KBF MK6(スイッチ付き)

こんにちは。先日レビューをした中国のイヤホンセラー「Kinboofi」オリジナルの6BAイヤホン「KBF MK6」についてですが、こちらの「スイッチ有り」モデルでの音質変化の仕様について確認をしていたところ、Kinboofiからのご厚意で「スイッチ有り」モデルを直接確認させてもらえることになりました。というわけで、前回のレビューの「補足編」として、「KBF MK6」(スイッチ付きモデル)での音質変化について紹介したいと思います。

というわけで、本レビューをご覧いただく前に、スイッチ無しモデルの「KBF MK6」のレビューもご一読願えればと思います。
Kinboofi 「KBF MK6」 好評のシリーズに6BAモデルが登場。明瞭な高域が魅力的な1ランク上の高音質マルチBA中華イヤホン【レビュー】

KBF MK6Kinboofiのオリジナルイヤホンというと、最近はスイッチの有無に加えカラバリも登場した4BA仕様の「KBF MK4」が、非常に評価が高く人気のあるモデルとなっています。
いっぽう、「KBF MK6」(スイッチなし)は「MK4」と比較し6BAにより中高域のグレードアップを行うと同時に、「スイッチなしモデル」ではかなり「高域強め」のチューニングとなりました。「MK4」より高域がかなり強く感じるチューニングとなったため、先日のレビューをご覧いただいた方からも、「KBF MK6」が「中低域寄りのサウンドバランスだったら・・・」という声もいただきました。また「スイッチ有りモデル」についての質問もいただいています。
そこでKinboofiに「質問も受けているしスイッチ付きの音の変化もレビューに追記したい」と連絡したところ、「それならば直接実機で確認してみてね♪」ということで、実際に「スイッチ有りモデル」を聴いてみることができました(さすがKinboofi、ありがたい限りです^^)。
実際に各モードを切り替えて聴いてみると、「KBF MK6」(スイッチ有りモデル)は6BAイヤホンとしてのキャラクターをしっかり活かしながら、スイッチによるモード変更で中低域に厚みを持たせるチューニングに変えることが可能でした。よりボーカルなどを楽しみたい方には「KBF MK6」(スイッチ有りモデル)はよりお勧めなイヤホンだと思います。

購入はアマゾンの「kinboofi」マーケットプレイスにて。「KBF MK6」(スイッチ有りモデル)は無しモデルより2,000円アップの 38,000円 で販売されています。
Amazon.co.jp(Kinboofi): KBF MK6(スイッチ有りモデル)

※現在Kinboofiでは「KBF MK6」の3,500円OFFクーポンが出ています。さらにキャンペーンで20,000円引きのキャンペーンが実施中ですので、購入時にクーポンおよびキャンペーンを適用することで 31,300円(スイッチなし)/33,300円(スイッチ有り)で購入が可能です。


■各スイッチは中低域を変化させる仕様。よりボーカル向けのサウンドにもチューニング可能でした。

KBF MK6」のスイッチ「有り」「なし」の両モデルはハウジングの大きさなど外観上の相違点は無く、側面のスイッチの有無だけが違いとなります。
KBF MK6(スイッチ付き)KBF MK6(スイッチ付き)
スイッチ有りモデルでは内部基板の位置がスイッチに合わせて少し横の方にずらして配置されているのが確認できます。
KBF MK6(スイッチ付き)KBF MK6(スイッチ付き)
スイッチの仕様についてKinboofiに確認したところ、どのスイッチがどのBAの抵抗を制御しているかなどの技術仕様は入手できなかったのですが、各スイッチで「KBF MK6」がどのようなチューニングになるか、という情報を入手することができました(下図)。
KBF MK6(スイッチ付き)
この情報を参考に実際に各モードでのサウンドの違いを確認してみました。今回はDAPにiBasso DX150、ケーブルは先日の「KBF MK6」のレビューでも紹介した「KBF4805 8芯 銀メッキと単結晶銅ミックスケーブル」を組み合わせています。再生環境によっては多少印象が変化する可能性もありますのでご了承ください。

KBF MK6(スイッチ付き)全体的な印象としてはSW1のON/OFFで中音域の印象がガラリと変化することもあり、SW1がONになる「①音圧感度」「②バランス」モードの2種類が「スイッチなし」モデルに似た相対的に高域が強く感じるサウンドに、SW1がOFFになる「③流行」「④ボーカル」モードが中音域がぐっと前に出るサウンドになります。
先日のレビューでも記載した通り、「KBF MK6」のドライバー構成は(高域)「Bellsing 30095×2、(中高域)「Knowles ED-29689」 ×1、(中低域)「DTEC-31116」(2BA) ×1 、(低域)「CI-22955」 ×1 の 4Way となっています。おそらく「スイッチ付きモデル」では高域(Bellsing 30095)と低域(Knowles 22955)の設定は変えず(スイッチでは変化せず)、中高域の「ED-29689」と中低域の「DTEC-31116」を制御する抵抗などに対してそれぞれON/OFFのスイッチを割り当てているのでは、と推測します。


① SW1-「ON」 / SW2-「ON」 :『音圧感度』モード
KBF MK6(モード①)「スイッチ付き」の「KBF MK6」が届いた際に最初から設定されているモードです。音質傾向的には「スイッチなし」モデルにもっとも近く、高域が強めのハッキリしたサウンド。
曲や再生環境によっては多少シャリ付き刺さりなどの刺激を感じる場合があります。中低域はわずかに離れて定位しますが情報量は多く1音1音をしっかり表現してくれる印象。ただし「MK4」と比べると分離性は非常に高い音ですが全体的にサッパリした音で、特に中高域、ボーカルなどは淡白な印象を持ちます。ハードロックなどの音源との相性は良いですがポップスなどのボーカル曲ではもう少し余韻が欲しいと感じる場合もあります。


② SW1-「ON」 / SW2- 「OFF」 : 『バランス』モード
KBF MK6(モード②)こちらはモード①よりさらに高域の印象が強く、4種類のなかでもかなりアグレッシブな高域メインのモードになります。そのため高域のシャリ付きなどの刺激は最も強く感じると思います。
各音域の分離性は高いものの高域成分の強い曲では中低域はより控えめに感じます。ただ全体的な分離性はモード①よりさらに高く全体的な明瞭感もより向上します。よりキラキラ感のある硬質なサウンドは高域好きな方には好まれそうです。また、モード①とモード②は再生環境や使用するケーブルで印象が変化しやすく、本体に付属する標準のケーブルの場合はこちらのモード②のほうがモード①より明瞭感のあるサウンドに感じました。


③ SW1- 「OFF」 / SW2- 「OFF」 :  『流行』モード
KBF MK6(モード③)4種類の中で最もボーカルと同時に低域が強くなるモード。ドンシャリ傾向を実感しやすくなります。いっぽうでSW1をOFFにするモード③、モード④では主にボーカルなどの中音域がSW1をONにした場合と比べてぐっと前に出て定位し、メリハリの効いたより濃い印象になるのが特徴的です。
両方のスイッチをONにしたモード①と比べて中低域の量感が増すため、音圧は高くなり、同時に高域の煌めきもしっかり感じるサウンドになります。ただ全体のバランスとしては高域はモード①やモード②ほど強くは感じず、刺さりなどの刺激もほとんど感じなくなります。
1音1音の分離性やサッパリした印象は薄れますが籠ることはなく、聴きごたえのある音になります。ただし音数の多い曲などではかなり派手めの音に感じるのではと思います。


④ SW1- 「OFF」 / SW2- 「ON」 : 『ボーカル』モード
KBF MK6(モード④)「ボーカル」というモード名称のとおり、中低域が持ち上げられ、ボーカル曲に最適化されたモード。モード③同様により近くで定位し、ボーカルの余韻もしっかり楽しめる濃い音になります。
モード①②と比べるとはっきりとボーカルの濃さに違いが出て別のイヤホンのような印象となります。
中高域はもっともスッキリした印象で高域も「KBF MK6」のキャラクターが変わらない程度に一定の存在感があり、低域は情報量が多くしっかりとした存在感がありますが重低音はモード①同様にやや浅め。中音域は余韻などの伸びも良くとても聴きごたえのある音です。個人的な印象としてはおそらく最もリスニング向きのバランスがこのモードではないかと思います。ポップスやアニソンなどにはやはりこのモードが最適です。


というわけで、「KBF MK6」(スイッチ有りモデル)は想像以上にモードごとにチューニングの変化が楽しめ、より魅力的なイヤホンであることを実感できました。スイッチ無しモデルとの比較では、「高域好きの方」はスイッチなしモデルを選択いただくとして、「KBF MK6」はとても気になっているけどもサウンドバランスを好みに寄せたい、と考えている方には「スイッチ有り」モデルは想像以上に音のバリエーションを楽しめる製品だと思います。