こんにちは。最近ケーブルなどのレビューがちょっと増えていますが、ある意味ひさびさの新しいイヤホンのレビューかもですね。今回紹介するのは、「TFZ SECRET GARDEN」 です。TFZではひさびさの中高域寄りのモデルで、伸びの良い明瞭な高域と明るく華やかな中音域で心地良いボーカルが特徴的です。既存モデルより少し高い価格設定ですが、音質面およびビルドクオリティなどを含め、かなりオススメできる仕上がりとなっていると思います。
中国「TFZ」(The Fragrant Zither)は個人的にも大好きなイヤホンブランドで、最近は新モデルが出る度に無意識に購入してしまっていたりします(^^;)。
これまでのTFZ製イヤホンのレビューはこちらをご覧ください。
→ レビュー一覧: TFZ(The Fragrant Zither)
さて、TFZの新イヤホン「TFZ SECRET GARDEN」(または「SECRET GARDEN HD」)は、200ドル級の価格設定で同社製品のなかでも高級モデルの位置づけになります。「KING PRO」以降の上位モデルで採用されている、12mmの第2.5世代 二重磁気回路(ダブルマグネティックサーキット)グラフェン振動板ダイナミック型ドライバーをシングルで搭載し、さらに医療用樹脂材料を3Dプリンターで出力した高精度なハウジングにより、高いサウンドクオリティを実現しているとのことです。
また、中国TFZサイトにはKnowles社製バランスド・アーマチュア型ドライバーを3基搭載した3BA構成の「SECRET GARDEN 3」も発表されており、「TFZ SECRET GARDEN」とのサウンドの違いも気になるところですね。
今回私は7月下旬に香港のPenon Audioにて購入しました。またAliExpressのTFZオフィシャルストアでも購入が可能です(商品ページ)。海外版の価格は199ドルとなります。
Penon Audio(直販サイト) /(AliExpress)
いっぽう日本で販売される国内正規品が販売開始となるようです。こちらの価格は29,800円です。
保証等を考慮するとすこし価格は高くなりますが今後は国内版を購入した方がよさそうですね。
Amazon.co.jp(国内正規品): TFZ SECRET GARDEN
8月24日より発売される国内正規品は「ブラック」「ブルー」「レッド」の3色が選べます。海外版ではさらに私が購入した「パープル」が選択できます。
■装着性の高い高級感のあるハウジングデザイン。ただし耳穴の小さい方はイヤピ選びにご注意。
私は7月下旬にPenon Audioにオーダーし、商品は8月上旬に届きました。お盆休みをはさんで約3週間ほどエージングを兼ねてじっくり使用しました。
パッケージは厚みのある正方形型のボックスでApple Watachなどのパッケージを連想するようなシンプルかつ高級感を感じるボックスとなっています。
パッケージ内容はイヤホンホン本体、ケーブル、イヤーピースはシリコンタイプが2種類(それぞれS/M/L)、ウレタン1種類、ケース、説明書となっています。
「TFZ SECRET GARDEN」の本体シェルは従来のTFZ製イヤホンとは大きく異なり、より耳にフィットしやすい形状にデザインされています。3Dプリンター出力された樹脂製ハウジングのビルドクオリティは非常に高く、フェイス部分のアルミパネルとあわせて高級感を感じるデザインとなっています。
「KING PRO」と比較するとフェイス部分の大きさはよく似ているものの背面のデザインが大きく異なっており、より耳穴にしっかり装着できる形状となっていることがわかります。またベント(空気孔)は側面にあり装着時に上方にくるデザインとなっており、遮音性も高く音漏れもほぼありません。
このようなシェル形状のため、ほとんどの方には非常に優れた装着性を持つと思います。ただ、ステムノズル部分の「でっぱり」(イヤーピースをフックする部分)が極端に大きいため、耳穴が小さい方、特にSサイズ以下のイヤーピースを使用する方は注意が必要です。このような方(実は私自身もそうです)は、この出っぱりが邪魔でせっかくのハウジング形状ながら付属のイヤーピースでは耳穴奥に装着することができませんでした。いろいろ試した結果、最終的にはJVCの「スパイラルドット」のSサイズを使用しました。またAZLAの「SednaEarfit」のSサイズも比較的良好でした。
付属のケーブルは「TFZ QUEEN」から付属している5N OFCの高純度銅線ケーブルで柔らかく肌触りの良い被膜と金属製のプラグなど使いやすさと高級感を持ったものになっています。2pinコネクタはTFZ用のカバー付きのタイプですが、通常の0.78mm CIEM 2pinコネクタ仕様のケーブルへのリケーブルも可能です。
■TFZらしさとあわせて、明瞭感と華やかさのある中高域寄りのサウンド。個人的には一番好みかも。
「TFZ SECRET GARDEN」の周波数特性はフラット寄りで「KING PRO」以降のモデルを踏襲している部分はありますが、TFZのイヤホンとしては久しぶりに中高域に特徴のあるタイプのイヤホンです。最近のTFZでは「KING PRO」はどちらかというと「SERIES4」の後継モデル・上位モデル的な特徴があり、高域は少し控えめの傾向でしたし、「QUEEN」はかなり低域寄りの製品でした。それに対し今回の「TFZ SECRET GARDEN」は、より明瞭で伸びの良い高域が好きな方には最適なモデルと言えるのではないかと思います。
箱出し直後は少し暴れる印象を持たれる方もいらっしゃると思いますが多少のエージングにより落ち着いて本来のサウンドになるのではないかと思います。インピーダンス30Ω、感度108dB/mWと音量は一般的レベルで取りやすいと思いますが、駆動力のあるDAPでは高域の刺さりがより強く感じる場合があります。
「TFZ SECRET GARDEN」はTFZらしいグラフェンドライバーによる寒色系で金属質なサウンドは継承されていますが、これまでの製品と比較しても明らかに解像度が高く、1音1音の精度が向上していることが実感できます。高域は華やかさのある明るい音で、非常に明瞭で透明感のある伸びの良さを感じます。シャリ付きはほとんど感じませんが再生環境や曲によってはある程度の刺さりがあります。高域好きの方やモニター系のイヤホンを好まれる方にはとても気持ちよいハッキリした音だと思います。
中音域も近くで定位し、情報量の多い描写でボーカルも心地良く聴くことが出来ます。音場の広さは一般的ですが、「KING PRO」が多少モニター的なサウンドだったのに対し、「TFZ SECRET GARDEN」では適度な響きがあり、よりリスニング的に艶のある音になっています。低域は「EXCLUSIVE KING」など以前のドンシャリ傾向のTFZイヤホンと比べると相当軽めに感じますが、全体のバランスとしては十分な量感と存在感があり、しっかり締まったサウンドです。また中高域との分離も良好で、抜けが良く籠もった印象は全くありません。
全体的にバランスの取れたサウンドのため苦手はほとんど無くオールジャンルで楽しめるイヤホンだと思います。
特にボーカルの心地よさは特筆すべき部分ですのでロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲との相性はとても良いと思います。しいて言えばTFZらしい元気でハッキリした音のため、静かな曲ではちょっと印象が変ってしまう可能性があるかもしれませんね。
私自身、EXCLUSIVEラインからTFZの各モデルのイヤホンをこれまで購入してきましたが、個人的にはこれまで最も気に入っていた「KING PRO」を超えて、「TFZ SECRET GARDEN」がよりお気に入りのイヤホンになりました(^^)。
なお、「TFZ SECRET GARDEN」は「QUEEN」と共通の5N OFCタイプのケーブルが付属しますが0.78mm 2pin仕様でのリケーブルももちろん可能です。TFZ自身もAliExpressのオフィシャルショップなどでTFZ純正のリケーブルを販売していますが、100ドル~150ドル程度とほぼ同等と思われるケーブルが5千円以下で購入できることを考えるとかなり高めの価格設定です。TFZ純正ケーブルは「銀メッキ銅線」タイプと「銀メッキ線&高純度銅線のミックス」タイプの2種類で、銀メッキ線が主に高域の伸びを中心としたアップグレード、ミックス線が全体的な情報量の向上とメリハリの強化となります。
手持ちのケーブルの組み合わせでも、やはり同様の効果が得られましたが、「QUEEN」のような低域寄りのサウンドでは銀メッキ線との相性が良かったのに対し、中高域の表現に優れた「TFZ SECRET GARDEN」はミックス線との相性が良いようです。
具体的にはHCKの「NICEHCK TYB1 8芯ミックスケーブル」(3,150円)や、Kinboofiの「KBF4746 16芯ミックスケーブル」(6,800円)、LZ純正の「LZX47191 8芯ミックスケーブル」(4,320円)などが挙げられます。HCKの8芯タイプは非常にコストパフォーマンスが高く低価格ながら十分にリケーブル効果が得られるケーブルです。さらに私のブログで紹介以降かなりの人気商品となっているらしいKinboofiの16芯ミックスはとにかく情報量が多く、「TFZ SECRET GARDEN」のように高いポテンシャルを持ったイヤホンとの組み合わせで実力を発揮します。LZのケーブルは在庫が少なくなってきているようですがTFZ純正に最も近そうなケーブルかなと思います。
またTFZの付属ケーブルはOFCの高純度銅線ですので、同様に銅線ケーブルもバランス化やグレードアップには最適でしょう。銅線ケーブルによっては低域をアップグレードしてくれるタイプもあります。銅線ケーブルではHCKの「NICEHCK 8芯 高純度無酸素銅線ケーブル」(2,950円)が品質の高さに加え適度に細く取り回しも良いこともあってオススメです。低域に厚みを持たせたい場合は同じくHCKの「NICEHCK CT1 8芯 OFCケーブル」(2,550円)や、LZ純正の「8芯 6N凍結単結晶銅線ケーブル」(7,599円)あたりを組み合わせるとグレードアップも含めた効果が得られると思います。
■まだまだ続く、TFZの怒濤の新製品攻勢。さすがに着いていくのがちょっと大変(^^;)
ちなみに、TFZのサイトを見ると「TFZ SECRET GARDEN」は「SECRET GARDEN 1」という記載になっており、さらに3BA構成の「SECRET GARDEN 3」がすでに発表されています。
さらに従来モデルの後継または上位モデルとしても「KING II」(および「AIR KING」)、「KING LTD」、「T2 Galaxy」といった製品がすでに販売開始されているようです。この怒濤のようなハイペースにさすがに私も息切れしつつありますが、やはりどんなサウンドなのかとても気になるところですし、なんとか頑張って追いかけていきたいなぁと思っています(資金的にも結構しんどいですけどね^^;)。
Secret Garden 良さそうですね!
かく言う自分もmassdropで注文したのですが(^^;;
オススメのリケーブルなどがあれば是非紹介してほしいです!