こんにちは。今回は「RevoNext QT2S」および「RevoNext QT3S」の紹介です。どちらも昨年レビューした「QT3」および「QT2」のアップグレードバージョンとなりますが、新たに「レッド」カラーのモデルが登場したこともあって、この機会に購入しました。特に2BA+2DD構成の「RevoNext QT3S」のほうは、既存モデルの「QT3」より大幅に印象の変化を(良い方向に)遂げており、良さを増した印象の「RevoNext QT2S」と併せ、どちらもかなりお勧めできるイヤホンに仕上がっていると思います。
「RevoNext」は元々は中国のEMS(受託生産)系のファクトリー企業のようですが、昨年以降、アンダー50ドルの価格帯の中華イヤホンのブランドとしてもマニアの間で認知されはじめています。特に最初に登場した2BA+1DD構成の「RevoNext QT2」と1BA+1DDの「RevoNext RX8」はマニアの評価も高く、現在も人気のある中華イヤホンのひとつとなっています。
今回その「QT2」とさらに2BA+2DD構成にグレードアップした「QT3」、さらに低価格モデルの「RX8」が相次いで「QT3S」「QT2S」「RX8S」としてアップグレードしました。「RX8S」も購入しすでに手元に届いていますが、今回は兄弟モデルの「QT3S」と「QT2S」について紹介したいと思います。ベースとなった「QT3」および「QT2」については過去記事のレビューをよろしければご参照ください。
→ 過去記事: 「RevoNext QT2」のレビュー
→ 過去記事: 「RevoNext QT3」のレビュー
「RevoNext QT2S」「QT3S」の基本仕様はベースとなった「QT2」および「QT3」と同様ですが、分解図には「Frequency Dividing Circuit」という部分が追記されているほか(ただし「QT2」「QT3」では記載がないものの同様の回路がダイナミックドライバーと一体となって図には描かれている)、ダイナミックドライバーがアップデートしているような記載が見受けられます。
また付属するケーブルは「RevoNext RX8」から採用されている本体色にあわせたカラーリングされたケーブルが使用されているようです。これらの内容から新旧モデルの変更点は非常に少なく、リパッケージによるラインナップの一新が主な目的かもしれません。
現在アマゾンでは「RevoNext QT2S」がWTSUN Audioより販売されており、旧モデルの「QT2」「QT3」も併売されています。いっぽう「RevoNext QT3S」については現時点ではAliExpress(中国からの発送)でのみ購入できます。いずれは「RevoNext QT3S」についてもアマゾンでも購入可能になると思われます。
Amazon.co.jp(RevoNext): RevoNext QT2S 表示価格 6,500円
AliExpress(中国からの発送)での購入方法はこちらを参照ください。Easy Earphonesでは購入時にフォロワー割引きの適用も可能だと思います。
AliExpress(Easy Earphones): RevoNext QT2S 表示価格 39.37ドル
AliExpress(Easy Earphones): RevoNext QT3S 表示価格 45.49ドル
またEasy Earphones(@hulang9078)およびWTSUN Audio(@Zhuo520X)のTwitterアカウントでは割引情報なども頻繁にツイートされていますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。
「RevoNext QT3S」「RevoNext QT2S」のパッケージは「QT3」以降の少しマイナーチェンジしたパッケージデザインをそのまま踏襲しています。両モデルは非常によく似ていて差異もすくないためか、パッケージアートの写真もアングルの違うものを使用して区別しやすいように工夫されているようです。
パッケージ構成は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書、保証書のシンプルな内容。ケーブルは「QT2」「QT3」の少しゴムゴムした印象のものから、本体色にあわせた撚り線のカラーケーブルとなっています。質感も良くなり使い勝手が向上しているのは嬉しいところです。
「RevoNext QT3S」「RevoNext QT2S」の既存モデルとの外観上の差異はなく、手元の個体では「QT3S」のみ側面にプリントされた型番表記のみが唯一の相違点でした。いわゆる「ZS6系イヤホン」のなかではハウジングが若干スリムにデザインされているため見た目以上に装着性が向上している点も同様です。イヤーピースは付属のほか毎回紹介してるJVCの「スパイラルドット」やAZLA「SednaEarfit」、Acoustune「AET07」などの組み合わせが良いと思います。
■アップグレードで印象が激変、バランスとキレの良さを両立した「RevoNext QT3S」
このように見た目は全く変わっていない2つのイヤホンですが、音質傾向にはかなり手を加えているようで、それぞれのモデルの特徴を活かしたアップグレードが行われています。
特に今回のアップグレードで印象が「激変」したのは2BA+2DD構成の「RevoNext QT3S」のほうで、既存モデル「QT3」と比較してかなり「一般ウケしやすい音」になりました。おそらく高域を中心にフィルターなどのチューニングが加えられており、解像度が高く伸びの良い高域は維持したまま、シャリ付きや刺激はかなり抑制されており、全体的に非常にスッキリした印象のサウンドになりました。
ちなみに、もともとの「QT3」は「QT2」の中低域メインで低域の印象が強いサウンドに、高域BAを追加することで「KZ ZS6」の「高域が強い派手な音」のバランスにかなり寄せたチューニングとなっていました。「ZS6」の派手な音が好きな方にはこれはこれでアリだったと思いますが、シャリ付きや強めの刺激を感じる高域は「QT2」と比べてあまり一般ウケはしなかったようです。また「QT3」は「QT2」より相対的に低域は抑えめに感じるサウンドでしたが、「RevoNext QT3S」では非常にバランスの良いドンシャリ傾向になっています。
「RevoNext QT3S」の高域は既存の「QT3」に比べればシャリ付きや刺さりなどの刺激はかなり抑えられた印象ですが、それでもかなり量は多めで存在感のある音です。「RevoNext QT3S」では伸びも良く非常にスッキリした印象の音になりました。比較的近くに定位しハイブリッドらしい硬質な印象があり、煌めきもしっかり感じます。「QT2」で高域に不満を感じつつ「QT3」のバランスは好みではない、と感じていた方にはかなり良い印象を持ってもらえるのではと思います。
中音域は「QT2」「QT3」同様に解像度の高い寒色系の音で、「QT2」よりは近めに定位します。ボーカルはとても明瞭な印象で、キレの良さを感じる音でロックやテンポの速いアニソンなどとの相性は良いと思います。いっぽうでバラードなどのスローテンポな曲だと派手すぎると感じるかもしれません。
低域の印象は「QT3」とほぼ同じで高域が強い分「QT2」よりは若干軽めに感じます。ただ量的には十分存在感があり、沈み込みもしっかり感じる事ができます。付属ケーブルでもかなり良い印象ですが、「YYX4783」や「NICEHCK CT1」などの低域を厚くする傾向の8芯ケーブルと相性が良さそうです。個人的な感想としては、「QT2」だけでなく既に「QT3」も持っているという方でも今回の「RevoNext QT3S」は検討してみても良いレベルにアップグレードされていると感じました。
■全体的なバランスが改善などのマイナーチェンジを果たした「RevoNext QT2S」
そして「RevoNext QT2S」は「QT3S」ほどの大幅な印象の変化はないものの、「QT2」の少し低域過多な印象からより中高域とのバランスが改善されさらに聴き応えのあるサウンドにグレードアップしました。「QT3S」と比べ中低域寄りの傾向は同様ですが、低域の響きが少しコントロールされ、相対的に中高域が「QT2」より少し前に出る印象に変化しました。
そのため「QT2」では物足りなさを感じた高域も「RevoNext QT2S」では刺さりなどの刺激はないものの煌めきを感じる綺麗な音になりました。また中音域についてもより明瞭で解像度の高さを実感できるサウンドに改善されています。とはいえ、もともとメリハリの強い「ZS6系イヤホン」のなかでも「QT2」が比較的穏やかな印象のあるイヤホンだった点は「RevoNext QT2S」でも継承されており、「QT2」のサウンドが好きという方にも不満のない仕上がりとなっています。ただすでに「QT2」を持っている方が「RevoNext QT2S」を追加で購入する必要があるか、というとそこまでの違いはないかもしれません。良い方向へのマイナーチェンジ、といった程度の変化だと思います。
というわけで、アップグレードした「RevoNext QT3S」「RevoNext QT2S」でしたが、先に届いたのが「RevoNext QT2S」のほうで、確かに良くはなっていましたがマイナーチェンジのレベルだったので油断していたところに「RevoNext QT3S」の激変でちょっと驚きました。アマゾンでは「QT3」の在庫がなくなるまでは「RevoNext QT3S」は出てこないかもしれませんが、特に「EM023」や「TENHZ K5」などメリハリのあるハイブリッドが好きな方には「RevoNext QT3S」は改めてお勧めできる製品にグレードアップしたのではと思います。また「RevoNext QT2S」も中低域メインのサウンドが好みで「QT2」をまだ持っていない方にはよりお勧め度がアップしたイヤホンになりました。どちらもチャレンジいただくのも面白いと思いますよ(^^)。