ZIKU HD-X10

こんにちは。今回は「ZIKU HD-X10」の紹介です。中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」がAliExpressで50ドル台で販売するハイレゾ/DSD対応のデジタルオーディオプレーヤー(DAP)製品となります。販売開始は1月初旬ですが日本ではまだ購入されている方は少ないようです。

ZIKU HD-X10いわゆる「マニア向け」の1万円以下の中華DAPというと、昨年登場した「Zishan Z3」(AK4490搭載)が現在もマニアの間では人気が高く、さらに上位モデルの「Zishan DSD」もハイエンドDACのAK4497EQを搭載しつつ100ドル台の価格を実現しており根強い人気があります。これらの機種は販売価格からは想像できないようなハイスペックなDACチップを搭載しているものの、やはり「いろいろ分っている方」向けであり、またマニアの方々でも「普段使い」アイテムとするには不安もありますね。

そんななかで「ZIKU HD-X10」は「そこそこの機能」と十分な音質性能を持ちつつ、「Zishan Z3」よりは「普通のDAP」としても使えるという位置づけになっていると思います。

ZIKU HD-X10」の主な仕様は、以下の通りです。
  • DACチップ: Cirrus Logic製 「CS4398」
  • コントローラ: ACTIONS製 「ATJ2167」
  • オペアンプ: LPF: JRC製「NE5532」(直付け) / AMP: 「NE5532」(ソケット) 
  • 再生能力: 192KHZ/32bit (PCM)、DSD256
  • 対応形式: DSD/FLAC/WAV/AAC/MP3/WMA/APE/OGG, etc.
  • Lyrics format: LRC
  • 画面サイズ: 1.8 inch TFT
  • バッテリ容量: 2500mAH (最大稼働時間 約10時間)
  • 音声出力: 3.5mm Headset output / 3.5mm Line Out
  • 外部I/F: micro USB 
  • ノイズ比率: SNR: 98dB
  • 重量: 約180g
  • 寸法: 59mm×16mm×117mm
  • 再生媒体: microSD / microSDXC(128GBまで)
  • 対応言語: 日本語の選択可能(英語、中国語ほか)

まず搭載するDACチップのCirrus Logicの「CS4398」はこれまで数多くのUSB-DACやDAPなどに搭載されてきたまさに定番中の定番ですが、低価格DAPでの利用は安定した音質とDSDへの対応などを考慮すると非常に手堅い選択ですね。また、50ドル台のDAPとしては十分に高性能といえるのではと思います。
ZIKU HD-X10ZIKU HD-X10
コントローラーチップには低価格の中華DAPによく見られる「ATJ2167」を採用しています。WIMA製フィルムコンデンサを搭載し、バッテリ横のソケットに装着されたオペアンプ部(LPFと同じ「NE5532」を標準では搭載)は交換可能な設計になっているようです。

購入はAliExpressのHCK Earphonesにて。表示価格は 59ドル となっていますが、値引きにより 49ドル で購入可能です。AliExpessでの購入方法およびフォロワー値引きについてはこちらを参照ください。またHCKのでTwitterアカウント(@hckexin)は割引情報なども頻繁にツイートされるため、フォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。
AliExpress(NiceHCK Audio Store):  ZIKU HD-X10


ZIKU HD-X10」は例によって特にパッケージも説明書もない本体のみで届きますが、今回はHCKが販売すると言うことで、いつものHCKのイヤホンケースの中に入って届きました。ケースは他のイヤホンで使えるので助かります(^^)。
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本体は金属製で見た目より重量感があり、安っぽさは全く感じない仕上がりになっています。サイズはShanling M2sより若干大きく数ミリ程度厚みがあるくらいの大きさです。
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中央の再生ボタンを長押しすると電源が入り、初回は言語選択が表示されます。上部左右の「>>(次曲へ)」「<<(前曲へ)」ボタンがスクロールボタンを兼ねます。「ZIKU HD-X10」は日本語表示を選択することが可能なので選択しておきます。電源OFFも再生ボタンの長押しです。
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メニュー画面はFiiO製DAPを意識した画面デザインになっていますが、実際のメニューはかなりシンプルな構成になります。とはいえ、「Zishan Z3」がファイルベースでの選択しか出来なかったののに対し、「ZIKU HD-X10」は一般的なDAP同様にアーティスト、アルバム、ジャンルといったタグ情報に基づいた再生やプレイリストの使用、歌詞表示(曲ごとのLRCファイル使用)等も可能です。また電源ONと同時に再生を開始する「Car Mode」なども選択可能です。

ZIKU HD-X10操作自体は非常にシンプルなので迷うことは少ないでしょう。しいていえば曲選択など上下へカーソルを移動する画面を「<<」「>>」の左右のボタンで行うことの違和感がある点くらいでしょうか。
画面表示の情報量も充実しており、1.8インチの小さい画面に「曲名」、「アーティスト名」、「アルバム名」、「フォーマット」といった情報とカバーアート(貼り付けている画像サイズによっては表示されない場合もあり)が表示されます。この価格帯の中華プレーヤーとしてはかなりしっかり作られている印象です。
バッテリ稼働時間も長く、発熱も少ない印象で、長時間の移動などに便利な点も特徴でしょう。ただ全体的にホップノイズがあり、特に電源のON/OFF時には結構大きめのノイズがありますので、イヤホンを装着したままで電源操作はしないほうが良いと思います。

音質面は50ドル程度のDAPとしては十分に及第点レベルだと思います。DSDやハイレゾの再生も含めとても元気に鳴ってくれる印象です。同価格帯でも「Zishan Z3」には解像度やS/Nの高さなど全体の表現力では1ランク落ちますが、ここは音質を取るか使い勝手を取るか、という選択かもしれませんね。ただ「ZIKU HD-X10」のほうが音場感やメリハリがあり聴く楽しさはでは優っているかもしれません。
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いっぽう出力は「Zishan Z3」と比べてもかなり大きく、かなり鳴らしにくいヘッドフォンやイヤホンでも十分に音量を取ることが可能です。ボリュームは100段階で通常のイヤホンなどは30~くらい、「RHA CL1」や「AKG K712 Pro」でも60~くらいで十分な音量が取れます。逆に非常に反応の良いイヤホンの場合はホワイトノイズが発生しやすくなるため、iFI-Audio「EarBuddy」のようなアッテネーターの併用やポータブルアンプの併用が良いかもしれませんね。
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またUSBでPCやMacと接続した場合はマスストレージモードとなり搭載したmicroSDメディアにアクセスが出来ます。USB-DACとして使用するモードなどは無さそうです。

というわけで、「ZIKU HD-X10」は50ドル程度の低価格にもかかわらず、DAPとしての必要な機能は網羅し、DSDなど多くのフォーマットに対応するなどコストパフォーマンスの高いプレーヤーでした。個人的にはイヤホンより大出力を活かしてヘッドフォンとの組み合わせでの利用に最適なプレーヤーという印象でした。またオペアンプの交換等、DIY的な楽しみのうえでの「素材」としても手頃な価格で良いのではと思います。