こんにちは。今回紹介するのは「Geek Wold GK3」という 3DD構成のイヤホンです。トリプルダイナミックという構成はかなり特殊・・・と思いきや、実はこの1ヶ月程度の間に今回の「Geek Wold GK3」を含め、すでに3種類の3DDイヤホンを紹介することになります。珍しいとおもっていたものがあっという間にそうでもない存在になってしまう。あらためて中華イヤホンの展開スピードの速さと勢いを実感せずにはいられませんね(^^;)。
さて、今回の「Geek Wold GK3」は8mmドライバー×1基、6mmドライバー×2基によるトリプルダイナミックドライバー構成の低価格イヤホンで、過去にレビューした2種類の3DD(「KBF F60」と「BOT1」)がどちらも同サイズのフルレンジドライバーをトリプルで装備していたのとは異なる、2ウェイ仕様のイヤホンとなっています。
また感度102dB/mWに対し、インピーダンスが8Ωとイヤホンとしてはかなり低い値になっている点も興味深い仕様です。
ケーブルは脱着はできませんが、5N無酸素銅(OFC)の撚り線となっているとのことです。
日本では中国のイヤホンセラー「L.Sオーディオ」のアマゾンマーケットプレイスにて 2,400円で販売されています。
Amazon.co.jp(L.Sオーディオ): Geek Wold GK3
「Geek Wold GK3」は比較的コンパクトなボックスのパッケージで届きました。
パッケージ内容はイヤホン本体、イヤーピース(S/M/L)と保証書のみと極めてシンプルです。
「Geek Wold GK3」のハウジングはプラスチック製でビルドクオリティも一般的なレベルですが、遮音性は比較的高いデザインとなっています。ステム部分が少し長いこともあり装着性はいまひとつでイヤーピースをいろいろ工夫する必要があるかもしれません。
またフェイスパネル部分はカーボン柄にクリアーのコーティングをされたデザインが施されており装着時の印象を良くしています。
■なぜこうなった?と思わずにはいられない謎のチューニング。OSTRYのイヤーピースで改善してみた
そして「Geek Wold GK3」のサウンドは低域と高域がかなり強いドンシャリですが、それ以上に感じるのは「中高域の刺さり」で、必要以上にこの音域が鋭角に前に出る傾向があり、小音量でもすぐに耳が痛くなります。正直なところ、ちょっと聴いていられない音、という印象です。開封直後に軽く聴いたときはエージングが進んでなかったためか、低域成分の強いちょっとモコモコしたサウンド、という程度の印象だったのですが、ここでエージングを行ったことで(エージングはいつも通りのApple Musicのエンドレス再生)、逆に本性を表面化させてしまったようですね(汗)。
やはりインピーダンス8Ωという極端なスペックでダイナミックドライバーを暴れさせている仕様にちょっと無理があるのかもしれません。また低域からの籠りも結構強く、中低域が遠くで鳴っているような雑味が強くなります。
この辺の過剰な刺さりはいわゆる歯擦音とは少し異なるものですが、帯域的には2kHz~5kHzあたりの高域をイコライザー等で調整すると少し緩和することが出来ます。他にもOSTRYの「刺さり抑制イヤーピース」も結構有効でした。普通のイヤーピースでは耳が痛くなる高域自体は最も弱いブルーの「OS100」で十分に抑制効果が得られました。ただ「OS100」の場合だと低域からの籠りには全く変化が無く、高域の刺さりが抑制できたことで、全体的に遠くで古いラジカセが鳴っているような印象の音がさらに気になるようになりました。
そこで、最も抑制効果が強く低域強調の傾向があるブラックの「OS300」に交換したところ、低域がもっと強くなるのかと思いきや逆にかなり籠りが抑制され、全体的にスッキリとした音に変化しました。なお「OS300」による抑制により、通常のイヤーピースより音量は2まわりくらい小さくなるため、DAP側のボリュームを相応に上げる必要があります。
この点から考えてもやはり、もっと抵抗を上げて全体的に「鳴りにくく」すればここまで極端な音にはならなかったのでは、という気がします。チューニングミスなのか、やたら刺さる音が好きな人が作ったのか・・・なかなか謎ですね。
余談(?)ですが、「OS300」にて高域を抑制し、籠りもある程度解消できた「Geek Wold GK3」はボーカルなども前に出て特に女性ボーカルのロックやポップスなどが心地良い音になります。音場はそれほど広くなく、多少平面的な音になってしまうため、「OS300」によって「トリプルドライバーらしさ」がなくなってしまっているのかもしれませんね。それでもこちらのほうが十分にリスニングができ実用的なサウンドになるので数段ありだとは思いますが。
おそらく「Geek Wold GK3」は低価格イヤホンながら技術的なアプローチは間違っていない(むしろ優れている)と思いますが、少なくともこの価格帯のイヤホンを購入する層に受け入れやすいサウンドチューニングを行うことは当然必要でしょう。
なんというか、OSTRYのイヤーピースを持ち出したりと、以前の「TRN V10」をつい思い出してしまいました(笑)。まあTRNも紆余曲折を経て「V80」でとりあえずはリベンジを果たせたと思いますので、「Geek Wold GK3」についても、今後も製品展開を続けるのならば、ぜひとも「より受け入れられるチューニング」になった同社イヤホンを聴いてみたいと思います(^^;)。