音場も立体的に感じます。また、「CT1(高純度銅線ケーブル)」も標準ケーブルでのサウンドバランスを継承しつつ低域の量感および解像度がアップし、全体的により「濃い音」になります。

BQEYZ KB1いっぽう、「BQEYZ KB1」についてですが、こちらは3種類のケーブルとも、特に駆動力のあるDAPだと低域がかなり強い印象になります。「BQEYZ KC2」ではいちばん相性がよかった「TDY1(銀メッキ銅線ケーブル)」はBA部分の高域フィルタの影響もあってか伸びの良さが発揮されず、相対的に低域が強すぎる印象に感じました。また「CT1(高純度銅線ケーブル)」は「BQEYZ KB1」でも低域は強く感じるようになるものの、全体的に情報量や解像度を底上げする印象で比較的良い印象でした。そして「BQEYZ KB1」ともっとも相性が良いと感じたのはもっともアグレッシブな傾向の「TYB1(高純度銅&銀メッキ線ミックスケーブル)」で、銅線ケーブルのCT1同様に全体的に濃い音に変化させつつ、中高域の明瞭感を向上させることでボーカルなども前面に出て元気なサウンドになります。ドライバー構成の違いでリケーブルの印象もこのように大きく変わるのはなかなか興味深い傾向ですね。


というわけで、7月より集中してレビューを行ってきた「ZS6系イヤホンレビューマラソン」ですが、今回の「BQEYZ KC2」「BQEYZ KB1」でとりあえず最後となります。
この短期間によくもまあこれだけの種類の「似たような」イヤホンがリリースされたものだな、と改めて感じるわけですが、同時にどれか1種類を選ぼうと思うとなかなか決め手になる部分が見つからないのも事実だと思います。
そこで、できれば近日中に紹介した「ZS6系イヤホン」をあらためて一堂に集め、一斉比較レビューを検討しています。