TRN & KZ New Cable

こんにちは。今回はおなじみ低価格イヤホンブランドの「KZ」と「TRN」の新しい交換用ケーブルです。さすが低価格イヤホンメーカーの製品だけあって、コストパフォーマンスに優れる中華イヤホンケーブルと比較しても、どの製品もちょっと目を疑うような価格設定となっています。
はたして「安かろう悪かろう」なのか、それとも?というわけで早速確認してみたいと思います。

KZ TRN Cable購入はすべていつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」にて。わたしはAliExpressの「NiceHCK Audio Store」でオーダーしましたが、アマゾンの「NICEHCK」マーケットプレイスで購入できる製品もけっこうあります。価格は少し差がありますが、アマゾンの場合はすぐに商品が届きますし、アマゾン経由の保証が受けられる安心感がありますね。
いっぽうのAliExpress(中国からの発送)での購入方法はこちらをご覧ください。またHCKのTwitterアカウント(@hckexin)では新製品情報のほか割引情報なども頻繁にツイートされていますのでこまめにチェックされることをお勧めします。


[ TRN MHB8 ] TRN 8芯 銀メッキ銅線&高純度銅線ミックス イヤホンケーブル
TRN MMCX/2Pin Connector 3.5/2.5Balanced 8 Core Copper Silver Mixed Cable
【 MMCX 】【 0.78mm 2pin 】【0.75mm 2pin※】【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】
Amazon.co.jp(NICEHCK) 2,290円 / AliExpress(NiceHCK Audio Store)  11.99ドル

※ブラック/シルバー
TRN MHB8TRN MHB8
イヤホン本体では「大アタリ」と「地雷」を交互に投入する(笑)中華イヤホンブランドの「TRN」ですが、最初のモデルの「TRN V10」から実は付属のケーブルは評判が良く、単品売りされているケーブルも結構売れているらしいという話もちらほら。

※イエロー/シルバー

TRN MHB8
TRN MHB8

そんなTRNが突如として投入したのが、今回の2種類のカラーの8芯ミックス線ケーブルです。HCKのアマゾンのストアでは「TRN MHB8」の型番表記となります。その特徴もやはり「価格」で、AliExpressでは12ドルほどの激安価格で購入できてしまいます。初回のオーダー受付時はさらに値引きで1本数百円単位の価格で購入された方も多いのでは思います。
今週末の11.11セールではあらためて同様なセール価格が提示されています。

実際に届いた「TRN MHB8」はTRNのイヤホン同様に白箱のパッケージで、袋入りの簡易なパッケージの中華ケーブルに慣れているとほんとうに10ドルそこそこ価格なのかと改めて驚きを感じます。
TRN CableTRN Cable

TRN MHB8」、TRNの8芯ケーブルは同社イヤホンの付属ケーブルで使用されているものより太めの線材が編み込まれており、また金属製のコネクタ部品なども明らかに質感が向上しています。多少カラーリングが派手ではあるものの、一見しただけでは安物感はまったく感じな印象です。ただよく見ると2pinコネクタについてはCIEM 2pinのような四角い突起があるコネクタ形状ながら、ガイドとなる窪みがなく「詰めの甘さ」を感じる部分もあります(ですので埋め込み式の2pinでは使用できない場合もあります)。またMMCXコネクタも品質の低い個体もあるようです。この点は「価格なり」と割り切る必要がありそうです。
TRN CableTRN Cable

一般的にミックス線ケーブルは中低域の厚みを増す同線と高域の伸びを向上する銀メッキ線の両方の性質を持つことから比較的メリハリが強くなる傾向にあります。「TRN MHB8」は「TRN V80」をはじめとする同社イヤホンをリファレンスとしているためか、同価格帯の中華ハイブリッドなど派手めでドンシャリ傾向、いわゆる「ZS6系イヤホン」との相性が抜群に良い傾向にあります。というかほとんど「ZS6系イヤホン専用ケーブル」と呼んでよい製品かなという気もします。
TRN MHB8TRN MHB8
たとえばMMCXコネクタ仕様のケーブルを「PHB EM023」と組み合わせると標準の銀メッキ線ケーブルと比較し全体的にメリハリが向上します。特に低域の厚みがぐっと増すことで「濃い音」になった印象を受けました。また同じく2BA+2DD構成の「BQEYZ KC2」と組み合わせると全体的に明瞭感がアップし、個人的にはEM023より好みの中音域の印象がさらに良くなります。特にバランス接続にすることでより近くに定位し、高域のキレや低域の締まりが大幅に向上します。これらの製品と組み合わせるのには結構よい選択肢といえるかもしれませんね。
ただ、スッキリ系の傾向のイヤホンや、バランスの良いシングルダイナミックなどのイヤホンと組み合わせると派手というより多少粗さを感じる鳴りを感じる場合もあります。なにより超低価格のケーブルですので過度な期待はせず、用途を絞って利用するのが良いと思いますね。


[ KZ MC3 ] KZ 8芯 銀メッキ銅線&高純度銅線ミックス イヤホンケーブル
KZ 3.5mm 2Pin/MMCX Connector 8 Core Copper Silver Mixed Cable Use For MMCX & KZ Earphones
【 KZ Aタイプ(ZS6/ZS5/ZSA等) 】【KZ Bタイプ(AS10/ZS10/ES4等)】【 MMCX 】【 3.5mm 】
※KZ Aタイプ/BタイプはKZの該当モデル専用ですので、KZ製以外の2pinコネクタのイヤホンには対応しません。
KZ MC3KZ MC3
いっぽう、KZブランドの最新ケーブルも、8芯銀メッキ線&高純度銅線ミックスケーブルが登場しました。こちらもTRNのケーブルに負けず劣らずのかなりの低価格設定となっています。ただ価格なりの粗さも感じたTRNに比べ、KZのケーブルは定番の通称「きしめんケーブル」など低価格ながら結構ちゃんとした製品を作っている印象があるため期待が膨らみます。
KZ MC3KZ MC3
今回の8芯ミックス線ケーブル(アマゾンのHCKのストアでは「KZ MC3」型番)はKZ製イヤホンのAタイプ(ZS6/ZS5/ZS4/ZSAなど)とBタイプ(AS10/BA10/ZS10/ES4など)の2種類に加えて汎用のMMCXコネクタ使用も販売しています。
KZ CableKZ MC3
KZ MC3」はTRNの「TRN MHB8」より明らかに細い線材を使用しており丁寧に編み込まれた印象があります。こちらも取り回しは良好です。
私はKZのBタイプのケーブルでオーダーしたため、数種類のKZ製イヤホンにリケーブルして確認をしてみました。最近のKZのブラウンの標準ケーブルと比較してどのイヤホンでもミックス線らしくかなり派手な音になるのが実感できます。たとえば「KZ ZS10」と組み合わせると標準ケーブルより明らかに情報量とともにキレが向上するのが実感できます。
KZ MC3KZ MC3
また5BAモデルの「KZ AS10」との組み合わせでも低域の締まりとともに高域の伸びが大幅に伸びるなど特に相性が良いようです。これらの同社の中でも比較的上位のモデルとの組み合わせには最適でしょう。またMMCXコネクタ仕様のケーブルについても、最近はでは3,000円クラスの中華ケーブルでも劇的にクオリティが向上しているため、それらの製品には及ばない部分はありますが、十分に価格以上の音質を期待できる仕上がりにはなっていると思います。


[ KZ Lightning Cable ] KZ Lightning MFI コネクタ イヤホンケーブル
KZ Lightning Dock MFI Cable 2Pin/MMCX Connector Silver Plated Use For MMCX & KZ Earphones
【 KZ Aタイプ(ZS6/ZS5/ZSA等) 】【KZ Bタイプ(AS10/ZS10/ES4等)】【 MMCX 】【 Lightning 】
※KZ Aタイプ/BタイプはKZの該当モデル専用ですので、KZ製以外の2pinコネクタのイヤホンには対応しません。
Amazon.co.jp(NICEHCK) なし / AliExpress(NiceHCK Audio Store)  16ドル

KZ Lightning CableKZ Lightning Cable
こちらは現時点ではAliExpressでのみの取り扱いですが、iPhoneなどiOSデバイス用のLightningコネクタ仕様のケーブルです。AppleのMFI準拠のチップを使用しており、互換性も問題ないようです。こちらもKZ製イヤホンのAタイプ、Bタイプ、そしてMMCX用の3種類がリリースされています。線材はシルバーの銀メッキ線を採用しています。
KZ CableKZ Lightning Cable
この製品もパッケージは上記の8芯ケーブル同様のコンパクトな白箱に入っています。線材自体は以前からあるKZのアップグレードケーブルと同様のシルバーの撚り線で、Lightningコネクタ部分に44.1kHz仕様のDACチップを搭載するタイプになります。オンキヨーの「HF Player」と組み合わせてみるとハイレゾ音源も44.1kHzにダウンサンプリングされ再生されます。また、Lightningイヤホンケーブルで多いイヤホンマイクの機能はついておらず、あくまでリスニングに特化したケーブルですね。
KZ Lightning CableKZイヤホンに最適化されたDACを搭載するケーブルですので音質面についてはいわば「KZおすすめのチューニング」ともいえるわけですが、以前レビューしたおよび以前レビューした同社製のApt-X対応Bluetoothケーブルでも感じたバランスの良さを実感します。もちろん低価格なケーブルですので解像度や分離性が極端に高いわけではないですが、非常に聴きやすく自然なバランスでチューニングされており使い勝手の良さを実感します。またノイズの少なさ(S/Nの高さ)はより数千円~1万円程度のLightningイヤホンケーブル比較しても特筆すべき部分で、同社製イヤホンのなかでも比較的反応の良い「KZ AS10」を組み合わせても非常にスッキリとしたサウンドを実感できます。これはMMCXバージョンも追加で購入してみようかな、と思っています。


[ KZ Lightning Cable ] KZ Lightning MFI コネクタ イヤホンケーブル
KZ Type-C Cable HD Digital Decoder Dedicated Cable 2Pin Silver Plated Upgraded Cable Use For KZ
 【 KZ Aタイプ(ZS6/ZS5/ZSA等) 】【KZ Bタイプ(AS10/ZS10/ES4等)】【 USB Type-C 】
※KZ Aタイプ/BタイプはKZの該当モデル専用ですので、KZ製以外の2pinコネクタのイヤホンには対応しません。
Amazon.co.jp(NICEHCK) なし / AliExpress(NiceHCK Audio Store)  8.24ドル
KZ USB Type-C CableKZ USB Type-C Cable
購入したのは結構前になりますが、ついでなので一緒に紹介します。上記のケーブルがiOS用のLightning仕様だったのに対しこちらはUSB Type-Cコネクタ仕様のケーブルとなります。こちらは現時点ではMMCX仕様は販売されておらず、従来型のKZ AタイプおよびBタイプのみのリリースとなります。
KZ USB Type-C CableKZ USB Type-C Cable
「KZ USB Type-Cケーブル」もUSBコネクタ部分にDACチップを内蔵しており、USB Audio Class 2.0対応の接続した端末からはUSB-DACとして認識される仕様となっています。そのため、OTG(On The Go)接続に対応したAndroidデバイスに加え、USB-C(Thunderbolt 3)端子を搭載したMacBook製品や最新のiPad Proなどでも使用することができます。

KZ USB Type-C Cableいっぽう、上記のLightningケーブル同様、マイクリモコン機能を持たない、オーディオリスニング専用の仕様とすることで類似するUSB-Cケーブル(たとえばShureの「RMCE-USB」など)と比べ、KZ製イヤホン専用ではあるものの、10分の1以下の低価格を実現しています。
実際に「KZ USB Type-Cケーブル」を何種類かのKZ製イヤホンに接続して聴いてみたところ、上記のLightningケーブル同様に、非常にノイズの少ない明瞭感と自然なバランスのサウンドを実感できました。
比較的反応の良い「KZ AS10」との組み合わせでも非常に自然なバランスを実感します。これくらいS/Nが高い自然なサウンドを実現できているのであれば、AndroidスマートフォンでKZ製イヤホンを利用するならもうこのケーブルでいいんじゃないかな、と感じるほどです。こちらもぜひともMMCX版も出して欲しいと思います。


というわけで、KZおよびTRNの低価格なケーブルをまとめて比較してみました。
TRNのとりかく派手で豪華に見えるケーブルながら価格なりに大雑把でアバウトさも感じるのに対して、KZの価格なりにみえる外観ながら音作りは結構しっかりしている、という両者の対比が非常に面白かったですね。個人的には圧倒的にKZの各製品のほうがオススメ度は高くなりますが、TRNのケーブルも「安く買えれば」割り切って使うのにはいいかな、という印象でした。中華ケーブルの世界も各セラーのオリジナルブランドに加え、中華イヤホンメーカーもより本腰を入れている感じもありますし、今後もますます目が離せないですね。