
こんにちは。今回も購入してから結構経ってしまったのですが「TFZ KING LTD」(「KING II」の豪華ケーブル版)の紹介です。ちょうど国内版も発売になりましたね(^^;)。
毎回書いていますが「TFZ(THE FRAGRANT ZITHER)」は個人的にとても好きなイヤホンブランドで、新製品が出るたびに毎回購入し、このブログでも紹介しています。
→ 過去記事(一覧): 「TFZ」のイヤホンレビュー
「KING II」は同社を代表するモデルのひとつ「EXCLUSIVE KING」(16,900円)の後継モデルという位置づけで、さらに「KING II」のカラーバリエーションに「8 芯銀コートOFC ミックスケーブル」を組み合わせたグレードアップモデルが「KING LTD」となります。


「EXCLUSIVE KING」の後継モデルとはいえ、「2.5世代・デュアル磁気回路グラフェン振動板ダイナミックドライバー」(Dual-Magnetic Circuit Two Divided-Frequency Graphene Unit)を採用し、外見的なデザイン的にも仕様的にも上位モデルの「KING PRO」(23,800円)を踏襲した仕様となっています。ただ「KING PRO」がアルミニウム合金製なのに対し、「TFZ KING LTD」および「KING II」はフェイスプレートが部分が「KING PRO」と同じCNC加工されたアルミ合金、フェイス部分のロゴがプリントされたゴールドの円形パーツがステンレス、ハウジング部分がPC素材となっているようです。
※違和感のない仕上がりのため、当初「TFZ KING LTD」「KING II」も「KING PRO」とおなじ金属製ハウジングと記載しましたが誤りでした。修正します。
さて、改めてこのドライバーについて紹介すると、「デュアル磁気回路」(二重コイルと前後のダブルチャンバー)により通常のダイナミック型より広いレンジを得ると同時に、「グラフェン振動板」によるアタックの早いキレのあるサウンドのドライバーを構成しています。


「KING II」および「KING LTD」に搭載される12mmの「第2.5世代」ドライバーは「KING PRO」で最初に搭載されたもので、「EXCLUSIVE KING」に搭載された「第2世代」を改良しよりHiFi性能を向上させたサウンドに進化しています。他にも「KING PRO」とは異なるサウンドチューンで上位モデルの「SECRET GARDEN 1」をはじめ、「TEQUILA 1」「QUEEN」などの100ドルオーバーモデルで採用されています。


また「TFZ KING LTD」で使用されているTFZ純正の「8 芯銀コートOFC ミックスケーブル」は、中国AliExpressの「TFZ Offical Store」で149ドルで販売されている純正ミックス線ケーブルと同等品と考えられます。(ケーブル単品価格の値付けが高すぎる感はありますが)「KING II」との価格差は3千円程度ですのでかなりお買得な印象はありますね。


いっぽう「KING II」には「SECRET GARDEN 1」「QUEEN」「T2 Galaxy」に付属するブラックの被膜で覆われた銀コートOFC線ケーブルが付属します。同ケーブルが付属する既存のモデルは2pinコネクタ部分の(突起部の)形状がどれも微妙に異なっていてこれを覆うカバー部分も合わせた形状になっています。しかし「KING II」は「T2 Galaxy」はじめ「KING PRO」や「EXCLUSIVE KING」などのモデルと同じ形状のため、「TFZ KING LTD」で「T2 Galaxy」のケーブルを流用すれば「KING II相当」になると考えられます。ということで、今回私は海外版の「TFZ KING LTD」を購入しました。
そして、「TFZ KING LTD」および「KING II」の国内正規品は10月19日より発売が開始されるそうです。こちらの国内価格は「KING II」が 16,800円、「KING LTD」は 19,800円 となっています。


カラーバリエーションは「KING II」が「ブラック」と「ブルー」の2色、で「KING LTD」は「ブルー」に加え「グリーン」「グレー」の3色となっています。


・国内正規品: TFZ KING LTD: 19,800円 / TFZ KING II: 16,800円
Amazon.co.jp(国内正規品): TFZ KING LTD
Amazon.co.jp(国内正規品): TFZ KING II
・海外版: TFZ KING LTD: 149ドル / TFZ KING II: 119ドル
Penon Audio(直販): TFZ KING LTD / TFZ KING II
AliExpress(Penon Audio): TFZ KING LTD / TFZ KING II
AliExpress(TFZ Offical Store): TFZ KING LTD / TFZ KING II
■「KING PRO」を踏襲した高級感のあるビルドクオリティと高品質なLTD用8芯ミックスケーブル
「TFZ KING LTD」のパッケージは「EXCLUSIVE KING」などと同様の細長いパッケージで本体カラーが確認できるようになっています。


パッケージ構成は本体、OFCケーブル(「KING LTD」は8芯銀コートOFCケーブル)、イヤーピース(穴の大きい方と小さいほうの2種類、それぞれS/M/Lサイズ+本体付属のMサイズ)、イヤホンポーチ、ケーブルフック、説明書など。


CNC加工した金属製フェイスプレートに樹脂製ハウジングを組み合わせた本体は「KING PRO」とよく似たデザインで、フェイスプレートの左右にゴールドメッキ処理されたロゴおよびマークをデザインしたステンレス製円形パーツがアクセントになっています。


既存のTFZ製イヤホン同様12mmのダイナミックドライバーを搭載する関係で比較的大きいハウジング形状をしていますが、装着性そのものは比較的良好だと思います。ただ耳の小さい方は奥まで入らない場合があるのもこれまでのモデル同様です。


「TFZ KING LTD」(および「KING II」)は最近のTFZ製イヤホン同様に豊富なバリエーションのイヤーピースが付属しますが、他にもAZLAの「SednaEarfit」やJVCの「スパイラルドット」、Acoustuneの「AET07」等のイヤーピースを利用することでより装着性を向上することが出来ます。私は耳穴が細いこともありスパイラルドットのSサイズを組み合わせています。
「TFZ KING LTD」を「EXCLUSIVE KING」および「KING PRO」と比較してみると、ハウジングの形状そのものは「EXCLUSIVE KING」からほぼ変わっていないことがわかります。


「KING LTD」(および「KING II」)は「KING PRO」と比較すると、フェイス部分の円形パーツのほか、ハウジング部分の素材の違いからフェイスプレートとシェル本体との接合部分に違いがあり、さらに「QUEEN」のようにフェイスプレート部分のビスで固定されています。3モデルともベント(空気孔)はハウジング背面のドライバーの真上に小さい穴がひとつだけあります。


「KING LTD」の特徴である「8芯 銀コートOFCケーブル」はTFZ専用のカバー付きのコネクタではなく、中華イヤホンケーブルで多く見受けられる突起部の浅い2pinコネクタを採用。使用している線材はミックス線ながら中華ケーブルのミックス線と比較するとすこし落ち着いたカラーリングとなっています。
いっぽう「KING II」は「SECRET GARDEN」や「QUEEN」と同じ線材とのことで、ブラックのラバー状の柔らかい被膜で覆われたケーブルとなっているようです。
■リスニング寄りにチューニングされたサウンドバランスで「KING」「KING PRO」の「いいとこ取り」


個人的な印象としては「TFZ KING LTD」「KING II」は「KING PRO」の廉価版ということはなく、製造コストも同程度ではないかと想像します。ただし、高いインピーダンス仕様で用途を絞っている「KING PRO」に対して、より多くのオーディオファン、マニアに向けている「KING II」のほうが販売数を期待できそうなので、相応に価格を下げているということかな、と思います。つまり「KING II」は「KING PRO」より多少コスパが高い、ということですね(笑)。

個人的にはこのまとめ方はとても好感を持っていますが、「派手さ」という点では「TFZ KING LTD」「KING II」は「EXCLUSIVE KING」より少し大人しくなった、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
中音域は「KING PRO」譲りの非常に精度の高いフラットなサウンドで、キレの良さと透明感を実感します。明らかに「EXCLUSIVE KING」とは1ランク上のサウンドになっています。

低域は個人的に「TFZ KING LTD」「KING II」が最も気に入っている部分で、しっかりとした量感を確保しつつタイトに締まる低音は心地良さを感じます。「EXCLUSIVE KING」の低域はより響きを感じる反面、少し緩さも感じる印象でしたが、「TFZ KING LTD」「KING II」では解像度の高い輪郭のハッキリした音になっています。また「KING PRO」と比較してもより濃度の高い存在感を感じる印象となっています。中高域同様に分離性が高くキレのある低域なため、スピード感のある音源も楽しめると思います。

もし「KING II」をベースにリケーブルを考える場合は、Kinboofiブランドの定番ケーブルとなっている「KBF4746 16芯 ミックスケーブル」(6,800円)が手持ちのケーブルでは最も「TFZ KING LTD」の方向性に近い印象になります。このケーブルではTFZ純正の8芯ミックスケーブルよりさらに情報量が増えるため「TFZ KING LTD」のアップグレードおよびバランス接続にも最適です。「TFZ KING LTD」の8芯ケーブルよりさらに音場が立体的になり「濃い音」になるのを実感できると思います。
同様にYinyooブランドの「YYX4778 16芯 銀メッキ線ケーブル(ブラック)」も良い組み合わせのようです。こちらのケーブルではより中高域の伸びが向上するため、高域にアグレッシブさを求める場合には良い組み合わせになります。


いっぽうより低価格の8芯ミックスケーブルである「NICEHCK TYB1」(3,150円)または「Yinyoo YYX4775」(2,999円)の場合、情報量は「TFZ KING LTD」のケーブルと同等レベルですが、すこし派手めの印象に変化します。バランス接続により分離性を向上したりよりメリハリを強くしたい場合は良いかもしれません。ただ、バランス接続ではない通常の3.5mmステレオコネクタの場合は「KING II」にこれらのケーブルでアップグレードするよりほぼ同コストで購入できる「TFZ KING LTD」にしたほうが良さそうですね。


また「KING PRO」で相性のよかった、いわゆる「キンバー風ケーブル」(ブラウン「YYX4744」/ゴールド「YYX4752」/ピンク「HiF4748」)は「TFZ KING LTD」「KING II」との相性も良好で、8芯ミックスのHCK TYB1よりさらにメリハリの効いたサウンドになりますが、同時に「TFZ KING LTD」の8芯ミックスケーブルと同様の広い音場感を実感することが出来ます。
というわけで、「TFZ KING LTD」「KING II」は、「KING PRO」の高いサウンドクオリティを踏襲しつつ、よりリスニング向けに最適化され、既存の「EXCLUSIVE KING」より着実なグレードアップを果たせたイヤホンになっていると思います。
キレの良さと透明感のある絶妙なサウンドバランスにより特に苦手ジャンルのみつからないイヤホンだと思います。どちらのイヤホンもロック、ポップス、アニソンなど多くのジャンルのボーカル曲にも最適ですし、特に「TFZ KING LTD」の8芯ミックスケーブルによる豊かな音場感はジャズやクラシックなどにも最適でしょう。ただ「EXCLUSIVE KING」に比べて高域がすこし大人しくなった、という点もあるため、よりアグレッシブなサウンドを求める場合はリケーブルによるアレンジも有効となると思います。

どちらのモデルもアンダー2万円のイヤホンとしてはかなりお勧めのイヤホンだと感じました。
eイヤホンのブログ、 http://e-earphone.blog/?p=1289680 ではハウジングはPC素材との記載があるのですが、ハウジングは金属製なのでしょうか?