
こんにちは。今回も中華イヤホンブランド「MaGaosi」の最新モデル「MaGaosi MGS-401」の紹介です(「MaGaosi K4-BA」と表記する場合もあり)。「MaGaosi」は主に100ドルオーバーのミドルクラスの中華イヤホンで代表的なブランドのひとつです。そして今回の「MaGaosi MGS-401」は「4BA」仕様のモデルで、デザイン的にも中国陶磁器の印象を持つ個性的なブルーのシェルを採用したイヤホンとなります。
全体的にリスニング寄りのチューニングではあるもののフラット傾向のサウンドバランスで、個人的にも最近のミドルクラスのマルチBA中華イヤホンのなかでもかなり気に入っているサウンドでした。また、ポテンシャルの高さからリケーブルの効果も大きく、アンダー2万円のイヤホンとしては十分にお勧めできる製品だと思います。

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そして今回の「MaGaosi MGS-401」は、「K3-BA」(3BA)および「K5」(5BA)、または中国で販売されているKnowles製BAによる3BA構成の「MaGaosi X3」といった現在のマルチBAモデルは全く異なるシェルデザインの製品となっています。「MaGaosi MGS-401」の最大の特徴ともいえる青い模様のシェルは中国の陶磁器を連想させるデザインで、ライトブルーの「琥珀模様」と、濃い青の「青花磁器模様」の2種類のバリエーションが用意されています。なお、同様のブルーの模様は、最近ではMMCX仕様でリファインされた新バージョンの「MaGaosi BK50」(1BA+1DD)で採用されているようです。


サイトでの情報によると、「MaGaosi MGS-401」の4基のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーの構成は、低域にKnowles製ウーファー「CI-22955」を使用し、中高域にはそれぞれ同社カスタムBAを採用している模様。構成としては低域×1(CI-22955)、中域×1、高域×2 の3ウェイ仕様になっているようです。中高域のカスタムBAの仕様が確認できないため一概にはいえませんが、内容としては「K3-BA」の低×1:中×1:高×1(低域は同様にCI-22955)と比較して高域を1BAから2BAに増やした構成、と推測できなくもないですね。
ただし、「MaGaosi MGS-401」はインピーダンス18Ω、感度118dB/mWとマルチBAイヤホンらしい反応の良さを持っていて、比較的インピーダンスの高い「K3-BA」とはかなり異なる仕様となっています(「K3-BA」は28Ω、108dB/mWと3BAイヤホンとしては比較的鳴りにくいセッティングとなっています)。そのため音質面においても両者では単純にドライバーの数だけではない「違い」があるのではと考えられます。


「MaGaosi MGS-401」では「MaGaosi K5」の後期タイプ以降で採用されている銀メッキ線と銅線のミックスケーブルが付属しており、標準の「3.5mmステレオコネクタ」仕様と、「2.5mm/4極バランスコネクタ」仕様の2種類が同梱されています。さらにAliExpressでは2.5mmバランスケーブルの代わりにCSR8645チップを採用し「apt-X」コーデックに対応したBluetoothケーブルが同梱されたセットをオーダーすることも可能です。
購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」にて。カラーは「琥珀模様(ライト ブルー)」と「青花磁器模様(ディープ ブルー)」の2色を選択することができます。


AliExpress(中国からの発送)での表示価格は159ドル(3.5mmケーブル+2.5mmケーブル)、169ドル(3.5mmケーブル+Bluetoothケーブル)となっています。また、Easy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)フォローすることでフォロワー値引きを受けられると思います。AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引きの手順はこちらをご覧ください。
AliExpress(Easy Earphones): MaGaosi MGS-401
またアマゾンでもEasy Earphonesが運営するストア「WTSUN Audio」にて18,200円(3.5mmケーブル+2.5mmケーブル)にて販売しています。アマゾン倉庫に在庫があれば発注後プライム扱いですぐに届きますし、アマゾン経由なら万が一の場合の保証も安心ですね。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): MaGaosi K4-BA (MaGaosi MGS-401)
なお、Easy Earphones(@hulang9078)およびWTSUN Audio(@Zhuo520X)のTwitterアカウントでは割引情報等が頻繁にツイートされていますのでこまめにチェックされることをお勧めします。
■中国の陶磁器をイメージしたデザインが美しい、装着感にも優れたハウジング
「MaGaosi MGS-401」のパッケージは現在のバージョンの「MaGaosi K5」と同様の黒いボックスとなっており、高級感を感じる内容となっています。


パッケージ内容は「イヤホン本体」、本体装着済みの「3.5mmステレオ仕様のMMCXケーブル」、イヤーピース8ペア(「透明シリコンタイプ」大・小、「白色タイプ」大・中・小、「ダブルフランジ」大・中・小、「トリプルフランジ」1種類)、「説明書」、「イヤホンケース」、さらに「2.5mmバランスケーブル」(AliExpressでは「Bluetoothケーブル」に変更可能)が付属します。


今回私はAliExpressでのみ選択可能なBluetoothケーブル付きをオーダーしました。アマゾンでも購入できるバージョンは3.5mmケーブルと一緒に2.5mm/4極のバランスケーブルが付属します。


中国陶磁器の「青花」をイメージしたブルーのシェルは立体的に奥行きのある模様でどのようにこのシェルが製造されているのかとても興味深く感じます。ネットでは「磁器製シェル」という記述も見かけたのですが、内部的に磁器と同じ素材を使用している可能性はあるものの、表面はクリアーなレジンで覆われています。


シェルの形状を「MaGaosi K5」および同じ4BAの「TENHZ P4 Pro」と比較すると、左右および高さにおいて「MaGaosi MGS-401」が少しだけ大振りのデザインであることが確認できます。またステムもより太さのあるデザインとなっています。


少し大きめのハウジングですが装着性そのものは良好で、付属のイヤーピースのほか、装着部分の穴の大きいAZLA「SednaEarfit」、JVC「スパイラルドット」、acoustune「AET07」のようなイヤーピースも利用することが可能です。
ステムの先端は金属製のパーツで蓋がされており、3ウェイ(高域・中域・低域)の各BAドライバーにつながる音導管は先端部分を見る限り金属製が使用されているようです。ちなみに「MaGaosi K5」や「TENHZ P4 Pro」は透明な樹脂製(またはシリコン製)の音導管を使用しており、多少ながら音質傾向に変化を与えている可能性もありますね。


上記の通り、付属のMMCXケーブルは「MaGaosi K3-BA」や後期ロット以降の「MaGaosi K5」と同じ銀メッキ線と銅線の4芯ミックス仕様となっています。またapt-X対応のBluetoothケーブルもMaGaosiオリジナルでよりケーブルのフィット感を高めるスライダーが付いておりスポーツでの利用にも向いた仕様となっていますね。
■中高域メインのフラットなバランス。立体的な音場感が心地よい完成度の高いリスニングサウンド。
「MaGaosi MGS-401」の音質傾向はフラットに近く、中音域がかなり濃い印象を受けることから曲によっては若干カマボコ寄りにも聴こえるサウンドです。各BAユニット間のクロスオーバーに不自然さは感じずバランスの取れたサウンドに仕上がっています。全体としてマルチBAらしい情報量の多さより、定位のしっかりした立体的な音場感をとても明瞭に表現している印象を受けます。

また中高域のフラットさはかなり心地よく、分離性の高さから感じる定位感の良さと立体的な音場はかなりの心地よさがあります。よりモニターサウンドにチューニングされた高価格帯のマルチBAのイヤホンのような情報量や解像度の高さはありませんが、これらの製品にはない音場感は「MaGaosi MGS-401」のリスニングイヤホンとしての特徴的な部分だろうと思います。

そして「Knowles CI-22955」BAを使用している低域は非常に締りが良い解像度の高い音で、沈み込みも良好です。中高域ともしっかり分離しており、マルチBA特有の籠りのような感じはほとんど受けません。いっぽうで過剰な響きはコントロールされているため、広いホールでのオーケストラ演奏など音源では少し物足りなさを感じるかもしれません。
全体としては寒色系で濃い音のイヤホンですが、キレより全体のバランスを重視した印象のイヤホンでリスニング用として苦手なジャンルは少ないと思います。ロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲はもちろん、ジャズなどのアコースティックなサウンドとの相性も良好です。いっぽうで響きを重視したいコンサートやライブなどの音源や、よりキレやシャープさを求める場合やモニター系のような1音1音の情報量の多さを求める場合にはあまり向かないと思います。

ただMMCXコネクタ対応で転用できるイヤホンは多くありますので、それらとの組み合わせを前提にAliExpressでオーダーするのは良いかもしれませんね(もし「MaGaosi MGS-401」をワイヤレス化したい場合はShure「RMCE-BT1 」との組み合わせがお勧めです)。
■リケーブルの効果は絶大で解像度とキレが大幅に向上。ポテンシャルの高い高音質イヤホン。
個人的には「MaGaosi MGS-401」はリスニングイヤホンとしてかなり好感をもった印象となりました。また、付属ケーブルをバランスケーブルに交換したり、より情報量の多いケーブルにリケーブルすることで、かなり高い解像度とキレのあるサウンドを実感することができます。

このようなリケーブルにおけるポテンシャルの高さも「MaGaosi MGS-401」の魅力といえるのではないかと思います。標準ケーブルでもかなりレベルの高いサウンドを楽しめますが、リケーブルによって相当に「化ける」イヤホンでもあるため、可能な限りリケーブルはチャレンジいただくことをお勧めします。
というわけで、「MaGaosi MGS-401」は、個性的なシェルデザインは多少好き嫌いがある可能性もありますが、アンダー2万円クラスのイヤホンとしてはかなり完成度の高い製品だと感じました。