TRN IM1

こんにちは。今月に入ってイヤホンそのものよりケーブルのレビューのほうが明らかに増えてますが、がんばってイヤホンの書きかけレビューも年内に消化したいと思います。
というわけで、今回は「TRN IM1」、1BA+1DDのハイブリッドイヤホンです。製品名称の「IM1」からも連想できますが(「In-Ear Monitor」あたりから取ってそう)、ハウジングには相当にコストをかけて作られているようで、結構「見た目イヤホン」感が強い製品ではありますが(^^;)、音質面も比較的使い勝手の良いドンシャリ傾向にまとめられた興味深い製品ですね。
TRN IM1TRN IM1
TRN IM1」はアマゾンでは4千円を切るくらいの価格設定ですから、TRNブランドで夏頃に紹介した2BA+2DDの「TRN V80」(4,800円程度)よりは安価なものの、TRNで同じ1BA+1DDの「TRN V20」よりは2倍近い価格設定で、やはり低価格ハイブリッドの「KZ ZSN」や最近価格が下がって3千円台で落ち着いている2BA+2DDの「KZ ZS6」と比較しても高めの価格設定になっています。
TRNは最初のモデルのV10(大外れ)から次のV20(当たり)と、交互に「大外れ」と「当たり」繰り返すという、かなりスリリングなメーカーでしたが(汗)、今回の「TRN IM1」は「当たり」のようで、好評だった前回のV80から引き続き、とりあえずは「当たり外れの連鎖」(笑)からは脱出することができたようです。
TRN V80 (Red)TFZ SECRET GARDEN 1
いっぽうで、「TRN V80」同様に、「TRN IM1」もデザインは盛大に「パ○って」います(^^;)。今回は私もレビューしているTFZの「SECRET GARDEN 1」(29,800円)ですね。まあものネタはすぐに分るくらい寄せていますが、見るからに全く違いますし音質傾向も全く異なるし、そもそも価格が5分の1と比べるまでもない、というレベルなので「ZS5」「ZS6」以降この程度では笑って済ませる程度と思ってしまうのは、私もかなり中華イヤホンに毒されているみたいです(^^;)。
TRN-IM1
TRN IM1」のカラーバリエーションは「レッド」「ブラック」「透明ブルー」の3色。表示価格はアマゾンでは 3,990円 、AliExpressでは 33ドル~35ドル 程度となっています。購入はAliExpressは「HCK Earphones」、アマゾンは「Easy Earphones」が運営する「WTSUN Audio」にて。HCK(@hckexin)およびEasy Earphones(@hulang9078)、WTSUN Audio(@Zhuo520X)のTwitterアカウントでは割引情報なども頻繁にツイートされるため、フォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。また、AliExpressではHCKおよびEasy Earphonesではフォロワー値引きを受けることができます。AliExpressでの購入方法はこちらをご覧ください。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): TRN IM1
AliExpress(Easy Earphones): TRN IM1

またアマゾンではプライム扱いのためすぐに商品が届きますし、万が一の場合もアマゾン経由でのサポートが受けられますので安心ですね。(アマゾンでは現在は「レッド」と「ブラック」のみ選択が可能です)
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): TRN IM1


■低価格イヤホンながらこだわった成型で装着感は抜群。ただし「透明ブルー」の色は・・・(^^;)

今回私は、AliExpressで「透明ブルー」を、アマゾンで「レッド」を購入しましたが、「透明ブルー」のみ1ヶ月近く出荷が遅れたようです。そしてその理由は実際に届いた商品をみて明らかになりました。
TRN IM1TRN IM1
今回の「TRN IM1」は従来のTEN製品よりパッケージが少し豪華になりました。やはりちょっとだけハイエンドな仕様ということのようです。
TRN IM1TRN IM1
パッケージ内容はイヤホン本体、イヤーピース(Mサイズ装着済み+S/Lサイズ)、クロス布、説明書・保証書ほか。本体を拭くためでしょうか、クロスが付属しているのが面白いですね。
TRN IM1TRN IM1
TRN IM1」の本体のビルドクオリティは結構高く、アルミプレートはハウジングごとレジンでコートされており、接着面は綺麗に処理されています。ベント(空気孔)は側面に小さい穴が空いています。ステムはダイナミックドライバーとBAドライバーから出ている2個の音導管が直結する形で開口部は2カ所です。低価格イヤホンとしては非常にコストのかかった方法で製造しているハウジングには改めて驚かされます。ただ、透明ブルーに関しては販売サイト写真に掲載されていた色で量産するのは難しかったらしく、実際に届いた製品では普通のブルーになってしまったのはちょっと残念ではあります。
TRN IM1TRN IM1
ちなみに、「TFZ SECRET GARDEN」と「TRN IM1」を比較してみると、似ているのは雰囲気だけで作りには相応に超すと差を感じますね。ただ、「TRN IM1」のほうがサイズもひとまわり小さく、個人的には装着性も本家よりかなり良くなっていると感じました(^^;)。


■音質面は分りやすいドンシャリ傾向がらが使いやすいバランス。見た目重視、だけじゃない?

TRN IM1TRN IM1」の音質傾向は中低域寄りのドンシャリで開封直後は曲によって高域が少しシャリ付きが気になる傾向にありますが、50時間~100時間程度のエージングで全体的に落ち着いたバランスになります。寒色系の音でメリハリは結構しっかりした印象があります。
高域にも煌めきを感じる硬めの音でキレの良さも感じます。ただし、長時間のリスニングでもそれほど耳に負担に鳴らない程度に鳴ってくれます。この手の中華ハイブリッドがステム部分にBAユニットが配置されているのに対し「TRN IM1」ではハウジング部分から音導管で多少距離があるのも影響しているかもしれませんね。
中音域はボーカルが前面にでるようなポップスなどの曲では全く違和感を感じませんが、曲によっては凹みがあり、少し下がって聞こえる場合があります。低域は響きがあり左右に広がる音場感を感じますが、分離感は良く、中高域が籠もらない程度に抑えられています。ただ、低域の量感はかなりしっかりあるものの沈み込みは浅めな印象です。

TRN IM1このようにエージング後の「TRN IM1」は結構ハッキリとしたドンシャリ傾向ですが、全体的なサウンドバランスは良くまとまっていると思います。ロックやポップスなどの曲との相性は特に良さそうです。ただし、解像度は低価格中華ハイブリッドとして「それなり」のレベルで、この点はコストを考えて「割り切った」とみるべきでしょう。見るからに「TRN IM1」はハウジングにコスト「全振り」感のあるイヤホンですので、ドライバーまわりにかかっているコストは「TRN V20」辺りとさほど違いはないのかもしれませんね。
個人的には使い勝手の良い低価格イヤホン、ということでこのようなアプローチも十分にアリだと思います。

ところで、TRN自身アップグレードケーブルを何種類か販売していますが、例えば「TRN 8芯ミックス線ケーブル」(HCK型番:「TRN MHB8」、Easy型番「TRX4791」)の場合、合わせるイヤホンによってはちょっと派手さが気になるケーブルですので「TRN IM1」との組み合わせでも印象が派手めの方向に変化しますが、全体的に解像度とキレがぐっと向上するのがわかります。
TRN IM1TRN IM1
しかし「TRN IM1」と最も相性が良く感じたのは3千円以下で販売されているHCKおよびYinyooの8芯 銅線ケーブル(「NICEHCK CT1」または「YYX4783」)で、こちらは「TRN IM1」の全体の印象は変えずに全体的に音が濃くなります。「TRN IM1」のドンシャリ傾向がよりハッキリした音になり、低域の解像度が向上し締まりが良くなることでサウンドのグレードアップを実感できると思います。逆に8芯 銀メッキ線ケーブル(「NICEHCK TDY1」または「YYX4784」)ではアグレッシブ度が一気に増し、高域がかなり強めの音になります。好みの問題ですが刺さりも増しますしここまで来るとさすがにやり過ぎ感が出るかもしれませんね。


TRN IM1ということで、「TRN IM1」は音質傾向的には「及第点レベル」というところかもしれませんが、ハウジングも含めたパッケージング全体で見るとなかなか魅力的なイヤホンだと思います。低価格イヤホンは当然、コストの制約のなかでどのように製品を作っていくか、という点が課題になるわけですが、特に1BA+1DDの低価格の中華ハイブリッドではある程度の水準のサウンドバランスを得るための手法はだいたい出尽くしていて、あとはどこにフォーカスするか、ということなのだと思います。
そういえば似たようなことを「RevoNext RX8」のレビューでも書きましたが、このアプローチは決して悪いことではなく、十分に個性的なイヤホンとして「TRN IM1」も成立していると思います。
ただ、個人的には、このシリーズ、まだまま続きがあるのでは?という気もしています。元ネタの「SECRET GARDEN」がマルチBAの上位モデルを作ったように、「TRN IMなんとか」みたいな上位モデルがでて、もしかしたら「そっちが本命」じゃないのかな、というのは単なる邪推でしょうかね(^^;)。