
こんにちは。今回紹介するのは「TIN HiFi T3 ( TIN Audio T3 )」です。もともと「TIN Audio」というブランドでしたが、最近ブランド名を「TinHiFi」に変更したようで、今回の最新モデルも「Tin HiFi T3」という名称になりました。従来モデルの「T2」および「T2 Pro」は2DD構成でしたが、今回高域側にBAが追加され1BA+1DDのハイブリッド構成となりました。さらにデザインおよび音質面も全方位でグレードアップし、「T2」「T2 Pro」のマニア向け中高域サウンドから、より多くの方にお勧めできるこの価格帯ではトップレベルのサウンドクオリティを持つイヤホンに進化しました。


「TIN HIFI」(@tttaudio / TinAudioOfficial)は中国のイヤホンブランドですが中国国内より海外を中心としたマーケティングを行っている印象があります。デュアルダイナミック構成で同社をマニアの間で周知させた「T2」「T2 Pro」に加え、シングルダイナミックのローエンドモデル「T1」といったイヤホンをリリースしていますが、どのモデルも金属製ハウジングのビルドクオリティの高さに加え、非常に音作り、サウンドチューニングが上手いブランドだな、という印象がありますね。



もともと「TIN Audio T2」日本でも発売直後はかなりマイナーな存在だったものの、中高域メインでボーカル域を中心に特徴のあるサウンドでじわじわと人気が上昇し、マニアの間ではすっかり認知された存在となりました。さらにアップグレード版の「TIN Audio T2 Pro」では高域を中心に改良が加えられ、高音好きの方にとっては外すことの出来ないアイテムのひとつになりました。
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そして今回の「TIN HiFi T3 ( TIN Audio T3 )」では、「T2」「T2 Pro」から踏襲された10mmのPU+PEK素材のダイヤフラム(振動膜)のダイナミックドライバーに、新たに高域をKnowles製のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを追加し、従来とは異なる新しいドライバー構成を採用しました。またCNC加工された金属製ハウジングのデザインも一新し、装着性が大きく向上している点もポイントです。さらに付属ケーブルも8芯タイプの 5N OFC(無酸素銅) 銀メッキ線ケーブルにグレードアップしました。このように「TIN HiFi T3」は見た目以上に大幅なグレードアップを行った渾身のモデルのようですね。
「TIN HiFi T3 ( TIN Audio T3 )」は3月14日に販売が開始され、現在は中国のイヤホンセラー「L.S.オーディオ」のアマゾンマーケットプレイスにて予約注文を受付けています。販売価格は 7,999円 です。
Amazon.co.jp(L.S.オーディオ): TIN HiFi T3 (TIN Audio T3)
■ミニマルデザインの金属シェルはさらにグレードアップ。装着方法は「耳掛け」タイプに。
今回はL.S.オーディオ(@North_Bear7)さんより、発売前のサンプル提供を受け事前に製品を入手しました。
「TIN HiFi T3 ( TIN Audio T3 )」のパッケージデザインはこれまでの「T1」「T2」「T2 Pro」を踏襲しているもののボックスはひとまわり大きくなりました。また製品がボックス越しに見えるような意匠になっています。


「TIN HIFI」の製品はとにかく紺色のパッケージがとても格好良くデザイン的にも美しいのが特徴ですが今回もその質の良さは健在で、とても高級感を感じます。


パッケージ構成は、イヤホン本体、MMCX仕様の8芯ケーブル、イヤーピースはグレーのウレタンタイプが装着済みのタイプとサイズ違い(小サイズ)の2ペア、シリコンタイプがブラックとグレーのタイプ(それぞれS/M/Lサイズ)、説明書となっています。


「TIN HiFi T3」のCNC加工された金属製ハウジングは今回も非常にビルドクオリティが高く、「T2」「T2 Pro」を踏襲したミニマルなデザインながら新しい意匠が加えられており、ひとめでわかる形状となっています。ベント(空気孔)は「T2」「T2 Pro」同様に側面と上面の2カ所に確認できます。


そして、「TIN HiFi T3」からMMCXコネクタの張り出し部分が左右逆となりました。「T2」「T2 Pro」はまっすぐ垂らす装着方法を中心に想定していたのに対し、「TIN HiFi T3」では付属の8芯銀メッキ線ケーブルんに耳かけ部分の加工がされており、耳掛け式(シュア掛け)での装着方法に変更になったことがデザイン変更の理由だと考えられます。


個人的には従来の「T2」「T2 Pro」のデザインがどちらの装着方法でもどうしても耳に合わず、左右逆にケーブルを接続して使用するなど苦肉の策をとっていたこともあり、今回の変更は大歓迎です。ただ従来のまっすぐ垂らす方法での装着をしたい場合はリケーブルするかケーブルの耳掛け部分のビニールをはがす必要があります。
■すべての音域にわたってグレードアップした同価格対トップクラスの明瞭感のあるサウンド。

前述の通り従来の「T2」「T2 Pro」は中高域メインのサウンドで、特に「T2 Pro」は高域から高高域の明瞭感がさらに強調された印象でしたが、「TIN HiFi T3」では「T2」の中高域寄りのバランスを維持しつつ、高域の刺さりなどの刺激が大幅にコントロールされ、いっぽうで「T2」シリーズではかなり控えめだった低域の量感もアップ。また解像度が高く非常に魅力的な鳴り方をする中音域では、さらに奥行きを感じる音場感が加えられより実在感のあるサウンドになりました。
「TIN HiFi T3」では「T2」シリーズと比較し、高域・中域・低域の各音域にわたり、全体的に音の「質」が向上しておりトータルでも非常にバランスの良いイヤホンに仕上がっています。

「TIN HiFi T3」では新たにBAドライバーが追加されたことで中高域から高域の解像度および情報量が向上し、伸びの良さをしっかり感じさせます。いっぽう「T2 Pro」「T2」の最も特徴的だった反面、苦手な方も多かった高高域(主に10kHz以上の音)のピークは「T3」ではは大幅に抑制され聴きやすく感じるバランスに変更されました。「TIN HiFi T3」は、高域に力点を置いた「T2 Pro」とは高域の明るさや精緻さなど点では明らかにキャラクターの異なるイヤホンとしてチューニングされていることが分ります。
もちろん実際にはこのようなサウンドに感じる脚色がダイナミックドライバー部分と調整されたメタルハウジングとデュアルベント(空気孔)により行われていることは間違いないわけですが、全体的なバランスも向上しており、相変わらずの音作りの上手さに唸らされます。

低域は、決して多くはありませんが「T2」「T2 Pro」と比較すると十分な量感を確保された印象です。中高域同様にとてもシャープな輪郭で解像度は高く、歪みを感じない良くコントロールされた印象です。少しドライな印象ではあるものの、味付けはなく、情報量の多い音だと思います。また重低音はまだ軽い印象はあるものの沈み込みもかなり良くなりました。「TIN HiFi T3」ではハイブリッド化することで、もともと解像度の高い「T2」「T2 Pro」のドライバーが多少中低域にシフトし、結果的に低域の表現力も一気に向上したのではと感じます。
「TIN HiFi T3」は全体的にバランスが良くなり、音場も広くなったことで、曲の得手不得手はより少なくなり、まさにオールラウンドに合わせられるイヤホンとなりました。分厚い低域を望まれる方には向きませんが、ハッキリしたクリアなサウンドを好まれる方には最適でしょう。

というわけで、「TIN HiFi T3 ( TIN Audio T3 )」はアンダー1万円クラスのイヤホンで、非常に多くの方にお勧めできる、非常に強力なアイテムのひとつとなりました。この価格帯にはアプローチの異なる好みのイヤホンが次々と登場しており、それぞれのクオリティの高さもあって、個人的にはとても楽しい状況に感じています。これまで同社のイヤホンを聴いたことがない方はもちろん、「T2」「T2 Pro」を気に入った方も、可能であれば「TIN HiFi T3」も是非とも挑戦してもらえたらと思います。
t3のknowlesの型番ってご存知でしょうか?
情報を探しているのですが全く見つからなくて困っています