HiFiHear HD6

こんにちは。中華イヤホンを語る上では外せない年に一度のセール「11.11」も終了し、11月も下旬に差し掛かってきました。今回私はあまりオーダーしないつもりだったのですが(なんせ普段からいろいろ買いすぎてますので^^;)、各セラーが矢継ぎ早に新製品をこのセールにぶつけてきたこともあり、気付けばAliExpressで結構イロイロとポチってしまいました。というわけで今年も年末に向け到着が楽しみな冬の訪れとなりそうです。

さて、今回はAmazonの「HiFiHear Audio」ストアで販売されるオリジナルモデル「HiFiHear HD6」の紹介です。こちらは11.11セール終了後のタイミングでリリースされたばかりの最新モデルで、クリアデザインが美しい6BA構成のイヤホンとなります。
アマゾンでマーケットプレイスを展開する中国のイヤホンセラー「HiFiHear Audio」では同ブランドのオリジナルイヤホンケーブルのほか、イヤホンでも「HiFiHear F30」という同価格帯でも比較的評価の高い2BA+1DDの低価格ハイブリッドモデルをリリースしており、私のブログでも紹介をしています。
ちなみに、今回の「HiFiHear HD6」もサイトの写真だと一瞬「BGVP DM6」のようにも見えますが(名称も少し似てますし)、DM6が実際は5BAなのに対し、「HiFiHear HD6」は「6BA構成」で、シェルデザインも異なっており、あくまで「HiFiHear」ブランド独自のオリジナル製品となっています(念のため)。
HiFiHear HD6HiFiHear HD6
HiFiHear HD6」は、Knowles製 ×4、Bellsing製 ×2 のバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーで構成されているとのことで、美しいクリアハウジングと金属製のステムが印象的なシェルデザインとなっています。カラーは「パープル」「ブルー」「レッド」の3色が選択できます。
HiFiHear HD6HiFiHear HD6

HiFiHear HD6」の購入はAmazonの「HiFiHear Audio」ストアにて。現在は3色ともプライム扱いでアマゾン国内倉庫より発送されます。価格は 26,500円 となっています。6BAイヤホンということで中華イヤホンとしては比較的高価格の製品ですが、万が一の際もアマゾン経由でのサポートが受けられるので安心感がありますね。
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): HiFiHear HD6

※現在HiFiHearでは購入時に2,000円引きとなるクーポンを発行しており、24,500円 での購入が可能です。
またHiFiHearのTwitterアカウント(@Qianqian_HRcase)では頻繁に値引き情報などもツイートされますのでこまめにチェックされることをお勧めします。


■美しく装着性も良好なクリアシェル。Knowles & Bellsing製BAによる構成

HiFiHear HD6」のパッケージは、HiFiHearのいつものコンパクトなボックスではなく、Yinyoo Audioの箱で届きました。今回の「HiFiHear HD6」は中国AliExpressの「Easy Earphones」でも販売されているのですが、いつもケーブルなどではHiFiHearブランドの製品をAliExpressで購入した際にYinyooロゴの袋に入って届くことはありましたが、今回はこれまで比較的低価格の製品中心だった「HiFiHear」ブランドとしてはかなり高価格なこともあり、とりあえずはアマゾンでも共通になっているようですね。(今後は別のパッケージに入って届く可能性もあると思います)
HiFiHear HD6HiFiHear HD6
パッケージ内容は、Earphone本体、MMCXケーブル、イヤーピースは白色タイプ(S/M/L)と2種類のグレータイプ(どちらもS/M/Lサイズ)、ケースなど。
HiFiHear HD6HiFiHear HD6
HiFiHear HD6」の本体は写真通り非常に美しいクリアシェルでビルドクオリティも高い仕上がりとなっています。6BA構成と言うことでハウジングは多少大きめで、金属製のステムは少し太いタイプとなっていますが、形状が工夫されており、装着性は良好です。
HiFiHear HD6HiFiHear HD6
シェルの大きさおよび形状は「Yinyoo」ブランドの「Yinyoo HQ5」「HQ8」と非常によく似ていますが実際に比較してみるとステムの角度やシェル形状などが微妙に異なっているのが確認できます。いっぽう同じ6BA構成の「Yinyoo HQ6」と比較するとひとまわり以上コンパクトに仕上がっているのがわかります。「Yinyoo HQ6」のシェルは大きすぎて耳の小さい方には入らない、という意見もときどき伺いましたが、「HiFiHear HD6」についてはその心配は無いのではと思います。
HiFiHear HD6HiFiHear HD6

なお、「HiFiHear HD6」の搭載BAドライバーですが、製品を目視した限りでは、Bellsing 30017(2BA)×1+Knowles 31323(2BA)×2 の構成です。ただし2個の Knowles 31323 についてはフィルターにより、それぞれ中音域メインのユニット、低音域メインのユニット、といったチューニングになっているとのこと。そのため、「HiFiHear HD6」の実際の構成は 高域×2、中域×2、低域×2 の 3 Way(したがって音導管も3本)となっています。
なお、実はこの構成は以前レビューした「Yinyoo HQ6」と同じBAドライバーの組み合わせとなります。とはいえ、シェル形状の違いからドライバーの固定位置が異なり音導管の長さも違いますし、音導管に取付けられているフィルターなどにも差異がありそうですのでサウンドアレンジには多少変化が加えられているのでは、と思われます。
HiFiHear HD6HiFiHear HD6

そして、「HiFiHear HD6」に付属するMMCXケーブルはコネクタやプラグ部分は「HiFiHear」ブランドで販売されているケーブルと同様な部品が使用されていますが、線材は先日レビューした「Yinyoo V2」の付属ケーブルと同じタイプの銀メッキ線を採用しているようです。こちらのケーブルは「Yinyoo HQ6」などに付属する8芯銀メッキ線より細くスッキリとまとめられていますが、情報量についてはむしろ高く、リケーブル無しでもある程度は楽しめる品質に向上しています。
HiFiHear HD6HiFiHear HD6
HiFiHear HD6」には3種類のイヤーピースが各サイズ付属していますので、付属品でもまず困ることはないと思いますが、他のイヤーピースを組み合わせる場合は、AZLA「SednaEarfit」やAcoustune「AET07」など開口部が大きいタイプのイヤーピースとの組み合わせが良いのではと思います。


■質の高い低域と明瞭で解像度の高い中高域が魅力的な中低域寄りのサウンド。ボーカル曲に最適。

HiFiHear HD6」の全体的な音質傾向は少しフラット寄りで中低域メインのサウンドバランスです。開封直後は少し中高域に違和感があったのですが50時間程度のエージングで改善されました(一般的にBAドライバーはエージングの効果はないと言われますが、別の理由からか中華系のマルチBAイヤホンでは多少の「慣し」を行うことで結構印象が変化することが比較的多くあります)。
HiFiHear HD6中低域寄りの「HiFiHear HD6」のなかでも特徴的かつ良質な印象を感じたのが低域で、十分に量感を確保しつつ、BA特有の籠りのようなものはほとんど感じない解像度の高い明瞭なサウンドです。また中高域との分離感も良く、低域によって籠もるような印象もありません。
中音域についても解像度はとても高く、情報量の多いサウンドが楽しめます。特にロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲との相性の良さを感じます。曲によっては僅かに凹みを感じますが、音場は一般的で全体的に自然な距離感で定位します。いっぽうで、低域の響きはかなり抑えられているためクラシックなど低域の広がりや音場感を楽しむ曲では物足りなさを感じるかもしれません。
HiFiHear HD6」は構成としては2BAユニット×2のKnowles社製の「HODTEC-31323」が中低域を含むメインドライバーとして機能し、高域~超高域のツイーターとして「Bellsing 30017」の2BAユニットが機能するという組み合わせですが、合計4BAをしめるKnowles製の中低域ユニットが解像度が高く質の良い中低域を実現しているのだと感じます。
HiFiHear HD6高域は多少再生環境に依存するものの、駆動力の確保できるS/Nの高いプレーヤーでは比較的伸びも良くBAらしい硬質でキラキラ感のあるサウンドが楽しめます。スッキリ系というよりは少し派手めの印象もうけますが、これは(Bellsingの)ドライバーの特徴なのかもしれませんね。全体としては高域にも適度な煌びやかさを持ちつつ、ボーカルなどの中低域を楽しめるイヤホンに仕上がっていると思います。
なお、最近では私のブログでもドライバー数の多いイヤホンを紹介する機会が増えてきましたが、6BAの「HiFiHear HD6」もいわゆる「多ドラ」イヤホンのひとつですので、プレーヤー側の駆動力など再生環境には比較的分りやすく影響されます。全体的に少し平坦さを感じるようでしたらより駆動力のあるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やポータブルアンプに替えてみたり、より情報量の多いケーブルにリケーブルすることで印象が結構大きく変化します。

HiFiHear HD6HiFiHear HD6」付属の銀メッキ線ケーブルも比較的情報量が多く品質の高いケーブルのようですので、リケーブル効果を得たい場合にはある程度グレードの高いケーブルを選択したいところです。例えばHiFiHearブランドのケーブルの場合、「HiF4747 16芯 銀メッキ線ケーブル」や「HiF4780 16芯 高純度無酸素銅線(OFC)ケーブル」へのリケーブルがおすすめです。16芯 銀メッキ線の「HiF4747」は「HiFiHear HD6」の音質傾向を維持しつつ、全体的に分離性および情報量が格段に向上することでより濃度が高いサウンドを実感できます。また16芯 高純度銅線の「HiF4780」では中低域の厚みが増すことでより立体的な音場感を実感できるサウンドになります。他にもNOBNAGA Lab.の「友禅」「更紗」などのメリハリが強くなるタイプの高純度銅線ケーブルも結構おすすめです。


HiFiHear HD6というわけで、「HiFiHear HD6」は2万円台の価格設定ながら聴きやすくバランスの取れたサウンドセッティングのマルチBAイヤホンとして仕上がっていました。ちなみに、同様のドライバー構成をもつ「Yinyoo HQ6」との比較ですが、イヤーピースおよびケーブルを同じものに交換して比較したところ、やはり両者のサウンドの差は非常に少なく低音域の印象に若干の違いを感じた程度でした(装着感などでも変わるレベル)。
そのため両者はほぼ好みで選ぶ、という感じになるかと思いますが、「HiFiHear HD6」のほうがバリエーションの選択肢が多く、ハウジングがコンパクトになり装着感も向上していますし付属のケーブルも使い勝手および音質面でより改善されたものが付属している点はポイントとなりますね。
個人的にはデザインも美しく、聴きやすく使い勝手の良いサウンドであるのに加えて、「HQ6」と比べて装着性が格段に良いこともあり、遮音性の点でも非常に優れているのは有り難いところです。おそらく普段使いはもちろん、出張での移動などの場面でも利用機会は増えそうですね。